表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球の地下には4400年前から続く文明があり、人類は観測対象だった 〜登山中に消えた俺の真実〜   作者: ムーンキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/36

第19話 「選択」

山が鳴る。

ゴゴゴゴ……。

人工的な圧縮振動が、地殻を押し潰そうとしていた。

掘削基地は混乱。

兵士が叫ぶ。

「退避急げ!」

だが、振動は止まらない。

上空の歪んだ影が、静かに脈動する。

〈第二段階移行まで残り四十秒〉

アインの声。

「マドラーは本気だ」

海斗は奥歯を噛む。

「止める方法は」

〈地上からはない〉

「地下ならあるのか?」

〈出力制御核に直接アクセスすれば〉

「どこだ」

〈地下三百メートル、抑止制御ポイント〉

海斗は笑う。

「つまり俺が潜れってことか」

〈危険だ〉

「知ってる」

責任者が海斗の腕を掴む。

「どこへ行く!」

「下だ」

「正気か!?」

「お前らを守る」

責任者が言葉を失う。

海斗はフェンスを飛び越え、掘削孔へ走る。

振動が強まる。

地面が割れる。

〈残り二十五秒〉

アトムスーツが展開。

簡易型が完全展開へ移行。

〈深度耐圧限界警告〉

「耐えろ」

海斗は掘削シャフトへ飛び込んだ。

暗闇。

振動。

岩盤が崩れ落ちる。

〈左三メートル、空洞反応〉

アインのナビが導く。

海斗は壁を蹴る。

アトムスーツの位相変換が一瞬だけ起動。

岩を“すり抜ける”。

地中へ。

さらに深く。

振動の中心へ。

〈残り十五秒〉

視界が開ける。

巨大な空洞。

その中央に――

黒い球体装置。

脈動するエネルギー。

その前に立つ影。

マドラー。

「来ると思っていた」

振動の中でも声は冷たい。

「やめろ!」

「これは抑止だ」

「地震起こしてどうすんだ!」

「死者は出ない」

「偶然があれば出る!」

マドラーの目が細くなる。

「感情だな」

「人間だからな!」

振動が強まる。

〈残り八秒〉

海斗が装置へ走る。

マドラーが立ち塞がる。

「退け」

「退かない」

「文明を守るためだ」

「守れてねえだろ!」

二人の視線がぶつかる。

〈五秒〉

海斗が叫ぶ。

「怖いだけだろ!」

一瞬、マドラーの瞳が揺れる。

「また滅びるのが!」

沈黙。

振動が臨界へ。

〈三秒〉

海斗はマドラーを突き飛ばした。

球体装置へ飛びつく。

「アイン!」

〈出力逆位相接続を試みる!〉

「今すぐだ!」

海斗の手が装置に触れる。

電撃。

視界が白く弾ける。

〈二秒〉

マドラーが叫ぶ。

「触れるな!」

〈一秒〉

海斗は歯を食いしばる。

「止めるって言っただろ!!」

――静寂。

振動が、消えた。

完全停止。

地下空洞に、重い沈黙が落ちる。

地上では。

揺れがぴたりと止まる。

兵士たちが顔を見合わせる。

上空の影も、薄く消えた。

地下。

海斗は膝をつく。

スーツが焦げている。

呼吸が荒い。

マドラーが低く言う。

「なぜそこまでする」

海斗は笑う。

「ヒーローだからだ」

「馬鹿か」

「知ってる」

アインの声が入る。

〈出力完全停止確認〉

マドラーは海斗を見下ろす。

「……お前は火種ではない」

低い声。

「爆弾だ」

海斗は顔を上げる。

「爆発しないタイプのな」

マドラーの口元が、わずかに動く。

怒りではない。

評価。

「三日」

マドラーが言う。

「まだ二日残っている」

「知ってる」

「証明を続けろ」

黒い粒子が舞う。

マドラーは消えた。

地下に残るのは、焦げた匂いと沈黙。

アインの転送光が降りる。

「無茶をする」

「止まっただろ」

アインは海斗を見る。

感情解析が一瞬だけ乱れる。

「……君は危険だ」

「いい意味で?」

「分からない」

海斗は立ち上がる。

「まだ終わってない」

アインが静かに言う。

「地上は今の異常を解析する」

「だろうな」

「隠しきれない」

海斗は空を見上げる。

「なら、隠さない方向に動くしかないな」

アインの目がわずかに開く。

「何をするつもりだ」

海斗はニヤッと笑う。

「次は俺の番だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ