表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球の地下には4400年前から続く文明があり、人類は観測対象だった 〜登山中に消えた俺の真実〜   作者: ムーンキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/30

第8話 地底文明の秘密

海斗はゆっくりと地下都市を歩いた。

光ゴケの柔らかな光に照らされ、壁も床も天井も滑らかに反射する。

静寂の中、微かに機械音や遠くの人影の気配が漂う。

「……この文明、いつ頃からあるんですか?」

翻訳機越しに海斗が訊ねる。

アインは静かに答えた。

「およそ四千四百年前。人類が大洪水により地上を失った時代です」

海斗の目が大きく見開かれる。

「そんな……俺たちの歴史のずっと前の話……?」

「はい」

アインは都市を見渡しながら続ける。

「この文明の祖は、ジェレスという名の科学者です。原子を分解する技術を完成させ、原子潜水船ファントムを建造しました」

海斗は言葉を失った。

「原子潜水船……あの、山で見た……」

アインは微かに頷いた。

「あなたが目撃したものは、彼の発明の一つです。ジェレスは自由、博愛、平等を信じる人物でした。彼に賛同した者たちは地下に潜り、人類を滅びから守ろうとしました」

海斗は心の中で静かに息を呑む。

「……ジェレスさんが、この文明を作ったんですか……?」

「はい」

アインの声は淡々としていたが、その奥には敬意が含まれているように感じられた。

「彼は争いを嫌い、資源は共有すべきだと考えました。地上に戻ることは禁じられ、文明の成長と観測に専念することを使命としました」

海斗は目を見張る。

「争いを避けるために、地下で……ずっと?」

「はい」

アインは通路の壁に沿って歩きながら、光ゴケの光を指さす。

「この光も、農業や生活を支える光ゴケも、すべて彼の発想から始まりました。地下都市の設計、資源の管理、生活のあり方――彼の理念が今の文明を形作ったのです」

海斗は胸に手を当て、静かに考えた。

——4400年前、ジェレスが人類を救おうとした時、

その理念がここまで大きく、秩序と美を生み出していたのか……。

「そして今、私はあなたに案内しています」

アインの声が翻訳機越しに響く。

「あなたの目で、そして心で、この文明を知ることができます」

海斗は小さく頷いた。

「……わかりました。全部見せてください」

静かな地下都市を歩きながら、海斗の心には畏敬と好奇心が同時に芽生えていた。

遠い過去のジェレスの意思が、この都市に、そしてアインに受け継がれていることを、海斗は肌で感じたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ