第3話 Bパート
【前書き】
楽譜の読み方を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
当作品は、オリジナル『ガクテン』からR15を削除したものです。R15以外は、そのままですので、二重投稿に近いものです。
人間ドラマなどを削除した楽典のみのものは『ガクテン♪要するに版』をご覧ください。
◆ ご感想を頂けると嬉しく思います。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。
◆ 「評価」はログイン必要ですが、「感想」はログインせずに、どなたでも書けます。
▼ Bパート。 ▼── ──▼
ハルの自宅。
天袋から鍵盤ハーモニカを出す。塩ビの口の部分には、カビが付いている。台所で洗い、チューブを接続して演奏してみる。出にくい音がある。
ハル「あれぇ、錆びたのかなぁ」
ハルの母親が来る。
ハル「ねえ、お母さん。ピアノかギターか、どっちか欲しいんだけど」
母親「ピアノだったら、多岐ちゃんの家にあるでしょ」背景にミッツの顔を描き「蜜霧多岐(みつきり・たき)」と添える。
背景のミッツ「あたしは、ハルの従姉だよ」
母親「いきなりピアノが欲しいって、随分と軽く言ってるけど、高いんだから、簡単には買えないでしょ」
ハル「家で弾きたいんだよ」
母親「だったら、ギターにしなさい。お父さんのが、あるから」
ハル「えー。古くて、もう弾けないと思うよ。カビが生えてたり」
母親「ギターは、楽器屋さんに行ったら、きれいにしてもらえるんでしょ。捨ててないってことは、まだまだ使えるんだろうし」
母親。押し入れの奥から、ギターを出す。奥から出したので、手前にある雑貨で部屋が散らかる。
ギターはスティール弦ギター。古いものだが、弦を張り替えて、ボディを拭いたら、普通に使える。
ハル。ギターを見て「うへぇ、これでも、使えるのか?」
父親。帰宅。
ハル「お父さん、このギター、使ってもいい?」
父親「おっ、懐かしい。弾きたいのか」
ハル「うん。弾くというより、楽譜の謎解きに使いたいんだ」
父親「そうか。まあ、何にしても弾くんだから、修理しないとな。よし、あした、一緒に楽器店に行こうか」
ハル。喜んで。「ホントに?!」小さくガッツポーズ。
父親「楽器店って、デパートのおもちゃ売り場みたいで、その場所にいるだけで楽しくなるよな」
ハル。糸巻きの形に気付く。「あれ? この糸巻きの所、穴が開いていない」
父親「糸巻きって、ああ、ペグか」
ハル「学校のギターでは、長い穴が開いていた」背景に、クラシックギターと、スティール弦ギターの、糸巻きの違いを表示する。それぞれに「学校の備品」「父親のギター」を添える。
父親「ギターの種類の違いだな。どっちにしても、1本の弦に、2つの歯車が噛み合わされている。このカラクリのお陰で、チューニングの微調整ができる」
ハル「そうだね」
父親「でも、バイオリンもピアノも、歯車は使わない形状だ」
ハル「えっ? そうなの?」
父親「だから、微調整は難しいんじゃないかな」
ハル「微調整しないと、調律じゃないでしょ」
父親「いや、実は、よく知らないんだ。何となく、そう思っただけ」
ハル「そうなんだ」
父親「弦は、強く引っ張っているのに、緩まないのは摩擦があるから。その摩擦する部分がすり減ったら、弦の張りに耐えられずに、緩んでしまう」
ハル「それだったら、そもそも調律できないでしょ」
父親「いや、実は、よく知らないんだ。何となく、そう思っただけ」
ハル「そうなんだ」
父親「それでも、今も歯車を使わない方法だってのは、困っていないのか、歯車には欠点があるのか」
ハル「そうなんだ」
父親「いや、実は、よく知らないんだ。何となく、そう思っただけ」
ハル「そうなんだ」
▽ 場面変更 ● ── ●
軽くエピソード。
ハルの両親の出逢いは、互いのライブハウスの出演を、客席で見ていた。後に、楽器店で再会した時は、互いに気付かなかった。
楽器店で、ハルの母親は、ハルの父親を見て、真摯な態度が気になった。ハルの父親は、ハルの母親を見て、着飾らない上品なセクシーさを持ちながら、舞台での見せ場を演出する工夫を探すのが気になった。
楽器店で、お互いに気になったので、どちらからともなく声を掛け、近くの喫茶店で会話の続き。
ハルの母親の「あたしが、ヘビメタ(ヘビーメタル)をしているって言ったら、驚く?」という言葉から、お互いが同じライブハウスに出ていたことが判明。
向かい合う二人の、それぞれの背景に、2つの絵で、父親のステージを母親がうっとり見ている、母親のステージを父親がうっとり見ている。
ハルの父親は、自らの音楽ジャンルを「ジャンク音楽」と呼んでいる。
ハルの母親は、自らの音楽ジャンルを「ヘビメタ」と呼ばれているが、違和感がある。もっとドラマチックに、楽しさがスケールアップし、最後は完全燃焼して、ステージを終えるのが理想だと。
そこで、ハルの父親は、ジャンルの名前を「ラウドアップ(loud up)」ではどうかと提案。「ラウドアップ」は、その場で思い付いた造語。
意味は、「ラウド(loud)」は「やかましい」だが、「未熟で上手ではないが、幸せ」で、謙遜して「やかましい」とする。「完全燃焼に向かう」から、和製英語で「ラウドアップ」。
後日、ジャンルの名前を、ハルの母親がバンドメンバーに伝えることで、バンドの方向性の統一ができ、バンド活動も完全燃焼できた。
ハルの父親は、いつも一人で演奏するが、合奏による厚みにも憧れている。ハルの母親が、補助的に参加することで、豪華な曲目も増えた。
このような付き合いから、結婚に至った。
▽ 場面変更 ● ── ●
ハルが、父親からギターを譲り受けた翌日。
ハルと、ハルの父親。楽器店に行き、ギターをメンテナンス。待っている間、二人で、いくつかの小物を買う。
ギター弦の予備、三角ピックは硬さの違う2種類、指先にはめるピック、カポタスト、音叉、その他あれこれ。
父親の手の甲は、毛が多い。
店内には、吹奏楽の先生からウクレレを紹介された生徒が、さり気なく画面内に入っている。
▽ 場面変更 ● ── ●
楽器店の奥の部屋。2人の店員が、ハルの父親のギターをメンテナンスしながらの会話。
店員「おい、見ろよ、これ」
店員「どうした?」
店員「この、フレットの所」
店員「うわっ、随分と摩耗しているな」
店員「こりゃ、かなり弾き込んでいるな」
ブリッジピンが6本のうちの2本が違ったり、ピックの跡がピックガードの外側にもあるなど、使い込んだ痕跡。
店員「保管の状態が悪くて、今じゃこんな音だけど、かつては、いい音がしたんだろう……」軽く、あちこち、表面や裏面をコツコツ叩く。「……ホラ」
店員「弾き込んでこその、味のある音だったんだろうな」
店員「ただの掃除だけじゃなく、復活させたいな」
店員「このギターは、あの親子連れのだろう?」
店員「そうだな。父親のものだろうな」
店員「随分と弾き込んだのに、結婚すると、ギターを弾かなくなるんだな」
店員「そんなもんだよ」
店員「俺も結婚したら、そうなるのかなあ。寂しいな」
店員「思う存分、ギターが弾けたってのは、恵まれた家庭だったんだな」
▽ 場面変更 ● ── ●
楽器店内で、ハルと父親は、ギターのメンテナンスが終わるのを待ちながら、買い物。
父親「細々(こまごま)した道具は、買ったはいいが、ほとんど使わない道具もあるだろう。そのうち、自分に合う道具も、わかってくるもんだ」
ハル「売っているんだから、使わない道具なんて、無いんじゃないかな」
父親「全く売れないものなら、売らないだろう。でも、自分にとっては不要な道具でも、これを必要としている人が少なからずいるから、商品としてあるんだろう」
買い物カゴには、いくつかの商品が入っている。それでも、まだ商品棚を物色する。
父親「ハルがギターを始めるっていっても、俺みたいにギターに執着するようになるかは、まだわからないな」
ハル「うん、そうだね」
父親「ボウリングだって、人によって違うよな」
ハル。黙って父親を見る。
父親「アマチュアながら、自分のボール、マイボールをいくつも買って、手袋やら、あれこれこだわる人もいる。一人で黙々と練習する人」背景に、ボウリングにこだわりを持った、ストイックな人を描く。
ストイックな練習をする人は、服装もボウリング用のもの。カラフルなマイボールがいくつかあり、旅行に使うような大きなバッグもある。
背景の、ストイックな人が、画面に近寄る。利き手を画面に見せる。「これは、手袋じゃないよ。「リスタイ」といって、手首を固定するものだよ」と言う。
靴の裏を見せる。「靴も、左右で違うんだ。投げる瞬間に、前に出ている靴が滑って、美しいポーズになる」投球ポーズのストロボアクション。左脚と床の部分が滑っているのを指して「滑っている」と添える。
父親「かと思えば、数人の仲間で、気紛れに楽しむ人もいる。珍しくストライクが出たら、喜び合う」背景に、ボウリングで、高校生や社会人の、仲間同士の二次会っぽい風景。
背景の、参加者の一人が、画面に近寄る。「さっき、近くにいた人が、靴を履き替えるのを見たけど、靴底って、左右で違うのかなあ」と言う。レンタルの靴と、個人持ちの靴で、靴底が違うのを見せる。
父親「ボウリングって、色んな楽しみ方ができる。ギターも似ているな」
父親「ギターを、いわゆる音楽の使い方ではなく、工作や実験の道具にしてもいい」
ハル「それは、お父さんに申し訳ない」
父親「ピアノにしても、演奏のために使うのが普通だが、単に効果音として使うこともある」
ハル「一時的に、効果音の道具にすることはあっても、普通は演奏に使うでしょ」
父親「ところがな、現在はどうなのか知らないが、ラジオドラマの現場では、あんなにたくさんの弦があり、細かなカラクリも、たくさんあるからと、「まともな使い方」ではない扱いをするためのピアノだ」
ハル「「プリペアド」っていう使い方かな?」背景に「prepared」を表示する。第1話で、ヤッ子の「自分のピアノでするものだ」、ミッツの「かわいそうです」を思い出す。
父親「カードに限らず、色んなもので叩いたり、擦ったりする」背景に「prepaid card」を表示する。
背景に注意書き「お父さんは、「プリペイドカード」の話と勘違いしています」を表示する。
ハル「本来の使い方ではないのに」
父親「英和辞典は、カップ麺の蓋押さえに、ちょうどいいだろう。それを、英和辞典を作った人に申し訳ない気持ちもあるが、早くボロボロになるのも、自分のせいだ」
ハル「まあ、確かに、買ったから、自分のものだから使い方は自由だけど」
父親「英和辞典の、別な使い方の話だが、戦争の頃の配給では、タバコも配給されていた」
ハル「お父さんが生まれる前の話だよね」
父親「そう。ところが、紙巻きタバコが配給されていたのに、巻いていない、葉っぱと紙だけが配給されるようになった」
ハル「それじゃあ、吸えないでしょ」
父親「そこで、鉛筆削りみたいな形で、煙草を作る道具で、みんなは自分で紙巻きタバコを作った」
実際の道具の写真があれば、表示する。
父親「そのうち、タバコに使う紙は、三省堂の英和辞典が適している、美味しいタバコになると、知られるようになった」
ハル「それは……。本当に、辞典を作った人に申し訳ないです」
父親「当時の、喫煙するお父さんは、こっそり子供の部屋に入り、本棚の辞書を破いて、タバコにしていた。子供にバレたら、「どうせ、全部のページは使わないだろう」って言い訳だ」
ハル「辞書は、全部のページが揃っているから、使えるものでしょう!」
父親「まあ、そうだな。タバコの葉を、ただ巻いただけだから、フィルターが無い。いわゆる「両切り」で、葉っぱが口に入ることがある」
父親「口に入った葉っぱを、指で摘まんで出す場面は、映画では『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(セルジオ・レオーネ、ロバート・デ・ニーロ)や『吉原炎上』(五社英雄、名取裕子)で描かれているな」
父親「フィルターがあれば、それ以上は吸えないが、フィルターが無ければ、最後まで吸える」
ハル「でも、本当に最後までは、無理でしょ。消しゴムも、シャーペンの芯も、本当に最後までは使えない」
父親「タバコなら、指で摘まむと、指が火傷する。爪楊枝を刺して、できるだけ短くなるまで吸ったらしい。唇や、口の中が火傷しないまでな」
背景に、昭和の漫画で、ものぐさな登場人物が、爪楊枝を使ってタバコを吸う場面を表示する。
メンテナンスが終わり、父親が受け取る。父親の左後ろから、ハルがのぞき込む。
父親「左手で押さえる場所は、フレットとフレットの間で、どこで押さえても、結局は弦のこの長さが振動するから、音の高さは変わらない」父親目線で、弦の振動する範囲を図示。
ハル「そうだね」
父親「簡単にわかってくれたが、丁寧に説明させてくれ」
父親。指をパチンと鳴らす。
▽ 場面変更 ● ── ●
楽器店の中でありながら、説明用の別世界になる。背景は白。
陸上競技のハードルが、1メートル間隔で、いくつか並んでいる。これが、ギターのフレットを表現。
ハードルの上に、ギターの弦を表現するための、1本のロープが渡っている。
向かって左側に巨大な糸巻き。向かって右側にはギターのボディ。
父親とハルは、ロープの向こう側に立っている。向かって左側に父親、向かって右側にハル。2頭身にしなくても良い。
父親「ハル、弦を弾いてくれ」
ハル。弦を弾く。ロープが、ボヨヨンと動く。アニメで、わかりやすいボヨヨンの動き。
父親「こっちでは、弦を押さえるぞ」2つのハードルの間、ちょうど真ん中辺りを押さえる。
父親「こうすると、弦が振動するのは、この範囲だな」ロープの、右端からハードルまでの、色が変わり、振動を大袈裟にボヨヨンと動く。
父親「押さえる場所は、2つのフレットの間なんだが、押さえやすい場所というのがある」
父親。ロープから手を離すと、ロープの全体が「鳴る長さ」の色になる。ロープを押さえると、右端からハードルまでが「鳴る長さ」の色になる。
ハルは、等間隔の時間で、ロープを弾く。その度に、「鳴る長さ」の色も振動する。
父親。ハードルの中間で、右のハードルの近くや、左のハードルの近くと、場所を変える。それでも、右端からハードルまでが「鳴る長さ」は変わらない。
父親「ホラ、どこを押さえても、音が鳴る長さは、変わらないだろう。でも、ここを押さえるのは、大変だ」左のハードルの近くを押さえようとする。ロープの色は、右端から、父親の手までになってしまう。
父親「もっと強く押さえる、もっと強く押さえる」ロープが右側のハードルに付くと、「鳴る長さ」の範囲が変わる。ハードルとロープの接触部分を拡大した箇所を、吹き出し内の画面で添える。
父親「押さえる場所によって、ここ……」ハードルとロープの接触部分を示す矢印。「……を、しっかり付けるための、力加減が違うんだ」
父親「どこがいいのかって言うと、この辺りかな」ハードルの中間の、真ん中から右側が、ぼんやり楕円で色が変わる。
父親。パチンと指を鳴らす。
▽ 場面変更 ● ── ●
画面が、楽器店の店内に戻る。
父親「そこで、この範囲のどこが押さえやすいかといえば、この辺から、ここでもいい」フレットの真上を押さえる。
ハル「音色がこもらない?」
父親「大丈夫だ。これは実際にやってみればわかる、実践で身に付く」鳴らしながら、左手の指を、フレットの間、フレットの上、フレットを乗り越える場所まで弾き比べてみる。
父親「乗り越えたら、やり過ぎだな」
父親「実は、大した力は入れていないんだ。音がビリビリしなければいい。「触れる(ふれる)」では弱いが、「触る(さわる)」で大丈夫」
ハル「理科で習った、力の合成かな?」背景に、3方向にロープを引っ張る、物理の説明。2方向から左右方向に引く力は強い。中央から下に引く力は弱い。
父親は、軽く演奏する。10年ぶりに弾いたにしては、すごく上手いのはリアリティが無いが、すごく上手い。村下孝蔵の「ひとりベンチャーズ」のように。
他の店員、客達が集まって来る。弾き終わって、ささやかながら、温かい拍手。
リアリティのためには、1曲を弾き終わる前に、調律が狂って、演奏をやめる表現もある。メンテナンスで、新しい弦を張ったので、すぐに調律が狂う。
父親「ギターを始めて、挫折のきっかけとなるのが、「F」が押さえられないこと」
ハル「F?」
父親「「ハイコード」とか、「セーハする」とか言って、人差し指で6本の弦を押さえる」Fを鳴らす。
ハル「6本を全部押さえるなんて、握力が必要なの?」
父親「実は、全部じゃないんだ。こうして、人差し指の根元で第1弦と第2弦を押さえて、指先で第6弦を押さえる。弦がフレットに、くっ付けばいいから、「押さえる」というより、「くっ付くように押す」だな」
背景に、さっきのハードルとロープの図を表示し、吹き出しで「ハードルにロープがくっ付けばいい」と示す。
父親「残りの弦は、どうでもいい」
ハル「どうでもいいって」
父親「残りの弦は、他の指で押さえるからさ」再び、Fを鳴らす。
ハル「それで、力は入れていないの?」
父親「要するに、ビリビリしないで、ちゃんと鳴ればいいんだから、押さえつけるような力は入れていない。言い方の違いは「触れる」「触る」「押さえる」「押さえ付ける」があるが、音がビリビリしなければいい」
父親「弦がフレットに「そっと触れる」では弱いが、そもそも弦は暴れないので、「ちゃんとフレットに弦がくっ付いている」で十分」
ハル。最初に、乾電池でハワイアンギターのように遊んでいたことを思い出す。
ハル。心の声。「(そういえば、乾電池は、軽く弦に触っただけだったな)」
ハル「指先にタコができて一人前だって聞くけど」
父親「一人前かどうかは知らないけど、タコを作るのが目的ではなく、弾くのが目的だな」言いながら、カポタストを3フレットに付ける。
ハル「それは?」
父親「カポタスト、略して「カポ」という道具。6本の弦をまとめて押さえる道具だ」背景に「カポタストは、いくつかの形状があります」の文字と、形状の例を表示する。
父親。カポ3で、コードAmを鳴らす。「さっき買った楽譜雑誌に、ギターのコード表があるだろう」
ハル。コード表のページを開く。コード表は、最上段が見出しで音名が左から右に向かって「C」「C♯/D♭」「D」「D♯/E♭」となっている。
父親。コード表の、AmからCmを指す。「こうして、カポ3でAmを演奏すると、Cmが鳴る。ほら、AmからC♯mまでは、同じ形で、カポ無しからカポ4まで、ずれて行っている」
ハル「あ、本当だ」背景に、音楽の先生から、コード表を見て、間違い探しをする話を思い出す。
父親「同じように、EmからG♯mまでも、カポ無しからカポ4まで、同じ形で移動だ」
父親「ちょっと、これとこれを、見比べてごらん」コード表の、EmからG♯mまでと、EからG♯を指す。
父親「EmからG♯mは、同じ形のまま移動している。でも、EからG♯は、Gだけが違う形だな」
ハル「うん」
父親「同じ形のまま移動してはいけないのかな?」ハルに問いかけ。
ハル「あ、それは知ってる。どっちの押さえ方でも、コードの鳴る音の……成分? 何だっけ」
父親「和音構成音」
ハル「そう、その音の組み合わせが同じ、使っている音が同じ。オクターブ違いは、気にしない」
父親。感心する。「いいねえ、いいねえ。どっちも和音構成音が同じだから、簡単な押さえ方の方がいいだろう。この表を必要とするのは、まだ和音構成音を思い出すのに慣れていない時期だから」
ハル「そうだね」苦笑い。
父親「同じ形のまま移動するのもいいし、コード表に書いてある形でもいいし、どっちにしても「G」は「ソ、シ、レ」が鳴ればいい。ここでもいい、ここでもいい」いくつかの場所でコード「G」を鳴らす。
いつの間にか、周囲に数人の客達が集まっている。熱心に聞いている中高生もいる。
その中には、吹奏楽の先生からウクレレを紹介された生徒もいる。持っている段ボール箱は、ウクレレ。
ハル「コード表って、カポと繋がっているんだね」コード表の、音名の部分を指でトン、トン、トン……。
ハル「この、音名の表も、ピアノの鍵盤の並びと同じで、ギターのフレットの並び順とも同じ」
コード表の、音名の欄だけが残り、他の部分が消える。音名の欄の下にピアノの鍵盤、上にギターのフレット。
コード表の音名の欄は、黒鍵部分が薄墨にすると、鍵盤との関係がわかりやすい。ただし、白鍵よりも文字数が多いので、読みにくくならないように。
父親「G♯mの次のAmは、いきなり形が変わるけど、これまでの続きでもいい」
父親。カポを外す。
父親「Em、Fm、F♯m、Gm、G♯m、Am、B♭m、Bm」言いながら、同じ形のまま、どんどん高くする。
父親目線で、手がどんどん高くなりながら、過去の押えた場所の手は、残像のように薄く残っている。
ハル「ということは、形が似ていなくてもいいんだね」
父親「そう。ある曲で、Gm、Cm、D7というコードが使われていて」コード表の、3つのコードをマルで囲む。
父親「これをカポ3にすると……」3つのマルが分身の術で分かれて、コード表の3フレット分移動。「……Em、Am、B7になる」
ハル「うん」
父親「コード表で、隣の隣のって数えて、端まで行ったら、続きは反対側に繋がっている。ドーナツみたいなものだ」楽譜雑誌のコード表のページを持ち、紙を円筒状に丸める。
ハル「鍵盤ドーナツみたいだね」背景に、ヤッ子から教わった鍵盤ドーナツを表示する。
画面の左側に、鍵盤ドーナツを表示する。画面の右側には、父親が円筒状に丸めたコード表を、ドローンカメラのように、円筒の内側から見るように移動して、音名部分を見る。音名部分が鍵盤ドーナツのように円形になる。
父親「鍵盤ドーナツは知らないが、多分、同じことを説明しているんだろう」
父親「カポ3でEm、Am、B7を演奏すれば、Gm、Cm、D7が鳴るってこと」画面上段にカポ3の形。下段にカポ無しの形。指し棒でGmとEm、CmとAmに「似ている」、D7とB7に「似ていない」。
ハル「へえ。こんなに形が違うのに、和音構成音が同じなんだ」音楽室で、音楽の先生が黒板に書いた「C」の「ド、ミ、ソ」が、どっさり書かれていたことを思い出す。
▽ 場面変更 ● ── ●
回想。
ハルが、音楽の先生から、ギターのコードのポジションを教わっている場面。
ハル「ド、ミ、ソが鳴れば、この辺でも、この辺でも、いいんですか?」
音楽の先生「そうです。指が届けば、どの場所の「ドミソ」を選んでもいいんですよ」
ハル「オクターブ違いでダブっていても、いいんですよね」
▽ 場面変更 ● ── ●
回想が終わり、さっきの続き。
楽器店で、ハルが父親から、ギターを教わっている。
父親「コードは、ギターだけでなく、ピアノでも同じだし、吹奏楽ではみんなで和音構成音を分担することもできる」
ハル「オーケストラも?」
父親「そうだ、オーケストラだって、和音構成音を分担している。トランペットが3人で「ドミソ」を鳴らして、サックスも3人で「ドミソ」を鳴らす」
ハル「そうだったんだ……」
父親に指し棒。「お父さんは、オーケストラのことを、少しだけ知っていますが、詳しくは知らないので、簡単な説明をしています」
父親、心の声。「(息子が喜ぶのが嬉しいのは当然だが、偉そうなことを言うのも気持ちいいもんだ)」背景に、父親が偉そうにしている姿。仁王立ちで笑うなど。
周囲に集まっている中高生は、小声で友達同士でギターの身振りをしながら、教え合っている。
父親「さらに、ギターならではの、衝撃の演奏方法を教えよう」
父親。ギター弾き語りの楽譜を出す。
父親「この歌の、ギター伴奏の所を見ろよ。ここのコードはCだから、ギターでCを押さえて……」楽譜のアルペジオを見る。「……楽譜のドミソミ……は、左手でCの形であれば、そのまま演奏できる」
ハル「え? え? ああっ、本当だ。音符の1つ1つの場所を探さなくても、コードを押さえたら、もう用意されているんだ。うおおお!」身震いする。
父親「音符の玉は個別に読むものだが、和音としてまとめて見たら、読譜は楽になるぞ」背景に「読譜」の文字と、フリガナ。
ハル「あれ? Cなのに、ここはレがある」
父親「そういうこともある。まあ、スパイスみたいなもんだな」
ハル「スパイスか」
父親「伴奏の中に、ほんの1つだけのスパイスっぽい音を出したり、ほんの短いメロディがあったりする。ギターのコード伴奏でも、そういうことはあるんだ」
父親「ギターでの伴奏は、単にコードを鳴らすだけの箇所もあれば、歌とは違ったメロディを演奏することもある。そのメロディが、ほんの短い時間だから、スパイスってことだ」
ハル「コードネームだけではわからないね」
父親「知っている曲なら、歌詞とコードネームだけのを見て頑張って再現を試みるのも楽しいな」歌詞とコードネームだけの例。このアニメの曲の一部を、アルペジオしながら、ちょっとサブメロディ。
ハル「難しそう」
父親「伴奏の中にメロディっぽいこともある。鳴っている音の全部をコードネームに含める必要も無いし、コードネームに無い音を鳴らしてもいい」
ハル「コードって、そんなにいい加減なの?」
父親「いい加減じゃなく、演奏する時には、窮屈な杓子定規ではないってこと」
ハル「気が楽になると思っていいのか、悪いのか」
父親「ついでに言うと、ギターの伴奏で歌ったら、「歌いにくいから、もっと高く」とか「もっと低く」とか、要望があったりするね」
ハル「うん」
父親「ギターなら、カポの位置を変えるだけで、同じ演奏のままでいいよね。これを「キーを上げ下げする」という」
父親「これを、ギター以外の楽器ですると、例えば縦笛ですると、指遣いが大変だ」
ソプラノリコーダーを演奏するイラスト。ギターの絵と、各フレットの上に、リコーダーの指遣い。
ハル。リコーダーの指遣いの図を見て「ああ、ややこしい」
店員「ギターの調子はいかがですか?」
父親「あ、ありがとうございます。ばっちりです」
店員「随分と弾き込まれていたようですので、私たちも頑張って整備しました」
ハル。店員の言葉を聞いて、心の声。「(へえ、お父さんは、僕が生まれる前に、随分とギターを弾いていたのか)」
父親「ありがとうございます」そそくさと片付ける。
ハル「ありがとうございました」
父親。周囲に集まっている人達にも挨拶。「お騒がせしました」
周囲にいた中高生は、「すごいね」などと話しながら、去って行くハル達を見る。
▽ 場面変更 ● ── ●
次の平日。学校。
理科の授業の後。
ハル「ヤッ子先生、ちょっと質問が」
ヤッ子「何だね」
ハル「休みの日に、父と楽器店に行ったんですが、これ、音叉も買って来ました」音叉を見せる。背景に「音叉」と、そのフリガナ。
ヤッ子「おお、これは大切だな」
ハル「ここに「A=440」って書いてあって……」
ヤッ子「ああ、これは、周波数が440の意味で、1秒間に440回の振動をする音高は、Aと名付けてあって、この音叉はその音が鳴るように作られているんだ。楽器の調律の基準に使うな。音名の「A」を、これに合わせる」
ヤッ子。音叉をハルから受け取る。
背景に、補足説明の「音楽用は440と定められていますが、演奏会では少し異なる周波数が使われることもあります。音楽以外の用途で、別な周波数のものもあります」を表示する。
歴史的には、音楽用でも変遷があり、音楽とは別な用途の音叉もあるが、視聴者が混乱する懸念があるので、表示しないのが良さそう。
ヤッ子。音叉で膝を叩く。「このままでは、音が小さい」と指し棒。ヤッ子が音叉を壁に当てると「音が大きくなる」と指し棒。壁が振動しているのがわかるように、大袈裟にアニメ。
ハル「それはわかるんですが、どうして「ドレミ」の始まりの「ド」じゃなくて、中途半端な「ラ」なんですか?」
ヤッ子「うーん。次の授業の準備があるから、手短に話すが、歩きながらでいいか?」
ハル「はい、済みません」
ヤッ子。音叉をハルに返す。
ヤッ子「Aは宇宙の音高、赤ちゃんの産声もそうらしいし、なぜか、世界中の民族音楽で、この音高が最重要だと聞いた。その大切な音高に、「A」と名付けたわけだ」
ハル「宇宙の音高? そうなんですか」
ヤッ子「なぜ、「宇宙の音高」なのかは、わからないが、民族音楽では、Aが最も多く使われていて、その他の音高も使われていて、あちこちの民族音楽で共通している音高がいくつかあって、それらが、今のピアノの白鍵になったんだ」
ヤッ子「まあ、まだピアノが発明される、ずっと前だが」
ヤッ子が歩きだしたので、ハルも一緒に歩く。
ヤッ子「白鍵だけを使っていると、長調ではドが主音だから、音階で「ドレミ」の「ド」が大切だとなった。Aが先に決まり、ドが後で決まったってことだ」
ハル「ありがとうございます」
ヤッ子「それから、ええーっと、何だったかな、大昔の歌で、『ドレミの歌』のような、「♪ドーナツ、レモン、みんな」みたいな歌で、ここから「ドレミファソラ」が……」
背景に、曲のタイトル、『ヨハネ賛歌』を表示。楽譜も表示して、わかりやすいように、各段の先頭に「ド」「レ」……を添える。
ハルとヤッ子。職員室の前に到着する。
ハル「歌が先にあって、階名になったんですか?」
ヤッ子「そうだ。ここから「ドレミファソラ」が、ああ、当時は「シ」はちょっと、特殊でな。教会旋法は白鍵だけを使っていて」
ハル「はい」
ヤッ子「まあ、そんなことだ。じゃあな」職員室に入る。
ハル「ありがとうございます」
▽ 場面変更 ● ── ●
吹奏楽の先生からウクレレを紹介された生徒の、親戚の家。生徒が遊びに訪問。
祖父(70歳代)が、座敷の大きなテーブル(食卓)の前で、座布団であぐらをかいている。テーブルにはキーボードがあり、弾いている。
キーボードの中央ドの鍵盤の、奥の方に、赤いマルのシールが貼られている。
キーボードの近くには、ダイヤモンドゲームの駒が、いくつかある。
生徒「おじいちゃん、遊びに来たよー。あ、ピアノを弾いてる」
祖父「おお、よく来たな。最近、習い始めたんだ。先生も、わかりやすく教えてくれて、老後の戯れだ」
生徒「うん、聞いた。でも、楽譜は読めるの?」
祖父「ゆっくり、ゆっくりなら、読めるぞ。すごいだろう。知っている曲だから、間違ったら自分でわかる」楽譜集を生徒に手渡す。祖父の好きな曲がいくつかある、初心者シニア向けピアノの簡単アレンジの楽譜集。
生徒。楽譜を見ると、手書きメモがいくつかある。印刷の「C」の所に手書きで「ドミソ」と書いてある。その他のコードにも、手書きがある。
手書きには、連続したいくつかの小節で、左手の最初の音符がマルで囲まれ、矢印で繋がり、「1つ下がる」「1つ下がる」など、小節の先頭の音符が順次進行であることが、メモされている。
生徒「おじいちゃん、これって、コード? ギターじゃないのに、コードがあるの? この手書きはなあに?」
祖父「コードで使う音を、忘れないようにな。Cが、何の音だったか、覚えられないから」
生徒「へえ、コードで、使う音が決まってるんだ」
祖父「決まっているというより、ここ、「C」の「ドミソ」は、「ドミソだらけ」ってことだな。使うのは、ドミソが多くて、それ以外は珍しい」
童謡の『むすんでひらいて』の楽譜には、和音外音の音符に音名(イタリア語)が書かれている。その音符をマルで囲んでも良いが、見づらくなりそう。
生徒「あ、ほんとだ」
祖父「先生が言っていたんだが、どうしてここで「C」を使うのか、どうしてここで「ドミソ以外」を使うのか、それを知るのを楽しむ人がいるらしい」
祖父「右手と左手では、右手の方がコードじゃない音を使うことが多いんだ」
祖父のノートには、コード表がある。各ページが「Cの仲間」「Dの仲間」などとなっている。
「Cの仲間」のページには、「C:ド、ミ、ソ」「Cm:ド、ミ♭、ソ」などがある。「Fの仲間」のページには、「F:ファ、ラ、ド」「F♯7:ファ♯、ラ♯、ド♯、ミ」などが、見やすい大きさの手書きがされている。
生徒「おじいちゃん、このノートが、何々だらけなの?」
祖父「そうだ。弾きたい曲に、出逢った順に、先生に書き足してもらっているんだ」
楽譜の『むすんでひらいて』の、「♪むーすーんーでー」の部分は、右手は「ミーミレドードー」、左手が「ドーーーミーーー」となっている。楽譜の右手の「レ」に、さっきの和音外音の印が手書きされている。
祖父「ここのレは、「ドミソじゃない」ってことで、印を手書きしたんだ」
祖父「だから、「次は、何の音だっけ?」って忘れても、思い出しやすい。こーんなにたくさんの鍵盤から、でたらめに選んだら外れることが多いが、ドかミかソか、どれかを弾いたら当たる」
生徒「へー」
祖父「もし、外れても、聞いている人にばれないこともある」
生徒「本当?」
祖父「わざと間違えて、弾いてみようか」楽譜の「♪むーすーんーでー」の、左手の「ドーーーミーーー」となっている箇所で、わざと誤って「ミーーーソーーー」または「ソーーーミーーー」と弾く。
祖父「どうだ?」
生徒「え? うん、じゃあ、今度はわざと間違えて弾いてみて」
祖父「今のが、わざと間違えて弾いたんだ」
生徒「ウソ? え? ホント?」
祖父「正しくは、こう」正しく弾く。
生徒「あ、……うん」
祖父。正しい演奏と、誤りの演奏を交互に。鍵盤と楽譜を併記。左手は指1本で、楽譜にある正しい鍵盤を、楽譜から太い矢印で指す。
生徒「どっちも正しいんじゃないの?」
祖父「そう思えるってくらいに、コードは便利だってことだ」
生徒「コードって、便利だね」
祖父「ピアノの先生が言っていたが、学者でもないし、単に弾くための目安にコードを使っているだけだから、コードの正しさはどうでもいいんだ」
生徒「どうでもいいって、何だか、「お風呂で月を見て……」なんだっけ、それに似ている」背景に「風呂出で 詩へ寝る 月輝る 粉健」を表示する。
祖父「月見風呂か?」
生徒「ベートーベンの『第九』の、合唱の所を、語呂合わせで日本語っぽくしたんだって。ドイツ語はわかんなくても、歌えるからって」背景に、吹奏楽の先生からウクレレを紹介された場面を思い出す。
祖父「そうか、ドイツ語か。先生が仰っていたんだが、ドイツ語もコードも、正しさを説明したがる人がいたら、聞き流してもいいって。将来、正しいコードが必要になったら、改めて勉強すればいいって。アハハ……」
生徒「そうだね。年を取ってからなら、したくなったら勉強すればいいもんね」
祖父「それから、この楽譜は、かなり簡単に直してあるから、『トロイメライ』も弾ける」ページを開く。
生徒「おじいちゃん、『トロイメライ』が好きだもんね」
祖父「本当は、ここのところ、コードが細かく変わるけど、この楽譜ではコードを大雑把にしている。ちょっと待ってなさい」本棚から、『トロイメライ』のピアノピース(1曲だけの商品)を出す。
祖父「ほら、ここ。先生がコードを書いてくれたら、こんなに細かく変わる」
生徒「ええーっ、これじゃ、覚えられないし、弾けないよ」
祖父「でも、こっちは、大雑把になっているから弾ける」
祖父「本物を弾きたいってお願いしたら、先生が仰るには、難しいもので挫折したら、曲が嫌いになるらしい」
生徒「そうなの?」
祖父「だからとって、練習曲をするのも面白くない。だから、簡単に書き換えたもので練習したら、慣れるから、本物の練習が簡単になる」
祖父。簡単アレンジの『トロイメライ』の楽譜に、手書きメモしてある鍵盤を見ながら、キーボードに、ダイヤモンドゲームの駒を置く。手書きメモの鍵盤は、駒の置き場所を示している。
駒は、左手の低い「ファ」と、右手の高い「ラ」に置く。白鍵の奥で、演奏の邪魔にならない場所。
生徒「これって、ゲームの駒でしょ?」
祖父「鍵盤の、中央ドは、ホレ、この通り、シールを貼っている。『トロイメライ』は、これ、ここが、弾きながらテンポを崩さないで探すのが、難しいから、今のうちに駒を置いておく」
祖父。楽譜集を、生徒に渡す。
生徒「ふうーん」生返事をしながら、祖父の楽譜集を、パラパラめくる。
楽譜集の中には、音符に手書きの「ド」「レ」「ミ」の音名が書かれているページがある。
生徒「ねえ、おじいちゃん。このページ、ドレミが書いてあるよ」
祖父「ああ、それは、最初の頃に弾いた曲だ。全部に書かないと、弾けなかった」
生徒「でも、あまり書いてない曲もあるよね」楽譜集を、パラパラめくる。
祖父「まあな、慣れたし。書くのも面倒だし。書かないで弾いてみて、間違ったら自分でわかる。ほとんどが、隣の鍵盤に進むか、隣の隣に進むものだからな」背景に、順次進行の例などの楽譜を表示する。
生徒「ふうん。じゃあさ、「楽譜にドレミを書くと、楽譜が読めなくなる」ってのは、誤解なのかな?」
祖父「どうなのかなあ。人それぞれだと思うが、おじいちゃんが珍しい人なのかなっ」ちょっと自虐的な笑い。
祖父「まあ、『トロイメライ』のように、遠くに飛ぶんなら、これを使う」改めて、ダイヤモンドゲームの駒を指す。
生徒「この本、童謡が多いよね」
祖父「ああ、そうだな。童謡だったら、歌詞を知っているから、楽譜のどの箇所だったか、楽譜の歌詞を見たら、すぐに見付かる」
▽ 場面変更 ● ── ●
ムギ(大吠麦穂、おおぼえ・むぎほ)の自宅玄関。
ムギは、ステラと一緒に、ストローオーボエをした生徒。
吹奏楽部のトロンボーン先輩が、玄関から出ようとしている。顔は画面の外だが、誰なのか、わかるようにする。
制服なので、同じ中学校の男子生徒とわかる。持っている楽器ケースには、特徴的なアクセサリーが付いている。
トロンボーン先輩。玄関のドアを開けて、小さく手を振る。体が半分だけ出たところで振り返り「好きだよ」と言って、ドアを閉める。
▼ Cパート。 ▼── ──▼
ハル。先生ちゃんのように、顔だけ、または2頭身。
ハル「宿題の、前が尖っている紙飛行機は、こうやって作る」背景に、OP曲前の、テストの時の先生の姿。黒板に書いた輪郭線を指し、「できるもんなら、やってみろ」の表情。
説明は、実写で見えにくいなら、アニメで動きを表現。裏と表の色を変えたり、陰影をグラデーションにするなど、見やすく工夫。特に、折り畳みの箇所が、紙の輪郭と勘違いされないように、折り畳みの線は陰影や光沢を設けたりする。
実写の場合、説明用に、大きな紙(新聞紙サイズ)を用いても良い。紙が大きいと、指先が「紙の、どこに力を入れているか」「紙を、どう扱っているか」がわかりやすい。
紙は、雑誌やノートなどに、普通に使われている「1:ルート2」の白銀比。
折る方向を示す矢印は、繰り返し記号の説明で使った、「きしめんのような、厚みのある帯」の矢印を使う。実写であっても、アニメのきしめん矢印を合成する。
アニメでも実写でも、机上の紙を斜めに見下ろし、「折り目を付けて、広げた」の折り目が、「3」を寝かせたような丸みがあると、わかりやすい。
折る前は、点線を点滅させて、厚みのある帯の矢印で示してから、折る。
ハル「最初の手順。紙を縦に細くなるように、半分の折り目を谷折りで。前側の角を、折り目に向けて、斜め45度に折る。これは、多くの紙飛行機で、よくある手法ですね」
ハル「前側の尖った方を、後ろ側まで半分に折る。人間なら体操の前屈のようだね」画面の片隅に、前屈する人。
ハル「そこから、さっきの三角の部分だけ、戻すように折る。三角の頭の部分だけが、はみ出る。これは、人間では無理だ」前屈する人が、胸から折れて、顔を正面に向ける。
ハル「こうすると、横から見たら「Z」の形になるね」ちょっと、斜めから見る。
ハル「次に、先端を更に細く尖らせる。先端からZの折り曲げのところまで。Zの部分が、袋のように膨らむから、翼が左右に広がるように折り目を付けると、ほら、先端が尖って、途中から広がる形になる」ここの説明は丁寧に。
ハル「後は、普通の紙飛行機のように、持ち手を作って、出来上がりだ。紙飛行機でよくあるように、翼の両端を、こう折り曲げると、安定する」
ハル。内緒話のように。「もしかすると、この宿題を出した先生も、子供の頃は、紙飛行機少年だったのかも」
子供の頃の先生を想像する。泥で汚れたランニングシャツで、走りながら嬌声。「アクロバット2号が、一番飛ぶ!」この「アクロバット2号」は、子供の頃の先生が、紙飛行機をたくさん作って、その中の1つに付けた名前。
ハル「僕が考えた、かっこいい垂直尾翼は、こうだ」
ハル「まずは、普通の紙飛行機のように、作り始め、持ち手を作る前まで」いわゆる「イカ飛行機」の途中まで。
ハル「最初の手順。縦に細くなるように、半分の折り目を谷折りで。前方向側の角を、折り目に合わせて、斜め45度に折る。ここまでが、さっきと同じ」
ハル「斜め45度を、更に先端を尖らせるように、最初の折り目に合わせて、折る」
ハル「ここから、垂直尾翼を作る。そのための基準に使う場所がある。この、途中段階の状態の、真ん中あたりを見ると、逆さの「Y」が見えるね。逆さの「Y」の、交差の点が、垂直尾翼の基準になることを、覚えていてください」
逆さの「Y」の、交差の点を、マルで囲んで、注目できるように矢印で指す。
ハル「最初の手順での折り目は、谷折りだね。その最初の折り目の後ろの部分、「V」の下の角(カド)を、途中まで山折りにする。「途中まで」っていうのは、尾翼だからね」
全体は、最初の手順の谷折りだが、「V」の下の角(カド)を摘まみ上げる。最後は「W」の形にするが、まだ折り目を付けていないので、「W」というより「UU」の形。前半分は谷折り、後ろ半分は山折りの、中途半端な形。
ハル「何だか、中途半端だね。前半分は谷折り、後ろ半分は山折りだけど、どこを境目にするのか。それは、さっきの逆さの「Y」の、交差の点なんだ」
ハル「そして、摘まみ上げている、この角(カド)は、翼の縁(フチ)に合わせる」
逆さの「Y」の交差の点(マルで囲まれている)で、谷折りと山折りが逆になる。摘まみ上げた「V」の下の角(カド)(反対折りの山折りになっている)を、翼の縁(フチ)に合わせる。
ハル「この状態になってから、折り目を付けよう。すると、後ろから見たら、「UU」の形が「W」になるね」
ハル「翼を作るには、ここから左右に開けば、持ち手ができると同時に、両翼が左右に広がるよ。これだけでも、垂直尾翼ができるね」
ハル「垂直尾翼に、更に、水平の小さな翼を作ろう」
魚のように横から見る。垂直尾翼に、更に小さな水平尾翼を作るための折り線は、持ち手と翼の境界線と平行にする。
ハル「垂直尾翼の高さの、半分くらいの箇所に、水平の折り目を付けて、今度は角度が半分くらいの所にも折り目」2種類の折り目があるので、アニメでは、説明している折り目が点滅。
ハル「折り目を利用して膨らませて、こうして水平につぶすと、ほら、かっこいい垂直尾翼だ」
▼ 次回予告。 ▼── ──▼
ようこそって、ここは何の部室か、
この楽器の種類は何だろう?
あの日のヤッ子は、恋人にさよならだ。
線が多くて、数えきれないよー。
▼ 1コマ漫画。 ▼── ──▼
吹奏楽の先生からウクレレを紹介された生徒。スマホのアプリの、ウクレレを弾いている。
「コツコツ叩いたり、多彩な演奏がしたい」「でも、これはこれで、面白い」
◆ ご感想を頂けると嬉しく思います。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。
◆ 「評価」はログイン必要ですが、「感想」はログインせずに、どなたでも書けます。




