第12話 Bパート
【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
楽譜の読み方を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
当作品は、オリジナル『ガクテン』からR15を削除したものです。R15以外は、そのままですので、二重投稿に近いものです。
人間ドラマなどを削除した楽典のみのものは『ガクテン♪要するに版』をご覧ください。
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▼ Bパート。 ▼── ──▼
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ。下校中。公園で、小学生が『茶つみ』で手遊びしている。
ハル。小学生の手遊びを見て。「楽しそう」
ステラ「うん、ああいう手遊びって、大好き」
ハル「女の子って、ああいうのが好きだよね」
ステラ「普通に会話してて、偶然に同じことを言ったら、「ハモったー」で面白いでしょ」
ショージ「アンサンブルも、息がぴったりなのが、醍醐味だよね」
ミッツ「あたしは、1人でピアノばかりしていたから、そういうのは、経験が少ないけど」
ステラ「ああいった、手遊びでなくっても、ただ机の上で、指をトントン叩くだけでも、友情が生まれるんだよ」背景に絵。2人が向かい合う。片手を机上に置き、拳から人差し指だけを出して、トントン。徐々にテンポが合う。
ショージ。ステラに向かって「知ってるかい? 『茶つみ』って変拍子なんだぜ」
ステラ「変拍子って、何でしたっけ? 教わったような気がするけど」
ショージ。得意気に「変な拍子ってこと」
ハルとミッツは、耳打ちしながら、にやにやしている。
ショージ「いいか、数えるぞ。♪なつもちーかづく……」
背景に、歌詞と拍の数字。
1行目「な、つ、も、ち、か、づ、く」で7。
2行目「は、ち、じゅ、う、は、ち、や」で7。
3行目「トン、トン」で2。
ショージ「ホラ」
ステラ「本当だ。全然気づかなかった」
ショージ「ついでに、『ハッピーバースデー』も、そうだぞ。♪ハッピ……」
背景に、歌詞と拍の数字。
1行目「ハッピ、バース、デイ、トゥー」で4。
2行目「ユー、ー、ー」で3。
3行目「ハッピ、バース、デイ、トゥー」で4。
4行目「ユー、ー、ー」で3。
5行目「ハッピ、バース、デイ、ディア」で4。
6行目「スーテ、ラ、ー」で3。
7行目「ハッピ、バース、デイ、トゥー」で4。
8行目「ユー、ー、ー」で3。
ステラ「えーっ! これもそうだったんだ」
ショージの鼻に花が咲く。
ミッツ。ショージの肩を、トントンと叩く。「もしもし、ショジショジ君」
ショージ「変な呼び方をするな」背景に、ショージの名前「東海林・翔児(しょうじ・しょうじ)」と表示。
ミッツ「『茶つみ』も『ハッピーバースデー』も、普通の拍子なのですが、よろしいですか?」
ショージ「だって、今、ちゃんと数えただろう」
ミッツ「『ハッピーバースデー』は、拍を1つ間違えていたし。ねえそうでしょ」ステラに同意を求める。
ステラ「そんな気がしたけど、黙っておいたの」
ショージ。鼻に咲いていた花が萎れる。「そ、そんなぁ……」
ミッツ「『茶つみ』は4拍子、『ハッピーバースデー』は3拍子。ここで楽譜を書くのは大変だから、これを見て」と、肩の後ろを指す。
背景に『茶つみ』と『ハッピーバースデー』の、歌詞と数字。歌詞の休符部分には、休符を書く。スペースの関係で、最初の部分だけ。「1拍目からではない」がわかるように、小節線も書く。
ミッツ「この歌が勘違いする理由は、歌の始まりが1拍目じゃないからだよ」
ショージ「そうだったのか……」
ミッツ「それから、『ハッピーバースデー』では、ここ……」歌詞を指す。「で、1拍多く数えていたよ」ウインク。
ショージ「ステラちゃんも、ウインクして」
ステラ。両目を瞑る。
ハル「歌の始まりから、「1、2、3」と数えたから、おかしくなったんだ」背景に『茶つみ』の歌詞と、正しい拍の数字と、誤りの拍の数字。
ステラ。納得する。
ステラ「4拍子と2拍子って、違うんですか?」
ハル「あ、それは俺も知ってる。教わった」
ステラ。喜んで「ほんとですか! 教えてください」
ハル「これは、指揮をすればわかる。最後の拍は「次の小節の準備」として、大きく腕を上げて、次の1拍目で、「ドン!」と腕を下げる」最後の拍と、最初の拍の身振り。
ハル「『かえるの合唱』を、4拍子で指揮すると……」歌いながら指揮する。「……こうなる。2拍子なら……」歌いながら指揮する。「……こうなる」
ショージ「どっちでも、同じかな」
ミッツ「2拍子か4拍子か、はっきりとこだわっている曲もあれば、あれこれ理由はあるんだろうけど、拍子が変えられている楽譜もあるよ」
ハル「例えば?」
ミッツ「ピアノ編曲された楽譜を見ると、4拍子の曲が2拍子に編曲されてたり、その逆もあったり」
ミッツ「びっくりするのは、ちょっと『かえるの合唱』で説明すると、こんな曲……」楽譜。4/4拍子で、「♪かえるの」が4分音符で1小節。「……があったとして」
ミッツ「ピアノ編曲では……」楽譜。4/4拍子で、「♪かえるのうたが」が8分音符で1小節。「……のようになっていたりするよ」
ハル「そうなると、2拍子でも4拍子でも、どっちでもいいのかな?」
ショージ「「3/4」拍子と「6/8」拍子は、同じだよな。どっちも、音価の足し算をしたら、同じだから」背景に「音価」と、そのフリガナ。五線無しで8分音符が6つ、符桁で繋げない。
ミッツ「違う! 違うよ」背景に楽譜。ショージの思い描いた音符が、分身の術で上下に分かれ、上段は「3/4」拍子、下段は「6/8」拍子。符桁の繋げ方が違う。「ほら、違うでしょ」
符桁を使わない表記を、分身の術で分けて、符桁を使う表記に変えることで、旗の本数と符桁の本数が連携していることを、改めて示す効果がある。
ハル「そう。ギターの伴奏楽譜でも、そうなっていた」背景に楽譜。「3/4」拍子と「6/8」拍子で、8分音符だけでギターのアルペジオ伴奏。符桁の繋げ方と、アルペジオの使い方が違う。
ハル「ところで、この曲は変拍子なのか?」ギターケースから楽譜集を出す。『結婚行進曲』(メンデルスゾーン)を出す。
ステラ「あ、あたしこの曲、好き。お色直しの時に使いたい」
ショージ「おお、ステラちゃん、ビューティフル!」
ミッツ。ショージを横目で見ながら心の声。「(下ネタを言うかと思ってたけど)」
ミッツ。ハルの楽譜を受け取り「へぇ、ギター用に編曲されているんだ。こんな曲も弾くの?」
ハル「弾かないけど、知っているから読んだ。これは、「4/4」拍子の曲だろう?」ハ長調からト長調に変わる、不完全小節の箇所を指す。「ここ、拍が足りない小節が続いている。でも、新しい拍子記号が書いていない」
ミッツ「確かに。普通は、拍子が変わるところで、新しい拍子記号を書くもんね」背景に楽譜。「一般的な、拍子が変わる例」として、4分音符ばかり。3拍子、4拍子、2拍子と変わる箇所に、拍子記号がある。
ハル「でも、ここでは拍子記号が書かれていない。何かの間違いかな」
ハル。楽譜集の、該当の場所を、ミッツ達に見せる。背景には、改ページを省いた、見やすい状態にした楽譜を表示する。この楽譜は、ミッツのセリフの「点線だという気持ち」まで表示を続ける。
ミッツ「これは正しいの。ここ、もしも小節線が無かったら、ちょうどいいでしょ」
ハル「それはそうなんだけど」
ミッツ「不完全小節といって、大きな区切りなら、小節線を書くこともあるよ。これは、小節はリズムの区切りなのに、小節の途中で細分したい時に、小節線を使う」
ハル「うーん。どの小節も、同じ拍だから、聞きながら踊れるのに、変な所で拍を崩したら、聞いていて混乱する」
ミッツ「だーかーらー。拍は崩れないの。聞いている人は、小節の途中に小節線があるとは気付かない。気分としては、小節の途中を細分する小節線は、点線だという気持ち。楽譜を読む演奏者向けの区切り線だ」
背景に表示しているままの楽譜の、不完全小節にしている小節線が、色付きのぼんやり点滅をしながら、点線になったり、実線になったりする。
ハル「うーん、よくわからんが、聞いていて拍が崩れないんなら、いいかなあ」
ミッツ「そうだよー。確か、この曲だったら、ホラここも」
ショージ「え? 不完全小節がどこにあるか、知ってたの?」
ミッツ。当然のように「うん、ピアノの楽譜で、弾いたことあるから」
ミッツ「それから……っと、あ、やっぱり」
ステラ「何ですか?」
ミッツ「曲の始まり。8分音符の3連符だから、4分音符が1つ分。たったこれだけの小節でしょ」
ハル「そう、これも気になってた」
ミッツ「最初の小節が3拍足りなくて、こういう場合は、最後の小節で調節して、ぴったりになっている……」最後のページを開く。ちゃんと4拍ある。「……なっていないこともある」
ハル「じゃあ、この楽譜は、間違いなのか?」
ミッツ「あたしが間違えたんじゃない。文句があるなら、出版社に言いなさいよ」
ミッツ「でも、まあ、ぴったりにならない楽譜も、多いけどね」
ハル「あはは。クラシック曲の楽譜でも、そういうことがあるのか」
ミッツ。ステラの方を向いて。「ウチ……」言い始めて、気付いて、ショージの方を向き「あ、ショージのウチは、あっちでしょ」
ショージ「そうなんだよ。もっと楽典の話をしたかったな」
ミッツ。軽くバイバイする。
ハル「じゃ、またあした」
ショージ「うん、じゃあな」ステラにウインク。でもステラはミッツと話をしていて、見ていない。ミッツの話の最後「……誘おうよ」だけが聞こえる。
ステラ「ねえ、早坂さん、蜜霧先輩の家に、『結婚行進曲』の楽譜があるんですって。ピアノを弾いてくれるというので、行きませんか?」
ハル「うーん、行ってもいいけど」
ミッツ。ハルを激しく睨む。
ハル「うん、行こう、行こう。なんだか、ミッツのピアノが聞きたいなあ」
▽ 場面変更 ● ── ●
ミッツの家。
ミッツの部屋に、アップライトピアノがある。
部屋には、ミッツとステラだけ。
ステラ。ベッドに座っている。
ミッツ。楽譜棚から、楽譜集『ブルグミュラー 25の練習曲』を取り出し、勉強机の椅子に座る。椅子は、斜め後ろ向き。ステラに対しても、斜め向き。
楽譜集から、不完全小節で始まり、不完全小節で終わる曲を探している。
ここで、少しミッツの本棚が、画面の隅に含まれている。BLものを含め、様々な恋愛関係の書籍(マンガ、ロマン小説など)、DVDなどがある。これは、この場面の後半で、しっかりと表示される。
ステラ。思いつめたように。「蜜霧先輩って、早坂さんと、お付き合いされているんですか?」
ミッツ。楽譜集から目を離さず。「なぁーに言ってるの? そんなことないよ。安心していいよ」
ステラ「でも、いつもご一緒で、仲良くお話をされていますから」
ミッツ。はっとして、ステラに目を向ける。「あっそうか、ステラちゃんは知らなかったっけ? あたしとハルが従姉弟同士だって」
ステラ「ホントですか?」
ステラ。一度はほっとしたが、静かに続ける。「でも、恋愛や、ご結婚は、できるんですよね」
ミッツ。間髪入れずに。「無理ムリ無理ムリ! あんな、デリカシーの無い、失礼な奴」天井かどこかを見て言ったが、そっと目だけステラに向ける。
ステラ。目を伏せて「ああ、良かった……」
ミッツ「げ……(まさかとは思ったが)」
ハル。お盆に、飲み物を入れたコップを、3つ運んで来る。「お待たせー」
ミッツ。帰宅してから、急に横柄な態度になっている。「はーい、そこ置いといて」小さなテーブルを脚で指す。脚がビョーンとのび、関節とは無関係に曲がり、踵から先が矢印の形になる。
ハル。お盆をテーブルに置く。
ミッツ。ステラに「ハルはね、あたしの奴隷なの」
ハル「おい、変なこと言うなよ」
ハル。机の、ブルグミュラーの楽譜集の、開いているところを見る。曲は『9.狩猟』または『12.さようなら』で、不完全小節で始まる曲。
出版社によって、日本語のタイトルが異なる。
ハル。楽譜集を手に取り、あちこちページをめくる。
ハル「あれこれ、文字ばかりメモしてるけど、絵は描いていないな」色鉛筆、普通の鉛筆、ボールペンと、様々だが、文字と矢印などばかり。
ミッツ「いたずら描きなんてしたら、先生に失礼でしょ」
ハル「でも、この曲のイメージを、具体的に絵にしたりとか」
ミッツ。楽譜集をハルから奪う。「イメージを具体的にって言っても、例えば『8.清い流れ』だったら、川の絵を描く以外に、何がある? 寝坊してパンと歯ブラシを口にくわえて、頭をブラッシングしながら走る絵とか?」
ハル「いやいや、川でもいいんだけど、川だって、小川もあれば、渓流もあるし」
ミッツ「そんな、描くこともできない絵を描いたって、下手な絵を描いても、邪魔でしょう」
ステラ「ベートーベンの『エリーゼのために』だったら、白雪姫のイメージだったり」
ミッツ「エリーゼを、おとぎ話の白雪姫のように、美しく祭り上げるのもいいけど、これははっきりと『清い流れ』だから、どうやって水の流れを演奏で表現するかってのを、頑張るのよ」
ミッツ「「この曲は、清い流れだ、清い流れだ」って思いながら弾かないと、教えてくれている先生に、失礼でしょ」
ハル「そっか、先生に失礼か」
ミッツ「だって、先生は専門家なんだから、あたしが何か考えるより、教わったことを、しっかり忘れないように、メモしてるのよぉ」
ミッツ「だから、楽譜に蛍光ペンで大きく「めざせ全国」とか書くなんて、楽譜を大切にしていないじゃないかな」
これは、アニメ『響け!ユーフォニアム』を見た、ミッツの個人的な感想。
ハル「あれは、青春を謳歌する道具として、音楽があるんだろ?」
ステラ「道具だから、音楽を大切にしているんだと思います。青春を謳歌するための大切な道具なんですから」
ミッツ「もうっ、ステラちゃんったら。あたしだってわかってるよー」
ハル「で? 何だ? 女が自分の生い立ちを披露するのは、何らかの思惑があるのか?」
ミッツ「そうじゃなくって、これ」『9.狩猟』または『12.さようなら』を開いて、机に置く。最初の小節を、指先で叩く。
ハル「おおーっ。確かに、最初と最後の小節は、拍が少ない」画面には見開きの全体を表示。両手の指で、最初と最後の小節を指している。最初と最後の小節の部分だけが拡大され、差し棒で「音価を足したら、1小節分の長さになる」と表示。
ミッツ。ハルが楽譜を凝視しているところで、ステラを手招きする。
ステラ。急いで立ち上がり、ハルに少し体が触れるように寄る。顔を赤くしながら。「本当ですね」
ミッツ。机から楽譜集を取り上げて、『14.スティリアの女』を開いて、また机に置く。転調する箇所を指し、ハルに顔を向け、顎と視線で、「ここを見ろ」と促す。
ハルは、リピート記号の箇所の不完全小節を確認している。ステラはその時、最初の小節は普通なのに、最後の小節が不完全小節なのを見付ける。
ステラ「これは、どうなんですか? 足りないです」
ハル「それは、最初の小節と足したら……あれ? そうでもないか」
画面は、楽譜集の見開き全体から、最初と最後の小節部分だけを拡大し、並べる。最初の小節に差し棒で「普通の拍数」、最後の小節に指し棒で「拍が足りない不完全小節」を示す。
ハル「すごい、ステラ。よく見付けるよな」感動してステラを見る。
ステラ。大きく口を開ける笑顔。
ハル「それで、最後からリピートして……」
『14.スティリアの女』だけでなく、『20.タランテラ』も見るのも良い。拍子記号、リピートに挟まれて8分休符だけの箇所(『20.タランテラ』にある)、リピートの開始位置など、チラチラ見る。
ステラ。ハルの視線の動きを、頑張って追おうとする。
画面には、見開きの全体から、いくつかの箇所だけが拡大され、手拍子用の代わりに8分音符が出現し、数字「1」から「6」が添えられる。
ハル「確かに。こんな中途半端に小節が区切られているのに、手拍子が狂うことが無い」
ミッツ。なぜか得意気に。「そうでしょーっ」
ステラ「手拍子が狂う……ですか?」
ハル「これは、8分の6拍子だから、手拍子は、こうなる。1、2、3、4、5、6。1、2、3、4、5、6……」言いながら、指を移動する。指が楽譜をトントンすると、波紋のようなピンクが表示される。
画面には、楽譜の最初の拍子記号と、3小節分。ハルが数える声に従い、音符の近くに数字が出現する。楽譜の、ピアノの指番号は、手拍子の数字と紛らわしいので、表示しない。
ステラ。途中から、ハルに合わせて音符を順に指で辿る。ハルの声に合わせて「1、2、3、4、5、6」と言う。
ハル「そして、ここ。中途半端なのに、ちゃんと、6まで数えてから、1になる。1、2、3、4、5、6……」リピート箇所がいくつかある。全部のリピート箇所を辿る。
飛び戻るときは「1、2、3、4、5……6」のように、注意喚起しながら「6」に行く。
ミッツ。ステラが、顔を赤くしながら、わざとらしくハルに触れるのを見て。「ねえ、ハル。ステラちゃんがね、あんたのこと好きなんだって」
ハルとステラ「な……」
ステラ。心の声。「(なんで勝手に告白してんのー)」
ミッツ。ステラの隣に移動し、ステラを抱いて。「でも、あげなーい。ステラちゃんは、あたしのだもん」
ミッツ。ステラの顔を見て、改めて抱きしめる。「可愛いーー!」少し回転しながら、ベッドに倒れる。
ハル「でも、この前、ああ、泣かせてゴメン。それなのに、なんで?」
ミッツ。ハルを無視している。ステラの衣服の、メルヘンの小物をつまむ。「ねえ、これ、ステラちゃんだから、似合うんだよね。どこで売ってるの? 今度、一緒に買いに行こう。デートしようよ」
ミッツの百合じゃれ。
ミッツ。ステラの髪をつまむ。「きれいな色ねえ。上品な茶色で」
ステラ「あ、祖母がイタリア人だから」
ミッツ「そうなんだあ。ねえ、おしゃれの勉強をしたの? 教えて、教えてぇ」
ステラ。ハルに助けを求める表情だが、ハルは楽譜棚に向かう。
ハルにとっては、どうせ、いつもの、ミッツの悪ふざけだろうと思っている。
ハル。楽譜棚から、シリーズ物の「ピアノ名曲全集」を数冊、机に置き、目次を見て、『結婚行進曲』を探す。
ハル「あ、ほんとだ。最初の小節は、ちゃんと4拍ある。最後の小節も。それから、区切りの小節線もある。さっきの、ギター編曲した楽譜と、同じところと、違うところがある」
ミッツ。ステラに向かって「ほらね、ハルは結構、役立つのよ」楽譜を横取りする。
ステラ。2人がそれぞれ勝手に動くから、先刻の告白の話題に戻れない。
ステラ。心の声。「(さっきの、勝手な告白代行の話は、どうなったんだろう?)」
ミッツ「それでは、あたしとステラちゃんの将来のために弾くね。でも、久しぶりだから、所々間違えたり、止まったりするのは許してね」
ミッツ。心の声。「(さてと、ステラちゃんの告白代行はしたから、ウチに呼んだ口実の、演奏をすればOKっと)」
ミッツ。ピアノを開けて、『結婚行進曲』のページを開いたまま楽譜台に置き、演奏する。ちょっと間違ったりする。
ハルは、後ろから楽譜を凝視している。
ミッツ。演奏を中断。「ハル、演奏の邪魔! もっと離れなさい」
ミッツ。演奏再開。
時が飛んで、演奏が終わったので、ハルとステラが拍手。
ハル「演奏が終わって、すぐで悪いけど、ここの所、どうやって弾いたんだ?」Aメロの終わり、左手の交替の箇所を指す。
ミッツ「これは、音の交替で、えーっと、その前に「トレモロ」の説明がいいかな?」
ハル「トレモロ?」
ミッツ「同じ音の連打。音符をたくさん書く代わりに、省略した書き方」楽譜。上段に全音符に線1本、下段に8分音符の連打。上段に全音符に線2本、下段に16分音符の連打。
ハル「ああ、符桁の数と同じ本数の、太い線を書くのか。少し斜めの、太い線だな」
ミッツ「そう。4分音符に付けることもできるの」楽譜。4分音符でドのトレモロ、ミのトレモロ、ドミの重音のトレモロ。
ミッツ「こんな風に」
ミッツ「『エリーゼのために』だって、トレモロの表記にできるよ」楽譜。『エリーゼのために』(ベートーベン)の、左手連打の箇所。
ミッツ「小節の途中で、使う音が変わったら、こんな書き方」楽譜『エリーゼのために』(ベートーベン)。
ステラ「トロンボーンでもあった。トゥクトゥクトゥクって、舌の先と根元の両方で」ここでのセリフの発音は、子音の「tktktk」だけで、発声はしない。
ハル「タンギングってやつか?」
ステラ「そっ(そう)」
ミッツ「リコーダーのタンギング?」背景に、小学校での縦笛の授業。先生が「「フーフー」ではなく、舌を使います。「タンギング」と言います」と言っている。
ハル「「舌」は英語で「タング」だから「タンギング」」
ステラ「そっ。でも、細かく刻むには、舌だけじゃ間に合わないから、舌の付け根も使って、tktktkって」
ミッツ。たどたどしく、舌先だけで。「トゥトゥトゥトゥ……」
ミッツ。舌先と、舌の根を交互に。「tktktk……。ほんとだ、速くできる」
ステラ「楽器は、口の外側にあるから、「トゥ」でも「ク」でも、同じように鳴るの。でも、口笛は、口の中が楽器だから、「トゥ」を使うと、変になるよ」吹いてみる。
ハル「それって、トム・ソーヤの、「口笛の特別な吹き方」ってやつか?」
ステラ「うーん、トム・ソーヤは読んでいないから、わからない」
ミッツ。タンギングで口笛を吹いている。セリフの邪魔にならないように、これまで音量は小さかったが、大音量になり、ハルの耳の近くに寄り、うるさくなる。
ハル。ミッツの顔を押して、遠ざける。
ハル「テレビでは、もっと細かいのもやってたな。いや、細かいのはフルートだったかな?」
ステラ「ああ、それは巻き舌。こうやって吹くの」巻き舌をする。
ミッツ「あ、上手!」
ハル「俺は巻き舌ができないから、こうやって誤魔化す」裏声のような声で、のどちんこを揺らす。
ステラ「口蓋垂(こうがいすい)ですね」
ミッツ「?」
ハル「鳴らしているのは、のどちんこだ」
ミッツ。納得したように。「あ、ははーん」横目でステラを見る。
ミッツ「ハルが、のどちんこをブルブル」セリフの「ちんこ」を強調。
ステラ。少し赤くなる。
ミッツ「ハルが、小さなのどちんこをブルブル。これから大きくなるのかな?」
ハル「のどちんこが、大きくなるかっ!」
ステラ。音階を歌う。「ドーレーミー」ここで、「レ」だけ巻き舌。ステラは、第10話で、イタリア語の音名の「レ」の巻き舌を練習した。
ハル「「レ」だけ、巻き舌なんだよな」
ミッツ「え? そうなの?」
ステラ「ギターでも、あるんですよね」
ハル「クラシックギターのトレモロは、こんな感じ」弾く真似。
ミッツ。ハルの指の動きを見て。「うわっ、気持ち悪い」
ハル「気持ち悪いって言うな!」
ミッツ「ピアノでトレモロは、こんな弾き方をするよ」1つの鍵盤を、複数の指で、ややゆっくりの連打。「さっきのハルがやった、ギターの弾き方に似てるね」
ミッツ「で、トレモロを示す線が3本になると……」背景に、トレモロの線が3本の音符。「……もう細かくて、きちんと楽譜通りに演奏するっていうより、「とにかく細かく」っていう意味だよ。まあ、2本でも「とにかく細かく」のこともあるけど」
ハル「あ、そうなんだ。で、この音符は? 白玉だから、符桁が付くのはおかしいのに」背景に、全音符と2分音符に、差し棒で「玉が白いから白玉と呼び、長い音価」と記す。
ミッツ「これが、音の交替。ここでは、符桁みたいな、太い線は、ここでは音符の棒と繋がっているけど、棒とは繋がらない書き方もある」楽譜。交替の符桁が、棒と繋がらない例。
ミッツの自宅にある『結婚行進曲』は、繋がる表記なので、ハルが疑問に思った。
ミッツ「符桁は、音符の棒とくっ付いていても、離れていても、同じ意味」
ミッツ「一応、符桁と棒が、繋がらない形で説明するから」
ステラ「お願いします」
ミッツ。2分音符で符桁が1本の交替。2分音符で符桁が2本の交替。符桁が2本の楽譜は、「ド」と「ミ、ソ」の交替。上段に交替の書き方、下段に交替を使わない書き方。
ハル「なるほど」
ミッツ「で、気付いたかな、ここでは交替に2分音符を2つ書いているけど、時間は2分音符1つ分」
ハル「あ、ほんとだ」
ミッツ「ポピュラー曲では、こんな書き方もされてるよ」棚からポピュラー曲の楽譜集を出す。音の交替ではなく、2分音符の和音に3本のトレモロ。
ステラ「え? これって、すごく速く、ダダダダ……って弾くんですか? 和音だから、不可能じゃないですか?」
ミッツ「と、思うけれど、本当はこんな風に、ぐちゃぐちゃに、指が動きやすいように素早く。記譜はトレモロなのに、演奏はぐちゃぐちゃ交替の方法」弾く。
ハル。『結婚行進曲』のトリルを指す。「これはトリルだな」
ミッツ「そう。ドに付いていたら……、あっそうだ、トリルの演奏にも2種類あって、ドから始まって「ドレドレド」と、レから始まって「レドレド」の、どっちか、楽譜を見てもわからない」
ステラ「どっちなんですか?」
ミッツ「どっちが正しいかは、曲によって違うから、多分、先生に聞けば教えてくれる」
ハル「え? 先生だけに内緒で受け継がれる、秘伝書があるのか?」
ミッツ「そうじゃなくて、ドのトリルの場合、クラシック曲では1つ上のレから始まることが多くて、ポピュラー曲では音符のドから始まるのが多いとか」
ハル「いい加減だな」
ミッツ「ショパンの『英雄ポロネーズ』も、解釈で演奏方法が変わるよ」
ミッツ。書棚から楽譜を出す。『英雄ポロネーズ』「A'メロ」の1小節目の、左右の手がオクターブユニゾンで「ミ♭→ラ♭」の部分を指す。
ミッツ「ここ、左右の手は似ているけど、右手にはトリル「tr」があるでしょ。これは、「ミ♭」の音符にあるから、ミ♭から始めるか、1つ上のファから始めるか」
画面に、この1小節の右手だけの楽譜を、3つ上下に並べて表示する。それぞれ(1)(2)(3)とする。
楽譜(1)オリジナル。前打音を、ぼんやり緑色で囲む。「tr」と対象の音符を、ぼんやりの赤色で囲む。
楽譜(2)普通の音符で表現。前打音だったミ♭をぼんやり緑色で囲む。「tr」だった音符はファから始まり、ぼんやりの赤色で囲む。全部が符桁で繋がっている。補足で「「tr」がファから」を添える。
楽譜(3)普通の音符で表現。前打音だったミ♭をぼんやり緑色で囲む。「tr」だった音符はミ♭から始まり、ぼんやりの赤色で囲む。全部が符桁で繋がっている。補足で「「tr」がミ♭から」を添える。
この、3つの楽譜の画面内で、ミッツとステラとハルの会話は、先生ちゃんのように、顔だけにする。
ステラ「(1)が元の楽譜ですよね。それを演奏するなら、(2)と(3)の、どっちなんですか?」
ミッツ「きっと、(2)の演奏で、1つ上のファから始める。というのは、小玉、装飾音符で、わざわざミ♭が書かれているから」
ミッツ「もし、(3)の演奏で、トリルがミ♭から始まるなら、ミ♭を2回連続することになる。だから、トリルはファから始まると思う」
ハル「それは、諸説ありますのひとつか?」
ミッツ「きっと、そうだよ。どこかの高名な研究者なら、別な解釈があるのかも」
ハル「ミッツのピアノの先生は、何て言ってるんだ?」
ミッツ「ミ♭は無くてもいいって」
ステラ「どっちでもいいってことですか?」
ミッツ「詳しくは、聞かないでね」
ハル。ステラに向かって。「「諸説あります」で、いいだろう」
3つの楽譜の画面が終わる。
ミッツ「ターンもそうだよ」背景に、ドのターンの、裏表の2種類を左右に並べる。
ミッツ「この2種類は曲がり方の通りに弾くけど、最初の音が無い状態から始める場合もあるの」ターンの下に楽譜。どちらもドから始まる。
ターンは、「S」を寝かせたものと、「S」を裏返しにして寝かせたものの、2種類。
ミッツ。演奏する。まずはドを弾き、「これにターンがあれば」弾く。「ドレドシド」と「レドシド」の2種類、裏返しも含めて4種類。弾いている小節をピンクで強調。
ステラ「これも、どちらでもいいんですか?」
ミッツ「そうよ。自分が信じた通りに!」親指を立ててウインク。
ハル「何なんだよ、そのウインクは」
ミッツ「この記号を、もしも音符として書いたとしても装飾音符だから、曲のテンポを変えないで、細かく紛れ込ませる演奏になるよ」背景に「装飾音符」と、そのフリガナ。
ハル「音符として書いても、音は鳴らすけど、装飾音符だから音価の足し算に含めないってもんだな」
背景に、『春の歌』(メンデルスゾーン)の楽譜と、ちょっとの演奏(BGM)。装飾音符には、指し棒で「テンポを崩さないように、そっと紛れ込ませる」を添える。
ステラ「飾りの音符ですね」
ミッツ「トリルにも、ターンにも、臨時記号が付けられるよ」背景に臨時記号の説明文「調号で音階スライドに選ばれなかった音を出すために、音符の左側に書く、♯や♭やナチュラル」を表示する。
ハル「トリルもターンも記号だろ。音符の玉が無いんだから、左側に書いても、わからんだろう?」
ミッツ「左じゃないよ、上下に書く。これは、トリルもターンも、同じ規則だから、ターンで説明するよ」ラの音符に、ターン。ターンの上に♭、ターンの下に♯。
ミッツ「この場合、ラのターンだから、上に書いてあるのはシに♭が付く。下に書いてあるのはソに♯が付く」弾く。
ミッツ「楽譜にすると、こうなる」
楽譜。臨時記号が付いたり付かなかったり、♯だったり♭だったり、いくつかの例。上下の2段とし、上段はターンの表記。下段は普通の音符で表現。
ハル「臨時記号が無かったら、ナチュラルを弾くのか?」
ミッツ「いやいやいや、そうじゃない。臨時記号は調号に逆らうから、何も無ければ調号に従う」楽譜。調号に逆らって、ナチュラルを使う例。
ステラ。ミッツを見て。「すごいですね」音の出ない拍手の仕草。
ミッツ。ハルに向かって、得意気な顔で。「どうだ、ステラちゃんから、すごいって言われたぞ」
ハル「何で俺に威張るんだ」
ミッツ「まあ、いいじゃないか、付き合え!」ハルの背中を、軽く叩く。
ハル。一瞬、声が詰まった後。「え? どこに? 何を言ってるんだ」
ミッツ「ステラと付き合え」
ハル。急に赤くなる。「さっきから、何を、いきなり、いきなり、何を。ふざけた冗談だろうと思ったら」
ミッツ「そう、いきなり恋愛対象にしろってのは無理だが、まあ、付き合ってみろよ、な!」
ステラ。顔面が、福笑いのように、目鼻口が移動している。動きが激しくなり、口が弾き飛ばされる。
ミッツ「色恋沙汰って、面白いじゃないか。ウキャキャ! 誰かがくっ付いたとか、離れたとか、ワクワク最高潮!」よだれを拭く。
ハル「面白半分に言うな!」
ミッツ。ステラを呼ぶ。「ホレ、握手」
ミッツ。大声で元気付けるように、笑顔で。「握手しろ!」
ステラ。床に落ちた口を拾う。驚きでガクガクする口を、気持ちが混乱しているから、誤って額に付ける。すぐに拾えなくて、何度か床に落とすのも良い。口が顔から滑り落ちて、手の甲に載り、手の甲の上で口がガクガク震える。
ホラーっぽい効果にするなら、目が手の甲に落ちても良い。顔から目が落ちる手法も、ホラーの効果はあるが、配慮が必要かも。
ハルとステラ。握手する。
ミッツ「まあ、恋愛経験の無いあたしが言うのもおかしいが、付き合い始めたら、多くの時間が必要になる。楽しいから一緒にいる時間が増えるが、相手の時間を奪って良いのではない」
ミッツ「他の友達との、青春時代の思い出作りの時間は、恋愛のせいでほとんどが奪われる覚悟を持て」
ミッツ「それから、相手を攻撃しない、攻撃されることをしない。相手を大切にして、ワガママを無理強いしない。恋愛は信頼で成り立つから、嘘や隠し事は絶対に御法度!」
ミッツ「相手が味方だから一緒にいて楽しい! 相手が敵になった時が恋の終わり! 恋が終われば、それまでの永遠の誓いも終わり! 意外と身近にあった運命の出逢いは、面倒でも、別な誰かと」
ミッツが言っている間、ミッツの部屋の中の、あちこちが画面に映される。BLものを含め、様々な恋愛関係の書籍(マンガ、ロマン小説など)、DVDなどがある。
ミッツ。一気にまくしたてた後、一息。
ミッツ「まあ、同じ学校の中で、別れたら気まずいが、これまで通り遊んだって、いいだろう! 楽しいことを減らすのは、あたしの望みじゃない!」
ハル。心の声。「(付き合い始めの時に、別れの話か。結婚式のスピーチは、誰も頼まないだろうな)」
ミッツ。偉そうな表情。唇を上に移動し、顎が大きく見える。口角が上がっている。腕組みするか、握り拳を腰に当てる。
ミッツ「ということで、お祝いだ」
ミッツ。くるりと振り返り、ピアノの椅子に座る。振り返る動作は、腰が先に周り、スカートがひらり。次に脚。顔が最後。この、回る仕草の時間は、髪の毛で目が隠れている。
ミッツ。『結婚行進曲』を演奏する。Aメロから、そのままコーダに続く。
ミッツ。弾きながら、ピアノの壁に映る2人を見る。ピアノの壁の大きさで、後ろに立っている2人の顔は見えないが、ステラが少しかがんで、ハルの胸に顔を押し付け、甘えている様子。その後、キスをしているらしい。
ステラがハルの両手を取り、軽く振る。ステラが、くるりと回る。などなど。
ピアノを弾いているミッツは、ステラにとって後ろ向きなので、好き勝手をしているようだ。
ハルとステラの、身長差に注意。ステラの方が、少し背が高い。
ピアノの壁には、ミッツの顔も映る。下唇を噛む、上の歯が見えている。髪の毛で目が隠れている。カメラワークの移動で、ピアノの壁の、小さな汚れ、または傷が、ミッツの涙のように見える。
ミッツは、「決まった相手との恋愛」というより、「仲良く遊ぶ」の構図の変化に、動揺している。「ミッツの涙のように見える」の表現により、失恋のように視聴者に思わせ、恋の相手が、ハルなのかステラなのかを想像させる。
▼ Cパート。 ▼── ──▼
昼休み。理科準備室。
ヤッ子。コーヒーを飲んでいる。
ハルとステラが入って来る。戸を開けた理科室の内側から見ると、ハルとステラの向こうに、廊下を歩いているショージが見える。
ハル「失礼します。あ、ヤッ子先生、ちょっといいですか?」
ヤッ子「どうした? 揃って」
ハル「ええ、昼休みに、職員室にも音楽室にもいない日は、いつもここでコーヒーを飲まれるので」
ステラ。ハルが話している時に、後ろ手で戸を閉める。
ヤッ子「用件を言いたまえ」
ハル「あの、僕ら、付き合うことになりました」
ヤッ子。少し考えて「なぜだ」
ハル「いや、なぜって……」
ハルとステラ。互いに目を合わせる。二人は、ヤッ子の「なぜだ」の意味を、「なぜ、付き合うのか?」と思う。
背景に、いくつかの言葉が飛び交う。「どうして、付き合うようになったのか」「ミッツの話をしようか」「すぐに、キスしましたよね」「俺の、どこがいいんだ?」
ハルとステラは、なぜ付き合うことになったのかを、どうやってヤッ子に説明するかを、思案している。
ここで、ハルとステラの、これまでの様子を、思い出のように、短時間の動画の連続、または、いくつかの静止画を表示しても良い。
ステラの転校前日の引っ越し。学校のグランドから、ショージが見染める。
ステラが、トロンボーン先輩の隠し撮り写真を、校門の内側で見ている。
ハルが紙飛行機を飛ばす。
ハルに、ショージ、ミッツ、ヤッ子が抱き付く。
ステラが自宅玄関前で泣き、その向こうを、ショージが去る。
トロンボーン先輩が、ムギと下校。
美術の写生で、ミッツの手が震え、泣きながら去って行く。
ミッツが、ハルにコブラツイスト。
ステラの自室のコルクボードに、空きスペースができて、ハルからの電話をスマホで受けながら、ハートマークなどが輪舞する。
オルゴール館での待ち合わせに遅れたステラが、走って来る。
オルゴール館の、オートマタの室内で、泣いているステラに、ハルがポケットティッシュを手渡す。
オルゴール館の帰りのバスの中で、スマホで記念写真を見ている。
ミッツの部屋で、楽譜を見ているハルに、ステラが近付き、わざとらしく手を触れる。
ミッツの部屋のピアノの壁に、ハルとミッツが映り、キスをしている様子。
ヤッ子「なぜだ」
ハルとステラ「なぜって……」
ヤッ子「なぜ、そんなことを、私に報告する」
ハル「へ?」
ハル。心の声。「(報告?)」
ステラ「そう……いえば?」
ハル「なぜ……だろう?」
ヤッ子「私はシメジ婆さんではないぞ」
3人、ちょっと沈黙。
ヤッ子「まあ、恋愛経験が豊富な私が言えるのは……」
ハルとステラ。ヤッ子が言い終わらないうちに、声をそろえて言う。「相手の時間に気遣い、ワガママを無理強いしない……」
ショージが、廊下の、理科準備室の前に来る。ハートマーク付きの封筒を持っている。
理科準備室の中。ヤッ子。2人が言い終わらないうちに「それもそうだが……」
妖精ちゃんが戸が開ける音で、ヤッ子の声が消される。ショージが現れる。ショージの鼻が、瞬時にバラの花束になる。
▼ 1コマ漫画。 ▼── ──▼
「ありがとうございました」
数枚の集合写真。
第4話で、吹奏楽の演奏に参加した、プロの演奏家。
ハルの父親のギターなど、単発で演奏した、プロの演奏家。
声優を含め、スタッフの集合写真。これだけで、枚数が多いかも。
先生ちゃんとして登場した、ピタゴラス、ジョン万次郎などの歴史上の人物。
ED曲の背景も、アニメ制作の集合写真やスナップ写真を用いる。
関係者の全員は無理でも、できるだけたくさんの「人物(アニメ制作の関係者)を主役とした写真」を使用する。
原作者から「お疲れさまでした、ありがとうございました」
【終わり】
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