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リドル・ハザード フラグを折ったら、もっと大変な事になりました(悪役が)。  作者: sirosugi
RCD5 2024 10月

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95 それでも目的を忘れてはいけない。

 どきどきお宅訪問 ランバース精神病院編 表

 それでも目的を忘れてはいけない。

 ここに来るまでに結構な手間と時間がかかっているし、手ぶらでは帰れない。信用できる場所にウッディ・リドルが収監されている、それが分かったのは大きいけれど。

「それでは、改めて、本施設の見学をされてはいかがでしょうか。」

「「よろしくお願いします。」」

 どのような設備で、どのような治療を行っているか、それを見た上で、面会の判断をする。それはアポを取り付けた時に病院側から提案されたことだ。それだけ患者と面会するのはショッキングなことらしい。

 お願いすれば、すぐにでもウッディ・リドルとの面会は叶うかもしれない。だが、アレがちゃんと収監されているかの方が重要な僕らにとっては、施設設備の方が興味はある。

「それでは、早速ご案内を。」

「ああ、すまない、ロッカー的なものはあるか、荷物を預けたいんだが。」

 早速とばかりに立ち上がった院長にレイモンドが質問をする。

「そちらを信用して、スマホやカメラを預けたい。」

 言いながら、首からかけていたカメラから電池とメモリーカードを外す。さらにサイドバックからボイスレコーダーともう一つカメラをを取り出してデーターを全削除してみせる。

「すまない、職業病でな、こういうのを持ち歩いていたのを忘れていた。」

「ご配慮、感謝します。客人用のロッカーがありますので、そちらでお預かりしましょう。」

 そのやり取りに、見学はいいが、撮影はご遠慮願いたい。また差し入れなどもお断りしている。そんな説明があったことを思い出す。これは刑務所や留置所などでも言えることだ。凶悪犯や重症患者と面会する場合は、金属探知機なども使った厳重なボディチェックが行われることも多い。

「バックの中身も確認するかい?」

「いいえ、そこまでする権限は我々にありませんし、信用します。」

 レイモンドの行為に院長はにこりと笑った。それはこちらに対する信用と、施設のセキュリティーへの信用の両方があるのだろう。レイモンドの挑発的な真摯さにも動じた様子がない。

「降参だ。さすがは院長、優れた人格者だな。ラルフ、お前の荷物もまとめて預けるぞ。」

「ああ、そうだな。」

 言われるがままに、スマホをカバンに入れてレイモンドに預ける。僕の荷物はスマホと財布程度なので、スカスカであるが、それもなくなるとちょっと落ち着かない。

「なんなら、ベルトも外すが。」

「大丈夫です、MRIなどの設備がある場所の見学も希望されるなら、直前でお預けいただきますが。」

「すげえな、CTスキャンまでできるのかよ。」

「ある意味、一番重要な施設ですよ。設備だけいえば総合病院にも負けません。」

 すっかり気をよくした様子の院長は、機嫌よさげに設備について話しだしていった。

 なるほど、上手い。

 ひょうひょうとした態度でありながら、誠実なレイモンドの対応に院長たちの警戒はすっかり解け、聞いてもないのに、色々なことをべらべらと話し出す。

「へえ、そうか。それなら疾患系も安心だな。」

「ええ、症状が症状なので、気を付けています。」

 なにやら専門的な話になって、すっかり取り残された僕は、曖昧に笑いながら、喜々して話す3人のあとについていった。

 

 エントランスからエレベーターで一つ上の階へ移動し、ガラス張りの渡り廊下を歩いて本館に案内されれる。荷物はエントランスのあるロッカールームに預けた。

「当施設は5つの建物があります。先ほどお二人をお迎えしたたエントランスフロアに、海側に面した資材保管庫と発電施設、それと治療用の建物が二つ存在します。資料上はA棟とB棟と呼んでいますが、内部構造については機密となっています。」

 海に面した場所にある二つの施設を囲むよう並んだ大小、3つの建物。一番小さな建物がエントランスフロアーで、今いるのはB棟、患者の多くはこちら収監されているらしい。

 だというのに、フロアーには人気がなかった。

「B棟の患者は基本的に、周囲へ影響が大きいので個々の部屋の間は防音材と鉄板で隔離されています。なので、患者の多くはお互いの存在をしりません。」

 いいながら、院長は扉の一つの前にたち、のぞき窓から中を覗いて確認したのち、こちらを手招きした。

「そうですね、彼などは典型的ですよ。」

 恐る恐る扉から覗くと、病院の個室のような部屋で男がベットに腰かけていた。起きているらしく、背筋はピンと伸び、目は開かれているが、その光は虚ろで、口元からはよだれを垂らしている。

「彼は一日のほとんどをあの状態で過ごしています。原因は分かっていませんが、脳や体には異常は見られず、目が覚めているときの聞き取りでは、本人的には眠っていると思っているようです。」

「夢遊病みたいなもんか?」

「いえ、脳波を計測した限り、覚醒はしています。とある事故に巻き込まれて以来、定期的にあのように意識が混濁するそうです。最初は数分だったのですが、今はほとんどあの状態です。」

 これはつらい。本人もそうだが、家族はこの自失状態の彼を見続けることになる。

「彼は自分の治療に協力することを条件に、入院しています。ご家族も似たような症例の患者の治療の助けになればとご協力していただいています。」

「それは、また。」

「一般的な治療法で回復の見込みはないのですか?」

「難しいでしょうね。」

 無念そうに首をふる院長に僕たちは何も言えなかった。

「彼の部屋を見せてくれたのも、協力か?」

「はい。」

 レイモンドの質問も想定内なのか、院長たちに動揺はなかった。

「食事などは?」

「ここからは見えづらいと思いますが、奥の部屋にバスルームが設置されています。基本的は同じような作りの病室ですが、特別な収容室もあります。」

 こちらですと、案内されたのは1部屋分ほど離れた場所にあっや扉だった。こちらはテンキーによるパスコードと実際の鍵と厳重なロックがかけられている。

「ちょっと失礼。」

 院長は手早くロックを解除すると、中は真っ白なクッションに包まれた隔離部屋だった。白いパッドが敷き詰められた部屋の中にポツンと置かれたマッドがどこか狂気的。なにかの映画で見たことのある精神病院の隔離室そのものだった。

「これは極端な例です。興奮して患者が沈静するまでの間、収監しておくものです。日常的に使うモノではありません。ですが、いかにも精神病院らしいでしょ?」

 なんとも笑えないジョークだった。

「この部屋も含めて、すべての部屋は外側から施錠されている他、カメラと複数のセンサーによって24時間体制で監視されています。これは患者の安全と健康維持のためであると同時に脱走防止の意味もあります。ご存知のことと思いますが、こういう患者の多くは・・・。」

「なるほど、刑務所より手厚く、厳重ですね。」

 ちなみに、職員も含めて施設内にいる人間が許可のない場所に立ち入った場合は、施設が封鎖されるそうだ。

 どこまでも僕たち向けの説明なのは、見せたいものと見せたくないものがはっきりしている証拠だろう。話はどんな患者がいるか、とセキュリティー関係の話がほとんどで、どんな治療なのかはなかった。

  



 ガチ目の施設紹介でした。患者の症状、設備などはフィクションです。

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