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戦災の魔界姫と敵国騎士1★青薔薇の刻印編★  作者: 深窓の花婿
第1章★茨の塔と青薔薇の刻印★
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第6話☆凱旋パーティー☆

 緑騎士団長コウキ……凱旋パーティーの主賓から直々にパートナーに誘われたら、断っても大丈夫なものだろうか。

 主賓に恥をかかせてしまったら、今後潜入活動しづらく、悪目立ちをするようになってしまうのではないか、など菫は色々考えた。


 倭国の常識は天界国の非常識にあたることも多々あるかもしれない。

 島国である倭国は、魔界の中でも独特の文化を築いてきた。

 菫は王族で、滅多に外部に顔を晒すこともなく生きてきた。

 公の場ではお面をかぶっていたこともあり、倭国でも1部の者しか倭国王族の顔を知らない。


 果たして天界国では、主賓の誘いを断っていいのか、菫は必死に考えていた。


「菫? どうしたの、固まって」


 膝を曲げて菫の背の高さに合わせたコウキが、爽やかな笑顔で首を傾げた。


「あの……」


 菫がどうしようか悩んでいると、隣でワタルが耳元でささやいた。


「主賓の誘いは断るな。特にコウキは変態だからな、下手に目を付けられるなよ」


 菫にしか聞こえないような声だった。甘い声にゾクリと背筋に刺激が走る。


 菫がワタルを見ると、すでにワタルは菫に興味を失ったように視線を違うところに向けて、冷めた表情をしていた。


 アドバイスをしてくれたのだろうか。


「わかりました、コウキ様。お誘い下さり光栄でございます」


 咄嗟に頭を下げた菫を満足そうに見て、コウキは頷いた。



 誘いを受けた菫は、パーティーに向けて準備をしなければならなくなった。

 ワタルを見かけたが、やはりワタルガールズがワタルの周りをガードしていたため、なかなか話しかけるきっかけがない。



 コウキは変態、の意味をワタルに確かめたかったのだが、常に貴族女性がワタルの周りにいて、ワタルの人気ぶりは笑ってしまうほどだった。


 あわよくばパーティーのとき、コウキに青薔薇の刻印がないか確かめたい。


 酒に酔わせてコウキの服を脱がせ、刻印を探すのも視野に入れつつ、菫はパーティーの準備と天界国について探り、凱旋パーティーが刻一刻と近付いていた。


☆☆☆☆☆

 

 煌びやかなホールは戦勝の喜びで賑わっていた。



 菫はコウキにエスコートされながら開場を歩く。緑騎士団のカラーのためか、コウキも若草色のスーツを着て気取っているように見えた。


 倭国の正装、着物を着られるわけもなく、菫は隠密部隊が準備してくれたドレスを身にまとっていた。



 コウキは背が高くひょろりとしているので、他の人よりも頭一つ分大きかった。目印になるためか、みんなすぐにコウキを見つけていた。



「菫、綺麗だよ。白皙の肌に大きな目、甘い顔立ち。君はこの会場の誰よりも美しく俺の目には映る。すぐに君のことを見つけられたよ」



「……ありがとうございます。コウキ様も精悍でいらっしゃいますよ」



 菫はコウキの賛辞に柔らかく微笑んでお礼を言った。倭国陰陽師の稲田一族、当主の八雲の首を取った男だ。八雲は生前倭国に忠義を尽くしてくれた。

 警戒しておいた方がいいと菫は身構えた。


 菫はコウキをふと見上げる。まだ若そうな風貌をしていた。八雲が40代とするとコウキは20代くらいだろうか。

 八雲は神獣を召喚できたのに、それ以上にコウキは強いのだろうか。菫は背の高いコウキをそっと見ていた。



「コウキ様、功労賞、おめでとうございます」


「さすが緑騎士団長ですね!」


「うん、ありがとう」



 コウキの傍にお祝いの挨拶をしにくる者が後を絶たなかった。全て緑色のスーツをそれぞれ着ており、恐らくはコウキの直属の部下であることが伺われた。 



「コウキ様、そういえば今宵の相手は女中と聞きましたが……」



 ふとそのうちの一人で小声で話しかけ、菫を不躾な目で見てきた。コウキは爽やかな笑顔を見せる。

 

「綺麗だろ、俺のパートナー」


「それはもう」


「美しいですね。団長のコレクションになれそう」


「俺にも見せろ」


「団長、俺にも」


「こんな綺麗な女、初めて見ました」

   


 たちまち菫を舐めるような視線が襲う。ゾワリと背筋が凍った。

 こういう舐めるような視線は何度味わっても不快を伴う。

 ただ舐めるような視線に慣れてはいたので、相手に不快感を悟らせないように菫は笑顔を崩さなかった。



「天界国の女中にしておくのはもったいないのでは? そのうち例の職に転職させるのも手ではないですか」



 例の職? と菫が訝しんでいると、コウキは首を振った。

  


「菫は紫苑の塔にはやらない。遊女なんかにはさせないよ。俺の専属女中にしたい。本当なら誰の目にも届かない場所で俺が守ってやりたいくらいだよ」


「団長、入れ込んでいますね、その女に。最近まで紫苑の塔に通いつめていませんでした?」


 部下の問いにコウキはフッと笑う。


「もう2度と通わないよ。菫という運命の女性を見つけたからね。紫苑の塔に行く意味もなくなったし」


紫苑の塔は、最上階にいる25階の遊女が最高級ランク、1階に新人や指名に伸び悩む遊女がいます。


人気制なので月に何名相手したかで、次月の階層が入れ替わります。

1階の遊女は1万、25階の遊女は25万の値段です。

【白薔薇】と【カナリ】という遊女が25階を争っています。

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