第2話 Aパート
【前書き】
当作品は、楽典をアニメで表現することを目的としています。文字を読んでアニメを想像する手間があります。楽典以外は余談ですので、次々とストーリーが続くジャンルではありません。
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
楽譜の読み方を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
当作品は、オリジナル『ガクテン』からR15を削除したものです。R15以外は、そのままですので、二重投稿に近いものです。
アニメを前提とした脚本形式です。文字だけで誤解を少なく伝えるため、読んでアニメ化を想像する手間があります。
文筆者は、アニメ制作の素人の自覚から、情報の取捨選択以など、自由に変更可です。
全12話としていますが、話数やシリーズ構成の変更で「冗長部分の削除」「第8話の一部を第3話に移動」「第7話を2話分に分割」「楽典以外の部分を、別アニメに分割」なども、自由に変更可です。
人間ドラマなどを削除した楽典のみのものは『ガクテン♪要するに版』をご覧ください。
◆ ご感想を頂けると嬉しく思います。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。
◆ 「評価」はログイン必要ですが、「感想」はログインせずに、どなたでも書けます。
■■■■ 第2話。
▼ サブタイトル。 ▼── ──▼
前にジャンプ、後ろにジャンプ。
▼ OP曲前。 ▼── ──▼
OP曲前の定型。他の登場人物は知らない、過去の出来事。
ミッツの自宅。自室。
ハル(小学5年生の頃)、ミッツ(小学6年生の頃)。
ミッツはアップライトピアノで、ハノンを弾いている。
ミッツの背後から見ると、ピアノの壁にハルが写っている。
ここで、二人の関係が従姉弟であることと、学年を、文字で表示する。「2年前」も表示した方が良さそう。
ハルは、ミッツのピアノの部屋で、トランプ手品の練習をしている。1組のカードの中ほどに入れたカードが、先頭に移動する。どうしても「パシ」という音が出る。
ハル「なあ、ミッツ。そんな曲をやっていて、楽しいのか?」
ミッツ「ハノンって、練習曲だし」
ハル「だから、そんな練習曲が、楽しいのか?」
ミッツ「楽しいっていうか、気持ちいい」
ハル。驚いて「気持ちいいって?!」
ミッツ「なんて言うのかなあ。スポーツ観戦していて、客席で「ウエーブ」ってするでしょ」背景に、野球やサッカーなどの、客席のウエーブ。
ミッツ「トランプでも、すらすらすらーってなった感じ。ハルもできるでしょ」
わざとらしく、相手の名を呼ぶセリフにしたが、まだ第2話ということもあり、改めて人物紹介をするのも良い。ただし、OP前の定型で、過去の出来事なので、視聴者が混乱しない手法にする。
ハル「手品?」
ミッツ「美しく整列したのが気持ちいいっていうか」手振りで説明する。カードを並べる仕草。片手を「へ」の形にして移動する。
ミッツの説明で、ハルがカードで行う。並べたカードの片方から裏返しのようにすると、全体が「へ」の形、「へ」の頂点が移動する。
ミッツ「そう、それ。綺麗でしょ」
ハル「綺麗って言えば、綺麗だけど」
ミッツ「それって、1枚1枚を動かしているというより、まとめて動かしているでしょ。ピアノは違うの。1音1音を、自分の指で操作して、整列させる美しさ。いいなぁ」
ハル「確かに、きちんと並んでいるのは、きれいだよな」
ミッツ「昔は、学校で何かの罰として、漢字の書き取りを延々とさせられていたらしいよね」
ハル「ああ、聞いたことがある。画数の少ない「人」って字を選んで、効率よくするために、「ノノノノ……」って書いて、「人人人人……」にする」
ミッツ「無益な時間だよね。強いて、ここに何らかの益があるとすれば、効率を思い付いたことかな」
ミッツ「そんなの、役に立たない罰だから、漢字が嫌いになるでしょ。罰だとしても、例えば「美しく書けるように、研究しなさい」がいいよね」
ハル「例えば、禾へんの漢字、「私」、平和の「和」の、最初の「ノ」は、少し曲がると教わって、大袈裟に曲げると汚い。手本を見ると、曲がらなくても、軽くシュッ、がいい」背景に「私」の文字のココと差し棒。
ハル「ハノンは、美しくできるのか? 漢字と違うんだし」
ミッツ「さっきの、トランプの話と似ているけど、段々と強くしたり」
ハル「意味がわからん」
ミッツ「漢字のような複雑なものではなく、単純な幾何学的なものが並んでいるのって、ハルも好きでしょ」
背景に例をいくつか表示。
風景。坂道にドーナツの窪みが並んでいる。教室に机が並んでいる。街並みやローマ建築。
直線を並べて湾曲を表すなど、幾何学の美しさを表示。フィボナッチ数で少しずつ花が大きくなる。南京玉すだれ(演芸)。クイックス(アーケードゲーム)。スクリーンセーバー(ウィンドウズ)。
歯車のような器具を使った、花(菊)を正面から見た図。そこから拡張した、描画の器械。「デザイン定規」「ローリングルーラー」などと呼ばれているが、一般的な名称なのか、商品名なのかは不明。
ミッツ「3つの音だったら、簡単……」ピアノで「ド、ミ、ソ」を、大袈裟にクレッシェンドする。「……だけど、これが、12まで増えたら、段々と強くするのは大変」4オクターブ弾く。
背景に、柱状グラフ(ヒストグラム。棒グラフで、隣の棒との隙間がないもの)などで、時系列に打鍵の強さが変化する様子を書く。
ハル「あっ、そういうことか」
ミッツ「何が?」
ハル「3つだけなら、大袈裟に強さを変えられるけど、12もあったら、所々デコボコになる」
ミッツ「その通り。弱い音の限界から……」中央ドを、弱く弾く。「……強い音の限界まで……」同じく中央ドを強く弾く。「これを、必ずさっきより強く弾くのは難しい」
ハル「そうだよな。さっきより弱くなることだってあるよな」
ミッツ「これを、誤魔化しが目的ではないだろうけど、飾りを付けた弾き方にすると、「必ずさっきより強く」ってのが、難しい」
ハル「?」
ミッツ「飾りを付けたら、飾りのパターンので考えるから」背景に、強さの違いを、棒グラフの背比べ。「このパターン」が、分身の術で分かれ、少し強く。
飾りを付けた弾き方を、シンプルに表現すると、こうなる。
ジグザグに強くなるのを、強さを数値で表すと「1、6、2、7、3、8、4、9」となる。奇数番目が「1、2、3、4」、偶数番目が「6、7、8、9」と、強くなる。
これが、「1、6、3、7、5、8、6、9」なら、気付きにくい。ジグザグではあるが、奇数番目は「1、2、3、4」のはずが、「1、3、5、6」となっているが、気付きにくい。
ミッツ「さっきの強さのパターンが、少し崩れても気付かない」分身の術で分かれた方の、棒の高さの変わり具合が違っている。直前よりも「弱く」は正しいが、直前よりも「これだけ弱く」が揃わない。
ハル。背景の図を見て。「弾いている自分も気付かないから、訓練にならない。というより、そもそも、弾いている自分も誤魔化されて、上手になったように勘違いするのか」
ミッツ「例えばこの曲は、ハノンの練習曲っぽいよね」少しだけ『花のワルツ(くるみ割り人形)』(チャイコフスキー)の、イントロの分散和音を弾く。
ハル「ああ(頷く)」
ミッツ「これを練習すれば、この曲は弾けても、これに似た別な曲は弾けない。弾きたい曲が増えると、その度に練習するよね」
ハル「ん? どういうこと?」
ミッツ「ハノンをしっかり練習していれば、今の『花のワルツ』……」ちょっと弾く。「……だけじゃなく、これに似た別な曲も、ちょっと練習するだけで、弾ける」
ハル「ああ、それが「基本を大事に」ってことか」
ミッツ。歓喜するように。「そう! そうなの!」少し落ち着いて。「でも、「基本を大事に」は、「基本から逸脱するな」の意味じゃない」
ミッツ「基本のまま演奏するのではなく、曲によって表現を変えるのは大切。新しい曲を始める度に、最初から練習するよりも、基本の技術を流用してコストダウン」
ハル。感心した表情。「譬えれば、野球選手が、野球のためにランニングするけど、そのランニングが魅力的で、独立したスポーツということも、あるってことか」
ミッツ「それはちょっと違うんじゃない? 今は音楽の話なんだから」
ハル「だから、譬え話だって。100%同じなら、譬え話にならないだろう。わかりやすく、主旨を変えずに、別な状況で言っているのに」
ミッツ「音楽とスポーツを、同じだって考えるのが、おかしい」
ハル「だから、主旨は同じだって言ってるだろう」
ハルとミッツ。にらみ合う。二人同時に、画面の方を向く。二人とも、「自分の方が正しいだろう」と、同意を求める表情。
ミッツ「まあ、あたしの場合は、訓練というより、幾何学的な気持ち良さが好きだから、飾りを付けない」
ミッツ「少しずつ、必ず強くするのが、同じ指じゃなく、次の指なのに、必ずさっきより強くする。見ててよ」
ハル「見なくても知ってる」
ミッツ「見なさい! どんだけすごいのか、わかるから」
ハル。渋々、立ち上がる。
ミッツ。弾きながら話す。「この3本の指を、順番に交代しながら、必ずさっきより強くしつつ、しかも時間の間隔は一定で」
ハル「なるほど」
ミッツ「テンポが一定であるのは大切だけど、曲の区切りの近くだったら、テンポも段々と遅くすることもある……」弾き終わる。「……どう? ざっと、こんなもんよ」得意げに強く鼻息を「フン!」と出す。鼻水が出る。
鼻水には、モザイクなどのぼかしがあっても良い。
ハル「ミッツってさ、鼻が高くならないで、洟(はな)が出るんだな」この部分の「洟が出る」の「は」は、呆れた笑いの「ははは」の、最初の「は」に似ている言い方。
▼ Aパート。 ▼── ──▼
学校の昼休み。
ステラ(中学1年生)の教室。メルヘン小物を、同級生が話題にする。
小物の話をするが、ステラはマニアックな内容はせずに、一般の人でも好ましく感じる程度。
廊下から、ショージ(中学2年生)が来る。教室の中には入らず、廊下から、教室の中を見渡している。ストローのオーボエで、何かしゃべっているようだが、オーボエなので言葉は不明。胸ポケットには、未開封の個包装ストローが、何本かある。
ステラ。知り合いが来たので、ショージに駆け寄る。「ショージ先輩、どうしたのですか?」
ショージ「ステラちゃん、相変わらず美しい。ところで、ハルはいる?」ハルは、ステラと同じ教室。
ムギ(大吠麦穂、おおぼえ・むぎほ)。ステラに向かって。「誰? 変な人」
ムギは、サブキャラクターなので、人物紹介は行わない。名前を呼ばれることも無く、登場回数も少ない。しかし、なぜか重要な話もするので、忘れられない特徴的な外見。名前の由来は「ストロー、オーボエ」から。
ステラ「あ、吹奏楽部の先輩」
ムギ「ふーん。吹奏楽では、クラリネットか何か?」
ステラ「当たり、すごーい、どうしてわかったの?」
ムギ「だって、今のストロー、クラリネットっぽくて」
ショージがストローのオーボエで遊んでいる。給食で使ったストローで、簡単に作ったもの。しかし、細いストローでは、音が出にくいので、自宅から持って来た太いストローが良いかも。
ショージ。ハルを呼び、ステラも誘う。「ステラちゃんも、一緒にどう?」と誘う。
ステラ。誘われたので、ムギを誘う。
ショージ、ハル、ステラ、ムギの4人で、中庭に出て、ストローで遊ぶ。ショージが作り方を教える。この時は、ショージは優しく教える紳士っぽい。
ムギ。教わった通りにすると、本当に音が出たので、驚きと喜び。「解決」が嬉しい。楽しむことが好き。
ストローの先端、口とは反対側から、よだれが垂れる。
ショージ。ハルが垂らしたのを見て。「きたねぇーなぁ、ションベンか」
ショージ。ムギが垂らしたのを見て「君のなら汚くなんかないね。飲んでもいいよ」
ショージ。ムギが笑っているのを見て、心の声。「(良かった、ウケている)」
ムギ。苦笑い。心の声。「(あ、こいつ、勘違いしてる。下ネタって、こっちが好意を持っていないと、虫唾が走るのに)」
ハル。ムギの苦笑いを見て、ショージに。「シメジ婆さんが言ってたよ。下品なことを言って、喜ばれるのが少なくなったら、大人になり始めたんだって」
予鈴が鳴る。
ムギ「あ、ベルが鳴った」
ステラ「お昼休みが終わっちゃう」
ショージ「ステラちゃん、名残惜しいよ。時はいつでも、僕らの幸せを引き裂く」
ムギと、ハルは、さっさとその場を歩き去る。
ムギ。ハルに小声で。「ストローで音が鳴ったのは面白いけど、もう二度としない。あの人を思い出すから」
▽ 場面変更 ● ── ●
放課後。吹奏楽の練習。
吹奏楽の先生「オーボエ。そこのスタッカートは、半分に切らないでお願いします。ここでは、軽いアクセントにしましょう」
オーボエの生徒「え? スタッカートは、音価の半分で鳴らすのをやめるんじゃないですか?」背景に「音価」と、そのフリガナ。「音を鳴らし続ける時間」と指し棒で。
吹奏楽の先生「そうですが、スタッカートには、「半分で鳴らすのをやめる」だけではなく、「1つ1つを明確に」とか、「アクセント」とかの意味もあります」
▽ 場面変更 ● ── ●
先生ちゃん。
説明用の別世界。背景は無地。
先生ちゃんは未定。スタッカートなどを多用した人が、思い付かない。長寿だった人で、最後に脱力オチで「音を長く出すには、長い息、長生き」も良い。
8分音符で「ド、シ、ラ、ソ」の演奏例。
強弱の無い、ブザーのような機械的な演奏。楽譜の下の、音の強弱を表すグラフは、長方形が並んでいる形。指し棒で「この横幅が「音価」で、音を出し続ける時間を示す」と。
この長方形の高さは、音の大きさを表す。
以下、楽譜、変形した長方形、ブザーでの演奏、演奏の現在時刻を色で示す。
演奏の現在時刻は、細い線が移動する方法(シーケンサなどの一般的な手法)でも良いが、移動の残像がぼんやり残る手法、ぼんやりの残像が点描で消えて行く手法、点描が揺らめかずに上に昇って消える手法など。
スタッカートを付けたら、長方形が痩せて、隙間を開けて並んでいる。「音価が短くなって、その代わりに、音を出さないでいる時間ができた」
これ以外にも、アタックを強くして「1つ1つを明確に」の演奏例と、長方形の左端(左辺)が高くなり、先頭だけ音が強いのを表現。強弱が一定のブザーでの演奏例と、ブザーだが強弱のある演奏例。
スタッカートと、レガートやテヌートと合わせて、「4分の3の時間で、鳴らすのをやめる」の解釈もあれば、アタックを少しだけ強くなど。
スタッカートに似たマーテル(楔形のアクセント記号)は、ピアノでは「4分の1の時間で……」「アクセント(不等号記号のような形)より強く」ということもあれば、バイオリンでは弓で弦を叩く「マーテル」ということもある。
それぞれ、記譜と、音の強弱などを並べて説明。
アクセント記号のように、音符に付く記号では、バイオリンの弓の使い方の指示もある。弓は「bow(ボウ)」で、その使い方が「ボウイング」で、「運弓」とも呼ぶ。バイオリンの弓は、往復するように動かして、弦を擦る。
「虹」の「レインボウ」は、「雨、弓」の意味。
バイオリンの弓を、上方向に動かすか、下方向に動かすのかを指示する記号もある。アンサンブルやオーケストラでは、複数の演奏者の弓が、バラバラに動くよりも、動きを合わせると、見栄えが良い。そのために、事前の打ち合わせをする。
弓の動きの方向が違うと、音色も違う。波形は、ほぼ逆位相になる。
この辺りは、用語がどんどん出るので、「用語を覚える」よりも「音価を表す長方形」が変形するという方に着目するように。
このように、楽器によって意味が変わったり、1つの曲でも箇所によって変わることがある。
このような記号があって、覚える楽しさもあるし、誰かの演奏を参考に真似るのもいいよね。
合奏の場合は、全員が同じ演奏にするか、わざと違う演奏で合奏するか、話し合ったり、実験しよう。慣れてくると、それぞれの記号も覚えられるけど、最初のうちは、近くにいる誰かに聞くのが早いことも、ありそうだよ。
▽ 場面変更 ● ── ●
先生ちゃんの説明が終わり、さっきの続き。
吹奏楽の先生「というように、楽譜で同じ表記をしていても、表現方法は必ずしも同じではありません」
生徒「でも、楽譜をしっかり読めって、いつも先生、言うじゃないですか」
吹奏楽の先生「はい、そうです。楽譜に慣れていないと、スタッカートがあるのを見ていながら、見逃してしまいますね。音符を読むだけで、てんやわんやですから。そんな時には、丁寧に読みなさいと指導します」
吹奏楽の先生「今のみなさんは、丁寧に楽譜を読んでいます。そこから次は、作曲者はどんな気持ちで、スタッカートを書いたかです」
吹奏楽の先生「作曲者は自分の考えを、楽譜に全部、書くことはできませんね。だからこそ、作曲者の生涯や生きた時代の勉強をする。それが、アナリゼです」
吹奏楽の先生「しかし、アナリゼにも限界はあります」
吹奏楽の先生「演奏家とは何か。人によって考えは様々です。作曲者の代弁者だから、自分の意見は控えるべき。作曲者が驚くような表現をするべき。などがありますね」
吹奏楽の先生「作曲者への敬意を持ちながら、作曲者が最も喜ぶのは、魅力的な演奏でお客さんに喜ばれるという考えもあります」
吹奏楽の先生「どの演奏方法が正しいかを、作曲者に聞くことはできませんので、この楽団では、まずは、音価を短くするより、軽いアクセントで統一しましょう」
ステラ。楽譜にメモで「スターカットは、音譜の半分で切るとは限らない」と書く。誤りを指摘する差し棒。正「音符」、誤「音譜」。しかも、「譜」の右上部分が「業」のように、線が多い。正「スタッカート」、誤「スターカット」。
吹奏楽の先生「そうそう、言い忘れていました。楽譜に不慣れな時期は、スタッカートの見逃しはあるでしょうが、皆さんは楽譜に慣れていますから、細かな記号の見逃しは無いでしょう」
吹奏楽の先生「ところが、楽譜に慣れていても、「見たまま、読んだまま」かと思えば、意外な見逃しは、あるものです」
吹奏楽の先生「その理由は、心理学に関係するのかしないのかは知りませんが、絵画や文芸では、昔から「模写」の文化があります。意味がわからない漢文の模写や、写経という文化もあります」
吹奏楽の先生「これらは、それぞれ、どんな心構えで、どんな方法で、どんな効果が、あるのか無いのか」
吹奏楽の先生「僕は、子供の頃に、たくさんの写譜を経験しました。それが後に、どんな効果があったのかは、明確にはわかりません」
吹奏楽の先生「僕は、初見で演奏する時には気付かなかった、読みにくい配置を、写譜する時にたくさん、見付けます。現在は、パソコンで楽譜を書いて、配ることがありますが、読みやすい配置のために、長い時間を費やします」
吹奏楽の先生「僕がまだ、ピアノを弾けなかった頃、課題で「好きなクラシック音楽の、感想や解析」がありました。そこで、『英雄ポロネーズ』(ショパン)を選びました」
吹奏楽の先生「いくつかのプロの演奏を聞きながら、楽譜を読んでいて、楽譜の中に2個所の誤りを発見しました」
吹奏楽の先生「その後、自分でピアノを練習して、『英雄ポロネーズ』を弾くと、楽譜に誤りが9箇所あることがわかりました。そのため、別な出版社の楽譜も購入し、見比べると、やはり、その9個所は、誤りでした」
吹奏楽の先生「しかし、新たに購入した楽譜でも、違和感があったので、インターネットで「ショパンの直筆」とされる楽譜があったので、印刷して確認すると、違和感のあった場所だけでなく、いくつもの相違が発見されました」
吹奏楽の先生「相違を発見できたのは、子供の頃に写譜を経験したためなのかは、わかりません。写譜の効果の有無は、いくつもの意見がありますので」
吹奏楽の先生「皆さんは、スタッカートを見逃していませんので、頼もしく思います。その調子で、楽譜の音符の1つ1つ、記号の1つ1つを、丁寧に読んでください」
▽ 場面変更 ● ── ●
放課後。ハルの教室。
吹奏楽の音が少し届いている。
ハル。音楽の教科書の楽譜を、五線ノートに写譜している。五線ノートは、初心者向けに、幅が広いのが良さそう。しかし、幼児向けという程の広さではない。
ハルの席は、教室の後ろの方。紙飛行機を飛ばす場面があるため。
ミッツ。廊下を歩きながら、いたずらを考えている。ハルの教室の前を通り掛かり、ハルだけが残っているのが見えたので、教室に入る。
ミッツは、このまま下校できる状態にするか、学校内でまだ遊んでいる状態にするか、未定。
ミッツ「まだ帰らないで、なーに、してるの?」ここでも、軽く片足ケンケンで近付く。
ハル「写譜だよ」背景に「写譜」と、そのフリガナ。
ミッツ「へぇ、楽譜を書き写しているのか。やっぱり地味なことが好きなんだな」
ハル「好きというより……」顔を上げて、ミッツを見る。「……絵画、文芸、楽譜、書き写すことで、初めて気付くこともあるだろう」
ミッツ「書き写さなくても、見たまんま、読んだまんまでしょ?」
写譜には、肯定派と否定派がいる。「超常現象の肯定派と否定派」とは異なり、写譜では、「楽譜を丁寧に読む」という共通目的があるので、相手を否定したり、揚げ足取りはしない。効率的な方法の違い。
ハル「そりゃ、「しっかり読む」は大切だけど、書き写すことで、初めて気付くことが……」
ミッツ。ハルの言っていることが、さっきと同じなので、聞き流す。
ミッツ。指で、ハルの書いた音符の玉を指す。「これ、真ん丸じゃなくって、ちょっと斜めだよ」
ハル「それは、活字のデザインと同じだから、手書きなら無視してもいいだろう」背景に、明朝体の「口」「大」の例。横棒の右側の三角(ウロコ)、縦棒が太い、右払いを指して「手書きとは違う」と表示。
ミッツ「デザインじゃなく、違うことを表すの。「千」「干」「于」が違うように」背景に、3つの文字「千」「干」「于」の違いを指し棒で。ミッツの顔だけキャラが指している。
ハル「それは、文部科学省も「どっちでもいい」って言っていないか?」
ミッツ「「木」の縦棒なら、はねても良いだろうけど、「犬」「太」は点の場所は大切だったり、「塚」に点があったり無かったり、漢字って基準がよくわからないよね」
ハル「ウーロン茶って、漢字で書いてみろ」
ミッツ「うるさいなあ。音符のこと教えないよ」
ハル「ごめんなさい、お許しください、ミッツ様」
ミッツ「わかればよろしい」
ハル「じゃあ、玉は右上がりに書けばいいんだな」
ミッツ「右上がりと右下がりの2種類があるよ」
ハル「2種類? 冗談だろ。まさか、実は3種類だったりして」
ミッツ「あはは、大丈夫だって。形は右上がりと右下がりの2種類限定! 色は白と黒の2種類限定!」両手のVサインを、顔(目、口など)にあてて、かわいらしいポーズ。
この、2つの「2種類限定」に合わせて、背景に全音符と2分音符の2種類と、2分音符と4分音符の2種類を、ピョコと出現させる。
ミッツが、白黒のストップモーションになり、おどろおどろしい文字で、「自信たっぷりの、この仕草が、第9話への伏線だとは、ミッツは気付いていない」が、ショッキングな音と共に表示される。
文字と共に、ナレーションも添える。ナレーションは、可愛らしく、息の抜けた言い方の方が、怖ろしくもコミカル。
これにより、音符の玉の種類を、他にも知っている視聴者が、にやりと笑う。これが無ければ、視聴者から「玉の種類は、他にもある」と苦情が来る懸念がある。
ハル「本当だろうな。それで、その違いは、何なんだ?」
ミッツ。Vサインを横向きにした、手話の方法。人差し指をつまみ「「1.普通はこれ」と……」、中指をつまみ「「2.これだけ特別」の違い」
ミッツ。ハルが書いていた五線ノートの、開いている場所に、例を書く。
ミッツ「特別なのは全音符で、これだけが右下がり」五線にト音記号を書き、第1間のファの位置に全音符。
ミッツ「全音符にだけ棒が無くって、普通は棒が付く」ラ、ドの位置に2分音符。「ファ、ラ、ド」の玉が積み重なる。
ミッツ「棒の無い全音符だけ、右下がり。棒のある音符は全部、右上がり」
ハル「理由がわからん」
ミッツ「もし、全音符も右上がりなら……」新たに音符を書く。全部右上がり。ファ、ラ、ドのうち、上向きの棒がラ、ドにだけ。「……この縦棒が、ファまで届いているのか、いないのか、わかりにくいでしょ」
ミッツ「でも、全音符が右下がりだと……」最初に書いた、全音符が右下がりの音符を指す。「……棒が届いているのは、右上がりの2分音符までで、その下の全音符は棒が付いていないって、わかるでしょ」
棒が届いているかの説明の際、棒が色変わりの点滅。
ミッツの、次の心の声に重ねて、背景に楽譜。3個の黒玉がファ、ラ、ド。ファには下向きの棒で4分音符。ラ、ドは上向きの棒で8分音符。この8分音符は、続けてシの8分音符がある。
ミッツ。心の声。「(この場合、真ん中の玉は、上向きの棒か、下向きの棒か、わかりにくいんだけどね。ハルは気付いていないから、黙っておこう)」
ハル「白い玉は、線が少し太くなっているな」
ミッツ「それこそが、活字のデザイン。これのおかげで、右上がりか、右下がりか、見やすい」
背景に、活字の全音符の玉と、2分音符の玉。手書きと比べて、マルを描く線の太い箇所があると指し棒。隣に、明朝体の横線が細い、縦線が太いことも示す。
ハル「手書きなら、どっちかわかりにくいな」
ミッツ「これは、個人の工夫だけど、2分音符の玉は普通の大きさ、全音符の玉は横に少し長く書いたりするの。これなら2分音符と区別しやすい。まあ、手書きだから、綺麗じゃなくてもいいかって、個人の工夫」
ハル「横に長くてもいいのか? 音符の玉は、重要なんだろう?」
ミッツ「とんでもなく、大きさを変えたら、まずいけど、重要なのは、縦の大きさ」
ハル「縦?」
ミッツ「こうして、音符の玉が積み重なっているのって、見たこと無い?」五線に、4分音符で「ファ、ラ、ド」を書く。
ハル「うん、あるような気がする」
ミッツ「こうして、ぴったり隙間無く積み上がる大きさ」
ミッツの背景に楽譜を表示。ト音記号の五線の下第1線の「ド」から右上に向かって、上第2線の「ド」まで、全音符が斜めに並んでいる。
ミッツ。第1間の「ファ」を指す。「こんな具合に、玉が、線と線の間に、ぴったりの大きさだよ。線と線の間に玉があるから、これが「間(かん)」の場所。このファも、下のレも間。ラも間。1個飛ばしだね」
ミッツ。第2線の「ソ」を指す。「間(かん)が1個飛ばしだから、じゃあ、線と重なっているのは、どうなのかと言えば、玉の大きさは変わらない。玉の中心が、線と重なる高さに書く」
ミッツ「そうすると、これ、順番に並んでいるのは、「線」「間」「線」「間」……と、交互になる」
ハル「さっきミッツは、少し横に長く書くって言ったが、縦は大きくしないのか?」
ミッツ「手書きなら、少しくらい大きくても、読めればいいってこともあるけど、誤った書き方だってのは、覚えておくこと」背景に、「線」の全音符が大きく、上下の2つの「間」を埋める大きさを表示し、「大きすぎる」と添える。
ハル「そうか。「ドレミ……」と順番なら、音符の玉は「線」「間」「線」「間」……となるのか」
ミッツ「これは「五線」と呼ぶように、5本の線だけど、足りなかったら、こうして継ぎ足しできる」下端と上端の、それぞれの「ド」を指す。
妖精ちゃんが、ミッツの肩をトントン叩く。耳打ちする。左右の手で何かを挟むような仕草。
ミッツが喜びの驚き。
ミッツ「玉の大きさの説明は、こんな表現もある。斜めに並んだ玉を、両方からギューッと押したら、ジグザグになる」
さっきの、斜め並んだ全音符が、左右の両側から板で押され、現実ではあり得ない、一直線に積まれるが、弾力で「プニュ」と反発し、ジグザグに積み重なる。
ハル「なるほど、そんな大きさなのか」
ミッツ「ここまでは、玉の大きさの話。この、ジグザグで思い出したけど、「ファ」と「ソ」を、一緒に鳴らしたい時は、こんな書き方をする」ハルの五線ノートに、2分音符で、第1間の「ファ」と、第2線の「ソ」を斜めの位置に手書きする。
ハル「こんな書き方はしないのか?」五線ノートに、「ファ」と「ソ」が同じ横位置で重なるように書く。音符が重なっているので、黒い雪だるま、または、黒いピーナッツのように見える。
ミッツ「違う違う。斜めの位置になるけど、こうする。2分音符だから、棒があって、1本の棒に、2つの玉が付く」
ハル「でも、音符のこんな書き方は、誤りだろ?」ミッツが書いた「ファ」と「ソ」を斜めの位置のうち、「ソ」だけ書く。棒の右側に玉がある。
ミッツ「「ソ」だけなら、そんな書き方はしないのっ! 「ファ」と「ソ」だから、仕方なく、2分音符の右側に玉を書いただけ」
ハル「さっきから言ってる2分音符って、「2」なんだろ?」
ミッツ「「2」だけど、「2つ」というより、「2分の1の時間」ってこと。どれだけの時間を示しているかは「音価」っていう。2分音符の音価は、全音符の2分の1なの」
背景に「音価=音を鳴らし続ける時間」を表示し、「音価」にはフリガナを添える。「鳴らし続ける」または「続ける」を強調する。
ハル「2分音符が「2つ」で、4分音符が「1つ」で、8分音符が「半分」ってのは、小学校で習ったけど、わけがわからん」
ミッツ「だから、「2分音符」の「2」は、「1つ」「2つ」の「2つ分」の「2」じゃないの。数えるんじゃなく増えるんじゃなくって、「時間が何分の1か」って分割で時間が短くなるの」
ミッツ「説明するから、こっちに来て」黒板に向かいながら、ハルを手招き。ミッツの手の平は、上向きにしておくと、日本を含め、多くの国で手招きの意味になる。指も開いてひらひらさせると、強引さと可愛さも併せ持つ。
ハル。露骨に面倒がる。「ここでも、いいだろう」
ミッツ「へえー。あんた、自分の立場をわかってないんだ」両手で、何かの形を作るが、ぼかし(モザイク)で隠される。
次の瞬間、ハルが最前列の座席に座っている。
ミッツ。黒板に横長の長方形を書き、長方形の左側に全音符を添える。その下に、横が半分の長さの長方形に、2分音符を添える。長さの違う2つの長方形は、左端を揃える。以下、長方形は左端を揃える。
全音符の長方形の右側に「全部の音符の長さの基準となる音符」と書く。ここの「全」と「音符」をマルで囲む。文字数が多いので、長方形の右側に書いた。
2分音符の長方形の右側で、「全部の音符の」の文字の下に、「全音符の2分の1の時間、音を出し続ける音符」と書く。ここの「2分」と「音符」をマルで囲む。
ミッツ「この音符の名前が「全音符」で、この音符の名前が「2分音符」だよ」
ミッツが長方形の左側の音符を指し、妖精ちゃんが長方形の右側の文字を指す。または、黒板の全体を見渡し、左右の中央が折り紙の谷折りになり、時空の歪みに吸い込まれ、左側の音符と、右側の文字が近付く。
ミッツ「音符の名前は、「音を鳴らし続ける時間」を表す。これが、さっき言った「音価」」背景に、さっきと同じ「音価=音を鳴らし続ける時間」を表示する。
ミッツ「全部の音符の基準は「全」音符。曲によって違うけど、2秒から4秒の曲が多いよ」
ミッツ。声で「ビー」など、楽器の音を真似しながら、長方形の左から右に向かって指を移動すると、説明のために、指の動きに合わせて長方形に色が塗りつぶされる。
ミッツ「全音符を基準として、2分音符は、2分の1の時間、音を出し続ける。だから、名前が2分音符」
ハル「おおっ、そういうことか。まずは、音符の名前の謎は解けた。ということは、4分音符は、時間が4分の1か?」
ミッツ「エグザクトリィ(その通り)」黒板に、4分音符から32分音符まで、音符と長方形を追加。ついでに、不細工で可愛いキャラも描く。
ハル「なんじゃ、それ。ステラの真似をしたいのか?」ステラの顔を思い描く。
ミッツ「あはは」ちょっと恥ずかしいが、まあ、いいじゃないかという笑い。
ハル「ミッツには似合わないが」
ミッツ。睨む。「いいじゃない、ステラちゃん、可愛いんだから」
ミッツ「ついでに、休符もあるよ。音符が「音を出し続ける時間」で、休符は「音を出さないでいる時間」。どちらであっても、時は平等に流れ続ける」各音符の隣に、各休符を添える。
ミッツ「2分音符なら、この時間、音を出し続ける」長方形を、左から右に指を移動しながら、声を「あー」と出す。指の動きに合わせて、長方形に色が塗りつぶされる。
ミッツ「2分休符なら、この時間、音を出さないでいる」長方形を、左から右に指を移動しながら、口に指を当てて、黙っていることを示す。または、呟き「音を出さないでいる、出さないでいる」と言う。指の動きに合わせて、長方形に色が塗りつぶされる。
ハル「3分の1は?」
ミッツ「音符は、「半分の半分の……」ってものだけで、3分の1の音符は無い。その代わりに、3分の1を示すための特別な書き方をするけど、それは、またの機会に」
背景に「3分の1など、「連符」は、第6話と第8話で説明します」を表示する。ここの主題の「音符の音価」「拍子記号」から外れるため、気になった箇所は予告程度にしておく。
ハル「じゃあ、「4分音符が1で、2分音符が2」ってのは、4分の1の時間が2つなら4分の2か? ややこしいな。単純にならないか?」
ハル「例えば、4分音符は「4」、2分音符は「2」って、ああ、うまくいかないな。でも、どうせ4分音符は「1」に決まっているから、何か、ぴったりな説明が、できないかな」
ミッツ「それねえ、困っているんだけど、決まってないんだよね。4分音符を基準にする曲なら「4分音符が1」だけど、8分音符を基準にすると「8分音符が1」なんだよね」
ハル「基準って、何だよ」
ミッツ「手拍子のことなんだけど、教える時に「この曲では、4分音符を1つと数える」のうち、「この曲では」を省略するから、教わっている方は「いつでも、4分音符を1つと数える」と勘違いする」
背景に注意書き「実際は、「この曲では」を省略しないことになっています。なぜか、忘れられているようです」を表示する。
背景に注意書きの続き「しかし、「この曲では」が記載されていない教則本も、少なからずある」を追加する。
ハル「その、「この曲では」って言うからには、基準が曲によって違うってのか?」
ミッツ「そう」
ハル「うーん。ヤッ子先生も言ってたけど、楽典が紛らわしいのは、場合によって基準が違うのに、「今回の場合は」ってのを、省略したのが原因なのか?」
ミッツ「ああーんと……そうかも。あたしは、いつの間にか自然にわかっていたけど」
ハル「ところで、基準って、なんだよ」
ミッツ「手拍子のための楽譜ってこと。音符は音を出し続ける時間を表して」両手で、長方形の左右の幅を示す。
ハル。ミッツが長方形の横幅を示すため、ハルに背中を向けている途端に、大声で。「手拍子の、いっぱく、にはくってことか」背景に「1拍、2拍」を表示する。
ミッツ。ハルの大声に、びびくんと驚く。「いきなり大声を出さないでよ」
ハル。黒板の別の所に歩きながら。「ゴメン」
ハル。黒板に「手拍子」「1拍、2拍」と書く。
ハル「「1つ、2つ」ってのは、「1拍、2拍」ってことか。漢字のこれだろう?! 「拍手」の「拍」だ」
ミッツ「だから、さっきから言ってるじゃない」
ハル「ミッツは知っているから、言っているつもりでも、こっちは知らないんだ。だから、「1つ、2つ」と「1拍、2拍」と、漢字の「拍」が繋がっているって、今、気付いたんだ」
ミッツ。ヤッ子の言葉である「君にとって当たり前の知識でも、早坂君は迷いながらだから」を思い出す。
ミッツ「ああ……じゃあ、今、言った」
ミッツ「手拍子は叩く時刻、タイミングを表す」片手で、長方形の左端をコツンと叩く。
説明に、「時間は長さがある。時刻は長さが無い」の指し棒があっても良い。
ミッツ。黒板の全部の長方形を、全音符の長さになるだけ付け足す。16分音符と32分音符の長方形は、省略して、点々「……」も使用する。
または、ミッツが指をパチンと鳴らすと、妖精ちゃんが長方形を書く。
省略した点々「……」と、妖精ちゃんが書いた全部の長方形の、どちらが、視聴者の「うんざり」が小さいか、小さい方を採用する。
ミッツ「多くの曲は、4分音符の「鳴り始める瞬間」の時刻で手拍子するから、手拍子が2回分の意味で「2つ」とか言ってるの。これじゃ説明不足。なぜなら、時間は「2つ分」って言えるけど、時刻は「2つ分」じゃなくて「2回分」でしょ」
ミッツ。「2つ分」と言う時に、両手で長方形の幅を、1つ、2つと移動する。「2回分」と言う時に、1回目、2回目と、長方形の左端を指してから、コツ、コツと叩く。
両手で黒板の長方形の幅を表す時、胴体が邪魔なので、肘から指先までを描く。または、肘から先だけが宙を浮く。または、妖精ちゃんが示す。
ミッツ「曲によっては、8分音符の「鳴り始める瞬間」で手拍子するのもあるし」
ハル「なるほど。でも、歌に4分音符が無ければ、手拍子ができない」
ミッツ「ではなくて、手拍子の楽譜は、歌の楽譜と並べて書くんだな」黒板に『メヌエット ト長調(♪レーソラシド、レーソーソー)』(バッハ)の2小節を書く。
普通の教室で、黒板には五線が無いから、高さは曖昧。8分音符は、符桁を使わず、それぞれ独立して旗を書く。五線を含め、全部が手書きなので、説明用の綺麗な楽譜が望まれる。
ミッツ。呟く。「面倒だからって、妖精ちゃんにお願いするのは、やりすぎか?」
ハル「音楽室に行こうか? きっと、ピアノやギターを使いたくなるだろう」
ミッツ「ちょっと、面倒な気持ち」
ハル「音楽の先生に許可をもらう時間を含めても、4分33秒くらいだろう」机上の資料を、手早く揃えて、歩き始める。
この「4分33秒」は、文字で表示しておく。
ミッツ。手早く黒板に書いたものを消し始める。
ミッツ「あんたも、消すのを手伝いなさい!」
ハル。引き返して、消し始める。
▽ 場面変更 ● ── ●
校内のどこか。
さっきのハルのセリフ「4分33秒」の文字が、まだ表示されたまま。
生徒A「俺の方が、上手だ」
生徒B「いや、俺だ」
生徒C「ねえねえ、何を喧嘩しているの? もしかして、あたしを奪い合うための勝負?」
生徒B「もちろんそうだが」
生徒A「俺達の、どっちが、ギターが上手か」
生徒Aと生徒Bが、声を揃えて。「審判をしてほしい」
生徒C。心の声。「(息がぴったりで、交互にセリフを言うなんて、まるで、用意された脚本を読んでいるみたい)」
生徒C「え? いいけど、ギター演奏の、腕前の優劣って、あたしは、わかんないよ」
生徒B「いいんだよ」
生徒A「ギターは弾かないから」
生徒C「弾かないの? 何て曲なの? 曲名は?」
生徒AとB「ジョン・ケージの曲で、タイトルは『4分33秒』だ」
さっきのハルのセリフ「4分33秒」の文字が、大袈裟になる。
▽ 場面変更 ● ── ●
音楽室。
ハルとミッツが、ハルの教室から移動して来た。
黒板には、音符の音価を示す長方形と、『メヌエット ト長調』(バッハ)の2小節が、既に再現されている。
ミッツ。『メヌエット ト長調』の下に並べて、手拍子用の、4分音符だけの楽譜を書く。
ミッツ。2小節を、軽く歌う。
ミッツ「曲は知ってるでしょ」
ハル「うん、知ってる。だけど、それ……」調号の♯を指す。「……これって、何だっけ?」
ミッツ「ああ、シャープっていうの。半音高くって意味」
ハル「それが、よくわからないんだよ。シャープやフラットって、音符のためのものだろう。どうして、音符とは関係無い場所に、書いてあるんだ? そんな所に書いてあると、音符とは別な意味なのかと思った」
ミッツ「うーん、仕方ないなあ。じゃあ、横道に逸れるけど、シャープの仲間の話をしよう」
ハル「お願いします」
ミッツ「まず、普通の音符は、ピアノの白鍵を弾く。これはわかるでしょ?」
ハル「うん、わかる」
ミッツ「普通だったら白鍵だけど、じゃあ、黒鍵を弾く時はどうするか。そのために、シャープやフラットを使う」
ミッツ「まずはシャープ。これは半音高く」
ハル「半音って?」
ミッツ「隣の鍵盤ってこと。白でも黒でも平等に、隣の鍵盤。ギターで言えば、隣のフレットのこと」
背景に、ギターの演奏者の視点から、ギターを見下ろす。フレットが一斉に赤く点滅。ギターを見下ろしているのがわかるように、ギターのボディの半分から、糸巻き部分までが画面の中。演奏しない左手の指も表示しておく。
ハル「ああー、あれか」納得する。立ち上がって、ピアノの鍵盤の蓋を開ける。
ハル。第1話と同様に、紙を出して、ピアノの鍵盤の、手前側の、白鍵だけの部分を隠す。鍵盤の奥の、白鍵と黒鍵が縞模様のように見える。
ハル「鍵盤では、白と黒になっているけど、白と黒を平等に扱って、隣の鍵盤が半音か」
ハル「理屈としては、「半音上げて、半音上げて」は、「シャープにして、シャープにして」と、同じことだな」
ミッツ「それは、言い方がおかしい」
ハル「楽典としての表現方法の正しさではなく、理屈として……理屈が正しいかってことだ。理屈は、合っているよな」
ミッツ「そう、正しい」
ハル「この理屈から、楽典での正しい言い方を、理解するんだから」
背景に、カラオケの操作で「♯」「♭」のボタンのうち、「♯」を何度も押す様子を表示する。押す度に、「♯」の吹き出しが増える。
字幕で「二人共、中学生なので、カラオケの操作のことを、思い付いていません」を表示する。
ハル「あれ? 「半音」って、距離か? 半音が1つ分、2つ分、3つ分って」
ミッツ「そう。ドとレの距離が全音。その半分の距離だから半音。ドの全音高いのはレ。ドの半音高いのはド♯」黒板に、鍵盤の「ド」「ド♯」「レ」だけの簡単な鍵盤を書く。
ハル「鍵盤の白と黒を平等に扱うってことは、色の違いを無視するってことか? だったら、要するに、2つ分の距離が全音、1つ分の距離が半音か」
ミッツ「ザッツ・ライト(その通り)。白とか黒とか、♯とか♭とかナチュラルとか、そんなことは無視して、全音か半音かってこと」
ハル「わかった」
ミッツ。ちょっと考える。背景に「半音階的半音」「全音階的半音」の文字が浮かぶ。
ハル「わかったから、話を続けてくれ」
ミッツ。背景の文字「半音階的半音」「全音階的半音」が、ぼんやりと消える。
ミッツ。心の声。「(まあ、これは、そのうちでいいか)」字幕で、「この話は、第9話で説明されます」が表示される。ここの主題の「音符の音価」「拍子記号」から外れるため、気になった箇所は予告程度にしておく。
ミッツ「シャープは半音高くだよね。次にフラット。これは半音低く」
ハル「フラットが低いのか」
ミッツ「レの半音低いのは、レ♭」黒板のド♯の鍵盤に、「レ♭」も書く。
ハル「あれ? その鍵盤はド♯じゃないのか?」
ミッツ「そうなんだけど、レ♭でもある。黒鍵は、2つの白鍵に挟まれているから、このように2つの名前がある」
ハル「ほほう」
ミッツ「では、シャープやフラットで黒鍵を指示した後、また白鍵を弾くように指示するには、どうするか」
ハル「何も書かなければいいだろう?」
ミッツ「そうじゃないんだな。というのは、例えばドに♯を付けたら、しばらくは♯を付けたままでいたいこともある」黒板に、ドの音符を4つ続ける。最初の2つのドに♯が付いている。
ミッツ「ハルが言いたいのは、こういうことでしょ。これとこれは黒鍵で、これとこれは白鍵だって」
ハル「そう。それでいいだろう」
ミッツ「それでもいいんだけど、楽典では、こうしても4つのドはシャープで黒鍵の指示になる」2番目の♯を消す。
ハル「どうしてなんだよ。それじゃあ、不便だろう」
ミッツ「あたしに言わないでよ。これは決めの問題だから、そう決まっているのっ!」
ハル「算数の式で、掛け算と割り算の記号の方を先にして、足し算と引き算の記号を後にするようなものかな?」背景に式。指し棒で「これを先に計算」「その後で、これを計算」と記す。
数式で「1×2+3×4」があり、2つの「×」の記号から波紋のように同心円がいくつか広がり、隣接する数字を包むまで波紋が広がり、「これが先」とする。
ミッツ「まあ、よくわかんないけど、何かが便利だから、こうなっているの」
ハル「♯とかは、俺は「これを変える」だと思っていたが、「ここから変える」なんだな」
ミッツ「そう! まあ、音符に付く♯や♭は「臨時記号」で、有効範囲は、あれこれの理由がある。今の本題ではないから、詳しくは、そのうちに教える」
ハル「うん、そうなのか。で、何の話だっけ?」
ミッツ「もう、話の横道から、また横道に逸れるから、わからなくなんのよ……」黒板を見て、ミッツも何の話だったか思い出す。「……♯で黒鍵にしたのを、また白鍵に戻す方法でしょ」
ハル「そうだった」
ミッツ「白鍵に戻すには、ナチュラルを書く」黒板の、3番目のドにナチュラルを付ける。
ミッツ「こうすると……」音符を、1つずつ指しながら。「……シャープの黒鍵、シャープの黒鍵、ナチュラルの白鍵、ナチュラルの白鍵。ということ」
ミッツが、4つの音符を、1つずつ指すのに合わせて、吹き出しで文字が「♯の黒鍵」「♯の黒鍵のまま」「ナチュラルで白鍵」「ナチュラルの白鍵のまま」がポヨンと表示される。
ハル「なるほど。何かが付いたら、それを続ける。次に何かが付いたら、またそれを続けるってことか」
ミッツ「そう! 因みに、♯と♭は、白鍵から黒鍵に変えるから「変位記号」と呼ぶ。ナチュラルは「本位記号」と呼ぶ。ナチュラルは必ず白鍵だよ」
ハルは、ミッツのこの言葉から、「♯や♭は、必ず黒鍵」と誤解して、第9話で混乱する。
ハル「わかった。でも、フラットとシャープの、どっちが上がるのか下がるのか、間違えやすいな」
ミッツ「それくらい、暗記しなさい」
ハル「そう言われてもな。まだ楽典が身に付いていないから……」
ミッツ。心の声。「(これくらい、覚えられないのかな? みんなそうなのかなぁ)」
ハル「よし、♭は下向きの矢印に似ているって覚えよう。♯は矢印っぽくないけど、♭の反対だ。こじつけだけど」背景に、「♭」と「↓(下向き矢印)」を重ねて、似ている表示。
ミッツ「もう、好きなようにしてよ」
ハル「でも、シャープとかは、音符に付くんだろ? それって、音符とはずいぶんと離れているな」着席したまま、黒板の調号の♯を指す。
ハル「それのことが知りたいんだ」
ミッツ「これは調号。「全部の音符に付ける」って意味」
ハル「全部に?」
ミッツ「こうして、ト音記号にくっ付けて書いてあれば、全部のファに♯を付けるの」黒板のト音記号に、「ト音記号」と指し棒。
ミッツ。黒板の五線に、加線も使って、4つのファの玉を書く。
ミッツ「このファも、このファも、このファも、全部に♯が付く。毎回♯を書くのが大変だから、代表して調号に1つだけ書く」
ハル「ファだけに、いつも♯を付ける理由って、何だ?」
ミッツ「もうっ! またそうやって、別な話題に行こうとする!」ちょっと怒っている。
ハル「え?」自覚が無い。
ミッツ「振動数の、倍音の話の時、ファの2倍音はファ、その2倍音もファって、2倍音の2倍音のってのは、同じ名前だって、教えたでしょ」
ハル「うん」
ミッツ「だから、同じ名前は、とても強い絆だから、1つのファにだけ♯を付けたら、全部のファにも♯が付くのっ!」
ハル。小声で。「強い絆か」納得ができない。
背景に字幕で「この、調号の話は、第4話で、音階スライドと、ダブルアクションハープを用いて教わり、そこでハルは納得する」を表示する。ここの主題の「音符の音価」「拍子記号」から外れるため、気になった箇所は予告程度にしておく。
ミッツ「ええーっと、何だっけ? 横道が長いと、本題を忘れちゃう。音符は音を出し続ける音価で、使い分けている。で、手拍子をするのは、4分音符のタイミング。で、4分音符が無ければ手拍子できない。そう、手拍子、手拍子!」
ハル。ぼーっと見ている。
▽ 場面変更 ● ── ●
吹奏楽部の練習が終わる。
部室から出る生徒達。
トロンボーン先輩の、楽器ケースに、特徴的なアクセサリーが付いている。さり気ない手法を用いて、このアクセサリーと、トロンボーン先輩とが繋がっていることを、視聴者に印象付ける。
▽ 場面変更 ● ── ●
さっきの続き。
音楽室。ミッツがハルに、音価の説明の途中で、臨時記号と調号の話になっている。
吹奏楽の音は、もう聞こえない。
ミッツ「あんた、さっき、4分音符が無いと手拍子できないって言ったよね」
ハル「言ったかなあ」
ミッツ「言ったのよ、忘れたの?」
黒板には、『メヌエット ト長調』の下に並べて、手拍子用の、4分音符だけの楽譜もある。2段の五線は、左端が小節線で繋がっている。
ミッツ「ハルが思っているのは、勘違いだけど、「歌の楽譜で、4分音符が使われた時が、手拍子のチャンス」って、思ったんでしょ?」
ハル「ううーん、そうかも。うん、何となく、そんな気がする」
ミッツ。ハルが、自分のセリフを覚えていないので、少し呆れた表情。
ミッツ。黒板の、『メヌエット ト長調』の楽譜の左横に立つ。「これを見て。上の段が、歌の楽譜。下の段が、手拍子の楽譜。この、手拍子の楽譜は、楽譜に慣れた人なら、超能力を使わなくても見える」
ハル「ああ、超能力ねぇ」
ミッツ「そして、五線が2段あるけど、五線の左の端、ここが繋がっていれば、同時に演奏するからね」
ハル「そういえば、ピアノの楽譜は、左側に、中カッコが書かれているな」
ミッツ「オーケストラの楽譜のことは、詳しくないけど、中カッコと大カッコがある。中カッコは「1つの楽器を、便宜上、2段に分けた」で、大カッコは「いくつかの楽器のグループをまとめる」らしい」
背景に、オーケストラの楽譜を表示する。その楽譜に重ねて(楽譜が隠れるように)、注意書き「オーケストラの小節線(縦線)や、カッコの使い方は、出版社や曲によって、違いがあるようです」を表示する。
ミッツ「でも、左の端が繋がっていたら、同時に演奏するのは、共通しているよ」
ミッツ「手拍子の楽譜はこっち、4分音符だけ。口で上の楽譜を歌いながら、手で下の楽譜を演奏すると、こうなる」黒板をコツコツ叩きながら歌う。歌の4分音符は「タン」ではなく、「ター」と、無粋に伸ばすことで、音価を表現。
ハル「なるほど、手拍子は単調で、リズムは複雑ってことだな」
ミッツ「トレビアン」手拍子をしながら、いくつかのリズムを歌う。
ミッツ「手拍子と一致しないタイミングで、歌が出ることもあるの」
ハル「そこに書いてあるのは?」椅子から立ち、黒板の近くに寄る。
ハル「分数っぽいけど」黒板の楽譜の「3/4」を指す。
ミッツ「手拍子のためのこれは拍子記号。だけど、その前に、忘れないうちに言っておくよ、8分音符からは、符桁で繋げられる」
背景に「符桁」と、そのフリガナを表示する。
注意書きの表示。「「符桁」は、「符鉤」「鉤」「鈎」と呼ぶこともあります。当アニメでは「符桁」に統一します」
ハル「8分音符「から」って?」
ミッツ「旗が付く音符ってこと。旗が付くのは、音価が短いから、繋げてまとめたら見やすいでしょ。これとこれは同じ」上下に、符桁で繋げた8分音符の例と、繋げない8分音符の例を並べる。
ミッツ「旗が多くなると、こんな感じになる」黒板に、音符の「8、16、16分音符」「16、8、16分音符」を、上段に符桁を使う例、下段に符桁を使わない例を並べる。
ミッツ「このように、旗の本数と、符桁の本数は同じ」
ハル「なるほど。その、ヒラヒラしてるのが、「旗」なのか」符桁を使わない音符の旗が、色違いで点滅し、指し棒の「旗」を添える。
ミッツ「符桁は棒よりも、線が太いよね。きっとこれは、五線とはっきり区別できるようにだと思う」
ミッツの、このセリフの「符桁」「棒」に合わせて、音符の箇所が色付きで点滅する。先んじて、指し棒で「符桁」「棒」を表示しておく。
ミッツ。教科書を指す。符桁が水平の箇所と、斜めの箇所を指す。符桁が色付きで点滅し、「五線よりも太いから、区別できる」を示す。
ミッツ「横が太くなっているのはデザインだから、手書きでは太くするかどうかは、自由だよ。細いままなら読み難いってだけ」
背景に、符桁が少し斜めの楽譜を2つ。8分音符が4つ程度。片方の符桁は五線と同じくらいの太さ、片方の符桁は太い。
ミッツ「符桁を使う理由は、見やすくするのが目的なので、手拍子のタイミングで、このように分けたり、区切りだけ符桁を1本にしたり……」符桁で繋げる例。32分音符が16個。8個と8個の間だけ、符桁が1本。「……これで見やすくなる」
音符をたくさん書くので、たくさんの妖精ちゃんも手伝う。ミッツが妖精ちゃんに「ありがとっ」と言って、ウィンクする。妖精ちゃんは、ウインクを受けて喜び、両頬を赤マルで点滅させる。
ミッツ「符桁を使うのは楽器の楽譜だけ。歌の楽譜は、符桁を使わないって聞いたけど、歌の楽譜でも普通に使われているよね。歌の楽譜で、符桁を使うのは、長音だけだって」
背景に、符桁を使う例と、使わない例の、両方がある歌の楽譜を表示する。
背景に、『むすんでひらいて』の楽譜の、最初の2小節を表示する。「♪むーすーんーでー、ひーらーいーてー」の「すー」と「いー」が、字幕で「長音なので符桁で繋がっている」と表示する。
背景に、『靴が鳴る』の楽譜の、最初の2小節を表示する。「♪おてーて、つないで」の部分。「てー」には字幕で「長音なので符桁で繋がっている」と表示する。「ない」には字幕で「長音ではないので符桁で繋がっていない」と表示する。
ハル「楽器演奏用の楽譜だからか?」
ミッツ「そうかも知れないし、見やすさを優先したのかも」
ミッツ。間髪入れずに、続きを話す。「ただし! 必ずしも、見やすさとが優先とは限らない」
ハル「何だよ。要するに、符桁の使い方はどうなんだよ!」
ミッツ「要するに、作曲者が「こうした方がいい」っていう、何かの理由が、基準になる。多くは、拍の区切りとかで、見やすくしているけど、作曲者のこだわりもある」
ミッツ。腕を組んで、眉間に困った皺、唇は閉じて笑う口。ゆっくり何度か頷く。
ハル。納得しない表情。
ハル「要するに、見やすくない繋げ方もあるんだな。じゃあ、休符は、こんな繋げ方になるのかな?」8分休符を、無理に繋げた形を黒板に書く。
ミッツ「残念ながら、休符は繋げられない。けれど、やはり手拍子の区切りがわかりやすいのがいいね」
ハル「ふーん」
ミッツ「無理に繋げようとしたから、気付いたと思うけど、「音符の旗の数」と、「休符の左側の出っ張りの数」は、同じだからね」
画面左側に、上から8分音符、16分音符、32分音符を並べる。画面右側に、上から8分休符、16分休符、32分休符を並べる。
音符の旗と、休符の出っ張りが、一斉に点滅する。
ミッツ。チョークを持ち、『メヌエット ト長調』と、その下の手拍子用の楽譜に近付く。
ミッツ「さて、話を戻して、拍子記号は手拍子の楽譜で、「4」分音符が、「3」つあると、「1小節」になるって意味」
ミッツ。話しながら、拍子記号の「4」から線を書いて、4分音符を囲む。拍子記号の「3」から線を書いて、3つの音符を囲む。小節を大きく囲む。「4」「3」「小節」の、言うタイミングと、チョークの動きを合わせる。
ミッツ「この分数は、手拍子だけの楽譜の書き方を示して、「4分の3拍子」の意味」
黒板の文字から「4」「3」「小節」が浮き上がり、「4分音符が3つで小節」が表示され、枠囲みされる。
ハル「「4分の3拍子」だなんて言い方、分数に似てるな」
ミッツ「似てるんじゃなく、分数そのもの。1小節の時間は、全音符の時間の「4分の3」の時間という意味。……というより、「4分の1の時間が3つ」だから「4分音符が3つ」が、1小節の時間」
ハル。もう少し、理解したい気持ちで「おっ、おっ?」
ミッツ「音符と休符は、どっちにしても時間は平等に流れる。どの音符を使ってもいい、どの休符を使ってもいい、とにかく、1小節の時間がぴったり同じであること」
図解。小節の譬えとして、長方形の箱が、ベルトコンベアに載って連続して流れて来る。はめ込みパズルのピースが飛んで来て、どの箱にもピッタリ。ピースには、音符や休符の絵が書かれている。
飛んで来るピースは、どれも長方形。音価を幅で表現したもの。
ミッツ「拍子記号を見ただけで、「4分音符が3つ分の時間で、1小節の時間」が、繰り返されている曲だってわかる」改めて、枠囲みされている「4分音符が3つで小節」が強調される。
枠囲みされている「4分音符が3つで小節」が、左向きに90度傾き、拍子記号の近く(左側)に移動する。拍子記号の「4」「3」の文字と、「4分音符が3つで小節」の「4」「3」が、繋がる。これが、そのまま黒板に書かれている状態になる。
ハル「あ、そういうことか。「この拍子が繰り返される曲」ってのが、何記号だっけ?」
ミッツ「拍子記号」背景に「拍子記号」の文字とフリガナ。
ハル「拍子記号を見ただけで、わかるんだ」
ミッツ「何に納得したの?」
ハル「この手拍子が、繰り返されるってところ」
ミッツ。明るく「そんなの、当たり前じゃないの。そのための拍子記号なんだから」
ハル「うーん、ミッツの説明で、音符の時間を、1小節に合わせているのはわかったけど、合わせたからって、だからどうしたって思ってた」
ハル「音を出す音符が書いてあるのは当たり前だけど、音を出さない休符を書くのが、必要とは思わなかった」
ハル「音符と休符は、音を出しているか、出していないかの違いがあっても、時間は平等に流れる。音符と休符を合わせて、1小節の中で時間ぴったりだから、どの小節でも同じ手拍子を、繰り返すことができる」
背景に楽譜。上段は様々な音符や休符を使った小節がいくつか。下段は手拍子の楽譜。
ハル。上段を指して。「どんなにメロディが複雑でも」
ハル。下段を指して。「手拍子が同じってことは、時間が同じ」楽譜に、横幅が同じで時間も同じと表示。
ハル「ということは、同じパターンで手拍子できる、同じパターンで踊れる」
ミッツ「時間が合っているのは当然でしょ」
ハル「食器棚や、おもちゃを片付けるのなら、エッシャーの絵のように……」背景に、エッシャーの隙間無く並んだ絵、パッチワーク、はめこみパズルなど。「……隙間無くっていう目的があるけど、楽譜で隙間無くの利点が、やっとわかった」
ミッツ。ヤッ子の言葉である「君にとって当たり前の知識でも、早坂君は迷いながらだから」を、改めて思い出す。
ミッツ。心の声。「(そうか、当たり前のことに気付かなくて、あたしにとっては意外なところで、納得するんだな)」
ハル。『メヌエット ト長調』を小声で歌いながら、手拍子する。
ミッツ「拍を感じて踊れるのは、1小節の時間が同じまま、繰り返されているから」
ハル。ミッツを見ながら、ちょっと踊りながら歌う。
ミッツ「小節の、1回目の手拍子、1拍目を強くすると、わかりやすい」いくつかの曲を、歌いながら手拍子。
ハル。ミッツと一緒に、歌い始める。
ハル。おかしいことに気付く。「この曲、おかしくないか?」
ミッツ「バッハが作ったんだし、正しいよ」
ハル「でも、全音符の時間は、4分音符が4つだよな」
ミッツ「そうだけど、おかしい?」ハルが、どういう意味で「おかしい」と言ったのか、わからない。
ハル「でも、この曲は、4分音符が3つしかない。全音符の時間には、足りないだろう」
ミッツ。何かを言い掛けて、口を開けたところで、ヤッ子の顔を思い浮かべる。一旦、口を閉じてから、話し始める。
ミッツ「よっしゃ、教えるか。ハルがそこに気付いたのは、嬉しい驚き」
ハル「?」
ミッツ「全音符の名前の「全」から、「1小節」を連想しちゃうけど、えーっと。うん、多くの曲は、じゃない、普段、馴染みのある曲では、1小節の時間は、全音符と同じだけど、違う曲だってあるよ」
ミッツ「だから、この『メヌエット』は、「へえ、そんな曲なんだ」で、大丈夫」
ハル「全音符と違う曲?」
ミッツ「そう。音符の名前は、全音符の時間の、何分の1かっていう、意味でしょ。ということは、これ、拍子記号が、「4/4」とか「2/2」とか、通分して「1」になれば、全音符と同じ」
ミッツ「それ以外は、全音符よりも短かったり、長かったりする」
ミッツ「『メヌエット』は、「4分の3拍子」だから、「1」より少ない、つまり、全音符より短い時間で、1小節ってこと」
ハル「ああ……。うーん、そういうことか」
ミッツ「さっき、手拍子して、3拍子で歌えたでしょ。ということは、『メヌエット』は正しい。でも、人によっては、馴染みが少ないから、違和感があったりするね」
ちょっと無言。
ハル「今日のミッツは、なんだか、いつもと雰囲気が違うな。親切な言い方だな。悪霊にでも、とりつかれたか?」
ミッツ。ヤッ子の顔を想像した吹き出しを、背後霊のようにして、牙を出す。ヤッ子の顔は「目だけが笑っている般若」のように、厳しくて優しい表現。
ハル「さっき、1拍目を強くすると、わかりやすいと言っていたが、1拍目が強いとは限らないよな。1、2、3、4、1、2、3、4……」偶数拍の手拍子を強く叩く。
ミッツ「それは、手拍子じゃなく、リズム。それぞれの曲のリズムの話なら、裏拍にアクセントの曲もあるけど、今は拍の話。拍子記号の話だから、1拍目を強くすると、わかりやすい」
ハル「あ、そうか、手拍子は単純、リズムはそれぞれだ。ごっちゃにしちゃ、ダメだな」
ミッツ。納得して、次の話を始める。
ここからの説明は、6/8拍子の「タララトロロ」と、3/4拍子の「タラテレトロ」の違いを、符桁の使い方で教える方法が、簡単で良さそう。
ミッツ「もし、この曲の手拍子を変えたければ、こうなる」手拍子の楽譜「6/8拍子」を書く。8分音符3つを符桁で繋げた、2つのセット。
拍子記号の左側に、枠囲みで「8分音符が6つで小節」を添える。左向きに90度傾き、「8」「6」を拍子記号と繋げる
ミッツ「ホラ、これとこれって、数字を入れ替えただけでしょ」拍子記号の近くの枠囲み「4分音符が3つで小節」と「8分音符が6つで小節」を、見比べるように促す。
ミッツ「これで手拍子すると、こうなる。1、2、3、4、5、6、1、2、3、4、5、6」数えながら、手拍子の楽譜の、1拍目と4拍目を強く叩く。テンポは『メヌエット ト長調』の8分音符と同じ。
ミッツ「ラーララララ……」『メヌエット ト長調』を歌いながら「6/8拍子」で手拍子する。
ハル「違和感がある」
ミッツ「そうでしょ。「3/4拍子」の歌を、無理に「6/8拍子」で手拍子したんだから」
ハル「でも、1小節の中の時間、「音価」だっけ?」背景に「音価」と、そのフリガナ。
ミッツ「そう、音価」
ハル「音価は同じだろ?」黒板の「3/4拍子」の下に、2つの8分音符を符桁で繋げたものを3セット書く。「これと同じだろ?」
ミッツ「すごい、ハルすごい。そう、その通り。もう、音価と小節がわかったんだ」
ハル。照れながら、得意気。
ミッツ「その通り。音価が同じでも、拍子が違うから、手拍子に無理があるんだよ。でも、これならどう?」
ミッツ。『モーツァルトの子守歌(♪眠れ良い子よ)』を、歌いながら、「6/8拍子」の楽譜をコツコツ叩く。8分音符が同じテンポ。「ねむれ」で8分音符3つ、「よいこ」で8分音符3つ。
なお、『モーツァルトの子守歌』の作曲者は、モーツァルトではないという話もある。
『モーツァルトの子守歌』の訳詞には著作権があるので、アニメの際は、スキャット「ラララ」が良さそう。
『モーツァルトの子守歌』以外の使用曲の案。『聖夜(♪きよしこの夜)』「きーよ」で8分音符3つ、「しーー」で8分音符3つ。付点の話はまだなので、使わないほうが良さそう。付点で横道に逸れるのを防ぐため。
著作権があれば、著作物使用の許諾は必要。
ハル「違和感が無い」
ミッツ「「6/8拍子」の曲だからね。じゃあ、これを「3/4拍子」で手拍子すると」『モーツァルトの子守歌』を、歌いながら、「3/4拍子」の楽譜をコツコツ叩く。
ハル「今度は違和感がある」
ミッツ「そうでしょ。どっちも「8分音符が6つの時間」だってのは、さっきハルが言ったとおりだよね。これを、簡単に言えば、「3/4拍子」は「2×3=6」で、「6/8拍子」は「3×2=6」ってこと」
ハル「「簡単に言えば」って、余計にややこしいぞ」
ミッツ「じゃあ、ピアノの伴奏で見てよ。こんな感じ」
ミッツ。ピアノを弾く。両手で8分音符刻みの歌伴奏。「3/4拍子」を2回と、「6/8拍子」を2回を、交互に何度か。
ミッツ。ピアノを弾きながら、歌も加える。「3/4拍子」の伴奏では『メヌエット ト長調』を歌う。「6/8拍子」の伴奏では『モーツァルトの子守歌』を歌う。
ハル「なるほど。納得だ。1小節の音価は同じ。手拍子だけの楽譜で使う音符を、拍子記号に書いてあるんだな」
ミッツ「他にもあるよ」
ミッツ。『かえるの合唱』の楽譜を書く。歌の楽譜は1つで、手拍子は「2/2拍子」「4/4拍子」「8/8拍子」を書く。
ミッツ「ここが「4/4」なら手拍子はこの楽譜、ここが「2/2」ならこれ、「8/8」ならこれ」それぞれ、歌いながら手拍子。
ハル「通分すれば、1だろ。全音符が1つの時間と同じ」
ミッツ「手拍子のタイミングの指示だから、通分は関係なしっ。「3/4拍子」と「6/8拍子」も、通分すれば同じだけど、それは、小節の時間が同じってだけ。手拍子に使う音符が違ったでしょ」
ミッツ「これで、1小節の長さを変えると拍子記号はそれぞれ、こうなる」『かえるの合唱』の小節を半分にする。拍子記号を「1/2」「2/4」「4/8」に書き直す。手拍子しながら歌う。
ハル「歌の楽譜には、どんな音符を使ってもいいんだな」
ミッツ「そう。歌の楽譜では、どの音符を使っても、どの休符を使っても、音価の足し算をして、拍子記号と同じ時間になればいいの。歌のタイミングが、手拍子のタイミングとずれていても大丈夫」
ミッツ「1小節の時間が、拍子記号と同じだからこそ、「手拍子が繰り返される」になるの」
ミッツ。黒板に、歌のための音符「8、4、8分音符」の楽譜を書く。その下に、手拍子用の、4分音符2つの楽譜を書く。両方の楽譜に、音価を示す長方形を添える。
ミッツ「こんな感じに」背景に再度、「音価」の文字とフリガナ。
ミッツ「ほら、これなら、手拍子のタイミングと、歌の「音を出し始める瞬間」がずれているけど、1小節の時間は同じでしょ」
ハル「手拍子だけの楽譜は、必ずしも4分音符とは限らないんだな」
ミッツ「そう、8分音符を使うこともある。拍子記号のここが「8」なら、手拍子は8分音符を使う」
ハル「小学校の時の、「4分音符を1とする」ってのは、わかりにくいな」
ミッツ「そうだよね。8分音符で手拍子することもあるんだから」
ハル「うん、それもそうだけど、一切れのピザにしてほしい」
ミッツ「ピザ?」
ハル「分数の割り算で、こんな説明を聞いたことがある。「4分の1を、1と考えて」って」
ミッツ「何? それ」
ハル「本当なんだって」
ミッツ「4分音符を、全音符と考えてってこと?」
ハル「そうじゃなく、単位を忘れている」
ミッツ「ピザから、単位の話になった。あんた、ピザの話をしてたこと、その前に手拍子の話をしてたの、覚えてる?」
ミッツ「主題は「楽譜の謎解きエンターテインメント」なんて銘打っているのに、話が横道に逸れるから、「雑学アニメ」でもない「雑談アニメ」になっているんだから」
ハル「ああ、大丈夫だって。センチメートルとミリメートルを習った時に、単位を大切に、単位を忘れずにって言われるだろ」
ミッツ「うん」
ハル。黒板に「2=100」を書く。
ハル「2個で100円の消しゴムを、こうして「2=100」と書いたら、こんなのは、おかしい。だから「2個=100円」と、単位を書けば、解決する」黒板の「2=100」を「2個=100円」にする。
ハル「それなのに、分数の割り算では、「4分の1を、1と考えて」って、その説明が単位を忘れているだろう! ってことだ」
ミッツ「そもそも、分数の割り算がわからない。計算方法は習ったからできるけど、なぜ、あの計算方法なのか、意味がわからない」
ハル。黒板の上、または黒板の横にある、時計の文字盤を指す。ここでは、円盤状のアナログ時計であること。
ハル「あれが、ピザだとして……。図に書くか」黒板に、時計を模した円を書く。円周を12等分した目盛りも書く。
ハル「このうち、3分の1を食べ終わって、残りが3分の2」黒板の円の左上側の、8時から12時までの範囲を、無くなったを表すようにする。
ミッツ「うん」
ハル「3分の2のピザから、4分の1ずつ、食べようとしたら、どれくらいか」
ミッツ。黒板に近付く。12時から3時までを示す太い線を書き、「1」と書く。3時から6時までを示す太い線を書き、「2」と書く。
ミッツ「ここは、中途半端」
ハル「そう。そこに、さっきの「単位を忘れずに」とすると、ここは「1」が「1切れ」になる。単位は「切れ」だ」黒板の、「2個=100円」の下に、並べるように「1切れ=1/4枚」を書き足す。
ハル「計算式は、「2/3÷1/4」だな。残った「3分の2」の中に、これから食べる「4分の1」が、いくつあるかだ」
背景に図を表示。文字盤の12時から8時までの範囲を囲んで、指し棒で分数の「2/3」を表示。12時から3時までの範囲を囲んで、指し棒で分数の「1/4」を表示。
分数は横並びにして、間に「÷」を挿入する。
ハル。ミッツの書いた「1」を指す。「設問は「いくつあるか」だから、ここに「1」と書くのは正しい。しかし、これが「4分の1を、1と考えて」だろう? それならわからない」
ミッツ「うーん、そうかー」
ハル「ここは「1」だけじゃなく「1切れ」と、単位の「切れ」を忘れずにだ」
ハル「すると、1切れ、2切れ、3分の2切れ。答えは「2切れと、3分の2切れ」だ」黒板の式に、答えを帯分数で書き足す。
ミッツ「計算したら、分母と分子を交換して、掛け算にするから、「8/3」だよね。あ、仮分数を帯分数にすると、合っているか」黒板に、計算式を掛け算にして書き直す。
ハル「そこで、単位だ。ピザの残った3分の2から、4分の1切れずつ食べたい。何切れなのか」
ミッツ「何か、おかしい?」
ハル「わからんかなあ。ピザの全体は1枚。単位は「枚」だ。そして、ここ、4分の1枚を「1」と数えたいなら、単に「1」じゃなく、「1切れ」だ。単位は「切れ」なんだ」
ミッツ「ああ、そういうことか。「切れ」という単位を書き忘れたのが、気に入らなかったんだね」
ハル「そうだよ。要するに、分数の割り算は、「1切れ」「2切れ」という単位を忘れているから、わからない」
ハル「さっきのこれ……」黒板の「2個=100円」を指す。「……の、単位を書かなかったら、計算がおかしい」
ハル「音楽も、4分音符が「1」、2分音符が「2」じゃなく、4分音符が「1拍」、2分音符が「2拍」。そして、4分音符の音価を表す四角を数える。四角の長さは、全音符の長さを基準にして、4分の1ってこと」
ハル。疲れて、椅子に身を投げて座る。天井を見上げる。疲れた声を出す。
ミッツ「あ、それから、さっき教科書を写譜していたから、気付いたと思うけど、小節の横幅は、音価とは無関係だから」背景に「写譜」の文字とフリガナ。指し棒で「楽譜を書き写すこと」を添える。
ハル「えっ?」疲れているので、呆けた反応。
ミッツ「音符が多いか少ないかで、小節の横幅は変えていいんだよ」
ハル「あ、そうか。全音符だけなら横幅は狭くてもいいし、16分音符ばかりなら横幅が広いな。時間が同じでも、横幅が違うってのは、違和感があるけど」背景に、全音符だけの小節と、16分音符ばかりの小節の例。
説明の「音符の数が少ないと、小節の横幅を狭くしても良い」を添える。
ハル「音価が、半分の半分のってことは、128分音符とか、1024分音符も、あるのか?」背景に、1024分音符だけの小節が、遠近法で画面の遠くで消失。
ミッツ「理屈としてはそうだけど、そんな楽譜は、見たことはない」
背景に補足「細かな音符の場合、装飾音符などを使います。それ以外は、コンピュータが無かった時代であり、人間には演奏不能で識別不能なので、使われた例の有無は不明です」を表示する。
ハル「それを使う人がいたとしたら、天才かな? 紙一重の意味で」
ハルとミッツ。空想でショージを思い描く。空想のショージの鼻がラフレシアになり、重みで倒れる。
▽ 場面変更 ● ── ●
ショージ。下校途中の後ろ姿。ストローのオーボエを鳴らしながら、くしゃみ。正面の、顔の目のアップ。涙目。
ショージ「誰か噂してるのか?」鼻にストローが刺さっている。少し鼻血。
注釈を表示。「ストローオーボエを、歩きながら使うと危険です。安定に座って使いましょう」
▽ 場面変更 ● ── ●
下校中の生徒2人。
1人は女子生徒のムギ(大吠麦穂、おおぼえ・むぎほ)。ストローのオーボエでショージ達と遊んだ女子生徒。
もう1人は男子生徒、吹奏楽部のトロンボーン先輩。顔は画面の外だが、後ろ姿の髪型や、トロンボーンのケースに付けられた小物などで、それとなくわかるようにする。
二人は、付き合っていることを、周囲には隠している。視聴者には、この二人が付き合っていることを、わざとらしく、それとなく伝える。
トロンボーン先輩「待たせて悪かったな」
ムギ「大丈夫ですよ。練習が終わったって、スマホに連絡が来るまで、図書室で勉強していたから」
トロンボーン先輩「そうか。連絡した後、片付けに手間取って、余計に待たせたんじゃないかって、ごめん」
ムギ。空を、ぐるりと見渡す。「いいえ。ここで、色々な音を聞きながらの、4分33秒も、楽しかったです」
この場でのムギの口調は、軽い敬語。
ムギに、軽い方言があっても良い。「図書室で勉強していたんだから」「景色の音も、いいんでないですか」「4分33秒も、あっちゅう間」など。ただし、はにかんだ雰囲気が薄れないように。
これにより、普段は歯に衣着せない物言いをするムギが、トロンボーン先輩にだけ、はにかんだ態度をすることを表現する。
トロンボーン先輩「で、明日からのテストで、音楽のことを知りたいんだよな」
ムギ「そう、クラシックの作曲家の、並べ替え問題が出るって」
トロンボーン先輩「バッハ、ショパン、ベートーベンとかを、年代順に並べ替えるって、あれか。俺も、去年やった。どうやら、恒例らしい」
ムギ「あんなの、音楽じゃないのに」
トロンボーン先輩「音楽そのものじゃないけど、音楽の一部ではあるな」
ムギ「一部なの? 音楽のテストだからって、作曲家を使っているけど、歴史のテストのパロディだよ」
トロンボーン先輩「ベートーベンは、バッハの手法から影響を受けたそうだから、ベートーベンよりもバッハの方が昔だってわかるよね」
ムギ「それは、音楽が好きな人だけが楽しむものでしょ」
トロンボーン先輩「じゃあ、料理で言えば、盛り付けや器も料理のうち。絵画で言えば、額縁や掲示場所みたいなもの」
ムギ「えーっ! そうかなぁ」
トロンボーン先輩「例えば、ダビンチの『最後の晩餐』は、大きな食堂の壁に描かれていて、壁の向こうにも食堂の続きがある、食堂が広く見えるようになっている」
ムギ「そうだったんだ」
トロンボーン先輩「だから、テレビや画集で絵だけを見る場合と、実際に食堂で見る場合とでは、感じ方が違うよね」
ムギ「それはわかるけど、作曲家の並べ替えなんて、興味無いし」
トロンボーン先輩「テスト用紙の余白を埋める、余談の問題じゃないかな」
ムギ「余談?」
トロンボーン先輩「がっちりとした、音楽の問題が出たら、本当に困るだろう?」
ムギ「確かに、本当に困る」
トロンボーン先輩「だから、単なる並べ替え問題なら、テストのために暗記して、すぐに忘れてもいいってもの。音楽が苦手で、並べ替えが得意な生徒でも点数が取れるような配慮だと思えばいい」
ムギ「そっか。これからの人生で、まーーーったく! 役立たなくても、点が取れるのか。釈然としないな」
トロンボーン先輩「俺のように音楽をやっていると、並び替えだけじゃなく、作曲家の生きた時代とかって、アナリゼで役立つんだ」
ムギ「アナリゼ?」
トロンボーン先輩「演奏の時に、「ババンバ、バン」とするのか、「ガガッガ、ガッ」とするのか、どっちもいいけど、この曲ではどっちが相応しいか、作曲家の人生を参考に、選択するんだ」
ムギ「えーっ、なんでですか? 人生から、そんなことがわかるなんて」
トロンボーン先輩「お客さんの中には、こだわって聞く人もいれば、どっちでもいいって人もいる」
ムギ「あたしも、どっちでもいいです」
トロンボーン先輩「どっちでもいいって人には、そのまま、どっちを聞かせることもある。既に、どっちでもいいと言っているのに、「どっちが良いか」「こっちが良いに決まっている、わからないのか」なんてさ」
ムギ「しつこいですよ」
トロンボーン先輩「そうだよね。だから、そんな人は、「ババンバ、バン」でも「ガガッガ、ガッ」でもいい」
ムギ。ホッとした表情。
トロンボーン先輩「そもそも、人の好みは様々だから、「正しさ」は決められない。他人の好みを否定する必要も無い」
ムギ「あたし、おでんの「ちくわぶ」が嫌いです」
トロンボーン先輩「そう、そういうこと。ちくわぶは、好みが分かれている。あれを大好きと言う人もいる」
トロンボーン先輩「飲食店なら、自分はちくわぶを注文しなければいいし、自宅で食べるために「おでんセット」を買って、ちくわぶが入っていたら、食べて死ぬものではないから、食べればいい」
トロンボーン先輩「そこで、アナリゼと演奏だったら、お客さんの中には、こっちがいいと「決まっている」という人もいるし、どっちにしろ「面白い演奏を」という人もいるから、できれば、みんなを楽しませたいよね」
ムギ「そうですね。無料で聞くにしても、楽しくない時間なのに、演奏に付き合うのは、嫌です」
トロンボーン先輩「「決まっている」という人は、アナリゼをして、答えを知っている人。どっちにしろ「面白い演奏を」という人には、アナリゼの結果に従った方が、無難だよ」
ムギ「無難……ですか」
トロンボーン先輩「一般的な解釈が「ババンバ、バン」で、自分の好みが「ガガッガ、ガッ」なら、自分の好みの演奏をするのも自由だ」
トロンボーン先輩「でも、自分がどっちでもいいんなら、一般的な演奏をした方が、トラブルは避けられる」
ムギ「「長い物には巻かれろ」ですか?」
トロンボーン先輩「自分の意に反しているなら「長い物には巻かれろ」は苦しいけど、自分がどっちでもいいんなら、巻かれても害にはならない」
トロンボーン先輩「アナリゼには、そういった意味もあるんだ」
ムギ「あたしも、クラシック音楽の解説をする番組を見たことはありますけど、「作曲者は、この時期、悲しみの中にあった」って言っていて、作曲者は24時間、悲しんで生活していたのかって思います。一日に、一回も笑わない生活?」
トロンボーン先輩「もちろん、現実はどうだったかは、知りようがないけど、友人からバカンスに誘われても断ったり、友人も無く、部屋から出ることも無かったのかも」
ムギ「そうかも、ですね。今なら、テレビを点けっぱなしで、家の中にいられても、昔なら、ずっと読書か、楽器を触るかだけ」
ムギ「あれ? 電気製品とかが無かった昔だから、日常生活を維持するだけでも、今よりも手間が多かったから、一日中、座って、時間を持て余すことは、なかったのかな?」
トロンボーン先輩「うん、それも気にしながら、アナリゼしたいね」
トロンボーン先輩「楽譜を見て、作曲家の頭の中の音楽を、再現しようとするんだから、楽譜だけじゃ足りない。楽譜はしっかりと読み込んで、更に、もっとたくさんの情報を勉強する」
トロンボーン先輩「なぜ、こんなところに、こんな記号があるんだろう。その記号が無い場合と比べる。作曲者が、この記号を書こうと決めた時の気持ちとか」
ムギ「それって、むしろ逆じゃないかなぁ。テレビの人が、楽譜は忘れようって言っていましたよ」
トロンボーン先輩「その人は、楽譜は「どんな場合でも、害悪だ」と言ったのか?」
ムギ「そこまでは、言ってないけど」
トロンボーン先輩「好きな歌があって、歌おうと思ったら、歌詞がよくわからない。そんな時、歌詞カードが役立つよね」この「歌詞カード」は、年代によっては馴染みが無いので、単に「資料」や「書いてあるもの」としても良い。
ムギ「当たり前でしょ。知らない英単語だと思ったら、日本語だったりするし」
トロンボーン先輩「それと同じで、耳で聞いただけでは楽器で演奏できない。文字の歌詞を読むのと同じように、楽譜を読む。曲のテンポのままじゃなく、自分のテンポでゆっくり練習するために、楽譜は役立つよ」
ムギ「歌の、早口の所を、文字を読みながら、ゆっくり練習するのと同じように、楽譜も、ゆっくり練習できる……っていうことですか?」
トロンボーン先輩「その通り。歌が「聞いたまま、歌えばいい」とはならないこともあるから、楽譜も似ている。絶対音感とかが無ければ、聞いたままは難しいし、楽譜なら手書きのメモもできる」
ムギ「まあ、そういうことも、あるかな」
トロンボーン先輩「テレビの人が言っていたのは、「自由奔放な発想を目的とした場合」、なんじゃないかな。オリジナルの歌詞のまま歌うだけじゃなく、歌詞の一部を自分なりに変えて歌いたいこともあるよね」
ムギ「そうかも知れない」
トロンボーン先輩「オリジナルの歌詞にこだわらないで、自分なりの歌詞にしたり、自分なりにメロディを変えてもいいんだよ。もしかしたら、テレビの人が言ったのは、そういう意味だったのかも」
トロンボーン先輩「自由奔放な発想とはいっても、感性を磨いたら、より多彩な発想ができる。そのために、絵画なら名画をたくさん見たり、作曲なら名曲をたくさん聞いたり」
ムギ「そうだね」
トロンボーン先輩「教科書の、歴史上の人物の肖像画や顔写真に、いたずら書きをしたことがあるだろう」
ムギ「あるある」
トロンボーン先輩「そういった遊びやパロディのアイディアのために、資料を探したり」
ムギ「「何々といえば、これ」って特徴を見付けたり」背景に、白衣に聴診器で「医者」、夜光ベストに誘導灯で「交通誘導警備員」、ジャージに首から笛で「体育の先生」など。
これ以外の例。唐草模様の大きな風呂敷包みを背負い、口の周囲がドーナツ型の髭で、泥棒。昭和の時代は、髭剃りは面倒な作業だった。
これ以外の例。セリフの末尾が「……じゃ」「……じゃろう」で、爺さん。
これ以外の例。ベレー帽で、右手の中指にペンだこ、手がインクで汚れている。漫画家。
トロンボーン先輩「そう、それ」
ムギ「感性を磨くために、先人の作品を、注意深く研究しろってことですね……」少し考える仕草。「……でも、それって、テストと関係無いじゃないですか!」
トロンボーン先輩「だから、学校の音楽という教科に無関心でも、短期間の頑張りで点数を稼げるための、サービス問題だと思ってみようよ」
ムギ「どうせ、すぐに忘れるけどね。だって、これからの人生で、クラシックの作曲家の並べ替えなんて、使うとは思えない」
トロンボーン先輩「まあ、たった1回だけの、やりたくもないゲームで勝つために頑張るってこと、人生の中には何度もあるもんさ」
ムギ「忘れてたでしょう、明日からのテスト対策」
トロンボーン先輩「ああ……。それは、俺が教えるっていうより、一緒にやろうか」
ムギ。嬉しそうに、笑顔になる。「うん」
トロンボーン先輩「たった1回だけのテスト対策だから、バラバラにした単語帳に作曲家の名前を書いて、何度か並べ替えてみたり」
ムギ「天才!」
トロンボーン先輩「それから、こじつけでもいいから、語呂合わせとかしてみたり」
ムギ「語呂合わせ?」
トロンボーン先輩「原子の周期表で「水兵、リーベ、僕の船」のようにさ、「バハ、ベト、モッツ」で「バッハ、ベートーベン、モーツァルト」って覚えておくとか」
ムギ「まあ、たった1回だからいいかな」
トロンボーン先輩「小学生の頃に、覚えさせられた九九は、大人になっても覚えているのは、日常的に使っているからだよね。それと比べて、せっかく暗記したのに、使っていなければ、忘れるもんだ」
ムギ「あっ、そうだよね。面白いのは、体で覚えた自転車の乗り方は、大人になって久し振りなのに、覚えているって」
トロンボーン先輩「不思議だよな。楽器の演奏も、体で覚えたなら久し振りでも思い出せるのに、頭で覚えたなら思い出せなかったり」
ムギ「本当ですか?!」
トロンボーン先輩「そうらしいよ。みんながみんな、そうなのかは知らないけど」
ムギ「へえー」
トロンボーン先輩「突然、問題を出すぞ。「6かける3は?」」
ムギ「え? え? さぶろく、じゅうはち」
トロンボーン先輩。にやりとする。
ムギ「何ですか?」
トロンボーン先輩「「6かける3は?」と聞いたのに、「ろくさん」じゃなく、「さぶろく」って答えたよね」
ムギ「あっ、本当だ」
トロンボーン先輩「答えが同じだから、どっちでもいい、こっちを使おうって回数が多いんじゃないかな」
ムギ「そのうち、突然「ろくさんは?」って聞かれたら、迷うようになるかも」
トロンボーン先輩「迷うようになるかもな」
ムギ「でも、使っていないってことは、忘れても困らないってことでしょ」
トロンボーン先輩「普通はそうだけど、普通じゃないものは違うんだろうな」
ムギ「普通じゃない?」
トロンボーン先輩「緊急通報の電話番号って、いざ必要な時になって、慌てていると、警察と救急車と、どっちがどっちか、とっさには思い出しにくいとか」
ムギ「うん、うん。信じられないけど、本当だって聞いた」
トロンボーン先輩「元素の「水兵、リーベ、僕の船」や、今回の音楽のテストの「バハ、ベト、モッツ」は、使わずにいて、忘れるようになるかも」
ムギ「音符の名前も、小学校の時に習ったけど、全然覚えていないよ」
トロンボーン先輩「普段は使わないからな。もちろん、意味まで含めて覚えたらいいんだけど。例えば、「きゅうきゅうしゃ」って、漢字で、どう書くと思う?」トロンボーン先輩の背景(左右)に、「救急車」と「急救車」が表示される。フリガナも添える。
ムギ「え? いきなり言われても、知らないよー」
トロンボーン先輩「でも、これは、こじつけや駄洒落を使わなくても、覚えられる。というのは、「救命措置」という言葉と並べて、「救急」「救命」が正しいとわかる。「急命」なんておかしいとわかるからね」
▼ CM明け。 ▼── ──▼
CM明けの定型。他の登場人物は知らない、自宅などの場面。
ステラの自宅の自室。部屋には、メルヘンの小物やキャラ。おかしなキャラもある。メイド服のカンガルーのぬいぐるみ、すね毛ボウボウの脚があるマックロクロスケのポスターなど。
この場面は、最初は書棚をアップで表示し、誰の部屋か、わからないようにしておく。本棚には『面白い姿の生物』『面白い食性の生物』『面白い生活の生物』などの生物シリーズが並んでいる。
その近くには、別な書籍『救急救命のABCは、気道と呼吸と循環(キ・コ・ジュン)』『毎日100リットルのオシッコ』といった、医学や解剖学の関係書籍。
その近くには、別な書籍『鳥のダンスは愛のキャッチボール』『ここまでわかった! 変態する生物』『棘皮動物の住む世界』など、動物行動学。
以上の書名は、架空のものなので、実在していた場合、別な名前にする。
画面が引き、誰の自宅部屋か、謎が少しずつ解明される。
メルヘンのキャラクターグッズには、吾妻ひでおの漫画に登場するような、不気味だがかわいいものもある。
メルヘンの小物を飾っているコルクボードには、隠し撮りしたトロンボーン先輩の写真も貼っている。コルクボードの、どの位置かを、さり気なく印象付けるために、トロンボーン先輩の写真の近くには、特徴的な小物がある。
ステラ。勉強机で、流行歌の楽譜雑誌の楽譜を読んでいる。真剣な雰囲気。机上には、別な楽譜雑誌が2冊。
ステラ。左右の指で、歌詞と楽譜を辿る。指が1本だけでは足りないので、人差し指と小指も使う。
ステラ。真剣な目で凝視。尻を片方上げて、高音で長い放屁。ピンク色の文字で「ぷぅーー」が表示される。
空気清浄機が稼働を始める音。見ると、「自動」のランプが点滅。テレビのボリュームの都合で、空気清浄機の音が聞こえにくいと、意味不明なので、空気清浄機の音ははっきりと鳴らし、オノマトペ「ゴォー」も表示する。
ステラ「よしよし、ちゃんと仕事をしておるわい」
ぬいぐるみや、机上の文房具に描かれたキャラクターが、臭さに顔をしかめる。写真のトロンボーン先輩も、顔をしかめる。
◆ ご感想を頂けると嬉しく思います。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。
◆ 「評価」はログイン必要ですが、「感想」はログインせずに、どなたでも書けます。




