二十三話 ラー様はどんな神?う~ん…何言ってるか全然分かんね。
婆さんの後ろの木が仕掛け扉になっていた。普通に開いて、下に進んでいく。うん、なにこれ。太陽神なんだから、木の上に居れば良いのに。木の下、地下に居るんだ。
「ここの扉の奥に居られるんじゃ」
「何?ラスボス?これ、倒すの?」
「解放するんですよ?封印されていますので。」
「これ、俺みたいに引きこもってるよね?引きこもってるだけだよね?」
「平突じゃないんだから!引きこもるって表現は良くないよ?」
「俺にも色々あったんだよ!!引きこもりはな、心に傷を抱えた戦士なんだよ!!」
「美化する傾向にあるんですね~?平突さんは殊勝な心掛けをしています~!」
「やかましい!!俺が弱いのは百歩譲って良いとして、死にそうになったんだからそのぐらいいいでしょうが!!!」
「では、行きますよ。」
「うん、全然聞いてくれない。分かってますよ、行けばいいんでしょう?行けば。」
重そうな扉を開いて見る。あれ、なんだか簡単に開くというか…。あれ?何ここ?書籍ばっかり…。え?太陽神って…あの人?すごい、エジプト神話のまんまの姿してる。何故か顔だけ…鳥の被り物してるけど。
「うむ?何用だ?我に用とは…貴様は宇宙に認められし者であるか。」
「で、え?誰が宇宙に認められた者?」
「平突さんしか居ませんよ~?」
「俺?!そうなの?」
「そうか、そうか。ふむ、貴様には色々あったのだな。」
「なんか…怖いんですけど。色々見透かされてる感じがして怖いんですけど?!」
「貴様は人間は面白い生き物であると自覚しているか?」
「…?人間は面白い生き物?」
「人間には何故意識があるのか?神が望んだ通りの姿をさせて、思考パターンをインプットさせておけば争いなどは起こらない。」
「は、はい。」
「では何故そうしないか?思考を、そして意識を搭載する。人間は個人個人が勝手に思考する事によって、新たな物を生み出していく。」
「え、えぇ…。」
「という面白い話だ。如何かな?」
どこに何をツッコめってんだ?!何を言ってるのか意味が分からん!!なんなの?面白さどこ?!どこが面白い話なんだ?!神と人間ってこんなに差が開くぐらいなの?!まぁ…何万、何十万、永遠ともとれる時間の中を生きているから…。バグったのかな?
「時折、宇宙にコンタクトを取りに来る者が居る。それもまた面白いのだ。」
「宇宙にコンタクト?!」
「ああ、"コンタクトレンズ"ではない。」
「知ってますよ?!コンタクトレンズを宇宙まで拾いに行くなら買いに行きますからね?!」
「思考を整理し、自己を極限まで認識する。空っぽの自己を愛し、それらを抱いて会いに来るのだ。」
「…?」
「そうすると、我々と交信する事が叶い、貴様らを直接導くことが可能になるだろう。」
「道…。」
「"未知"ではないぞ?お前の頭に"未知"が広がっているのは知っているのだ」
「上手い事言わないでもらっていいですか?!笑いそうになるので!!」
「笑って良いのだぞ?我も久しく笑っておらぬ。誰か我を笑わせてくれないか?」
「すっごい上からっぽいのに丁寧なお願いが来た?!ものすごいびっくりなんですけど?!」
「貴様は今、何を求めているのだ?心の奥にある真の望みを解放すると良いぞ。」
「元の世界に帰りたいですけど?」
「いや、違う」
「違う?!俺の望みをラー様が否定するんですか?!」
「我は貴様であり、貴様は我である。」
「何を言ってんですか?!さっきから話が全く見えないんですけど?!」
「む?我の話を理解出来ないのに、ここに導かれるはずはないのだが?誰が…ああ、貴様か罔象女神 (みつはのめのかみ)。」
「お久しぶりですね、ラー。相変わらず面白い事を説いているのですか?」
「面白い、そうか。我の話は面白いか。」
「ええ、宇宙に関連する事は面白いですよ?」
「そうだろうな?」
うん、全く見えない。宇宙に関連する事って…。まず、神様は概念なのか、実在するのか?みたいな所から始まるはずなのに、居るという想定で話が進んでいく。うん、ごめん、目の前に二柱いるね!!何なら、オシリス様とかもそうだったよね!!居るんだね、世界にね。
「おい、勇者の頭の上に"が"浮かんでいる。貴様は何とか出来ぬか?」
「ここまで置いてけぼりな状態だと…流石に無理なのではないでしょうか?」
「むむ…そうか。オシリスの所の天使よ。貴様も我の存在をしっかり宣伝しなければならないのではなかったのか?」
「そうかも知れないんですけど~。私にも話が難しくて良く分からないんですよね~?」
「そうか、オシリスめ…。あいつの仕業であろうな?あいつは昔からそうなのだ。」
「所で…これは何を試練としているんですか?」
「試練?別に試練などではないぞ?我は試練を望んでいるのではない。楽しみを提供して欲しい、というだけだ。」
「本当に、長い時を生きると大変ですね。」
「お互い様だな。罔象女神 (みつはのめのかみ)よ。」




