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第10話 Bパート

【前書き】


なぜ記号だらけの楽譜を見て、音にできるのか?


楽譜の読み方を、アニメ脚本っぽい形で説明します。


当作品は、オリジナル『ガクテン』からR15を削除したものです。R15以外は、そのままですので、二重投稿に近いものです。


人間ドラマなどを削除した楽典のみのものは『ガクテン♪要するに版』をご覧ください。


◆ ご感想を頂けると嬉しく思います。ログイン不要ですので、お気楽に一言をお願いします。


◆ 「評価」はログイン必要ですが、「感想」はログインせずに、どなたでも書けます。



▼ Bパート。   ▼──   ──▼


晴れた休日。当アニメでは、季節は明示していないが、春の陽光のように、暑くはなく、眩しい風景。


ハル、ミッツ、ステラの3人で、オルゴール館。


オルゴールの説明で「弾く」は、主に「はじく」と読む。人間の演奏による「ひく」ではないため。


オルゴール館の現地集合で、ハルとステラが先に到着し、入り口の前( )屋外)で雑談している。


ステラが、バスから降りて、走って来る。


ステラ「ごめんなさい、バスに乗り遅れて、1本、遅くなっちゃったかも」


ハル。雑談相手のミッツの方を見ていたが、ステラの声が聞こえたので、振り向く前に、ステラの姿を想像する。


ハルが想像するステラ。まずは、吹き出しに、ステラのいつもの制服姿の全身像。吹き出しと一緒にステラも大きくなる。吹き出しが画面全体になっても、ステラは大きくなるのが続く。


ステラの顔が、画面全体になり、大きさの変更が終わる。想像のステラが、現実のステラに変わる。陽光の中で、髪型が少し違う。髪がリボンで飾られている。


画面が引き、ステラの全身像、バス停を背後にして、走って向かって来る。


オルゴール館の入口の手前、陽光の中で、ステラの服装はメルヘン。


ステラ。ハルとミッツの前で立ち止まる。足首を使って、少しピョンピョンするので、スカートがクラゲの泳ぎのように、広がったりする。「待ちましたか?」


ミッツ。ハルを見るステラの顔が、キラキラしているのを見て、心の声。「( )何、何? ステラちゃん、スカートの揺れが魅力的に見えるような、その動きは、まさか)」


ハル「いつも制服ばかり見ているから、今日のステラのファッションは新鮮だな」


ステラ「そう? いつもこんな感じですよ」くるりと回る。スカートが広がり、星やキラキラや花が舞う。


ハル「俺は、よくわからん」


ステラ。少し機嫌が悪くなる。


ステラ「もうっ、服もアクセサリーも、どれにするか迷ったんだから。早坂さんのせいですよ」ハルを、軽く叩く。


ハル「なんで俺のせいなんだよ」


ミッツ。穿つように( )少し目を細めて)ステラを見る。


ミッツ「ハル、想像してごらん、ステラちゃんが、この服にしようかなあ、どのアクセサリーをつけようかなあ……、ああ、楽しみだなあっていうの」ステラの真似をして寸劇。


ミッツの寸劇が、想像の場面になる。BGMに合わせ、ステラが笑顔で、自宅のファッションショー( )ファッションチェック)。


姿見( )大きな鏡)の前で、髪飾りを付けて鏡の前で笑顔の練習。スカートを両手で横に広げ、体をねじったり、前屈みになって胸元を気にしたり。


胸元の確認だとわかるように、ブラジャーの肩紐が画面に見える。ブラジャーは、スポーツブラにするか、未定。


ボタンを1つ外して、前屈みで鏡で胸元を見て、顎を上げて確認。外したボタンを元のように閉める。


ミッツの想像のステラが、ポーズを決めたところで現実に。ミッツがハルの前で、可愛らしいポーズ。


ハル。ミッツを見ていない。入口のドアガラス越しに、床の立て看板「手作りコーナー」を見ている。


ミッツ「見てなかったの?」


ハル。ミッツの方に振り返り、ドアを開けながら「で、何を想像しろって?」


3人で館内に入る。右側には「手作りコーナー」がある。


ステラ「あ、手作りコーナーだって。後で行ってみましょうね」


ミッツ「ハルは、ああいうの、大好きなんじゃない?」


ハル「ああ、何を作るのかなあ」一人で、ピョンピョン小走りで行く。売店も兼ねていて、貼り紙などを巡覧。


ミッツとステラは目を合わせて笑う。


ミッツ「ホント、ステラちゃんって、可愛いね」ステラの服をなでたり、少し離れて見たりする。


ステラ「またまたぁ。嬉しいです」


ミッツ「ねえ、ステラちゃん。ハルなら思い付かなくて、ショージなら必ず言うこと」


ステラ「何ですか?」


ミッツ。ショージの声真似と顔真似。「この服は、愚か者には見えるけど、賢い者には見えない。俺は賢いから、衣装が見えない」


ステラ「ああ、言いそうですね」


二人で笑う。


▽ 場面変更 ● ── ●


ショージ。自宅で、アイドルのDVDを見ている。「ああ、俺は賢くなりたい」


この「賢い者には見えない」は、『裸の王様』( )アンデルセン童話)をパロディして、逆にしたもの。逆にしない方が面白いかも。


▽ 場面変更 ● ── ●


さっきの続き。


ミッツ。ステラの笑顔を見て、心の声。「( )やっぱり、3人で来たから、良かったかも)」


展示場では、客数が少ないためか、数人の客に1人の案内が伴い、共に行動しているようだ。1人の案内によるグループが、数組。それぞれの楽器の前で案内の人が待っている形式ではない。


案内の人は女性。ブレザー姿。


待機していた案内の人が、ミッツとステラに近付く。身長は、ミッツより、僅かに高い。


案内「ご案内しましょうか?」


ミッツ「ありがとうございます。ちょっと、連れを呼んで来ます」ハルを呼びに行く。


ステラ。案内の人に。「素敵な音が聞こえてきますね」


案内「中には、オーケストラを再現したものもあるんですよ」


ハルが来て、3人が揃ったので、案内されながら、様々な自動演奏装置を、順に巡る。


▽ 場面変更 ● ── ●


少し大きめの箪笥サイズの機械。


演奏を始める。


案内「これは、家庭用の、小規模オーケストラの再現です。中身は、笛やクラリネットの仕掛けを用いて、工夫してトランペットに似た音も再現しています」


ミッツ「ストリングスの音色も、ありますね」


案内。ドアを開ける。「ストリングスは、このように、本物のバイオリンも用いることで、管弦楽の演奏ができています」


バイオリンは、弓の代わりに、バームクーヘンのような、大太鼓のバチのような回転物が弦を擦っている。各弦に1つ、計4つの回転物。左手の代わりに、各弦の各フレットの位置に、押さえるカギ状の棒がある。


ハル「これって、バイオリンの調律も必要ですね」


案内「そうです」


案内「電気の普及によって、小型ながらオーケストラを家庭に持ち込めるようになりました」


▽ 場面変更 ● ── ●


洋服箪笥より、少し背が低いサイズの機械。手前の面は、ガラス扉。


大きな金属の円盤型。


ミッツ「これは、ダーツの的のような形ですね」


案内「自動演奏が大きく普及したきっかけになりました」ガラスドアを開ける。


案内「よく知られているオルゴールと、原理は同じで、形と向きが違っています」


案内「この円盤は、このように、プレスによってビンゴゲームの厚紙のカードのようになっていまして、これが奥にあるピンを弾いて、音を出します」


金属の円盤には、「U」字型の切れ込みで、折り曲げ起こした爪が、たくさんある。


案内。手袋をして、円盤を外し、その奥にあった櫛歯を指す。


案内「この櫛歯を弾くのが……」持っていた円盤の、裏側を見せる。「……この円盤の、折り出し部分です」


ミッツ「あ、裏側に、折り出しているんですね。だから、ビンゴゲームの、厚紙みたい」


ハル「レコード盤とは、違うんですね」


案内「お若いのに、よくご存知ですね」


ハル「父の部屋にありました。プレーヤーが無いから、音は聞けませんでしたが、原理は知っています」


案内。笑顔で待ち、ハルがレコードの話を続けるのを促す。


ハル「レコードも円盤で、溝が渦巻き状に刻まれている。円盤がこう、皿回しのように回転していて、溝の開始は円盤の外側、そこに針を置くんだ」


背景に絵。3周程度の渦巻き。回転しているのがわかりやすいように、中央レーベルはメルヘンのキャラの顔など。


ステラ「置く? 刺すんじゃなく?」


ハル「そう。溝はガタガタしていて、それに合わせて針も振動する。針は、刺すのが目的ではなく、ガタガタに合わせて動きやすいから、軽い針になっている」


回転していないレコード盤の渦巻きの線をアップにすると、線がガタガタの溝になっている。レコード盤がゆっくり回転すると、ガタガタも一緒に回転。溝に針を置くと、針がガタガタに合わせて振動する。


ハル「針の震え方は、糸電話のように、声に再現できる。再現できるような形に、溝がガタガタになっている」


ステラ「すっごーい」


ハル。知識を披露できて、ちょっと得意気。


ステラ「どうやったら、声に聞こえる形にガタガタにできるんだろう」


ハル「そっちか」がっかり。


ミッツ「でも、聞くために、ガタガタを擦っていたら、すり減るんじゃないかな。あ、金属なら大丈夫か」


ハル「金属じゃなくて、塩ビ、塩化ビニールなんだ。レコード盤が塩化ビニール、針はとても細くて軽い金属。だから、レコード盤もすり減るし、針もすり減る」


ミッツ「ひどい」


ハル「そうなんだよ。俺も、実物のレコードを見て、驚いたんだけど、溝の渦巻きって、すごく細かいんだ。お父さんに聞いたら、何度も聞いていると、摩耗するんだって」この「摩耗する」は「すり減る」が良いかも。


ハル「溝はデリケートだし、溝を擦る針もすり減るから、これもデリケート。何だかわからないけど、凄く気を付けていたらしい」


ハル「レコード盤も、針も、命をすり減らしながら音を鳴らすから、新しいレコードを買って来て、針を落とす時って」


ミッツ「落とすって?! デリケートなのに」


ハル「いや、なぜか、そっと針を置くことを、「落とす」って言うらしい。それは、一種の儀式だったって」


ミッツ「儀式?」


ハル「らしいぞ。コーヒーを用意して、椅子のクッションを整えて、じっくりと聞く準備をする。それから、いよいよ、レコードをケースから出す」背景に「「ケースから」というより、「ジャケットから」と言います」を表示する。


ハル「デリケートな溝のあるレコード盤は、このくらいの大きさで、ケースからそっと出す。プレイヤーに設置して、レコード盤も針もデリケートだから、慎重に置く」


実際のLPレコードの儀式と、ハルたち3人が言葉で聞いた想像は、やや違うことを、画面の左右で表す。


ステラ「儀式ですか」空中を見る。オカルトっぽい儀式を想像する。不気味なメルヘンキャラが、身長よりも大きなロウソクを持ち、輪舞している。単に円形に歩くのではなく、不気味な踊りをしながら。


ハル「何か、勘違いした空想をしていないか?」


ミッツ。案内の人に質問。「円盤のオルゴールが普及したのは、どういう理由ですか?」


案内「円盤をプレスすることで、同じ曲を大量生産でき、コストが安くなり、販売価格も下がり、購入もしやすくなったためです」


ミッツ「なるほど」


案内「1枚で1曲ですが、短い曲ですと、1枚に2曲を収録できます。この円盤は2曲入りですね」円盤の中央のラベルを指す。


ステラ「あ、ほんと、曲名かな、読めないけど、たぶん曲名」


案内「人気のある曲は、たくさん生産されたそうですよ」


案内「レコードとオルゴールは、見た目は似ていますが、2か所だけ、違うところがあります」


案内「1つは、レコードの溝のガタガタは、そのまま音の振動であることです。それに対してオルゴールは、円盤は櫛歯のピンを鳴らす指示だけで、実際に音が鳴るのは櫛歯です」


案内「もう1つは、レコードは、先ほどご説明があったように、1本の溝が渦巻き状にぐるぐる回って1曲です。オルゴールでは1周で1曲です」


案内「「同心円」といいまして、中心に近い円が「ド」を担当、少し外側の円が「レ」を担当」


案内「大きさの違う円が、1つの中心点を共有していて、それぞれの大きさの円が、それぞれの櫛歯に対応しています」


アニメ表現の案:オルゴールの円盤用。陸上競技のトラック( )徒競走のコース)を図示。各レーンが「ド」「レ」「ミ」……「ド」の7レーン。それが、円盤状になる。内側が短く、外側が長い距離になるが、レーンの担当は同じ。


アニメ表現の案:レコード用。長い直線の線香が端から燃える、または、長い一本道を歩いている。一本道が渦巻き状になり、直線の線香が、蚊取り線香になる。ただし、蚊取り線香を知らない世代もいるので、蚊取り線香にこだわらなくても良い。


ハル「要するに、1本の長い紐に音が記録されているから、コンパクトにする工夫として、2種類が考案されたってことだ」


背景に、2つのコンパクト化の図示を、2頭身のハルが説明する。円盤に紐を渦巻に貼り付けている途中の絵と、完成された円盤を持ち上げて「コンパクト!」と喜ぶ。


円柱形の何かに、紐を螺旋状に貼り付けている途中の絵と、完成された円柱を持ち上げて「コンパクト!」と喜ぶ。


案内。説明用の、円形の厚紙を見せる。同心円があり、「ド」「レ」「ミ」などが書かれている。同心円には、所々に、ビンゴゲームのカードようなカマボコ型の黒いマーク。その黒いマークが斜めにずらりと並んでいる箇所もある。


案内。厚紙を回転させる。「回転して、この黒いマークが櫛歯の所に来たら、音が鳴ります。ここ……」ずらりと並んでいる箇所を指して。「……が櫛歯の所に来ると、ダリラリラリーンっと、鳴ります」グリッサンドの口真似。


3人は納得の表情。


レコードの溝は、3次元を利用した「溝の進行方向」「針の振動の上下方向」「針の振動の左右方向」で、ステレオになるという話もある。ここで説明すると面倒なので、ちょっと字幕で知らせるだけにするか、全く採用しないか、未定。


▽ 場面変更 ● ── ●


機械人形( )オートマタ)の部屋。ここだけ、別室で薄暗い。


人形は、手紙を書いている姿。机上にはランプがある。


案内「こちらは、オルゴールとからくり人形が連携した機械人形です。オートマタとも呼ばれます」


ステラ「素敵」


ハル「メルヘン好きなステラは、こういうの好きだろう」


ステラ「うん、大好き!」


案内「人形の動きと、BGMとしてのオルゴールが連動しています。シンプルな動きのため、私達は自由に物語を想像できます」


案内「この人形は、机に向かって座り、ランプを灯し、手紙を書き始めます。机の上のランプをご注目ください」


ランプが灯ったので、3人は驚く。薄暗い別室なのは、このため。


案内「電熱線を使って、アルコールランプに、本当に火を灯します」


ミッツ「どんな手紙を書いているんですか?」


案内「手紙を書いている様子だけですので、実際には文字を書いていません。そのため、ある人はラブレターだと想像し、ある人は故郷の家族宛てだと想像します」


ステラ「手紙が届くって、自分を大切に思ってくれているんだなって……。手紙を書いている間は、あたしのことを、大切に思ってくれている。とても幸せで、嬉しい」


▽ 場面変更 ● ── ●


回想。


ステラ。自宅で勉強している。


コルクボードには、トロンボーン先輩の写真を外した日焼け跡。これにより、オルゴール館に来た、前日の夜で、トロンボーン先輩からの失恋の傷があることを示す。


教科書のページをめくると、1枚の紙切れ。「今日はごめんなさい。 早坂」と書いてある。


読んで、少し微笑む。


スマホが鳴る。ハルからの電話。


ハル「今日はゴメン」


ステラ。単なる返事の「うん」の後、否定の「ううん」


ハル「ステラが、トロンボーン先輩のことを好きなんだって、知らなかったんだ。美術で絵を描いている時に言ったのは、本当は、「ステラに教える時は、丁寧にしてほしい」っていう気持ちなんだけど、悪口になってしまって」


ステラ「え?」


ステラ。心の声。「( )あたしのことを、大切に思ってくれてるの?)」ステラの頭上に、2つの「?」が並んで表出する。左側の「?」が左右反転し、ハートマークになろうかどうか、迷う。


ステラ。気にしないで欲しい、否定の言い方で。「ううん、もういいの」


ステラ「でも、どうして知ってるんですか? あたしが先輩のことを好きだったって」


ハル。ステラの「好きだった」の過去形に、少し疑問を持つ。


ハル「ミッツが教えてくれた。ステラを泣かせたって言ったら、怒られた」


ステラ「蜜霧先輩に、ばれていたんですね。心を見透かされているみたい」


ハル「俺も驚いた。いつもミッツには、驚かされている」


ステラ「うん……。お二人、仲がいいですものね」


ハル「まあ、腐れ縁だけど」


ハル。気分を変えて。「そうだ、お詫びだけど、オルゴール館に行かないか? 急で悪いけど、あした、何も予定が無かったら」


背景に、ハルの鈍感さの説明文「ミッツとは、従姉弟の関係だと、ステラに言うのを、思い付いていません」を表示する。


ステラ「オルゴール館、ですか?」


ハル「そう。遊園地とか、動物園も考えたけど、俺達の共通は、音楽ってことで」


ステラ。ハルの「俺達の共通」の部分で、ステラの両目を大きく画面に表示する。黒目が大きくなる。


ハル「入場料くらいは、俺が出すから。お詫びにステラを楽しませたいんだ」


ステラ。意外な言葉に驚く。「えっ?」


ハル「ステラが元気になるために、力になりたいんだ」


ステラ。しっとりとした笑顔。「そんな、気を遣わなくても」片手でスマホを持ったまま、反対の手でハルからの手紙を持って、ベッドに俯せになる。ハルの文字を、指先でそっとなでる。


ハル「いや、これは俺のけじめだ。泣かせたら、その倍は楽しんでもらう、だから行こうよ」


ステラ。目を伏せて、微笑みながら「嬉しいです」


ハル「もちろん、俺の勝手な誘いだから、無理しなくてもいいから」


ステラ。仰向けになって。「どうしよーっかなあ」後頭部で、軽く枕を叩くと、枕からハートマークが舞う。


ハル「もし、ステラが望むなら、トロンボーン先輩も誘うから」背景に注意書きで「ハルは、トロンボーン先輩に彼女がいることも、それによってステラが秘かに失恋したことも、知りません」を表示する。


ステラ。息が止まる。涙が出て、小さな泣き声が出る。


ハル「ステラ? どうした? 何か俺、また悪いことを言ったかな」


ステラ。大きく息を吸って「大丈夫、大丈夫です。早坂さんが誘ってくれたので、元気が出ました」


ハル「そう、良かった」


ステラ「はいっ! 傷も癒えました」


ハル「傷?」


ステラ「何でもありません。ありがとうございます。お供させていただきます」


ハル「良かったあ。実は、ミッツに叱られて、どうすればステラを楽しませられるか考えた。そして、オルゴール館に誘うことを思い付いた」


ステラ「うん」


ハル「ミッツに言ったら、ミッツがトロンボーン先輩と知り合いだから、誘って、ダブルデートにしようって……」


ステラ「ダメッ!」


ステラの周囲には、ハルの言葉でステラの気持ちが浮き沈みするように、ハートマークがふわふわ舞ったり、萎れるように落下したり、激しく飛び回ったりする。


ハル「駄目って?」


ステラ「あ、いえ……」


ハル。少し考えて「……ゴメン。俺ってホントに、鈍感だな」


ハル「こんな、身勝手な設定をしたら、トロンボーン先輩には迷惑だもんな。ステラが自分で、勇気をもって告白するのがいいのかもな」


背景に注意書きで「ハルは、ステラが失恋したことを知らないので、ステラが自分でトロンボーン先輩に恋の告白をしたいんだろうと、勘違いしています」を表示する。


ハルの、この「勇気をもって告白」のセリフは、会話として余計かも。単に、背景の注意書きだけが良いかも。


ステラ「あのぉ、早坂さんは、蜜霧先輩と、お付き合いされているんですか?」


ハル「まさか」


ステラ「でも、さっきダブルデートって」


ハル「そういう形なら、トロンボーン先輩を誘いやすいだろうって、ミッツが言うから」背景に注意書きで「ミッツも、ステラが失恋したことを知りません」を表示する。


ステラ「そうですか」


ステラの周囲で舞っている、たくさんのハートマークに手足が出る。手を繋いで輪になり、輪舞する。


ハル「じゃあ、俺とミッツとステラの3人で」


ステラ。明るく「はい、ありがとうございます!」


ハル「では、待ち合わせは……」


ステラ。ベッドから起き上がり、机の所に行き、メモをする。


打合せする。


ステラ「はい、その時間なら大丈夫です」


ハル「じゃあ、楽しみにしてるよ。って、俺が楽しんだら駄目か」


ステラ「いえいえ、一緒に楽しみましょう」


電話、終了。


ステラ。大きく溜め息。再び、ベッドに飛び込む。うつ伏せ。掛け布団の上に身を投げたので、そのまま掛け布団を抱きしめる。掛け布団は、しわしわの抱き枕のようになる。


ステラ。掛け布団を抱いたまま、仰向けになり、ハルからの手紙を高く掲げる。


メルヘンの小物を飾っているコルクボード。トロンボーン先輩の写真があった場所は、剥がした跡の色違いになっている。


ステラ。立ち上がって、コルクボードの色違いの場所に、ハルの手紙を貼る。ベッドから立ち上がって、数歩は、掛け布団を抱いたままが良さそう。


この、手紙を貼る場所が、トロンボーン先輩の写真があった場所であることを、わかりやすくするために、コルクボード全体を見せ、目立つ何かがあり、貼る場所に画面が寄って、目立つ何かの隣というようにする。


電話の終了から、ハートマークが増え、輪舞は三重になる。それでもハートマークが増えるので、観客のように囲む。花吹雪。


祝福のBGMが終わる。


▽ 場面変更 ● ── ●


回想が終わり、さっきの続き。オルゴール館のオートマタの部屋。


ステラの回想の、祝福のBGMの余韻が、穏やかに終わる。


ハル「ランプの灯りだけなら、本当に正直になるんだろうな」


ステラは、昨日の、教科書に挟まっていたハルからの手紙を思い出し、オートマタが手紙を書く姿を見て、ハルから大切にされていることを思い、涙を浮かべる。


ミッツ。肘でハルを軽く突く。ハルは意味不明なのでミッツを見ると、ミッツは顎でステラを指す。顎で指す時の動きは、「下唇の下の皮膚を上げる。唇が少し「へ」の字になる。首を傾け、顎で指す」の順番。


ステラは震える瞳で泣いている。幸せそうに瞼を閉じると、涙が流れ落ちる。


ステラ。心の声。「( )早坂さんと、そっと、手を繋ぎたいな)」手をハルの方に、そっと出す。


ハル。ステラの手が触ったので、それを見る。ステラに小声で。「うん、わかった」


ステラ。心の声。「( )手を繋いでもらえるんだ)」ハルの方を見る。


ハル。ステラの手に、ポケットティッシュを渡す。ハルの頭の中には、回想として、ミッツの「女の子には、そっとティッシュ。これは、鉄則!」がある。


▽ 場面変更 ● ── ●


案内「こちらは、オルゴールといえばこの形を思い浮かべると思いますが、シリンダー式です」


ミッツ「そうそう。わあ、大きい」


案内「レコードが円盤状にになる前は、この形に似た蓄音機を発明したのが、エジソンですね。ご主人様、エジソンがどうやって、声を再現する溝を彫ったか、ご説明をお願いできますか」


ステラ「ご主人様だって」


ステラ。メルヘンの衣装でくるりと回る。ハルに。「お帰りなさいませ、ご主人様」スカートを広げて片膝を後ろに曲げる挨拶。


ミッツ。くるりと回り、ハルに。「お帰り下さいませ、ご主人様」と言い、手で追い払う仕草。


ステラ。少し嫉妬。心の声。「( )蔑ろにする冗談を自然に言える仲なんだな。ホントに付き合ってないのかなあ)」背景に、ステラを指す説明文で「ステラは、ハルとミッツが従姉弟同士ということを知りません」を表示する。


ハル「エジソンが最初に発明したのは、この形。ただし、さっきの円盤でも、オルゴールとレコードでは、違いがあったよな」


螺旋型の記録方法は、エジソン以前に発明されていたらしいが、ハルと案内は、エジソンが発明したと思っている。エジソンの発明は、他者と類似のものもあるので( )映画など)、資料によって情報が異なる。


ハル「実際の工作では、上手くいくためのカラクリの工夫がされている。今は、原理だけ話すからな」


ハル「このシリンダーはオルゴールだから、1周で1曲。蓄音機なら、螺旋で1本」


ステラ。頷く。


ハル「ねじ棒にシリンダーが刺さっていて、回転することで、少しずつ横に移動する。ボルトとナットの、ナットがこうして回転しながら移動するように」身振りをする。背景に、ボルトとナットの動きと、蓄音機のシリンダーの動きを並べる。


ハル「そして、糸電話のように、コップに向かって話すけど、コップには針が付いていて、針の振動で、ガタガタの溝が刻まれる。これが録音」


ステラ「あっ」


ハル「録音した溝に、針の付いたコップを置いて、シリンダーを回転させると、溝のガタガタの通りに針が振動し、声が再生されるって仕組みだ」


案内。拍手する。


ステラとミッツ「すっごーい」


案内「よろしければ、当オルゴール館で、案内のお仕事をしていただけますか?」


一同、笑い。


▽ 場面変更 ● ── ●


ミッツ「済みません、さっきから気になっていたのですが、あれもオルゴールですか?」グランドピアノを指す。


案内「はいそうです。自動演奏ピアノです」


ミッツ「本物のピアノですか?」


案内「本物です。普通に弾くこともできますし、自動演奏もできます」


いくつかの段ボール箱が、近くにある。そのうちの1つから、案内の人が中身の紙の端を持ち上げる。蛇腹のように折り畳まれている。


案内「これまでの説明で、もしかすると少し混乱しているかも知れませんので、簡単にまとめさせていただきます」


案内「エジソンの蓄音機と、当館の自動演奏装置には、はっきりとした違いがあります」


案内「蓄音機は、「音そのもの」を記録します。音質の良し悪しはありますが、人の声を録音すると、その人の声が聞こえます」


案内「当館にある自動演奏装置は、「ドレミ」などの音を出す指示と、指示に従う音源があります」


案内「この紙は「ピアノロール」です。先ほどの、シリンダー式では、1周で1曲ですが、このようにピアノロールを連続させると、紙をいくらでも長くすることができます」


案内「この紙が、「ドレミ」などの音を出す指示です。そして、指示に従う音源が、ピアノです。調律の狂ったピアノと、調律の正しいピアノがあれば、同じこの紙を使っても、演奏が変わります」


案内「グランドピアノだけでなく、アップライトピアノの自動演奏もあります」


ハル「この穴は何ですか?」


案内「はい。ピアノロールの、この穴を風が通ることで、鍵盤を操作します」


案内「ピアノの中には、ハーモニカのように、並んだ穴があって、送風装置で空気を吸っています」


案内「この紙は、ハーモニカの穴をふさぐようなっていますが、穴の部分だけ空気が通って、鍵盤を操作します」


ハル「おおっ、そんな仕組みなのか」


ミッツ「トレモロばかりの曲ですか?」


ハル「トレモロ?」


ミッツ「鍵盤を、普通は押したままだけど、あの穴なら、同じ鍵盤を細かく連続して弾いているみたい」ピアノロールの穴が、「鍵盤を押したまま」の細長い穴ではなく、細かく連続した穴になっている。


案内「これは、連続した細かい穴は、繋がっているとして、演奏されます。穴を繋げるとヒョロヒョロして、弱くなりますので、こうすることで、強くなります」


ハル「もしかして、ピアノを騙す?」


ミッツとステラ。同時に。「騙す?」


案内「その通りです。一瞬だけ、空気が通らない時間があるように思えますが、穴と穴の間の、この塞ぐ部分は細いので、送風装置の穴、ハーモニカのような穴を、きちんとは塞ぎません」


ハル「では、鍵盤は、少しだけ戻るかも知れないけど、音が止まる程ではないんですね」


案内「そうです」


ステラ「どういうことです?」


ハル。肘から先を、大袈裟に動かして説明。「空気が通ると、鍵盤を押して、音が鳴る。穴を塞いで、空気が止まると、鍵盤を離して、音が止まる」


ハル「ピアノロールの、あの、穴を塞ぐ部分は、穴をきちんと塞がないから、鍵盤をちゃんと離さない、音が止まらない」肘から先の動きを工夫して説明。


ステラ「ちょっとずつ、小さく鍵盤を弾き直すんですね」


ハル「その通り。でも……、ああ、これはピアノの構造だから、そのうち教えるけど、弾き直しにならないで、押したままと同じなんだ」


ミッツ「ちょっとぉ、ハルぅ。なんで、そんなに詳しいの? 専門家でもないのに」


ハル「うーん、やっぱり、工作の経験かなあ……」


ミッツ。案内の人に。「正しいことを、言ってますか?」


案内「はい、その通りです」


案内「ここには、鍵盤だけでなく、ペダルの操作も記録できます」


案内「当時の有名なピアニストの演奏も記録されています。家にいながら、自宅のピアノを、ピアニストが演奏してくれます」


ミッツ「素敵ー」または「あっ、いいなあー!」


案内「『ラプソディー・イン・ブルー』を作曲したガーシュウィンも、2台のピアノ演奏を自ら行った記録もあります」


ステラ「誰でしたっけ? どこかで聞いた名前」


案内「ジャズがお好きな方には、垂涎の演奏ですが、つまり、そのような記録もできるものです」


案内「ピアニストによる演奏の記録だけでなく、自動演奏ピアノ用に、人間が演奏できないような、とんでもない曲も作られたんですよ」


案内「ピアノロールでは、穴が開いているうちは、鍵盤を押さえたままという記録ができますが、普通の楽譜とは異なっている箇所もあります」


ミッツ「そうですか? ちゃんと、鳴らす音が記録されているんですよね」


ハル「休符が無い」


ミッツ。気付かされた表情。


案内「正解です。音を出す記録がされているだけですから、「音を出す記録が無い」が休符なのです」


ミッツ。ハルに向かって。「それって、当たり前じゃない? 音を出さないのが休符だから」


ハル「どの鍵盤も、音を出している時間より、出さないでいる時間が長いだろう。だから、もしも休符の記録をしたら、記録だらけ。だったら、音を出す記録だけあれば、記録が無ければ休符ってこと」


案内「小節の概念が無く、テンポの変更は、ピアノロールの紙への記録の距離の変化で行います」


ハル「ピアノロールの紙が進むスピードは、一定なんですね。小節の概念が無いということは、紙の先頭からの距離が、何メートルなのかというのが、ピアノロールってことですね」


ミッツ「楽譜というより、ハルの好きなパズルで管理しているんだ。あたしには、違和感があるなあ」


ステラ「蜜霧先輩は、ずっとクラシックピアノを、なされていたんですよね」


ミッツ「そう。だから、テンポが変わるのは、楽譜を進むスピードが変わると思っているのに、スピードが同じってのは、違和感があるの」


ミッツが話しながらの背景。楽譜を、指で触りながら進み、指の進む前後で色が変わる。テンポの違いで指のスピードが変わる。


ハル「ミッツだって、スマホやパソコンで、音楽や動画を見るだろう?」


ミッツ「あたしは、パソコンが多いかな」


ハル「あれの、シークバーみたいなもんだよ。楽譜でのテンポや小節は、動画データ音楽データには、含まれていない。カセットテープにも似ているかな」


ステラ「カセットテープって?」


ハル「ああ、エジソンの話で、レコードの話をした。あれは、渦巻きの形にしていたけど、1本のテープの形にしたもんだ」背景で図。渦巻きの端を指で摘まみ上げ、長いテープになる。


ステラ「テープがデコボコして、音になるんですね」


ハル「きっと違う。「磁気テープ」とも呼ばれていて、薄っぺらなテープだったから」解説をおねだりするように、案内の人を見る。


案内「はい、「磁気テープ」ですので、とても小さな磁石が、テープに並んでいるようなものです。N極とS極が、頻繁に入れ替わるように並んでいるテープが進みます」


案内「テープはとても長いので、リールに巻かれています。テープとはいっても、粘着性はありません」


ステラ「紙テープのようですね」


案内「そうです。紙テープ、巻き尺などと同じで、粘着性が無いので、何度でも巻き戻すことができます」


案内「巻き尺では、先端からの距離を計測するのが目的ですので、長く出したままで使用し、計測が終わったら巻き戻します。磁気テープは、記録を順番に読むので、読み終わった部分を巻き取ると、コンパクトになります」


画面の上部に、左にある巻き尺から帯を右側に出して、「距離の計測なので、出したまま」を表示する。


画面の下部に、磁気テープのオープンリールで、2つのリールがある。左側のリールからテープを出して、読み終わったら、右側のリールに巻き取られる。


磁気テープのリールは、回転の向きを明確に、ゆっくり回転( )なめらか回転)。テープには、右から左に向かって「0123456789」がはっきり書かれていて、ゆっくり読む。読み取りヘッドが、数字を順番に吹き出しで表示。


案内「リールに巻かれているテープは、引き出され、もうひとつ用意されているリールに巻き取られます」


案内。テープの動きがわかるように、指で辿る。送り出し側リールで指先をぐるぐると回す。引き出されて直線状に指で辿る。巻き取り側リールで指をぐるぐるする。


案内「2つのリール、送り出し側と、巻き取り側までの間の、この範囲をテープが通過する時に、記録を読み取ります」


案内「テープの表面に、小さな磁石が並んでいて、磁石の向きは「NNSNSSSNN」というように並んでいます」磁気の向きを表す時、手の動きはテープを辿るように移動しながら、裏表をかえる。


ステラ「それが、デコボコの代わりなんですね」


テープの代わりに、針金を使うものもあり、日本でも新聞記者が携帯するなど、実用化されたが、広く普及はしなかった。


案内「そうです。もう少し詳しく言いますと、N極とS極が頻繁に入れ替わることで、とても小さいながら発電します。電線に電気が流れます。プラス方向とマイナス方向が頻繁に交代することで、その電気がスピーカーをブルブルさせます」


案内「この、とても小さく発電することを、先程申し上げました「テープを読み込む」です」


背景に図解。プレイヤーのヘッドの部分にコイルがあり、指し棒で「ここで発電」。電線に指し棒で、「電流の方向が、頻繁に変わる」。電線で繋がったスピーカーに指し棒で、「電流の向きの入れ替わりで、スピーカーをブルブルさせる」。


ミッツ「よくわからないけど、ピアノロールも、カセットテープも、楽譜じゃないから、スピードが一定なのね」


ハル「それだけじゃない。自動演奏は、ピアノロールのスピードが遅くても、担当する鍵盤は変わらないから、音の高さは変わらない」


ミッツ「当たり前でしょ。ゆっくりになったからって、鍵盤が変わったら、ピアノの練習中と本番で、違う鍵盤なら困る」


ハル「ところが、カセットテープなら、進むスピードがゆっくりになると、電気の流れの交代の、ブルブルがゆっくりになり、音が低くなる。ゆっくりなら音が低くなって、速くすると音が高くなる」


ミッツ「え? ハル、間違ってるよ。カセットテープは、パソコンで動画を見るのと同じでしょ。パソコンじゃ、音の高さはかわらないもん」


ステラ「あっ、そういうことだったんですね」


ミッツ「なあに、ステラちゃん」


ステラ「アニメのメルヘンキャラの魔法で、ゆっくりな動きになった人は、声が低くなるんです」アニメの真似をする動き。魔法にかけられたように、ゆっくりな動きをしながら、低い声になる。動作が面白い。


ステラ「逆に、動きが速くなると、声もピュルピュルと、高くなります」


ステラ「あれって、現実には無い、アニメ特有の、お約束の表現だと思っていました。動きがゆっくりになるのは、現実にあるけど、音が低くなるのは現実には無い、魔法だけだと思っていました」


ステラ「スマホやパソコンで、動画をスローモーションにしても、動きはゆっくりなら、声もゆっくりになるだけで、声が低くなることはありませんし」


ミッツ「ねえ、さっきの動き、もう一回やってみて」


ステラ。さっきよりも少し大袈裟に、再現する。


ミッツ。スマホを出しながら。「ねえ、ビデオに撮っていい?」


ステラ「ちょっ、ちょっ、やめてください」恥ずかしそうにハルを見る、または、海老逃げ( )両手を前に突き出して、後退り)する。


この、ゆっくりになると、音が低くなるというのは、年代にとっては実感が無いとも思える。アニメなどで表現されているが、物理的というより、「アニメのお約束表現」と思っているのかも。


案内「自動演奏は、これまでご紹介したように、よく知られているオルゴールだけでなく、自動演奏ピアノなど様々あります」


案内「ここでクイズです。現在、最も普及している自動演奏装置は、何だと思いますか?」


3人がそれぞれ考える。それぞれ、思い付いたものを言っても良い。「学校のチャイム」「目覚まし時計」「歩行者用の信号の音楽、踏切の警報音」「コンビニの入り口チャイム」「移動販売車の音楽」「メロディーロード」それぞれの絵を表示。


ハル「録音したものではなく、演奏するものですよね」


ステラ「ゆっくりになっても、低い音にならないものですよね」


案内「では、解答の前に、こちらを」指をパチンと鳴らすと、先生ちゃんの画面になる。


▽ 場面変更 ● ── ●


先生ちゃん。ガーシュウィン。パイプを銜え、スマートな笑顔。


説明用の別世界。背景は無地。


先生ちゃんで、ガーシュウィンが重複しているので、別な人が良さそう。自動演奏ピアノの、演奏を記録したピアニストが良いかも。


先生。『ラプソディー・イン・ブルー』の「♪ドミソッソーソー」の部分を弾いている。


先生「この紙は「ピアノロール」で、列と鍵盤が対応しているんだな、これが」


先生「このピアノロールのアイディアを使って、これと似たデザインの、パソコン画面がある」


先生「本物のピアノに演奏させる代わりに、パソコンに演奏させる時も、ピアノロールのような画面を使うことができるんだよね」図形。MIDIアプリのピアノロール画面。


先生「鍵盤には白と黒の色分けがされているけど、ピアノの中の弦がずらりと並んでいる状態では、弦には白と黒の色分けはされていないんだな」鍵盤と弦の関係が繋がっているような模式。


ここで、実物のピアノ( )アップライトでもグランドでも、どちらでも良い)を開いて、鍵盤部分の白と黒の色分けが、弦のハンマーまでの途中で色分けが終わっていることを見せても良い。


先生「楽譜には縦線があって、ピアノロールには縦線がないよね。だから、これを人間が読むのは難しいんだな、これが」


先生「しかし、コンピュータにとっては、これが見やすいんだな」


先生「このようなデータは、MIDI( )ミディ)と呼ばれる」


先生「これから、MIDIに関する話をするけど、パソコンを買う時、MIDIに関することの、どれができるのか、どれが別売りなのか、お店の人に相談しよう」


先生「「音源モジュール」は、パソコンの中に入っていることもあるが、念のため確認しよう」


先生「正しくは、MIDIは規格なんだな。手旗信号の表のように、こういう約束ってことだ」手旗信号の表、モールス符号の表、点字の表など。


先生「MIDIという規格では、例えば「楽器番号のゼロはピアノの音色」とか、「音の高さの番号60は中央ド」というように決まってるんだな」


先生。キーボード、ケーブル、弁当箱サイズの音源モジュール、スピーカーを出す。


先生「このキーボードは、MIDIの信号を出す機能がある。でも、このキーボードには、音を出す機能が無い。そこで、このケーブルで、音源モジュールに指示を出す」


先生「音源モジュールには、スピーカーを付けよう。これで、全部の準備ができた。後は、MIDIの信号を出すだけだ」


画面の左半分には、鍵盤を操作する指が表示される。画面の右半分には、配線図の絵が表示される。


先生。キーボードの鍵盤を押す。音色はトランペット。「音を出せ。ホラ、音が出ているね」指令書の「音を出し始めろ」が、キーボードから、ケーブルを伝わって、音源モジュールに移動する。音が出始める。


先生「トランペットの音だ。「音を出せ」の指示はしたけど、そのままだから、まだ音が出たままだね。人間なら、息が続かないけど、音源モジュールは、次の指示待ちなんだ」


先生。キーボードの鍵盤を離す。「音を止めろ。ホラ、音が止まったね」指令書の「音を止めろ」が、キーボードから、ケーブルを伝わって、音源モジュールに移動する。音が止まる。


先生「この約束を守って、順番に指示を出せば、指示を受けた方はその順番で音を出す。音のデータを順番に並べたら演奏になる」


先生「要するに、MIDIのデータはコンピュータ用の音の指示。それを順番に並べたら曲になるから、コンピュータ用の楽譜データってことだ」


先生「ちょうどいいタイミングで「音を出せ」「音を止めろ」というMIDI指示を、事前にパソコンに保存したいね」


先生「事前に順番を決めておいたものは「プログラム」だね。運動会のプログラムもあるね。テレビ番組表は「テレビプログラム」って呼ぶでしょ」


先生「パソコンで、MIDIのプログラムを作るには、パソコンの「シーケンサー」を使うんだ。「順番」を英語で「シーケンス」と言うから、「シーケンサー」は、MIDIの指示のタイミングを、順番で記録するものだ」


ここでは「アプリ( )アプリケーション)」という呼び名は、使わない方が良いかも。パソコン用語を嫌いな人もいるため。スマホを使う人は、「アプリ」に馴染みがあるが、シーケンサーは主にパソコン用。


「記録する」は、SMF( )スタンダードMIDIファイル)として保存。編集は、「ワープロ( )ワードプロセッサ)で、削除、コピーなどが簡便」と同様の便利さがある。


先生「自動演奏ピアノのピアノロールでは、「音を出せ」の範囲に穴があるね。MIDIでは、穴の始まりと終わりのデータ「音を出し始める」と「出している音を止める」のデータがあるんだ」


ここまでの説明を、視覚化するために、シーケンサーのイベントリストと、ピアノロールを表示する。


先生「音を出す順番を記録する場合、テンポや小節番号なども、指示できるようになるんだ」


先生「キーボードなら、さっきは、1つの楽器しか鳴らせないような説明をしたけど、色々な楽器を、いくつも同時に合奏できるんだ。そしたら、テンポや小節番号も、全員が合わせるよね」


先生「ということは、「各々の楽器のためのデータ」と「全員に共通するデータ」という、2種類がある」


先生「まあ、あまり詳しく書くと、MIDIを知らない人は、こんがらがるよね。でも、MIDIって、あれこれ指定できるってことは、わかったよね。やってみようって気持ちにもなるかな?」


先生「そこで、さすがコンピュータだから、このデータを機械的に、ピアノロールの形に変換することができる。ちょうど、数値の表をグラフに変換するのと似ているね」


簡単な数値の表を、棒グラフにする例を表示し、「数字などの表は、グラフに変換できる」を添える。


簡単な数値の表が、画面上部に圧縮される。画面下部には、シーケンサーのイベントリストとピアノロールを表示し、「文字でMIDIの命令を記録したものは、ピアノロールに変換できる」を添える。


先生「しかも、さすがコンピュータという機能は、イベントの中には、小節番号や拍子記号、テンポの指定もできるんだ。自動演奏ピアノでは、ピアノロールの紙の進むスピードは一定だけど、MIDIなら、演奏中にテンポの変更ができる」


先生「音符の棒の向きや、符桁の繋げ方、リピート記号などを指定することは、MIDIデータではないんだ。シーケンサーの銘柄によっては、MIDIデータとは別に、見やすい楽譜のデータも記録できるものがあるよ」


先生「見やすい楽譜のデータの保存は、MIDIではできなくて、それぞれのシーケンサーの銘柄の、独自データなんだ。MIDIは世界基準の規格で、見やすい楽譜データは銘柄の独自データだね」


画面に、MIDIデータだけを楽譜に変換した例と、シーケンサー独自のきれいな楽譜を並べる。ただし、MIDIデータだけを楽譜に変換した例も、シーケンサーの独自変換なので、どちらも、当アニメ用の創作となる。


先生「さっきは、キーボードの鍵盤を押した時と、話した時に、キーボードから音源モジュールに、信号が送られたね」


先生「シーケンサーを使えば、プログラムの通りに、タイミング良く、信号が送られる」


キーボードからスピーカーまでの、配線図の絵を再表示する。パソコンが新たに表示される。キーボードからのケーブルが消え、パソコンからのケーブルになる。


先生「MIDIのデータは指示だけ。実際に音を出すのは、指示を受ける「音源モジュール」だよ。シーケンサーが、順番にタイミングよく指示を出して、音源モジュールは指示に従う」


先生「ピアノの音といっても音色は様々だし、トランペットの音色の微調整をしたいことはあるよね。でも、MIDIでは残念ながら、音色の指定は、ほとんどできないんだな」


先生「音の強弱の、「フォルテ」や「ピアノ」の指定と、音量の「ボリューム」の指定は、MIDIでできる。音源モジュールが、音の強弱で音色を変えてくれるなら、「強い音色の小さな音」なんてことは可能だよ」


先生「楽器を指定する「音色プログラム」、演奏の強さを指定する「ベロシティ」など、いくつかの設定があるけれど、限界はあるんだな」


先生「音源モジュールも、銘柄によって音色が違うよ。だから、曲によって音源モジュールを選ぶ人もいるんだ」


先生「自宅に2つの音源モジュールがあって、片方の音源モジュールで良い演奏になるように調整しても、もう1つの音源モジュールでは、つまらないこともあるんだな、これが」


先生「とはいえ、難しい曲のサンプル演奏はできるし、ゆっくり演奏させることもできるのが、MIDIの利点なんだな」


先生「合奏の練習に、自分のパートの音だけ消せば、コンピュータと自分の合奏ができる。さっき、「ゆっくり演奏もできる」って言ったよね。合奏練習でゆっくり演奏は役立つね」


先生「しかも、本物の楽器演奏ではできない、ピアノでチョーキングといった、遊びもできる」ギターのチョーキングでビブラート。ピアノでスラーの演奏は、チョーキングではない。MIDIでチョーキングする。「ウィンウィン」も分かりやすい。


先生「サックスなら、鳴らしながら右左と歩き回ることはできるが、ピアノではできない。でも、MIDIなら歩き回れるんだな。それどころか、瞬間移動もできる」ステレオ効果( )パン)で、ピアノが左右に動きまくる、瞬間移動する。


パンの変更では、ピアノに人間の脚( )すね毛ボウボウ)が出て、歩き回るのも良い。


先生「ピアノのグリッサンドは、白鍵だけ、黒鍵だけはできる」演奏例。グリッサンドの手に合わせ、鍵盤が赤くなる。


先生「白鍵と黒鍵の全部をグリッサンドは、MIDIならできるんだな。しかも、第4話の吹奏楽部の見学で、ピアノと、ダブルアクションハープでは、得手不得手( )えてふえて)があったけど、MIDIならどっちもできるんだな」


ピアノロールとピアノの鍵盤を表示し、グリッサンド。間隔を設けて3回、段々速くし、3回目は人間では不可能な速さ。


先生「ところで、第8話では、メンデルスゾーンの『春の歌』で、装飾音符の演奏をしたね。どこかの隙間に、そっと潜り込ませるのが、装飾音符だ」背景に、第8話でミッツが演奏する場面と、楽譜を表示する。


先生「装飾音符に限らず、人間が演奏するなら、「ジャラーンと演奏」といった、雰囲気で伝わるけど、コンピュータには、細かなタイミングも、正確に指示する必要がある」


背景に、『春の歌』楽譜( )装飾音符が無い)と、その下にピアノロールを表示する。ピアノロールと楽譜が分身の術で左右に分かれる。


右側の楽譜に、装飾音符が付加され、『春の歌』の楽譜になる。右側のピアノロールが、装飾音符が付いたものになる。楽譜とピアノロールが同時に、装飾音符が付いたことを目立たせるように点滅する。


指し棒で、「装飾音符を、そっと潜り込ませるタイミングを、しっかり指定する」を表示する。


先生「さっき話した「シーケンサー」では、このタイミングを簡単に「良きに計らえ」で指定できる機能があったりするよ。嬉しいね。もちろん「良きに計らえ」を、人間が調整することもあるよ」


先生「こうして、ピアノロールのアイディアは、コンピュータ用のデータに活用され、MIDIという規格を添えて、パソコンが演奏指示するように発展したんだな、これが」


▽ 場面変更 ● ── ●


先生ちゃんの説明が終わり、さっきの続き。


案内「先程のクイズの答えです」


案内「現在、最も普及している自動演奏装置は、パソコンです」


背景に注釈「最も普及しているのはパソコンというのは、案内の人の推測です」を表示する。


▽ 場面変更 ● ── ●


その他のオルゴール。


手回しオルガン。


水琴窟。


オルゴール館には無いので、動画で紹介するもの。「玉がレールを伝い、木琴などの上に順番に落ちて演奏」


▽ 場面変更 ● ── ●


自動演奏ではないが、科学実験。


太陽光で発電するもの( )広い意味での太陽電池)があれば、光通信ができる。


スピーカーに鏡を置く。鏡に光を当てる。音声を鳴らすスピーカの振動に合わせて、鏡が振動し、反射する光も振動する。


振動している光を、太陽光発電機で受け止める。光の振動に合わせて、発電される。これが、マイクの代わり。発電されたものを、アンプを通してスピーカーに繋げば、音声が再現される。


これで、光通信になる。


▽ 場面変更 ● ── ●


手作りコーナー。お土産店も兼ねている。


ここには、案内の人は店員も兼ねているので、複数の人がいる。手作りコーナーの案内もする。手作りの指導は、専門の人がいても良い。


案内。カリンバの模範演奏をしながら、手作りを紹介。


カリンバには8本のピンがあり、調律は、左から順に「ド、ラ、ファ、レ、ド、ミ、ソ、シ」で、両端が高く、中央のドが最も低い。


カリンバの演奏は、両手で本体を持ち、両手の親指でピンを弾く( )はじく)。親指は、1本のピン、または、隣り合った2本のピンを弾くので、最大で同時に4つの音を鳴らせる。


案内。カリンバでジングル( )「ソラシドー」、または、コード「G7、C」)を演奏。


コード「G7、C」の、「G7」は左手で「ファ、レ」、右手で「ソ、シ」、「C」は左手で「高いド」、右手で中央の「ド、ミ」。


または、当アニメのBGMの、馴染みのある部分でも良い。


案内の言葉の区切りで、ジングルを演奏する。


案内「こちらは、シリンダー式オルゴールを、自分で組み立てます。ドライバーを使って、この形から、完成形がこちらです」


案内「ご自宅で組み立てられますし、ここで組み立て案内を受けながら、組み立てることもできます」


案内「組み立ては、ゼンマイ式と手回し式が、あります」カリンバでジングルを演奏。


案内「私が持っているのは、櫛歯のピンに代わる棒を自分で差し込んで作る「カリンバ」という楽器です」カリンバでジングルを演奏。


ミッツとステラは、小さなシリンダー式の、ゼンマイ式オルゴールの組み立てを選択。


ミッツ「ねえ、ステラちゃん、何だか、馴染みのある曲が聞こえない?」


ステラ「はい、きっと、妖精ちゃんが、何かをしてくれてるんですよ」


ミッツ「そうね」


ミッツとステラは、オルゴールに夢中。


ハルは、案内が持っているカリンバに興味が出て、カリンバを選択。


ハル「そっちは、出来上がったカラクリを組み立てる方か、いいねえ。こっちは、自分で演奏するものだ」


ミッツ「へえ」


案内「どの曲にいたしますか? クラシック曲、映画音楽、近年のポップスなど、いろいろございます」


ミッツとステラ。様々な曲名を見て歓喜。ジャンル別に並んでいないので、じっくり探す。


ミッツとステラ。棚を見ていたが、案内から、パソコン、または、タブレットで探す方法も紹介される。タイトル順( )日本語、外国語)、発表年順、ジャンル別( )映画音楽、外国曲など)といった並べ替えや、検索ができる。


ハル「これは、オルゴールはなく、カリンバですか」


案内「はい。「カリンバ」という楽器です」


ハル「あ、これは、独立した楽器ですか」


案内「棒の調律は、ご自由にできますが、ここでは「ドレミファソラシド」を、ご案内します」


ハル。ミッツとステラが組み立てているのを一瞥。


ハル。案内の人の説明に従い、棒を装着。


ハル「この棒は、針金ですか?」


案内「ここでは、ピアノ線を使っています」


ハル「形は長い靴ベラのようですね」


案内「切ったままですと、こちら側ですが、指を怪我することもあるため、演奏側は成形してあります」ピアノ線の片方の先端は単に丸められていて、もう片方の先端は靴ベラの形。手前側、指ではじくのは、靴ベラの形の方。


案内「調律をする前に、大体の長さにしておきます」左側から右側に向かって、段々と短くなる。


ハル。長さを合わせているうち、ちょっと音が鳴る。


案内「おわかりのように、短くすると音が高くなるので、長さを変えて調律します。低い音から合わせましょう」


お土産店の一隅に、調律用の機械がある。「ド」のボタンを押すと、「ド」が断続的に「プー、……、プー、……、プー、……」と鳴る。「オフ」のボタンを押すと止まるが、放置しても10回で止まる。


ハル。案内の人と一緒に、聞きながら、調整する。


ミッツとステラは、ゼンマイ式のオルゴール。選んだ曲の箱の中には、シリンダーだけでなく、櫛歯も入っている。


組み立ての案内の人もいる。案内の人と、机を挟んで向かい合う席に、ステラとミッツが座っている。


ステラの方が上手に組み立てている。


案内「もしかして、ドライバーのご経験が、おありですか?」


ステラ「はい。家で色々作っていますので」背景に、自宅でメルヘンの小物を作っている姿。組み立てには、接着剤だけでなく、針金やネジも使う。


案内「そうでしたか」


ハルは調律ができた。


案内「調律ができましたね、お疲れ様です。では、でたらめに鳴らしてみましょうか」鳴らす。


ハルも鳴らす。


案内「この調律は、「ドレミファソラシド」なので、デタラメに鳴らしても、それっぽく聞こえるんですよ」


ハル「あ、音階だ」


案内「そうです。音楽のことはよくわかりませんが、ピアノの白鍵だけなら、このようにできるそうです」


案内「こちらのように……」中央が長く、左右が短いカリンバを手に取る。「……中央から左右交互に、ドレミ……」案内の言葉に合わせて、棒にドレミ……が表示。「……とすると」左右交互に、デタラメに鳴らす。


案内「ちょっと面白い曲っぽくなります。曲っぽいとは言い過ぎでも、違和感はありませんね」


ハル「え? それって、デタラメにしているんですか?」


案内「デタラメです。箱の中に、並べ方の例があります。このカリンバは、例( )2)の並べ方をしました」


ハル。購入したカリンバの箱に入っている紙の、並べ方の例を見る。「ド」から「ド」までの1オクターブの、8つの縦長の長方形が、カリンバのピンを表す。8つの長方形の並べ方の例が印刷されている。


( )1)「ド」から「ド」までが、順番。


( )2)左から順に「ド、ラ、ファ、レ、ド、ミ、ソ、シ」で、両端が短く( )高い音)、中央のドが最も長い( )低い音)。


( )3)左から順に「シ、ラ、ファ、レ、ド、ミ、ソ、ド」で、右半分がハーモニカの吹く音( )ド、ミ、ソ)、左半分がハーモニカの吸う音( )レ、ファ、ラ、シ)の調律。


ハル「これって、共鳴箱と棒があれば、自宅でもできそうですね」


案内「工作が好きな方は、たくさんお作りになるそうですよ」


ハル「前に、家でクリップを弾いてみたら、クリップを、こう少し開いて弾いてみたら、結構いい音が出たんです。机に置いて指で押さえたら、カリンバみたいに」背景に、小学生の頃に実験した姿を表示する。


案内。笑顔で聞いている。


ハル「面白い音が鳴るなあって、1本だけで終わらせたけど、何本もやってみれば良かったなって。その時は、楽器としての発想を、思い付かなかったので」


案内。笑顔。


ミッツとステラ。早速、作ったオルゴールを鳴らして、喜んでいる。同時に鳴らしているから、混ざると、よくわからない。2人の曲は、当アニメのオープニング曲とエンディング曲でも良い。


ミッツ。ハルに向かって。「あたし達のは楽器だけど、そっちは楽器じゃなく、おもちゃでしょ」


ハル「じゃあ、楽器の定義は?」


ミッツ「そりゃあ、遊びじゃなく、ちゃんとした曲で使うものでしょ」


ハル「ちゃんとしたって言ったら、視聴者から文句が来るぞ」


ステラ「『おもちゃの交響曲』では、おもちゃのラッパや、カッコウ笛が使われてますよ。『パリのアメリカ人』では、自動車のクラクションとか」


ステラは、自動演奏ピアノで、ガーシュウィンが誰だか思い出せなかったことと、中学生がガーシュウィンを知っているのは珍しいこともあり、『パリのアメリカ人』は非現実的かも。


ハル「ギターは楽器だが、弦を擦って音を出すこともあるぞ。弦のギザギザを、ギュゥイーン……とか、爪でキュッキュッ……とか」弦の長さいっぱいに擦る。弦の一部を擦る。ベンチャーズっぽい。


ステラ「プロのオーケストラでも、特にパーカッションは、手作りのおもちゃみたいなものを使いますよ」


ハル「ウォーターフォンは、不気味なシーンで大活躍するし、モリコーネは口笛とか、口琴を主役にした映画音楽を作っている」背景に、ウォーターフォンの演奏例と、口琴の演奏例。口琴は、短い演奏と、ギャグの「ボヨヨーン」の両方を。


ハル「ミッツには、馴染みは無いだろうけど、「ノイズ音楽」ってのもある」


ミッツ「ノイズって、雑音でしょ。そんなの、音楽じゃないでしょ」


ステラ「それは誤解です」


ミッツ「え?」


ステラ「私、植物も動物も、人気の偏りがあるのは仕方ないとは思っていますが、人気が少ないからって、邪魔者扱いするのが、堪えられないんです」


ミッツ「え?」


ステラ「普通は、パンジーは花で、タンポポは雑草って言われます。でも、タンポポ畑では、タンポポが花で、パンジーは雑草です」


ミッツ「え?」


ステラ「パンジーの花畑では、ヒマワリが雑草です。どんなにヒマワリが多くても、ヒマワリが見事でも、パンジーの花畑では、ヒマワリは雑草です」


ステラ「ヒマワリ畑では、パンジーもバラも、雑草です」


ミッツ。やや茫然としている。


ハル「畑によっては、望まない植物は「その他の植物」って扱いってこと。「雑」ってのは「バラエティ」ってことだからな」


ハル「ステラが言いたいのは、「ここではその他」の扱いはあっても、「いつでも邪魔」の扱いは許せないってことだ」


ステラ。ハルの加勢に乗る。「ノイズ音楽は、「音楽じゃない」というのではありません。普段は楽器の使い方をしないもので、音を楽しんでいます。何の花畑か、指定しないで楽しむようなものです」


ハル「「楽器」と「楽器以外」で分けたら、ノイズ音楽は「楽器以外」も面白ければOK。電話の発信音も、雷の音も、面白ければOK。しかも、リズムやテンポも無く、西洋音楽の楽譜で表現できない曲もある」


ミッツ「そんなの、コントロールできない」


ハル「要するに、ただ「音が鳴る」はおもちゃで、「コントロールできる」ってのが、楽器だって、言いたいのか? 「音」という要素の全部ではなくても、「納得できるコントロール」ってのが、ミッツの言いたいことなんだろう?」


ステラ。ハルが、またミッツとの仲良しが始まると思い、ミッツが答える前に割り込む。


ステラ「そうです。楽譜でドレミを表せなくても……」


ミッツ「わーかった、わかったって」


ハル。さり気なく、ステラの後ろに立つ。


ミッツ「ステラちゃんまでひどいよー」ステラに抱き着く。


ステラ。慌てて「あ、申し訳ありません」


ステラ。ミッツが急に抱き着いて来たので、よろけて倒れそうになる。ハルが素早く、後ろで抱き止める。ステラの肩を、両手でがっしりと。


ステラ。驚いて、声が出ない。顔が、一瞬、ハートマークの風船のように膨らむ( )髪の毛が無い)。湯気が出る。


ミッツ「ハル、えらいっ。よく受け止めた」


ステラ「あ、ありがとうございます」


ハル「せっかくのオシャレだろ、転んで台無しにはできないからね」または、「せっかくのオシャレだろ、転びたくないもんな」でも良い。


ハルの言葉に合わせて、ステラが自室で身支度する様子。振り向きざまに鏡に向かい、髪の毛の揺れ具合を確かめる。化粧ののり具合を確かめる。前屈みになり、鏡で胸元( )首元)を見て、ブラウスのボタンを留めたり外したり。


この描写は、オルゴール館の入り口で落ち合った時に、ミッツが寸劇のようにした。重複になるので、ここでは省いても良いが、ステラの恋心を強化するために、ここでも描写するのも良い。


ハル「今日は、楽しい思い出の日なんだから」


ステラ「はい……」少し頬が赤らむ。


ハル「ミッツの性格から、やばいなあと思って」


ステラ。心の声。「( )え? あたしより、蜜霧先輩を気にしてたってこと?)」


ステラ。ハルを見ていたが、視線をそっと、ミッツの足元に移動する。


ミッツ。ステラの視線に気付く。元気よく。「よっしゃー! どっさり楽しんだし、帰ろうか」


ハル、ミッツ、ステラ。案内の人に挨拶し、外に出る。


ステラ「家に帰るまでが遠足!」


ハル「よく聞くけど、それって、どういう意味なんだ?」


ミッツ「もしも、家に着く前に事故があったら、遠足で事故があったってことになるでしょ。帰宅後に、改めて外出しての事故なら、遠足のあった日の事故だから、遠足では事故が起こってないてこと」


3人。バスに乗り、思い出話。


スマホには、3人がオルゴール館の前で、3人の記念写真を3枚連続で。1枚目は口を尖らせて「す」、2枚目は「て」、3枚目は「き」で、それぞれ目の表情も変える。


▼ Cパート。   ▼──   ──▼


先生ちゃん。オルゴール館の案内の人。


説明用の別世界。背景は無地。


先生「手のひらに載せるような小さなオルゴールは、みなさん、よくご存知でしょう」


先生「小さいので、櫛歯の本数が少なく、使える音数が限られます。この限られた中で、メロディだけでなく、伴奏も演奏します」ここでは「音数」は「おとすう」と読むが、聞いてわかりやすい「音の数( )おとのかず)」でも良い。


先生「そのため、櫛歯に使う音の高さの選択は、とても工夫します」


先生「シリンダーを交換すれば別な曲になるかと思えば、そうではありません。曲によって使う音が違うので、櫛歯の調律も曲によって違うためです」


背景で、シリンダーを交換してもダメの説明。2つのオルゴールで、「この曲で使う音は「ドレミ」、この曲で使う音は「レソシ」」の説明と、楽譜。


先生「音の鳴る部分、櫛歯には、調律の工夫がされています」


先生「櫛歯は、1枚の板に切れ込みを入れていますから、1本の切れ込みの深さを変えると、隣の調律にも影響します」絵を表示する。


指し棒で「( )1)これの調律をしようと」、差し棒で「( )2)ここの切れ込みを深くすると」、差し棒で「( )3)こっちにも影響する」。


先生「切れ込みを深くすると、櫛歯が長くなるので、音が低くなります」


先生「音を高くするのは、櫛歯の先端の、この部分を削って、櫛歯を軽くします」絵。櫛歯の先端は厚くなっていて、重みがある。厚い部分の、削る箇所を、猫が爪とぎするように引っ掻き、削られる。


削る部分は、明朝体の漢字の「一」の、右端のウロコ( )▲)の内側。


先生「櫛が長いと低い音、短いと高い音です。櫛が重いと低い音、軽いと高い音です」


先生「どちらの調節にしても、削る方法なので、削り過ぎてはいけません」


先生「調律はこのように、ひとつひとつに、手作業で行います」


先生「このタイプのオルゴールには、実は苦手な演奏がありますそれは、同じ音の連続です」


先生「櫛歯が、まだ振動しているうちに、次のピンが触ると、ビビリ音が鳴ってしまい、美しくありません」動画で、振動しているうちに、次のピンが触り、ビリビリ鳴る説明。


先生「そのため、同じ音高の櫛歯を2つ用意して、交互に弾くようにしています」


先生「櫛歯の本数が少ないのに、同じ音高を2本も用意するので、音数は減ってしまいます」


先生「ピンのあるシリンダーを変えれば、別な曲も演奏できるかと思ったら、シリンダーと櫛歯の、両方がセットになっているのです」


先生「ですから、お客様が選ばれた曲の箱には、シリンダーと櫛歯がセットで入っているのです」


先生「音を出す本数が限られて、曲によって調律が異なるのは、箏( )琴)と似ていますね」


先生「ただし、箏と異なるのは、箏は曲によって調律を変えたり、時には、曲の途中で調律を変えたり、ギターのチョーキングのようなこともできます。シリンダーオルゴールにとっては、羨ましいです」


箏の機能、あれこれ。特に、シリンダーオルゴールとの違いがわかるように。


先生「オルゴール館へのご来場、お待ちしています」


先生。お辞儀。


ここでは、「櫛歯」「櫛」「歯」「ピン」「棒」など、表現が統一されていない。どの箇所で、どの表現が相応しいか、決めることが必要。


▼ 次回予告。   ▼──   ──▼


ミッツが、音楽の先生を引き連れて、


湖の水の上に、ピアノが置かれ、


ヤッ子先生は、甘すぎですよ。


もうやめてよ、お父さん。


▼ 1コマ漫画。   ▼──   ──▼


トロール将軍が、グラスハープを演奏しようと触ったら、ワイングラスが割れた。


「あ……。軽く触っただけなのに」



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