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地球の地下には4400年前から続く文明があり、人類は観測対象だった 〜登山中に消えた俺の真実〜   作者: ムーンキャット


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第21話 「地上側の目」

夜の山岳地帯。

冷たい風が吹き荒れ、岩肌に薄く積もった雪が舞い上がる。

その上空を、無音の黒い機影が滑るように進んでいた。

軍用無人機《AR-7レイヴン》。

その腹部から青白いパルスが地面へと照射される。

地下探査波。

「反応、再び検出」

暗い管制室。

壁一面のモニターが淡く光る。

オペレーターが声を上げる。

「深度八百メートル付近。前回の消失地点と誤差二メートル以内」

室内がざわつく。

その中央で腕を組む一人の男。

防衛情報局・特別観測課 課長

鷹宮たかみや 蓮司れんじ

鋭い目つき。四十代半ば。

「確度は?」

「九十七パーセント。通常の地殻反応ではありません」

「人工構造物の可能性は?」

「……否定できません」

沈黙。

鷹宮が低く呟く。

「“蒸発事故”ではなかったか」

モニターには、半年前のニュース映像が映し出される。

――登山中の男性が行方不明。

――滑落の可能性。

だが。

当時の衛星ログ。

一瞬だけ観測された異常エネルギー。

そして地磁気の歪み。

「失踪者のデータを再確認しろ」

「はい」

画面に顔写真が表示される。

須藤 海斗(28)

「一般人。前科なし。政治的活動なし。特異な経歴もなし」

「……だが、あの瞬間に消えた」

鷹宮の指が机を軽く叩く。

「偶然は二度起きない」

オペレーターが振り向く。

「課長、上層部は掘削許可を出しません。『自然現象の可能性が高い』と」

鷹宮は薄く笑った。

「上は常に“波風”を嫌う」

一拍。

「だが我々の仕事は、波の下を見ることだ」

モニターに新たな数値が表示される。

エネルギー再上昇。

「……来ます」

青白い波形が跳ね上がる。

地面の一点。

まるで――

内部から何かが動いているかのように。

室内が静まり返る。

「これは……」

「地下で、移動体を確認」

ざわめき。

鷹宮の目が鋭く光る。

「生体反応か?」

「……不明。だが規模が大きい」

一瞬、ノイズが走る。

モニターが乱れ――

真っ黒になる。

「映像ロスト!」

「制御不能! ドローンとのリンク切断!」

オペレーターの声が上ずる。

鷹宮は微動だにしない。

「妨害されたな」

「はい……人工的です」

沈黙。

その静寂の中、鷹宮がゆっくりと口を開く。

「地下に何かある」

誰も否定しない。

「自然ではない。偶然でもない」

彼は海斗の顔写真を見つめる。

「神谷海斗……君はどこへ行った?」

モニターに最後のフレームが残る。

ノイズの中、わずかに映った影。

巨大な輪郭。

人型ではない。

オペレーターが震え声で言う。

「……UMA?」

鷹宮が静かに否定する。

「違う」

低い声。

「“文明”だ」

その言葉が室内に落ちる。

「掘削はできない。だが観測は続ける」

「はい」

「波を起こすな。だが見失うな」

モニターの黒い画面に、微弱な残留信号が点滅する。

まるで。

地下からこちらを見返しているかのように。

鷹宮が呟く。

「君たちは……何者だ」

遠く、山の地下。

海斗の帰還準備が進んでいることを、彼はまだ知らない。

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