3話 傭兵
途中で投稿すると、満足して続きが書けなくなる気がしたので、だーっと書いています。
どんくらいまで書くかは未定です。
「断る」
「…なんですって?」
「断るといっている」
金髪の男はそのまま荷物の整理をしている。彼は、急いでこの場を離れるつもりらしい。アナスタシアは呆気に取られそのままぼーっと様子を眺めていた。
「これじゃ足りないっていうの? 他に何が欲しいのかしら? もちろん リアム様のところに辿り着けば…」
「金じゃないよ」
「?」
「人に物を頼む態度じゃないでしょ? それ… うーんテントは置いてくかあ 時間も惜しいし」
金髪の男はアナスタシアには見向きもせず、そういった。そのまま一人でそそくさと行こうとする。
「ど どういう意味よ!」
「人に物を頼む時はね よろしくお願いします ありがとうございます これが言えて初めて社会人な訳よ お嬢さん そんな態度じゃ誰だってダメだね」
「あ あなた傭兵でしょ? 戦い方慣れてるもの そうでしょ?」
「傭兵はお金を積めば なんでもやるって聞いたわ!」
「まあ 間違いではないな ただ 悪いね 私は今休業中…みたいな そんな感じ」
アナスタシアは彼の言ってることがさっぱり分からなかった。唯一の頼みの綱に断られたショックもあるのだが。自分の知らない世界のルールを突きつけられ、どうしたらいいのか分からなかったのだ。
そんな彼女を無視し男は準備が完了したようで、そそくさとその場を立ち去ろうとする。
「急いで行けば 朝になる前に町に着くかなあ お嬢さん あんたもあんたも早く去ったほうがいいよ」
山の中を男は歩いた、空はいつの間にか晴れていて星々が輝いて見える。経験上、星を追えば大体の方角がわかるのだ。
そのおかげで獣道でもなんとか進めている。
問題は、後ろをついてきているアナスタシアであった。
「…」
「…」
「ついてくるなよ! 近くにお城があっただろう! そっちに行きなさい」
「私はそっからきたのよ!」
「ああ…そうなんだ…」
「私ここら辺の地理なんてわからないし… あなたについていくしかないのよ…!」
アナスタシアはあの城から一歩も出たことがないのである。それゆえ、どこの方向に町があるとかそういうことは一切知らないのであった。
「っち 仕方ないな いいか 町までだよ! そっからは別なやつ探せよ?」
「私もあなたのような粗野な人 こっちから願い下げよ!」
「そ 粗野…」
男はあまりにも不躾な物言いだったので、イラっときたが。大人気ないと思いこれ以上の言い争いは避けた。
無駄な時間を過ごすわけにはいかない。仕方ないのでアナスタシアがついてくるのを許した。
一方彼女に関しては…
アナスタシアは強がってはいたが、さっき転げ落ちた際、足を痛めていた。しかも、靴は脱げて裸足であった。足から絶えず、痛みが走る。
生きたいという気持ちだけが彼女を動かしていたが、精神、体力、共に限界を迎えつつあった。
「リアム様…あの方に会うのよ…」
もはや視点も定まらず、歩くのもやっとである。気づいたら朦朧とした意識で、独り言を喋っていた。
「お前さん 大丈夫か?」
「…何がよ」
「なんか フラフラしてるじゃないか」
「大丈夫よ 気にすることなんかないわ あとちょっとなんだから…」
そう言い終わると、アナスタシアはバランスを大きく崩して倒れてしまう。
彼女はすぐ起きあがろうとするが、もはや立ち上がることすら出来なくなっていた。
「おい!ちょっと…」
金髪の男が何か言っているが、もはやアナスタシアには届いていなかった。
アナスタシアの意識はそのまま暗闇に沈む。そして世界に静寂が訪れた。
暗闇の中で、彼女は夢を見ていた。
城の窓辺に彼女は立っている。外を眺めているのだ。
おそらく、いつかの日の記憶を思い返しているのだと、アナスタシアは思った。
見覚えのある記憶であった。
その日は客人が城に来訪しにきていた、その理由はもはや覚えてはいない。
その客人はリアムだ。一方的な初対面で会ったが、アナスタシアにとっては思い出深い記憶だったのだ。
最も彼とは一言も話さず、遠くから見ているだけだったのだが…
「おーい おーい」
「ん…?」
「大丈夫かよーお前 急に倒れるからびっくりしたわ」
「ああ… 私 倒れたのね…」
アナスタシアが気づくと、そこは洞窟の中であった。洞窟とはいってもちょっとした横穴のようなもので、
2、3人が入れるくらいの小さなスペースであった。
そこに彼女は寝かされており、金髪の男が顔を覗き込んでいた。
「やれやれ いい感じの穴があったから良かったものを」
「ほっとけば良かったじゃない…」
「そこまで冷たい人間じゃないさ 私は」
男はアナスタシアをちょっとだけ起こして水を飲ませる。
ゴクリ ゴクリ
無我夢中で水を飲み干す。これまで急いで逃げてるだけだったので、水を飲む暇などなかったのだ。
カラカラだった喉は潤いを取り戻し、今度はお腹が空いてきたのか腹の虫がなった。
「腹へった? はい」
「何これ 干物みたいな貧相な…」
「ほ 干し肉だよ… いらないならあげないぞ」
「どうやって食べるのこれ」
「思いっきり齧るんだよ」
と男は目の前で齧って見せた。
なんて野蛮な食べ方なのかしら…とアナスタシアは内心思った。
マナー、礼儀、そういったものを叩き込まれた身としては、こんな雑な食べ方は受け入れ難かったのである。
しかし、背に腹は変えられない。今は本能を優先させるべきであろうと彼女は判断した。
がぶりっ
口の中にしょっぱい味が広がる。彼女の今までの人生の中で一番しょっぱく、空きっ腹には効く味であった。
「まあ…まあまあね」
「なんだよまあまあって…」
お腹がいっぱいになって一番最初に顔が浮かんだのは、やはりリアムのことであった。
暗いのばっかりなのもアレなので 徐々に明るいところも書いていきたいなーと思っております。




