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27アウト
「慎吾!お前はもちろん野球部だよな!」幸太郎の元気な声が中学校入学初日の廊下に響く。「まだ決まってないけれど、たぶん。」
「そっか、よかった~」そう言う彼の顔はいつも笑顔だ。
幸太郎とは小学3年生からの友達でよくやなぎ公園で遊び野球をしていた。
僕たちの遊び野球はかなり完結で、やなぎ公園のフェンスを超えたらホームラン
それ以外は打球の飛び方で決める。というものだった。なんせ2人なので守備
もいないし、ファールゾーンなども書いていないのでよくそれで揉めて喧嘩になった。いつも幸太郎は、大胆な打撃フォームで、これ「〇〇のマネ!!!」と言ってプロの選手の真似をして打っていた。しかし幸太郎は一般人の僕から見ても打撃のセンスが良く、3打席のうち1打席はホームランを打つ、と言っても過言ではなかった。