表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球の地下には4400年前から続く文明があり、人類は観測対象だった 〜登山中に消えた俺の真実〜   作者: ムーンキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/36

第16話 「再介入」

地下都市・中央統制区画。

観測ホールの光が、突如赤へと変わる。

低い警告音。

アインが振り向いた瞬間、空間が歪んだ。

何もない空間に亀裂のような揺らぎ。

次の瞬間――

黒い粒子が集束し、一人の男が現れる。

重厚なアトムスーツ。

鋭い眼光。

マドラーだった。

「……アイン」

声は低い。

怒鳴ってはいない。

だが、温度がない。

海斗が小さく呟く。

「また来たな、独裁者」

マドラーの視線が一瞬で海斗を射抜く。

「……まだ消していないのか」

「消さない」

アインが即答する。

「特例だ」

「特例?」

マドラーの口元が歪む。

「文明に例外を作る愚かさを、ジェレスから学ばなかったのか?」

空気が張り詰める。

海斗が一歩前に出る。

「俺が何かしたか?」

「存在している」

即答。

「それだけで火種だ」

アインが制する。

「マドラー、感情的になるな」

「感情?」

マドラーの声がわずかに強まる。

「地上が掘削を開始している。

三国家が共同で“地下巨大空洞探査計画”を発足した」

海斗の表情が変わる。

「……そんなに早いのか」

「お前が目撃された地点を中心にな」

マドラーは続ける。

「さらに、深海側でも異常振動。

偶然が重なり過ぎている」

アインは静かに答える。

「因果を君は恐れすぎている」

「違う」

マドラーが一歩近づく。

床がわずかに震える。

「歴史は繰り返すと言っている」

一瞬。

巨大スクリーンが強制起動する。

そこには地上の軍事会議映像。

解析済み。

「“地底文明の可能性は排除できない”

“未知のエネルギー源が存在する可能性”

“戦略的確保の必要性”」

マドラーが吐き捨てる。

「確保だと」

海斗の拳が握られる。

「……資源か」

「そうだ」

マドラーの目が冷える。

「連中はまた奪う」

沈黙。

アインがゆっくりと問う。

「だから?」

マドラーは振り返る。

「抑止だ」

「具体的には?」

「地上の掘削基地を無力化する」

空気が凍る。

海斗が声を上げる。

「待て!」

マドラーの視線が突き刺さる。

「お前に発言権はない」

「ある」

海斗は一歩も引かない。

「俺は地上の人間だ」

「だからこそ信用できない」

「違うだろ」

海斗の声が低くなる。

「お前は怖いんだ」

一瞬、静止。

「また4400年前みたいになるのが」

マドラーの瞳が揺れる。

だがすぐに戻る。

「私は計算しているだけだ」

アインが口を開く。

「無力化は武力行使だ。

それは禁忌だ」

「禁忌は滅びを避けるためのものだ」

マドラーが低く言う。

「滅びが近づいているなら、更新すべきだ」

海斗が言う。

「更新じゃない。破るって言うんだ」

マドラーが近づく。

「……お前は何ができる?」

海斗は迷わない。

「止める」

「どうやって」

「説得する」

マドラーが初めて、はっきりと笑う。

「理想主義者か」

「違う」

海斗は真っ直ぐ見返す。

「見捨てないだけだ」

静寂。

アインが二人の間に立つ。

「マドラー。時間をくれ」

「何のために」

「観測の拡張。

地上の動きを精査する」

マドラーは数秒、無言。

やがて言う。

「三日だ」

「短い」

「三日だ」

視線が海斗へ。

「その間に証明しろ」

「何を」

「お前が火種ではないことを」

黒い粒子が再び舞う。

消える直前、マドラーが残した。

「失敗すれば、私が更新する」

消失。

重い沈黙。

海斗が息を吐く。

「三日だってよ」

アインが静かに言う。

「……賭けになる」

「いいさ」

海斗は笑う。

「面白くなってきた」

だが、その笑みの奥に、

覚悟が宿っていた。

地下都市の光がわずかに揺れる。

地上は掘る。

地底は揺れる。

そして三日後。

何かが動く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ