第12話 Aパート
【前書き】
なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?
楽譜の読み方を、アニメ脚本っぽい形で説明します。
当作品は、オリジナル『ガクテン』からR15を削除したものです。R15以外は、そのままですので、二重投稿に近いものです。
人間ドラマなどを削除した楽典のみのものは『ガクテン♪要するに版』をご覧ください。
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■■■■ 第12話。
▼ サブタイトル。 ▼── ──▼
計算しないが分数だ。
拍子がおかしい。
この中から1つだけ採用する。
▼ OP曲前。 ▼── ──▼
OP曲前の定型。他の登場人物は知らない、過去の出来事。ここでは、定型の「他の登場人物は知らない」ではない。
吹奏楽の先生の新婚時代。妻と共に喪服で、道を歩いている。
見上げた先に、「シメジ助産院」の看板。そこは、葬儀会場。看板の余白に、小さく「香り松茸 味シメジ」と書いてある。
シメジ婆さんの遺影は、光沢があり、顔ははっきり見えない。
祭壇の前では、参列者が順に、一言を言う。
子供「自転車に乗れるようになりました。ほめてください」一礼。
青年「浪人もしましたが、大学に受かりました。ほめてください」一礼。
4人程度の、小学生の女の子。小声で「せーの」と息を合わせて。「仲良しです。ほめてください」一礼。
吹奏楽の先生。順番待ち。手に持っている、訃報の葉書を、改めて見る。そこには、ひらがなで「ほめてほしいことを おしえてください」とある。
吹奏楽の先生「僕は、こんなに素晴らしい人を、妻にできました。ほめてください」
妻「夫が、このような素敵な人になってくれたのは、シメジ婆さんのおかげです。ありがとうございます」
夫婦で一礼。
参列者には、奇声を発し、体を動かし続ける中年もいる。その人の手首を、高齢者がしっかり握っている。
廊下には、貼り紙「授乳室 →」がある。哺乳瓶と赤ちゃんの絵、または、授乳中の絵。絵は、簡略化は程々のピクトグラム(子供が見てもわかる)。
広くて長い廊下に、会議机(長テーブル)があり、その上には、子供達が描いたと思われる、似顔絵などが、揃えられずに置かれている。これにより、今日の参列者が置いていることを表す。
その紙の1枚には、子供が描いた似顔絵に添えて、大人の文字で「次にシメジ婆さんに会う時に、おみやげをたくさん渡せるように、褒めて欲しいことを増やしています」と書かれている。
廊下が広いので、車椅子でも通れる。
シメジ婆さんのことを話す時、主に「シメジ婆さんが言ってた」という、人生訓が多かった。しかし、シメジ婆さんの魅力は、「褒めて欲しいことを教えて」や、次に来る口実に、食べ物の器の返却もある。
▽ 場面変更 ● ── ●
現在。
吹奏楽の先生の部屋。
本棚の上には、2つの額がある、1つは結婚式の写真。もう1つは、子供の頃に描いたシメジ婆さんの絵。絵には下手な字で「シメジばあさん」「すき」と書いてある。
額の右下のスペースには、シメジ婆さんの顔写真。光沢があり、シメジ婆さんの顔は、はっきり見えない。
額の手前には、タロットカードに、黒いリボンが巻かれている。
▼ Aパート。 ▼── ──▼
第4話と第12話では、曲の演奏を行う。他の話は、楽典の説明用のサンプル演奏はするが、曲の演奏は行わない。
放課後。理科室。
ハルがヤッ子に、ギターを聞かせている。自宅から持参したギター。
まだ下手だが、申し訳程度に歌も添えている。コードが変わる時には少し間が開く。右手はほとんど単調だが、楽譜に従うように注意している。
ジャンルは、Official髭男dismや、amazarashiのようなもの。または、ハルが父親から教わった「ギターの入門に適している」の理由から、1970年代のフォークソングでも良い。
フォークソングは、第10話で、「父が、中学生の頃に先輩からもらった」として、ポケットから出した楽譜のコピーで、歌とギターの縦が揃っていない話がある。
ハル。楽譜集の書籍を机上で開き、見ながら演奏している。ヤッ子はハルの後ろから、斜めに楽譜を見ている。
ハル「どう? 弾けてる?」
ヤッ子「演奏が拙いのは仕方ないが、よく楽譜を読めているな」
ハル「まあ、芸術としては楽譜に逆らってもいいけれど、楽譜がちゃんと読めてるか確認してほしかったんです」
ヤッ子「うん。残念ながら、小学校では楽譜が読めているかの確認に、「演奏できているか」が用いられているようだが、演奏技術と読譜とは、別物だ」背景に「読譜=楽譜を読むこと」を表示。
ハル「そうですよね」
ヤッ子「読譜が不十分でも、試行錯誤で楽器演奏ができれば、それで読譜できたと判断するしかないのも実情だ。学校は忙しいからな」
ハル「楽譜の、音符だけでなく、コードもちゃんとできているでしょ」
ヤッ子「ベース音にも気を付けているんだな」
ハル「父に教わりました。ベース音に何が使われているか。根音なら基本形和音、根音以外の和音構成音なら転回形和音」
ヤッ子「ふむふむ」
ハル「和音構成音以外をベース音に使うこともあれば、ベースがメロディっぽいと、コードネームに表現しないこともある」
ヤッ子「ふむふむ」
ハル「ベース音が根音なら、コードネームは普通の書き方。ベース音が根音以外なら、コードは分数和音になる」
ヤッ子「ふむふむ」
ハル「まあ、こんな感じです」
ヤッ子「素晴らしい。ここまで説明できれば、申し分無い」
ハル「ありがとうございます」
ショージ。乱入する。「♪あーーぁりがとう、ございますぅーー」
ヤッ子「どうしたんだ、今日は先輩はいないのか?」
ショージ「トロンボーン先輩は、卒業しました」
ハル「?」
ミッツとステラ。手を繋いで、恐る恐る、ミッツが先に入って来る。「あのお、お邪魔して良いでしょうか?」
ヤッ子「おお、蜜霧君が理科室に来るとは、珍しいな」
ハル「ミッツ、吹奏楽のトロンボーン先輩が卒業だって」
ミッツ「嘘! なになに、卒業って?」
ハル「ショージさんが」
ショージ「あ、卒業っていうか」
ヤッ子「わかるように言ってくれ」
ショージ「いや、何か、冗談を言うべき雰囲気かなと思って、何か、口から出まかせを言いました、済みません」首だけペコペコ。
ミッツ。驚いてショージを見る。心の声。「(ショージが、謝っている)」
お気付きでしょうか、ステラがトロンボーン先輩に失恋した後は、トロンボーン先輩は登場していません。
ショージ「で、ギターがあるってことは?」
ヤッ子「そう、歌で愛を語り合っていたんだ」ハルの髪の毛を、鷲掴みでゴシゴシする。
ショージ「それで、愛は伝わりましたか?」
ヤッ子「演奏は下手だが、楽しさは、しっかり受け取れたぞ」
ショージ「まあ、ハルの場合、ギターは演奏用ではなく、楽譜の謎解きができたかっていう、確認だもんな。思った通りの音が出たら、楽しいだろう?」
ハル「楽しいです。暗号が解けたというか、クロスワードパズルが完成したとか、ルーブゴールドバーグ・マシン(Rube Goldberg machine)が最後まで行ったというか」背景に、それぞれが完成した様子を表示。
ショージが、ハルに向かってガッツポーズ。ハルも応える。
ミッツ。再び驚いてショージを見る。心の声。「(ショージが、相手の立場を思い遣っている)」
ヤッ子。ショージの髪の毛を、鷲掴みでゴシゴシする。「早坂君が楽しいと、東海林君も楽しいんだよな」
ショージ「そうですよ」本気で嬉しがっている。
ヤッ子「周囲から好かれることを目指すのも良いし、周囲の成功を共に喜ぶのもいいな」
ステラ。心の声。「(第6話の、長調と短調の話の時にあった、恋愛対象のことかな?)」
ヤッ子「ところで。東海林君は、コードがわかるか?」
ショージ「ちょっとだけですが」
ヤッ子「ちょっとでも、大したもんだ」
ショージ「あれ? この斜めの線は?」
ハル「これはベース音。ベースが、根音以外を鳴らす時、この書き方をします」
ショージ「根音以外? 根音のことを、英語でベース音って言うんだろ? 違ったっけ?」
ハル「え? 根音はコードネームの最初に書かれている単音の名前、ベース音は低音の指定」
ステラ。ハルとショージを交互に見る。
ヤッ子「この話では、早坂君の方が正しい。おそらく、東海林君の読んだ資料が誤りか、資料の文章の一部だけが印象に残ったのだろう」
ステラ。憧れの表情でハルを見る。「早坂さんは、きちんと勉強なさっているんですね」
ヤッ子「それもあるが、東海林君がデタラメなのではないぞ。一時的な勘違いは、勉強に付きものだ」
ヤッ子「東海林君を褒めるべきなのは、自分の知識が誤りかも知れないという意識だ。時には、自分が正しいから、相手が誤りだと決めて話す人もいるからな」
ヤッ子「根音は、英語でルート音だ。数学で、平方根のことを「ルート」と言うだろう」背景に「平方根」と、そのフリガナ。「根音」と、そのフリガナ。両方の「根」に差し棒で「これがルート」と指す。
ヤッ子「最低音は英語でベース音だ」
ショージ「ベースって、基本という意味だから、根音でしょう?」
ヤッ子「これもややこしいから、確認しておこう。「ソプラノ」「アルト」「テノール」「バス」って聞いたことが無いかな?」
ミッツ「あります。合唱の、パート分けですね」
ヤッ子「その通り。低音を担当する「バス」は、楽器のベースギターの「ベース」と同じだ」
ヤッ子。黒板に「ベース」「bass」「低音」と、「ベース」「base」「基礎」を書く。
ハル「ややこしい!」
ヤッ子「だから、ベース音は「低い音(bass)」の意味だ。「基礎の音(base)」「根音(root)」ではないぞ」
ショージ「でも、ベース音は、斜め線じゃなく、「on」って書きませんか?」
ショージ。黒板に表記の違いの「D/A」と「D on A」を上下に並べる。
ヤッ子「どちらの表記もある。更に、こんな書き方もあるぞ」黒板に「D Bass A」と書く。
ヤッ子「斜め線の書き方は、ちょっとした弊害もある」
ヤッ子。黒板に、上段の歌と、下段のギター、2段の楽譜。理科室なので、楽譜は略した書き方。「4/4」拍子。歌はソの付点2分音符と、4分休符。ギターは、前半の2拍はC、後半の2拍はG。コードネームは上段の上に。
ヤッ子「この場合で、コードは、2拍はC、次の2拍がGだとわかる。しかし、もしもギターの楽譜が無くて、歌とコードだけの楽譜なら、どこからGに変わるのか、わからない」黒板の、ギターの分を隠す。
ハル「真ん中に書かれていたら、何となく半分だって、わかりますよね」
ヤッ子「ところが、こう書く楽譜もある」Gの左側にスラッシュを加え、「/G」とする。「これで、小節の真ん中だと表す場合もある」
ショージ「そんなの、見たことが無い」
ヤッ子「ところが、実在するんだ」
ハル「もし、小節の横幅が狭かったら……」
ステラ「小節の半分でコードが変わるのか、ベースの意味なのか、区別ができない……」
ヤッ子。別途の楽譜で、小節の幅が狭いので、「C」「/G」が近付き、「C/G」のように書く。
ヤッ子「そうなんだ、区別できないんだ」
ミッツ「この、斜めの線は、分数の表記を借りているんですよね。だったら、上下に並べたらどうです?」背景に、分数の表現あれこれ。時速の「40km/h」、印刷物のページ「現在ページ番号/総ページ数」、回転数の「3000rpm」なども。
ヤッ子「その通り、良いアイディアだ。「分数和音」といって、上下に書かれているものも実在する」
ヤッ子。黒板に上下の分数の表記も書き加える。これで、黒板には「D on A」「D Bass A」「D/A」「D/Aを上下の分数の形」の4種類が書かれた状態になる。
ヤッ子「上下に書けるなら書いているが、昔の活字の時代、写植の時代、歌詞の上にコードネームを添えるものなどなど、面倒さや、機械の制約や都合などで、様々に表現方法が工夫されて来た」
背景に、コードネーム付きの歌詞など、表記あれこれ。
ハル「ヤッ子先生、これって、間違いですか?」楽譜集の、別な曲を開く。「G/Am」とある。「これ、ベース音がAmっておかしいですよね。父が言っていたのですが、ベース音は単音ですから」
ヤッ子「ああ、これは「アッパー・ストラクチャ」だな」
ヤッ子。黒板に、手書きの五線で、ト音記号、玉の積み上げ「ド、ミ、ソ、シ、レ、ファ、ラ」を書く。下の3つに「三和音」、上の3つに「テンション」と添える。
ヤッ子「上の3つか4つが、テンションだ。下から4番目は、人によって、テンションと呼ぶか呼ばないかが変わる」
ヤッ子「そして、これらの玉のそれぞれに、♯や♭を付けるが」さっきの楽譜の玉を「ド、ミ♭、ソ、シ♭、レ、ファ、ラ」にする。
ヤッ子「うーん、これをどうやって、コードネームで表現するか……」わざとらしく、親指で額の端を掻き、悩んだ表現。
ハル「だから、数字の前に、♭とか書くんでしょ」背景に、「EM7♭13」など、いくつか思い描く。
ここで、「M7」の別な書き方「maj7」を紹介をしても良い。
ヤッ子「その場合、すぐに読み解くのが面倒だ。そこで考えられたのが、テンション部分だけを独立したコードのように書くのだ」
ヤッ子「これを、「Cm7」と、その上に「Dm」が乗っていると考えると、こう表現できる」黒板に、上下の分数の形、分母に「Cm7」、分子に「Dm」と書く。
ヤッ子「または、「Cm」の上に「B♭M7」が乗っているなら、こう表現できる」黒板に、分母に「Cm」、分子に「B♭M7」と書く。
ステラ「どっちでもいいんですか?」
ヤッ子「どっちの表現もあるので、どっちが正しいということは言えない」
ハル「また、これだ。ヤッ子先生はいつも、どっちも正しいと言いますね」
ヤッ子「そうだな。うんざりするが、みんながそれぞれに工夫しているので、否定はしないように」
ショージ「あれ? そしたら、「D/A」なら……」背景に、上下の分数の形。「……「A」はベース音か、コードなのか、区別できない」
ハル「長和音、メジャーコードは、音名の後に何も付けないから、混乱の元になるんですね」背景に、4種類のコードネーム。「長和音」「メジャーコード」と、漢字とカタカナを併記。
ヤッ子「そうなんだ。ベースを表すのか、アッパー・ストラクチャなのかの区別のために、この書き方の区別を使うこともある」黒板の「D on A」と「D Bass A」を指す。
ショージ「そうか、「D on A」ならアッパー・ストラクチャの意味ですね」
ヤッ子「しかし、ベース音の意味で「D on A」と書いているものもある」
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ。みんな、顎が力無く落ち、うんざりの表情。顎は角ばっている。「またかー」
ヤッ子「これら、コードの表記方法は、こだわりを以って「これが正しいに決まっている。なぜなら、あの表記はあんな欠点がある」と言い張る人もいるから、巻き込まれると厄介だぞ」
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ。さっきの表情から、顎が円く長く、『叫び』(ムンク)のような顔。腕はだらりと垂れ下がっている。「まじかー」
ヤッ子「楽譜の表現の正しさ、楽譜を読む正しさもあるが、現代は、1つの楽譜だけが資料という時代でもない。曲にもよるが、曲の資料となる媒体はあれこれだろう」
ヤッ子「そもそも楽譜は、実際の演奏や頭の中の演奏を、頑張って紙に表現したものだ。コードネームは、頑張って文字だけにしたものだ」
ヤッ子「伝達手段だから正しさは大切だが、限界があることと、限界があるから表現を工夫していることは、留意しておきたいな」
▽ 場面変更 ● ── ●
校内のどこかで、雑談。
教室。
男子生徒「さくらんぼって、何だ?」
女子生徒「あんたのことよ、チェリー君」
男子生徒「そうじゃなく、こんな、さくらんぼのような音符があったんだ」棒が下向きの「ド、ミ、ソ」の3つの玉が、さくらんぼのようになっている。「ミ」にアクセントが付いている。
女子生徒。じーっと見る。「これって、普通はこう書くんじゃないの?」簡単な楽譜。「ド、ソ」の棒が下向き。「ミ」の棒だけ上向きで、アクセントが付いている。
男子生徒。言われて当たり前と気付いたように「ぁ、あ。それもそーだね」
女子生徒「こんな楽譜もある」同じ高さの玉が2つ、さくらんぼの形。1つはナチュラル、1つは♯。
女子生徒「ファが2つあって、1つはナチュラル、1つは♯」
女子生徒「これ、別な資料では「ミ」と「ファ♯」だから」簡単な楽譜を書く。
女子生徒「これも、棒を上向きと下向きの書き方にもできるし、ファのナチュラルの代わりに、ミの♯としても同じ」
男子生徒「じゃあ、さくらんぼって、何だ?」
女子生徒「だから、どうにかして表現しようと苦心してるんでしょ! チェリー君」
男子生徒「もう1つ、聞いてもいいかな?」
女子生徒「答えられることならね」
男子生徒「この2つの表記があるって、覚えているの?」指で表記の違いを指す。
女子生徒。急に恥ずかしがって。「いやっ、そんなこと、答えられなーい」もじもじする。
男子生徒「は?」
女子生徒。素に戻って。「なーんてね。珍しいから、覚えていたの」
男子生徒「ということは、そこまで細かく、楽譜を読んだってことだよな」
女子生徒「そうよ」
男子生徒。心の声。「(恐ろしい奴)」
この2人の役名を、「佐倉」「桜」「チェリー」「智恵理」などに因んだものも良さそう。ED曲でのタイトルクレジットで、この場面を視聴者に思い出してもらうために。
▽ 場面変更 ● ── ●
理科室。さっきの続き。
ハル。音叉を使って、ギターの調律をしている。
ミッツ「ねえ、ハル。ギターを弾いたら、左手の指先が硬くなるって、ほんと?」
ハル「ああ、ちょっとだけ」指先を見せる。弦の形に、凹んでいる。
ミッツ。ハルの指をつまんでみる。「硬くない。凹んでる。ステラちゃんも来てごらん」
ステラ。ハルの指先を触らず、見るだけ。「本当ですね」
ハル「弾いてる時は、弦の形に凹んで、硬くはないんだ」
ミッツ。ステラに。「硬くないよ、触ってみて」ハルの指をつまんだまま、ステラに差し出す。
ステラ。触ってみる。「普通に柔らかいですね」
ミッツ「これなら、鼻くそをほじるのに、ちょうどいい」自分の鼻に向かって、ハルの指を引っ張る。
ハル。声を出して慌てて、手を引き戻す。
ショージ「仕方ない。ステラちゃんには……あ、いいや」手を、胸の位置まで上げたところで、言うのをやめる。
ハル。ギターの調律を再開する。
ショージ。ステラに説明。「音が合っていないと「ほゎほゎー」が聞こえて、音が合って来るとほゎほゎがゆっくりになって、無くなったら、ぴったりってこと」
ステラ「そうなんだ」
ハル「このほゎほゎを使って、音楽にできないかな」
ヤッ子。にやりと笑う。「あるぞ。テルミンだ」
ミッツ「あ、知ってる」
ハル。ステラに向かって「「テルミン」って、メルヘンの名前っぽいけど」
ステラ「ううん、知らないよ。「ひふみん」は知ってる」背景に、将棋の加藤一二三。
ヤッ子「おじさんには違いないが、テルミンは、一度は死んだと思われて、音楽の教科書にも、そう書かれたが、後に、まだ生きていることが発覚した」
ショージ「気持ちはわかるなあ、隠れて生きていたいって、思ったり、思わなかったり……」
ヤッ子「テルミンおじさんが発明した楽器がテルミンで、音のモアレ模様を使っている」
ハル「モアレ模様って?」
ヤッ子。窓の外を指す。工事現場で、囲う網を取り付けている、または、囲っている角の部分で、網が2枚重なって見える箇所がある。重なって箇所は、ぼんやりした縞模様が見える。
ヤッ子「網が2枚重なっていると、ぼんやりと、縞模様が見えるだろう。あれが、モアレ模様だ」
ハル「調律で「ほゎほわー」と聞こえるのが、音のモアレ模様ですか? それを楽器に利用したのが、テルミンですか?」
ショージ。妖精ちゃんから渡された、2本のゴムの帯を受け取る。透けているので、重ねて透かして見ることができる。2本とも同じ、細かな縞模様。重ねると、縞模様がぴったり合う。
2本のうち、1本を伸ばすと、モアレ模様が見える。
ミッツ。驚く。「わあ、本当にぼんやりの縞模様が見えますね」
ヤッ子「そう。ゴムの帯の、1つ1つの縞模様は、細かくて見えないが、モアレ模様は認識できるだろう」
ショージ「でも、どうやって2つの音を出しているんですか?」
ヤッ子「うるさいなぁ。私といえども、何でもかんでも、知ってるわけじゃない。ネットで探したら見つかるんじゃないか?」
ショージ「それもそうですね」
ステラ「あらゆる答えは、ネットにあるって、誰かが言ってましたよ」何かのアニメで言っていたのを思い出す。
▽ 場面変更 ● ── ●
音楽室。
吹奏楽部の生徒が、音楽の先生に質問している。
吹奏楽部の生徒と、音楽の先生は、生徒席の隣り合った席で、椅子に座っている。机には、生徒が持参した、楽譜などの資料。
生徒「お時間をいただき、ありがとうございます。今日は吹奏楽部はお休みで、でも、早いうちに勉強したかったので」
音楽の先生「いえいえ、お役に立てるのですから、構いませんよ」
音楽の先生。生徒から受け取ったノートを開く。「それにしても、吹奏楽の編曲とは、大変ですね」
生徒「そこで、この教則本なんですが」手渡したのは、『実践 吹奏楽部の編曲』『オーケストラアレンジの方法』といったタイトルの教則本。
以上の書名は、架空のものなので、実在していた場合、別な名前にする。
生徒「ここに、「1つのパートの中で、和音が完結していること」とあるんですが」
音楽の先生「ああ、そうですね。例えば、トロンボーンでしたら、トロンボーンだけで、和音構成音を完結させるようにとは、よく言われます」
生徒「でも、テンションまで含めると、トロンボーンの音域では、とても入り切りません」背景に2段の五線で大譜表。トロンボーンの音域を示し、「この範囲に、和音を入れたい」
生徒「しかも、トロンボーンは低音域なので、密集させると濁るから、散らばるようにするのが良いと」
大譜表のヘ音記号の、第1線のソ、第2線のシに「密集しているから、音が濁りやすい」、第1線のソ、第3線のレ、上第1間のシに「散らばっているから、音が濁りにくい」。
生徒「トロンボーンの人数も、限界はありますし」
音楽の先生「トロンボーンとトランペットを、1つの楽器だと考えては、いかがですか?」大譜表で、トロンボーンの音域と、トランペットの音域。
生徒「え? でも、別な楽器ですよ」
音楽の先生「それはわかっています。でも、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスは、別な楽器でありながら、「ストリングス」という1つの楽器として扱いますね」
生徒「あ、そうか、そうですね」
音楽の先生「バイオリンは、協奏曲などでソロでの演奏方法と、ストリングスとして合奏の中での演奏方法は、異なっています」
音楽の先生「同様に、トランペットも、ソロでの演奏方法、トランペット群での演奏方法、金管楽器での演奏方法があります」
音楽の先生「トランペットに似たコルネットがあり、コルネットとしての演奏方法もあります。では、ホルンはどうなのかといった考慮もあります」
音楽の先生「どの楽器と、どの楽器を、和音のグループにするか。音色が違っていても、和音のグループにしても良いでしょう」
音楽の先生「それから、楽器編成によっては、和音構成音の全部を鳴らすのは不可能なこともありますし、人数が足りていても、和音担当ばかりなら、誰がメロディを演奏しますか?」
生徒「それで困っているんです」
音楽の先生「あなたは、この楽譜の演奏を、聞いたことがありますか?」教則本の譜例を指す。
生徒「いいえ」
音楽の先生「楽譜と、実際の演奏の両方セットになっているのが、いいでしょう。ジャンルによって様々ですが、アンサンブル、オーケストラ、ビッグバンド、懐メロ、テンションの多いジャズ、クラシック」
音楽の先生「その楽譜は、実際の演奏ではどのように聞こえるか。その楽譜は、教則本の指導内容に従っているのか、従っていないのか。ジャンルや編成の違いや工夫を見付けてみましょう」
生徒「はい。でも、あまりお金を使うことはできないので、どのセットを買うか、迷います」
音楽の先生「あなたが、これから書きたいと思うジャンルで良いでしょう。楽器店、楽譜店、CD店。お店の人に相談するのも良いでしょう」
生徒「なるほど」
音楽の先生「実際の演奏では、インターネットの公式サイトに動画があったりしますから、それを参考にすることもできます」
生徒「ありがとうございます」
音楽の先生「どのお店を推薦するかは、吹奏楽部の先生にお聞きするのが良いと思いますよ。もしかすると、お店に行かなくても、吹奏楽部の先生から、より良いアドバイスを頂けるかも知れませんし」
生徒「そうですね」
音楽の先生「実際の演奏と、その演奏に使用した楽譜が、セットで入手できない場合、コンピュータに演奏させるという方法もありますよ」
生徒「でも、コンピュータの演奏は、耳が悪くなるという話を聞きました」
音楽の先生「そのような意見もあるでしょう。私には真偽がわかりませんが、私の方法は、「もしも、これが、本物の楽器なら」と、想像しながら聞きます」
生徒「あっ、そうですね」
音楽の先生「それから、気を付けたいのは、隠し味の用途の音符もあります。それを強調しすぎると、疲れます」
音楽の先生「紙の楽譜を、パソコンにコピーできるものもあるそうですが、手作業でパソコンに書き写すこともあるでしょう。それも写譜でしょう」背景に「写譜」と、そのフリガナ。説明文「楽譜を書き写すこと」を添える。
音楽の先生「写譜をすると、様々な工夫があることに気付きます。「聞かせどころ」が多いと感じます。それらの全部を、強い音、大きな音で鳴らすと、聞かせどころが多くて、疲れます」
生徒「ううーん、そうかあ」
音楽の先生「料理をできない僕ですが、料理がおいしいお店は、いくつか知っています。その料理の作り方は、プロなら見抜けるでしょう。素人の僕には、料理の隠し味や調理の工夫は知らなくても、おいしいと感じます」
生徒「料理なら、たくさんある調理の工夫の、全部を強調すると、くどいものになりますね。音楽も、くどくならないようにって、気を付けるんですね」
音楽の先生「その通りです。手軽に音の確認ができるので、コンピュータは便利です。模範演奏をコンピュータですることにも使えます。用途に合わせて、気を付けることがあると、覚えておきましょう」
生徒「はい」
音楽の先生「さて、今日は、和音の扱い方が、ご相談の主旨ですので、僕からは2つ、お答えしましょう」
音楽の先生「ひとつは、コードネームは参考ですから、必ずしも、テンションも含めた全部の音を鳴らすとは限りません」
音楽の先生「もうひとつは、和音構成音が鳴っていても、1オクターブ以上の間隔があると、和音の効果が薄れます」
生徒「どういうことですか?」
音楽の先生「コードのCは、「ド、ミ、ソ」ですが、このように離すと、和音の効果が薄れます」大譜表を書く。ヘ音記号の第2間のド、ト音記号の第4間のミ、その上のソ。
音楽の先生「これが、1つの楽器、例えば、トロンボーンとトランペットだとすると、ドとミが1オクターブ以上、離れていますから、この楽器の中では、コードのCの効果が薄れます」
音楽の先生「それぞれが、勝手に鳴っているように聞こえるとは、言い過ぎですが」
生徒「なるほど。では、密集していた方がいいんですね」
音楽の先生「と思えば、そうではないこともあります」
生徒「どっちなんですか?」
音楽の先生「低い音では、密集すると汚く聞こえるので、完全音程が良い。完全5度、完全8度。1オクターブより少し離れた、10度でも良しとします。低すぎなければ、6度も良いでしょう」ヘ音記号下2線のド、そこから10度上のミ。
音楽の先生「高い音では、密集するとうるさいので、3度のような近いのは、避けたいです」ト音記号上第2線のド、その上のミ。
生徒「おおーっ、確かに」
音楽の先生「ただし、そういった傾向があるので、覚えておきましょうというだけです。禁止などの規則ではありませんので」
生徒「はい、ありがとうございます」
不自然な沈黙。
生徒は、机上の資料を片付けず、音楽の先生を見たまま。
▽ 場面変更 ● ── ●
放課後。美術室。美術クラブ。
教室内には、15人程度の生徒。油絵、幾何学デザイン、彫刻、といった美術クラブっぽいことをしている者もいれば、トランプ、漫才をしている者もいる。
トランプでは、新しいゲームを考案している。
トランプの生徒A「この組み合わせも、セットにできるとしたら、どうだ?」
トランプの生徒B「逆転にはなるけど、ルールが複雑にならないか?」
トランプの生徒A「だったら、さっきのペアにするルールを、無しにするとか」
トランプの生徒B「なるほど」
漫才の生徒A。くるりと回りながら「ここで回ったら、面白くないか?」
漫才の生徒B「うん、いい」
漫才の生徒A「右回りと左回りの、どっちがいいかな」
漫才の生徒B「そっぽを向くってことだから、左回りだな」
漫才の生徒A「わかった」
漫才の生徒B「その時、首を横に傾けながら、上を向いたらいいかな」言葉の通りに動く。
漫才の生徒A「片足を上げてみるか」言葉の通りに動く。
漫才の生徒B「腕は、どっちにする?」肩を上げて、両腕を下に向け、手首だけ曲げて手のひらは下に。胸の前で両肘を付け、両手の指はヒラヒラ動かす。
漫才の生徒A「あ、それいい!」やってみる。
トロール将軍が、折り紙をしている手のアップ。画面を引いて、トロール将軍の顔まで画面内に。
トロール将軍の背景の黒板には、縦書きで「面白く」と書いてある。更に画面を引くと、黒板には3行に分けて「真剣に」「面白く」「工夫する」と書いてある。
根を詰めていた生徒が、休憩で伸びをする。ふと、トロール将軍に目をやる。隣にいる生徒を誘い、トロール将軍に近寄る。2人共、女生徒が良さそう。
生徒「トロール先生」
トロール将軍。顔を上げる。「んー、どーしたのん?」
生徒「先生って、いつもその笛を付けているんですね」トロール将軍の笛を指す。
トロール将軍「ああ、これ?」
生徒「その笛って、何かの思い出があるんですか?」
トロール将軍「うんん、これは、助けが欲しい時に鳴らしなさいって、僕の奥さんが、結婚前に……」言葉が終わらないうちに、回想に入る。
▽ 場面変更 ● ── ●
回想。
大学生時代のトロール将軍。ボロアパートの一室。
髪の毛は、やや短髪。少し無精髭(通常は髭を剃っているから)。背景に、現在の顔を表示し、指し棒で「大学生の頃は、こうです」と表示。これにより、回想が大学生時代とわかる。
急に回想のトロール将軍を表示すると、わかりにくければ、現在の顔から大学生時代の顔に、スムースに変化する方法も良い。
まだ何も描いていないキャンバスの近くの床に、下描きのコピー用紙が散らばっている。
トロール将軍。机に顔を伏せている。絵具で汚れた白衣。
玄関が解錠され、トロール将軍の彼女が入って来る。
トロール将軍の彼女。小学校の体育の先生。仕事が終わって、そのまま来たので、ジャージ姿に、首から笛をぶら下げている。
トロール将軍の彼女は、第7話のテレビ番組の収録と、第8話の妊娠発表の時に登場。第7話と第8話の、現在の顔を表示し、指し棒で「結婚前の頃は、こうです」と表示。
彼女「どうしたのー? 今日はバイトでしょ。そろそろ着替えないと」
トロール将軍「うん。だけど、休みたい」
彼女「休んでも、大丈夫なの? あんたそれでも、頼りになってるんでしょ」
トロール将軍「うん。だけど、いなくても何とかなる」
彼女。精神的に苦しそうなトロール将軍を見て、心配になる。
彼女「……じゃあ……、休んじゃう?」
トロール将軍「でもみんな、僕が来ると思って、仕事をしている。仕事とは関係無い、僕のプライベートの悩みだし……」
彼女「アルバイトとはいえ、接客業でしょっ! そんな落ち込んだ顔見せたら、お客様に失礼よ」トロール将軍の髪の毛を、ワシワシと撫でる。
彼女。散らばっている下描きの紙を拾い集める。しゃがんで歩き、集めながら。「精神的な落ち込みはぁ、よいしょっと、ごまかしを続けていると、定着しちゃうよ」
彼女。片膝でしゃがんだまま、トロール将軍の方を見る。「一日くらい、いいじゃない。休んじゃえ、休んじゃえ。そりゃ、気紛れに休んでばかりなら悪いけど、いつも真面目なんだから、体調不良ですってことで」
トロール将軍。口が思い切り「へ」の字になり、ボロボロと涙を流す。「うん……」職場に電話する。
トロール将軍「電話した」
彼女「よっしゃー。じゃっ、行くよっ」電化製品をオフにし、火の元を確認する。その他、絵の道具を簡単に片付ける。
トロール将軍「え? どこに?」
彼女。トロール将軍の手を引く。彼女のライトバンに、二人で乗る。トロール将軍のアパートには、このライトバンで来ていた。ライトバンは、所々、凹んでいる。
ライトバンの後部座席は、前に倒していて、車内の後部は広くなっている。
彼女「キャンプに行くよー。まずは、道具を持ってこよう」
キャンプは、地域と季節の影響が大きい。アニメ化の際は、違和感が無いようにする。結婚前の思い出なので、本編の季節とは無関係。以下のキャンプの場面に相応しい季節にする。
彼女の家に寄り、道具を積み、キャンプ場に向かう。夕暮れ。
彼女「この時間からでも受け付けできるキャンプ場があるんだ。さっき電話したら、今からでも間に合うって」
キャンプ場に着いた頃には、夜になっている。管理棟の前で停め、受け付けを済ませる。
彼女。車に乗り。「この時間からでも、キャンプできるって」
トロール将軍「良かったね」
彼女「あんたが幸運の女神ってことだよ、ありがと」
外灯もある場所をサイト(テントの設営場所)にする。
ライトバンのヘッドライトに照らされながら、彼女の先導でテントなど、あれこれ設営。設営が終わり、ライトバンのライトを消す。外灯だけの明るさ。
椅子は低いもので、脚を伸ばして、後ろにもたれて座る。トロール将軍は大柄なので、がっちりした商品、または、手作りでも良い。
焚火台の火を見ながら、コーヒーを飲み、のんびりと話し合う。外灯と焚火だけの明るさ。
彼女「なんだかさ、こうして無理矢理、あんたを休ませて誘うってさ、アニメ映画の『魔女の宅急便』みたいだね」
彼女「スランプになった魔女に対してさ、パン屋のおソノさんも、友達のトンボも、軽く考えている。親身になって寄り添ったのは、森の絵描きの、ウルスラだけだったね」
この「ウルスラ」の名は、映画では呼ばれていないので、代わりに「森の絵描きさん」が良いかも。
彼女「あたしは、絵を描くこともない、作曲をすることも無い、芸術の創作をしないから、実感できていないけどさ、飛べなくなった魔女の苦しみは、「生みの苦しみ(産みの苦しみ)」なのかなって」
彼女「だから、森の絵描きさんだけが、寄り添えたのかな」
彼女「あんたがさ、なーんだか、落ち込んでるみたいだからさ、こりゃ、あたしが寄り添わなきゃ……。なーんて、思ったってわけさ」
彼女「もしもこれが、怠けてのわがままだったらさ、バイトを休めなんて、言わないからね」
ここで、第4話OP曲前の、大学生時代のヤッ子と彼氏との場面を、少し表示しても良い。
木々の向こうに、焚火が見える。別なキャンパーがいるらしい。
彼女「キャンプってさ、なんでか知らないけど、わざわざ不便をしに来るんだよね」
トロール将軍「うん」
彼女「不便を楽しめる生活。爆弾が飛んで来る心配も無い……こんなに平和を享受できるんだ、わざわざ他人と戦うんじゃなく、わざわざ不便を楽しめるって……」
彼女「世の中の全部の楽しみのうち、あたしが経験していない楽しみもあるけど、一生のうちで全部は享受できない。でも、好きなキャンプができる。不便を楽しめる」
彼女「精神的にも、経済的にも、困っていない。好きなことができるって、幸せだね」
第1話の、音楽の先生のセリフ「好きなことがあるのは、幸せですね」に、申し訳なさそうな表情だったステラが、明るい笑顔になって「はい!」と言う場面を表示する。
彼女「食べ物を作るための、第一次産業って、広い土地が必要だよね。それを、こうしてキャンプに使えている」
彼女「世界中で、地域ごとの「まちづくり」は、自然災害対策と、人間による攻撃への対策も、少なくなかった。安穏とした生活のための「まちづくり」が少なくなかった」
彼女「平和ボケと言われてもいい、人間がさ、何千年も何万年もかけて、やっと得られた、安心でいられる日常……」少しの間。「……いいよね」
彼女「豪華な設備があるグランピングも楽しいし、あたしには管理棟があって受付とトイレだけがあればいいって感じ」背景に「グランピング」「グラマラス・キャンピング」の文字と、それで楽しむ様子を表示する。
彼女「やっぱり、トイレは欲しいな。あたしは一応、女だからさ。サバイバルって程じゃないけど、こんな中途半端な不便も楽しいって、変な趣味だね」
彼女「命の危険がある天候の時は、キャンプしない。平穏でいながら、この不便さ加減がいい。しかも、いつでも何かしらのハプニングがある」
彼女「こうして、中途半端に不便な一夜を過ごすと、日常の生活は、完璧を前提にしているんじゃないかな……そう思ったりする」
彼女「誰も風邪をひかない前提で、スケジュールを組んだり、あらゆることが、運良く、最も理想的だった場合を前提にしてたり。運が悪いことなんて、当たり前なのにさ」
背景に、東日本大震災と、原子力発電所を示唆する画像を表示する。
彼女「「乙だね」って言葉の語源は知らないけど、もしかしたら、「甲乙丙丁」の、自分にとっての一番いい「甲」じゃなくて、2番目の「乙」でもいいじゃないかってことかなって思う」
彼女「もちろん、最も理想的な「甲」を目指しているけど、「乙」を悪いとしないってこと。人生の、あらゆることで、自分の限界を基準とした完璧以外が「悪い」んなら、あたしは、たくさんの「悪い」を持っている人だな」
彼女「まあ、もしもあたしが、運が悪くって、悪いことばーっかりの人生だったら、完璧じゃないことを嘆くよりも前に、せめて人並みにって願うんだろうね」
この、「ばーっかり」の部分は、しかめっ面だが、笑顔。
焚火がゆらゆら。
彼女「絵、描けないの?」
トロール将軍「うん」
彼女「どんな絵?」
トロール将軍「好きな絵が、たくさんあって、あの絵のようなのを、描きたいなって思って。……でも、僕が思い描く絵は、どこかの誰かの絵に似ていて」
彼女。微笑む。「まあ、言葉にすれば矛盾になるけど……」焚火に、次の薪を加える。「……芸術って、苦しくって、楽しくって……」静かな表情。「……困ったもんだね」焚火を見ながら柔らかな笑顔。
トロール将軍「うん」
彼女「あたしには、あんたの悩みがわからないなあ。『魔女の宅急便』での、飛べないスランプって、あんたの「生みの苦しみ(産みの苦しみ)」に似ているのかな?」
彼女。立ち上がって、マシュマロと割り箸を出す。
彼女「悩みを分かち合えなくて、ごめんね。でも、こうして一緒にいること、これがあたしの精一杯っと」
彼女。椅子を少しだけ、焚火に近付ける。座ったまま前屈みで火に手が届くように。
彼女。割り箸を割り、コンビニで売っているような普通の大きさのマシュマロに刺し、トロール将軍に渡す。もう1本、自分に用意する。
焚火で割り箸を使うと熱そうなので、バーベキュー用の長いフォークにすべきか。
彼女とトロール将軍が、マシュマロを焼く。会話しながら、マシュマロを食べる動作。
トロール将軍。マシュマロが融け始めたので、コーヒーカップを下に用意する。少し垂れ下がったが、融け落ちなかった。熱いマシュマロを、涙と鼻水の顔で食べる。
焚火がゆらゆら。
彼女「ねえ、幸せに、絶対に必要なのって、何だと思う?」
トロール将軍。無言。
彼女「お金とか、友達とか、健康とか、適度な生活とか、良い政治とか、戦争じゃないとか、色々考えられるけど、あたしはね、幸せを感じる能力だと思う。もちろん、それ以外も大切だけどね」
彼女「幸せを感じる能力が、幸せに絶対に必要。その能力は、感性だから、学校で、子供達と一緒にいる時は、授業中じゃなくても、幸せを感じる感性を磨けるようにしてるんだぁ」
彼女「子供達が、何に幸せを感じてもいい。あたしは、あたしの得意なことなら、幸せを見付けやすい、そうすることで、子供達の感性も磨ける」
彼女「じゃあ、宮沢賢治の『オツベルと象』のように、騙されているのはどうなんだって話もあるけど、そこまで深くは考えてないから、あはは。難しいことは、わからんっ!」
彼女「大人になって、良かったなあって思うのは、自分が頑張るのも、他人が頑張ってるのを見るのも、楽しいって思えるようになったこと」
彼女「必ずしも目標が達成できるとは限らないってのは、最初からわかっている。だから、無駄な努力と揶揄することもない」
彼女「子供達がさ、人生にとって役に立つのかわからない、曲芸のようなことなのに、できるように頑張っているのって、いいなあって思って見てる。成功体験って、嬉しいな」
背景に、小学校の体育の授業風景。トロール将軍の彼女は体育教師。何度も練習している子供に、「いいよ、いいよ。できそうだ。みんなが「おめでとう」と言いたがっている」と励ます。
子供の心の声の「あ、今は脚の向きが悪かった」などを文字で表示する。
トロール将軍の彼女は「手の動きと、脚の動きの、両方に気を付けるのって、難しいよね」
成功した時は、ガッツポーズし、みんなに拍手と「おめでとう」を促す。
彼女「体育に興味の無い子供に無理強いはしないけど、頑張っている子供を見ていると、一所懸命は美しいって思う。見てるだけで、幸せのお裾分けをもらっている」
彼女。首から笛を外して、トロール将軍の首に掛ける。
彼女「まあ、あたしには、あんたの悩みはわからんけど、何か困ったことがあったり、助けが欲しい時は、これを吹いてよ」
トロール将軍。言葉にならない声を出し、頷く。
雨が降って来る。
彼女「うわっ、雨だよ。ニャハハ、まあ、死ぬほどの雨じゃないから、これもハプニング。あんたさ、テントの中から、寝袋を持って来てよ」
彼女。立ち上がって、運転席から、ヘッドライトのスイッチを入れる。ライトバンのトランクを開ける。ライトバンの後ろの席のドアも開ける。
トロール将軍。テントから寝袋を出す。
彼女。食器などを重ねて持ちながら。「後ろを開けておいたから、寝袋を放り込んで!」
焚火台、イス、テーブルなどは残ったまま、車内で使うものは車内に運び終わる。寝袋を並べたトランクは、荷物があって、少し狭い。
彼女は運転席に、トロール将軍は助手席に座る。
ヘッドライトを消す。外灯だけの明るさ。
彼女「良かったね、雨が強くなる前に片づけられたね」
焚火が消えて行く。
彼女「お湯がまだ、残ってる。コーヒーもう一杯、飲もうよ」
彼女。シートを後ろに倒し、車内灯を点け、体を反転させ、俯せになるように手を伸ばし、インスタントコーヒーを入れる。トロール将軍に一杯を手渡す。車内灯を消し、椅子を戻して、前向きに座る。
彼女「よいしょっと」落ち着く。
トロール将軍「ねえ、どうして僕を、好きになったの?」
彼女。口を尖らせて、顔が赤くる。「どうしてって……。そんなことを聞くんだったら、なんであんたは、あたしを好きになったの? それを先に言ってよ」
トロール将軍。真っ赤になりながら、ゆっくりと話す。「君は太陽だよ。地球で、僕達が生き続けていられるのは、太陽がずっとエネルギーをくれるから」
トロール将軍「君は、幸せを見付けるのが上手だ。僕にはわからない幸せもあるけど。幸せを見付けたら僕に教えてくれて、幸せのお裾分けをくれる。君が幸せを感じると、僕も幸せになるんだ」
トロール将軍の言葉の背景に、日常やデートの場面(静止画)を思い出す。
デートでソフトクリームを食べる、自宅で食事中に、彼女は幸せそうに食べる。
高台の階段の上、紫陽花の花壇の近く、雨上がりで閉じた傘の先から雫、遠くの虹を見て喜ぶ。買い物帰りで、手には食材など。
商店街の福引から立ち去る所で、手には3つのポケットティッシュを、トランプを広げたように持って、指し棒で「ポケットティッシュ」と示す。彼女は、残念そうだが、大きな口で笑顔。
ちょっと無言。
トロール将軍「僕は、女の子を楽しませるのが苦手だ。楽しませようとすると、逆に迷惑を掛けてしまう。でも、君は色んなことを楽しみに変える、不思議な化学(ばけがく)、魔法使いみたいだ」
トロール将軍「どうして、こんなに幸せなんだろう。君のそばにいると幸せなのは、君がたくさん幸せだから」
トロール将軍「君を、独り占めにできる、君にとって僕が特別でいるのが、幸せ……だよ」
ちょっと無言。
トロール将軍「僕は、君が好きな理由を言ったよ。今度は、君が言う番だよ」
彼女。両手で、顔の近くでマグカップを持っている。彼女の視線は、フロントガラス越しに、車外のテントを見ている。
彼女「あんたは、他人に気遣うことができない。つまり、優しくない」
トロール将軍「優しくないだけじゃなく、気の利いたジョークも言えないし、フェロモンの代わりになるような格好いいことも無いし……」
彼女「確かに、あんたには、女がわざわざ近寄りたくなる魅力は無い」
彼女。目を閉じて、静かに、しかし、はっきりと。「でも、誰の攻撃もしない」
彼女「気遣いができないから、うっかり失礼なことを言ったり、誰かを傷付けることもあるけど、たどたどしい気遣いがかわいいなーって思っていたんだよ」
彼女「不器用だから、失礼や失敗があっても、誠実だから、あたしはあんたを責めようとは思わない。立場を逆にして、あたしが誠実であれば、責められることも無い」
彼女。目を開け、視線は、再び車外に向け、コーヒーを一口。
彼女「顔は恐いけど、何度か会っているうち、「この人は、攻撃しない人なんだ」って気付いた」
彼女。幸せそうに、甘えた声で。「安心なんだよ。あんたの隣ならね。あんたは、顔は恐いけど、安心なんだよ」
トロール将軍「僕と一緒にいても、楽しくないと思うけど……」
彼女。小さく「くすり」と笑う。「ほんとにもう……。何度も言ってるけど、あたしと一緒の時は、そんなの気にしないでぇ。一緒にいるだけで、幸せなんだから」
彼女「攻撃される心配も無い。失敗しないように怯える心配も無い。あたしがあんたを大切にしていれば、何も心配は無い。だって、本当に大切なんだもン」末尾だけ、照れた口調になる。
トロール将軍。どきりとした顔。
彼女「ついでにさ、あんた、嘘を吐けない(つけない)でしょ。嘘と、隠し事と……、エチケットだっけ?」
トロール将軍「嘘と、冗談と、マナー」
この、トロール将軍の作った分類「嘘と、冗談と、マナー」に対し、彼女はそれの意図を理解しながら少し違っている。美術が主軸と、体育が主軸の違いだが、ステレオタイプというより、個人のキャラ設定。
彼女「そうそう、それっ。あたしに心配をかけないようにって、内緒にするってこと、できないでしょ。あたしに話す時、頑張って頑張って……」少し泣き声が混じり、裏声っぽくなる。「……あたしが傷付かないようにしてくれたよね」
彼女。少し気を持ち直しての溜息。「ああーハぁー。色々な「安心」があるけど、あんただけの「特別な安心」ってのが……あるんだョ」
彼女「あたしは、健康のために、努めて笑顔でいるようにしている。でも……」目を閉じる。「……友達が教えてくれたんだ。あんたの隣にいる時だけ、あたしの笑顔が違うんだって」
彼女。コーヒーの香りをかぐ。「義務のような頑張った笑顔じゃない。幸せが湧き出るような笑顔。安心した、素顔のままの笑顔。そのまま眠ってしまいそうな、そんな笑顔なんだって」
例:アニメ『ゆるキャン△』で譬えると、普段は大垣千明のような笑顔、トロール将軍の近くにいる時は各務原なでしこのような笑顔。
彼女「言われて気付いたんだ。あんたは、友達のうちの一人だったんだけど、いつの間にか、恋していたんだなって。あんたが、あたしの帰る家なんだな。辛いことがあっても、泣きながら走って向かうのは、あんたの腕の中なんだなぁって」
彼女。少しの間、小さな吐息の後。「ありがと」その後、声に出さず、口だけ「好き」と動き、字幕の「好き」が添えられる。「好き」の「き」の口の形が、自然と笑顔になる。下唇が、上唇を上に押す。
彼女の妄想。泣きながら走っている。悔しさを堪えきれない表情。やがて、トロール将軍の腕の中で、涙が光ったまま眠っている。
彼女「こんなこと、あるんだな。恋してたってことに、自分では気付かなくって、友達に言われて気付くなんてさ」
トロール将軍「でも、僕が誰かに好かれる理由なんて、からかって遊べるから」
彼女「あたしは、あんたをからかうなんて、できないな」
トロール将軍「どうして?」
彼女「だって、あんたってさ、からかわれたのをきっかけに、楽しい会話に続けることって、できないでしょ?」
トロール将軍「うん」
彼女「だったら、あんたをからかうのは、虐めだよ。苦手なこと、できないことを、からかうのは」
彼女「誰をからかうか、選ぶ基準は、からかわれて面白い話に繋げられる人を選べばいいのに。からかっても反撃されないからって、からかわれて面白い話に繋げられないってわかっているんだから、楽しい場を白けさせる、非生産的なこと」
彼女「みんなを楽しませるために、あんたを犠牲にするのは、あたしは誤った方法だと思うな。それに、あんたをからかうと、楽しい場を白けさせるってわかっているんなら、からかった人の責任。あんたは、悪くないよ」
彼女「からかったことが、場を白けさせる原因なのに、「お前がいると、つまらなくなる」なんて言う人は、「強くてかっこいい人」じゃなく、「無益に人を傷つける人」だもの」
彼女「近付いたあたしも、傷付けられるかもって。だから、怖いよ。恋愛なんて無理。優しく撫でられていても、反対の手が拳になって飛んで来るんじゃないかって、びくびくしてたら、恋愛じゃない」
ここで、彼女が教育実習をしていた頃の話をするのも良い。
画面にはテント。いつの間にか、雨が強くなっていて、「バラバラ」という雨音で一杯になる。
車内の彼女の横顔。雨音は小さい。
彼女「人を評価する基準は、たくさんあるけど、自分に都合よく基準を選択して、他人が劣っている箇所を見付けて、からかっても、時間の無駄、命の無駄……」
焚火は、すっかり冷えている。
彼女「あたしの友達が言ってたのは、「50歳になったら、自殺する」って。「あんな、よぼよぼになって、生きているなんて、怖ろしい」って」
彼女「それを聞いて、あたしが思ったのは、誕生日になって、急に、よぼよぼには、ならない。少しずつ変わって行くのだから、自殺のきっかけは、無いだろう」
彼女「年寄りと話をすると、死ぬってことが、まるで、冬支度のような、必ず来ると実感している」
彼女「子供の頃は、知識で「死ぬ」を知っているけど、遊びや冗談に使う程に、実感が無い。だから、老人と話していて、冬支度のように来たるべく死を話したり、誰かの死を話すと、子供は驚くよね」
彼女「あたしも、年寄りから「若い今のうちから、年を取る準備を」って言われても、今はまだ、実感が無い。友達が言ってた「よぼよぼ」って、実感があったからか、無かったからか……」話は完結せず、余韻を持っている。
ここまで、大正時代の流行歌『ゴンドラの唄』を、BGMにするのも良い。彼女のセリフの声質と、拮抗しない歌声が望ましい。BGMの終わりで、トロール将軍の笛が鳴る。
トロール将軍。そっと笛を吹く。
彼女。視線はまだフロントガラス越しにテントを見ているままで。「どうしたの?」
トロール将軍「大きな音を出したら、あっちでキャンプしている人に、迷惑かなって思って」
彼女「うふふっ。雨の音で、どうせ音は届かないよ」
トロール将軍「この笛で、君を呼んだよ。こっちに来て……」
彼女「こっちにって?」
トロール将軍「僕の部屋に来て。一緒、い、一緒に、結婚して……ごにょごにょ……」口からオノマトペの文字「ごにょごにょ」が出ている。
彼女「一緒に、なあに?」
トロール将軍。再び、小さく笛を吹く。「結婚……しよう? 結婚したい、結婚しよう」
彼女。視線はまだフロントガラス越しにテントを見ているままで、大きな口の笑顔。少しずつ大きな口の口角が下がり、大きく見開いた目に涙があふれる。
外からフロントガラス越しに、彼女の顔のアップ、そこから引いて、フロントガラス全体を透かして、2人を見る画面。彼女がトロール将軍に近寄るが、雨粒のせいでフロントガラス(ワイパーは止まっている)越しにぼやけて、見えなくなる。
彼女。静かに、はっきりと「いいよ」または「ありがとう」または、元気に「うんっ!」
ライトバンの周囲で、ハートマークや花々が舞う。
画面が、キャンプ場の遠景、街明かりが見えるまで引いても良い。
▽ 場面変更 ● ── ●
回想が終わり、さっきの放課後、美術室、美術クラブの続き。
トロール将軍。生徒が近くにいるのに、ぼーっとしている。
生徒「トロール将軍、どこかに行っちゃったままだね」
生徒「呼び戻そうよ」
生徒「先生、先生、トロール先生……」
トロール将軍「あ、あっ、ごめんなさい」
生徒「奥さんが、結婚前に、何ですか?」
トロール将軍「ああ、結婚前にくれたんだ。助けが欲しい時に鳴らしたら、いつでも助けに来てくれるって思ったら、安心するんだ」揉むように笛をつまむ。
生徒。顔を見合わせる。
トロール将軍「知ってるかい、マシュマロを焼くと、美味しいんだよ」
生徒「マシュマロを、焼くって?」
トロール将軍「要するに、マシュマロを温めればいいから、電子レンジでもいいけど、マシュマロを割り箸に刺して、ガスレンジの火で焦げないように炙って、柔らかくなったら食べるの」
背景に説明図。大きめの皿に、チョコビスケットをいくつか並べ、その上にマシュマロを載せる。電子レンジで温める。熱がりながら食べ、マシュマロは口から延びる。
背景に説明図。膨らんだマシュマロが転がるので、アイスキャンディーの棒(板、ヘラ)を刺してから温めると、転がらない。
背景に説明図。マグカップに、数個のマシュマロと、数個のチョコレート(「アルファベットチョコ」のような、親指大の廉価なもの)を入れる。電子レンジで温めて、スプーンですくって食べる。
背景に説明図。割り箸に刺したマシュマロを、ガスレンジで焼く。マシュマロが燃えて「やばい」と、口で吹き消す。再び焼いて、割り箸から落ちるが、用意していた小皿で受け止めて「Good」などの文字。
生徒「キャンプでするような、大きくて特別なマシュマロですよね。どこに売っているんですか?」
トロール将軍「普通のマシュマロでいいよ。口にポイポイと入れるだけじゃないよ。融けて垂れてくるから、小皿を用意してね。あと、食べる時は熱いから気を付けてね」
トロール将軍「こびり付かない、フライパンを使うのもいいね」
トロール将軍「それから、一番大切なのは、火を使うから、髪の毛とか、服装には気を付けてね。セーターのような、ふわふわした服は、火が燃え移りやすいから」
生徒「ふわふわしていなければ、大丈夫ですね?」
トロール将軍「ふわふわしていなくても、袖口が広いとか、色々気を付けることはあるよ」
トロール将軍「意外なことだけど、袖が飛び出ていたら、火が燃え移りやすいから」
背景に説明。セーターを着て、指し棒で「ふわふわ」と記し、燃えたマシュマロから火が点く。
背景に説明。袖がひらひらの服を着て、指し棒で「ひらひら」と記し、ガスレンジから火が点く。
実際に事故になった視聴者への考慮(事故を思い出すことへの考慮)として、コミカルな単純な絵で、クイズの不正解のブザー音など。
トロール将軍「電子レンジでも、オーブンでも、器が燃えたりしないように気を付けてね。電子レンジとオーブンは、違うものだからね」電子レンジ用のお皿を、オーブンで使って、皿が燃える。
生徒。心の声。「(なぜ、いきなりマシュマロの話なんだろう?)」トロール将軍って、やっぱり面白いという顔で、生徒同士が目を合わせる。
その他、マシュマロの料理の例をいくつか。マシュマロは、電子レンジで温まって膨らむ。その熱で、お菓子から良い香りが出る。
皿の上に、食パン、または、切れ込みを入れたコッペパン。その上にスライスチーズ。その上にマシュマロを並べる。その上にドライフルーツ。
源氏パイのような、ザラメ砂糖。または、グラニュー糖。
お菓子作りが好きな人からの、実践したものを紹介するのも良い。
▽ 場面変更 ● ── ●
音楽室。さっきの続き。
吹奏楽部員が、編曲について、音楽の先生に質問している。
音楽の先生「まだ、何か質問がありますか?」
生徒「効果的な!……」軽く呼吸。「効果的な編曲って、どうすればいいのでしょうか」
少し、沈黙。
音楽の先生「もしや、ご自身の才能の限界を、感じているんですか?」
生徒「そうです。なんというか、書いている時は、自分が天才のように思うのですが、落ち着いて、数日経ってからだと、凡庸に思います。凝って、しつこく感じることもあります」
音楽の先生「感性を磨くには、たくさんの経験をするとはいいますが、僕は、少し違う方法を、すすめています。どんな経験でもいいから、感動した時、なぜ感動したのかを解析して、忘れないようにメモする方法を、僕は行っています」
生徒「解析とメモ……ですか?」
音楽の先生「楽しかったイベントが終わって、その後すぐ、数か月後、数年後、その楽しかったイベントの写真を見ると、感動します」
生徒「あ……」いくつか、漫画やアニメを見て、感動したことを思い出す。
音楽の先生「なぜ感動したのか、解析して、メモします。メモを、時々でいいので、読み返します。すると、イベントの最中に、写真を撮っておこう、感動するためにと、思い付きます」
これ以外の例では、山頂から見た景色。家々が近くに無く、遠くまで見える範囲(視野角)が広い。風の香りがシンプル。
音楽の先生「「空腹は、最大の調味料」という言葉を、ご存知ですか」
生徒「はい、知っています。お腹が空いていたら、何でも美味しいと感じるということですね」
音楽の先生「そうです。そこで、「(1)単に空腹」、「(2)暑くて汗をたくさん出した後の空腹」、「(3)激しい運動で、汗をたくさん出した後の空腹」、この3種類が、あったとします」
生徒「はい。それぞれ、美味しく感じるものと言いますか、体が何を欲しているのかで、食べたくなるものが違いますね」
音楽の先生「そうです。このように、いくつもの条件が合わさると、「なぜ、美味しいのか」の分析が難しくなるので、メモをするのが良いでしょう」
生徒「ああ、そうですね。忘れてしまうこともありますね」
音楽の先生「これは、音楽にもあります」
生徒「そうそう、それを聞きたいです」
音楽の先生「では、ピアノを使いましょう」
音楽の先生はピアノの前に座る。生徒は生徒用の椅子を近くに持って来て座る。
音楽の先生「この音を聞いて、終止感、「ああ、終わった」という感じがしますか?」ピアノで、中央ドの1オクターブ上のドを鳴らす。
生徒「いいえ」少し笑う。
音楽の先生「では、これはどうでしょう」ややゆっくりに、「ミーーミレーレー、ドーーー」を弾く。このメロディは、ここでの終止感の話の間、繰り返し使われる。
生徒「うーん、さっきより、少しだけ、終わったという感じがします」
音楽の先生「「ド」だけなら、これがどんな感じか、よくわかりません。そこに、別な音と並べると、少し感じが変わります。単に空腹なのか、激しい運動で汗をかいた後の空腹なのか、というように、他の要素の加わり方で、感じ方も変わります」
音楽の先生「では、これではどうですか?」今度は、さっきのメロディに和音を加える。「C→G→C」と、「C→G7→C」。交互に。
背景に、文字で「C→G→C」と、「C→G7→C」を並べ、弾いている方を少し大きく表示。メロディ「ミーーミ→レーレー→ドーーー」も、弾く音に合わせて、カラオケのように色が変わる。鍵盤と楽譜を同時に画面内にするのも良い。
生徒「「G7」がある方が、終止感が強いです」背景に「終止感」と、そのフリガナ。指し棒で「ああ、終わったという感じ」を添える。
音楽の先生「実際に終止するのは、「ド」の時ですが……」ピアノで「ド」を鳴らす。「……その前の部分があるので……」ピアノで「ミーレードー」と弾く。「……終止感があります」
生徒「もっと、終止感を強くすることは、できますか?」
音楽の先生「少しの違いですが、こんな方法もあります」メロディと和音を弾く。和音は「C→G7→C」と、「C/G→G7→C」。交互に。
生徒「あっ、少しですが、終止感が強くなりました」
音楽の先生「和音の使い方にも、こんな方法がありますよ」メロディと和音を弾く。和音は「FM7→G→Am」。メロディは同じ。
ここで、「M7」の別な書き方「maj7」を紹介をしても良い。
生徒「ええっ! どういうことですか?」
音楽の先生「終止には、このような方法もあります。普通の終わり方が「完全終止」です。それ以外にも、いくつかの終止があり、今のは、「偽終止」や「中絶終止」と呼ばれています」
生徒「いくつあるんですか?」
音楽の先生「それなりに、ありますから、探したり、実験するのも、楽しいですよ」
生徒「はい」
音楽の先生「この偽終止でも、使い方はひとつではありません」ピアノでメロディと共に「FM7→G→Am」を弾き、「FM7」と「G」はアルペジオ、「Am」ではジャラーンとする。
生徒「何か言い残しがあるような終わり方ですね」
音楽の先生「これを、こんな使い方もできます。「Am」を、ジャラーンではなく、アルペジオを続けると、まだ終わりません」
音楽の先生「3つの終わり方を、例示しましょう」
音楽の先生「1番目」ピアノでメロディと共に「FM7→G→Am」を弾き、「FM7」と「G」はアルペジオ、「Am」ではジャラーンとする。
音楽の先生「2番目」ピアノでメロディと共に「FM7→G→Am」をずっとアルペジオで。そのまま続けて「C/G→G7→C」を弾く。ここまでで、最後の「C」だけジャラーン。メロディは2回演奏になる。
音楽の先生「3番目」ピアノでメロディと共に「FM7→G→Am」をずっとアルペジオで。そのまま続けて「FM7→G7→C」を弾く。ここまでで、最後の「C」だけジャラーン。メロディは2回演奏になる。
生徒「おおー」感嘆する。
音楽の先生「ジャラーンなら終わりの表現、ポロンポロンなら続きがある表現になります」
音楽の先生「このように、感動を解析すると複合条件なので、忘れないように、メモしておきます」
同じメロディで、偽終止の後に完全終止する例は、『あの素晴しい愛をもう一度』(北山修作詞、加藤和彦作曲)がある。
生徒「すごいです。小さな工夫なのに、聞いている人を導けるんですね」
音楽の先生「このように、終止の方法と、和音の鳴らし方の「ジャン」「ジャラーン」「ポロンポロン」の組み合わせを変えてみるのも、編曲が楽しい理由です」
音楽の先生「メロディ、和音、アルペジオの組み合わせを変えて、効果の違いを楽しめます」
音楽の先生「組み合わせによる、効果の違いは、漫画での顔の表情でもあります」立ち上がって、黒板に向かう。
音楽の先生「僕は、絵が下手なので、簡単な描き方しかできません」黒板に、スマイルマークのような、円の中に目と口がある、簡単な絵を描く。笑い顔、泣き顔、怒り顔。まずは、ここまで描いてから、次の話に進む。
音楽の先生。話しながら、(1)から、絵を描き増やす。「(1)目と口が笑っています。そこに、(2)冷や汗を加えます。(3)口だけ怒ります。(4)口は笑って、目が怒ります。怖いですね」
音楽の先生「(5)冷や汗が消えて、口も怒ります。(6)目が泣きます。涙があります。(7)口も泣きます。このように、笑顔から泣き顔まで変わりました」
生徒「面白いです」
音楽の先生「顔を斜めから見て、目が笑顔。口は開いて笑顔。この場合、口は左右対称ではありませんね。漫画表現での口は、手前側は大きく、奥側は小さく開きます」黒板に、顔を斜め上から見た顔を描く。比較のために、2つ描く。
生徒「はい」
音楽の先生「口の中に、歯が無ければ「受け取った喜び」です。歯が閉じていれば「自力で達成した喜び」です。では、歯は閉じていないが見えていれば、どういう心情か。目線が、この人が正面を見ているのか、こちら向きの目線か」
生徒。心の声。「(この人は、音楽の先生なのだろうか?)」
音楽の先生「昭和の漫画家の手塚治虫は、「漫画は記号」と言っていて。動画のアニメと比較し、漫画は静止画ですが、歩いている足元の土埃や、飛んでいるボールのスピードも表せるそうです」
生徒。音楽の先生の言葉を聞いて、2つのボールを黒板に描き、飛ぶスピードの違いを、線で表現する。
音楽の先生「そうです、僕が言いたかったのは。他には、怒って血管が浮き出る様子や、青褪めた顔の表現もありますね」浮き出た血管は「井」のような形。
音楽の先生「この、浮き上がった血管で、怒りを表現するのは、この表現を知っている人には伝わりますが、知らない人には伝わりません。音楽理論も漫画も、文化に依存します」
生徒。音楽の先生の言葉を聞いて、簡単に描く。
生徒「浮き出た血管や、(2)の冷や汗は、後ろ向きの人の髪の毛に描くこともありますね」
その他の表現。汗の水滴が、3列で飛び進む。後ろ向きの髪の毛の近くに、浮き出た欠陥が、宙に浮いている。黒目が無くなる。黒目の「●」が「○」になる。後光がさすような光で、喜び。
その他の表現。瞼の開き具合と、黒目の大きさ。瞼は変わらず、黒目が大きく、小さくと変わる。黒目が変わらず、瞼が変わる。瞼は変わらず、黒目が縦長、横長になる。
その他の表現。両目がハートマークになり、飛び出す。頭から湯気が出る。両肩や、全身が炎に包まれる。輪郭線を、途切れ途切れの二重線にし、振動。十字形の光沢。
音楽の先生「この、両目がハートマークといった表現は、アニメ『トムとジェリー』の頃には、既にあったものです」
「記号」ではないが、漫画『いなかっぺ大将』(川崎のぼる、小学館)では、涙がアメリカンクラッカー(おもちゃ、カチカチボール)の形になる。
江戸時代の絵には無かった表現が多い。
音楽の先生「現実ではない、そのような描き方でも、読者には伝わる。これが、作者とお客さんが、共通に持っている記号の意味であり、手塚治虫はおそらく、それをお話ししたのでしょう」
生徒「静止画なら、こんなにたくさんの絵を描く代わりに、枚数を減らした工夫もありそうです」
音楽の先生「アニメでは、この組み合わせを巧みに使って、その人の心情の揺らぎを表現することがあります」
音楽の先生は、アニメの場面を思い出している。アニメ『薬屋のひとりごと』で、主人公の猫猫が「子翠」と呼ぶ場面で、呼ばれた楼蘭の表情が、振り向いて返事をするまでの短時間に、子翠の表情になる。
この表情の変わり方には、組み合わせのグラデーションが使われている。
音楽の先生「「目はこの表情」「口はこの表情」という組み合わせをするように、編曲では「和音はこれ」「鳴らし方はこれ」といった、組み合わせを楽しめます。メロディと和音が同じなのに、ジャラーンとポロンポロンを変えるように」
音楽の先生「組み合わせによって、それを聞いた人がどのように感じるかは、先程の「漫画は記号」のように、共通に持っている記号の意味が役立ちます」
音楽の先生「「ド」だけの時、メロディになった時、和音を付けた時というように、「ド」が同じでも、感じ方は様々ですね。組み合わせのグラデーションですね」
音楽の先生「音楽でも、何かのイベントでも、普通の雰囲気に感じた時、感動的な時、つまらない時、それぞれ、どんな状況だったのか、「共通に持っている記号の意味」を考慮してメモします」
が~まるちょば(がーまるちょば、パントマイム)が2人組だった頃の芸や、空転軌道(3人組ジャグリング)から、「合いの手」のアイディアを得るとか。
この話は、第10話で美術のアイディアの例で、と第12話で編曲のアイディアの例で、共通している。
生徒「他には、無いんですか?」
音楽の先生。嬉しそうに微笑みながら。「知りたがりですね」
音楽の先生「音楽での例では、よく似たフレーズが2回あれば、1回目は納得できる、当たり障りのない手法。2回目は色っぽく」
生徒「色っぽく?」
音楽の先生「実例を出しましょう」『大きな古時計』のサビ「おじいさんが」から、「買って来た」までの、メロディだけを弾く。
音楽の先生。適宜、歌う。「ここで「♪おじい」の部分と、「♪買って」の部分は、同じですね」
生徒「はい」
音楽の先生「メロディが同じで、リハーサルマークを付けたら、「サビ」と「サビダッシュ」というほど、似ています」
生徒「はい」
音楽の先生「この時の和音は、1回目は、当たり障りの無いこれです。2回目は、少し変えます」ト長調で、1回目のコードは「G」、2回目のコードは「Bm」を鳴らす。
音楽の先生「感動という程ではありませんが、少し気持ちが動きます。なぜだろうと解析し、そうか、2回目は和音を変えたからか。それを、メモしておきます」
生徒「はい」
音楽の先生「単に、「和音を変える」だけでは、後で忘れてしまいますから、曲名など、思い出す糸口もメモしておきます」
音楽の先生「目的は解析ですが、その場での解析ができない、手に余ることもあります。ですから、後でより深く解析できるように、曲名や、演奏者、指揮者といった補足情報も、後で役立ちます」
生徒「でも、勝手に和音を変えたら、オリジナルと変わってしまいます。作曲者に失礼だと思います」
音楽の先生「ご自身で、そう思っているのでしたら、ご自身の考えに従うのも、ひとつの方法です。しかし、他人の編曲の感想として、ご自身の考えを話すだけで、他人の編曲の非難に聞こえますから、お気を付けください」
生徒「そうなんですか?」
音楽の先生「人それぞれ、様々なお考えがあります。それを紹介するにも、場合を考慮しましょう」
生徒。納得できない。「そうなんですか?」
音楽の先生「音楽理論では、基本とバリエーションの話があります」
生徒「バリエーションですか」
音楽の先生「はい。例えば、和声楽では「直進行」「斜進行」「反進行」がありますね」
生徒「はい、知ってます。これですね」ピアノで、それぞれ1小節ずつ、例を弾く。
背景には、ピアノロールを表示。ピアノロールは、横に進む紙テープ。音の上下がわかる程度の簡単なもので、具体的な音名は表示しない。ピアノなので、音の強弱がわかるように、太さ(紙テープの縦の高さ)が変わる。
音楽の先生「そうですね。和音進行の基本を、実践のバリエーションにする例を、斜進行でお話ししましょう」
音楽の先生。ピアノを弾く。右手でト音記号の第3間のドが持続しながら、左手で第2間のラから「ラーソーファーミー」と、休符が無いように弾く。
ピアノロールは、右手のドが減衰しながら(細くなりながら)、左手は鍵盤の鳴り始めは太い。
音楽の先生「これはピアノですから、少しずつ音が小さくなりますね」ピアノロールの、ドを指して説明。または、ピアノロールの太さの輪郭線が色変わりで右に進み、減衰を表現。
音楽の先生「もしもこれが、ピアノではなく、音の大きさが変わらない楽器なら、違った印象になります」
ピアノ以外の楽器は、妖精ちゃんが演奏する。音楽の先生は、その度に「お願いします」「ありがとうございます」を言う。
音楽の先生「音の大きさと音色が、一緒に変わる、リコーダーなら、こうです」リコーダーで、斜進行の演奏。ピアノロールは、「現在、鳴っている場所」を示すように、色が進行する。
音楽の先生「バイオリンなら、音色だけ変えたり、音の大きさだけ変えたりできます」バイオリンでの演奏例。ピアノロールは、同様に色が進行する。
生徒「バイオリンなら、そのようにできるんですね」
音楽の先生「吹奏楽部の編曲ですから、トランペットでも、演奏してみましょう」トランペットでの演奏例。ピアノロールは、同様に色が進行する。
生徒「ピアノでの演奏例と、雰囲気が違います」
音楽の先生「では、ここからが本題です。これは斜進行の基本ですから、斜進行のバリエーションを説明しましょう」
音楽の先生「右手のドが持続しないで、左手と同じタイミングで鳴らすようにしましょう」ピアノを弾く、左手の「ラーソーファーミー」に合わせて、右手は「ドードードードー」と弾く。
ピアノロールは、これまでの右手が持続している画面が上半分に縮小され(横幅は同じ、縦の幅が縮む)。下半分に、今回の演奏を表示。
ピアノロールは、右手で4回「ド」を鳴らしたのがわかるように、太さが変わる。
生徒「雰囲気が違います」
音楽の先生「聞き比べてみましょう」ピアノを弾く。右手が持続の演奏と、右手が4回「ド」を鳴らすのを、交互に数回。ピアノロールは、「今、どちらの演奏をしているのか」がわかるように、上半分と下半分で、明るさを変える。
生徒「今はまだ、具体的にどんな場面で役立つか、思い付きませんが、良いアイディアの種だと思います」
音楽の先生「ここまでは、同時に鳴らす方法でしたね。更にバリエーションで、交互に鳴らしてみましょう」ピアノを弾く。「ラドソドファドミド」の順番。ピアノロールが追加され、上中下の3段になる。
生徒「あ、バロックっぽいですね」
音楽の先生「これは、左手を先に鳴らす方法です。次に、右手が先に鳴らしたらどうなるか」ピアノを弾く。「ドラドソドファドミ」の順番。ピアノロールは、4段になる。
生徒「これも、雰囲気が違います」
音楽の先生「パターンとしては、「左手が先」と「右手が先」の2つで、「左手が下がる」でした。パターンを増やして、「左手が上がる」「左手は同じ高さで、右手が上がる」など、いくつかの組み合わせが考えられます」
生徒「組み合わせって、数学のようですね」
音楽の先生「そうです。試行錯誤ではありますが、「ほかに方法は無いかな」と考えるには、「右手と左手」「上がると下がる」など、組み合わせを確かめながらなら、面白い編曲になると思いますよ」
音楽の先生「2回ずつする方法もあります」
演奏する。「ラド、ソド、ファド、ミド」文字で読みやすい表現にすれば、右手は「ド、ド、ド、ド」で、左手が「ラ、ソ、ファ、ミ」となる。
演奏する。「ラド、ラド、ソド、ソド、ファド、ファド、ミド、ミド」文字で読みやすい表現にすれば、右手は「ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド」で、左手が「ラ、ラ、ソ、ソ、ファ、ファ、ミ、ミ」となる。
音楽の先生「斜進行だけでなく、直進行や反進行でも、面白くなるでしょう。組み合わせは、複合条件なので、とても多いですよ」
音楽の先生「今回は効果的ではない手法も、別な曲では効果的な場合もあります」
生徒「はい、ありがとうございます」
▼ CM明け。 ▼── ──▼
CM明けの定型。他の登場人物は知らない、自宅などの場面。
今回は例外で、一緒に下校の一場面。
ハル、ミッツ、ステラ、ショージ。一緒に下校。ハルはギターケースを持っているのは、理科室でヤッ子に弾いたため。
自動販売機で、コーラなどを一緒に買う。
ステラ。缶のプルタブを開けるのに、苦心している。
ハル。グビグビと飲む。「そういえば、缶の中に水を入れて、傾きの角度を変えながら叩くと、面白い音がする」缶をゆっくり傾けたり、ゆっくり回しながら、硬いもので叩く。
ミッツ「ウチでやったでしょ。グラスハープとか」
ステラ。3人が話している横で、やっとプルタブを開けて、チビチビ連続で飲む。3人も飲む。
ステラの飲む音「コクッ、コクッ」が、『かえるの合唱』に聞こえる。背景の楽譜に、『かえるの合唱』の音符(歌詞付き)が1つずつ出現する。3人が笑ってコーラなどを噴き出す。
ステラ。何がおかしいのかわからない。「え? え?」
ステラの飲む音で歌うのは、声優であっても困難であろうかと推測できるので、サンプリングを使用するのも良さそう。
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