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双眸の涙  作者: リグニン
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第2話 エルフの隠れ里

道に迷った先に辿り着いたのはママインと言うエルフが密かに住むの里だった。

「ミヘラもドラゴン退治に北へ行くんでしょ?僕も連れてってよ。役に立つよ」


「うん分かった、っていう訳ないでしょうが。さては私の心を読んだね。人の心を覗き見するの、はっきり言って悪趣味だよ」


「僕の力はミヘラが思ってるほど便利じゃない」


「とにかく!あなたは家に残って。ドラゴンは私が倒す」


「まあ君が僕を連れて行ってくれなくても僕は僕でドラゴン退治に出かけるんだけどね」


ミヘラはため息を付いた。


「勝手にして。道が同じだとか屁理屈捏ねて私の後ろを付いて行くのは禁止よ」


「分かった」


ドラゴス教に捕まって奴隷として売買されそうになる様な経験をした上でこんな発言をしているのだ。本気で行動を起こそうとしている事に嘘はない事はミヘラも分かっている。しかし、途中で諦めてくれればそれが一番いいと考えていた。


それからは何となくお互いに気まずくなって無言のまま山中を歩いた。無言に耐えられなくなったミヘラは話題を振る。


「どうして危険を冒してまでドラゴン退治したいの?」


「殺してみたいんだ。ドラゴンって言う最高の獲物を」


「そんな事のために命を投げ出すの??」


「じゃあミヘラはどうしてドラゴン退治なんかするのさ」


その問いに対してどこまで正確に答えればいいかミヘラは少し悩んだ。自分から質問しておいて自身は答えを濁すと言うのはどうかと思い、自身がドラゴン殺しの血族の末裔である事を打ち明けた。


それを聞いたディギンスはそれほどリアクションするでもなく首を傾げた。


「僕には宿命だとか使命だとかそんな大義名分のために危険を冒す方が理解できないよ。僕は道半ばで倒れる事になってもやりたい事をやって死ねるなら本望だけど、君はどう?」


ミヘラは無言で自身の胸元に手を当てる。


「…分からない。きっと辛くて悲しいと思う。でも、自分の運命に背いて生きるよりずっとマシかな」


「ミヘラはもっと自分個人の幸せについて考えるべきだ。どうせドラゴン退治を終えた後の事は考えてないんだろう?」


一言二言ぐらい返したい所だったが図星だった。ドラゴン退治の事で頭が一杯でその後の人生なんて考えてなかった。ドラゴンを退治してから考えればいいと考えていた。志半ばで倒れる想像はしても退治し終えてその後の人生を歩む自身のイメージをした事がなかった。


改めて勝った後の自身を想像すると、燃え尽きて自害するイメージが浮かんだ。私個人の幸せ…。考え出すとキリがない。彼女はそう自分に言い聞かせて首を振った。


「使命を果たす事が私の幸せ。今はそれでいいの」


「まあミヘラがそう言うならそれ以上僕から言う事もないよ」


あまり考えない様にしているものの、先程の問いかけが地味に刺さった様でミヘラの足取りが僅かに重くなる。ディギンスはそれを察して歩調を合わせた。


「ディギンスはもしドラゴン退治が上手く行ったらどうする?」


「勲章替わりに鱗でも取って、その他は売り払うなりなんなりするかな。ドラゴンの死体を運んで店を開いてもいいね。お金があれば仕事をせずに暮らしていける」


ミヘラはそれを聞いて思わず吹き出してしまった。ドラゴンを看板に店を開く、ドラゴンを解体して売り払う、そんな発想は思いつかなかった。なるほど、これが個人の幸せの考え方なのか。彼女は自分なりに納得して頷いた。


「やっぱり相方が欲しくなったんじゃない?」


「そうは言っても君はまだ子供じゃない」


「親がいなくて自立せざるをえなかった年少者を子供に含むなら、僕はまだ子供なんだろう」


こんなご時世だ。ドラゴンがいようがいまいが珍しい事じゃない。ミヘラはしばらくディギンスの目を見つめた。彼もミヘラの目を見つめ返す。嘘を言っている様には見えない。視界の悪い夜の森から離れた距離にいる3人を狙撃する腕前も、生きるために厳しい環境下で磨かれた物と思えば大いに納得できる。


彼は自身の欲望に従って道半ばで倒れるのなら本望と言っていたが、彼女はそれが本心なのか少し疑問に思う所があった。1人が寂しいから同じ目的を持った仲間が欲しかったんじゃないのか。


「私の言う事がちゃんと聞ける?」


「常識的な範囲なら」


「分からないよ。いきなり脱げって言うかもしれない」


そう言うとディギンスは何も言わずに服を脱ぎ始めた。ミヘラは焦ってすぐに止める。


「例えばよ例えば!今の指示全然常識的じゃなかったよね??」


「要するに全滅の危険性がある場合は自身を見捨てて逃げる様に指示するかもしれないから、そう言う時は必ず従う事とかそういう事が言いたいんだよね?」


「オホン、そういう事」


「分かった。従おう」


本当にこれで良かったんだろうか。ミヘラは半分はそう思いながらも同行者が出来た事は内心とても嬉しかった。きっと放っておけばまた無茶をして捕まったり危険な目に遭ったかもしれない。自分が傍にって守ってあげればそう言う危険からは遠ざけられる訳だし…なんて自分に言い聞かせたりしていた。


ディギンスはちゃんと支度をしたいから実家に寄って欲しいと頼んだ。親がいないと言うのが本当なのか確かめたい事もあったのでミヘラは承諾する。山を通って彼の村に寄り、彼の自宅で準備をさせた。


ミヘラは入り口付近で道中で採った木の実を食べながら時間を潰した。


「ディギンス!ディギンスじゃない!」


犬型獣人が現れてディギンスの元へ駆け寄る。


「探したのよ、どこへ行ってたの!」


「まあ、野暮用でね。でもこの通り無事だ」


どうやら知り合いの様だ。聞き耳を立てるにどうやら時々親の代わりに彼の面倒を見ていた様だ。この村で誰の助けも得られずに独り暮らしを続けていたと言う訳ではないらしい。ミヘラは少しホッとした。


「これからしばらく家を空けるよ」


「家を空けるって…」


獣人はハッとしてこちらにずんずんと歩み寄って来る。咎める様な眼差しをミヘラに向ける。耳が僅かにプルプルと震えている。


「この子に一体何を吹き込んだの!」


「私に惚れたて言って聞かないんだ」


獣人は「ええっ!!?」と大声を出すと口に手を当ててオロオロしながらミヘラとディギンスを交互に見る。それから獣人はディギンスの所へ行くと膝をついて荷物をまとめる彼と視線を合わせながら声をかける。


「あなたに恋愛はまだ早いわ、一時の気の迷いかもしれないでしょ?」


「運命を感じたんだ。人生そう言う時があるってヒューリカも言ってたよね」


「まあ!!」


ヒューリカと言う獣人は鼻の上を両手で抑えた。困った様子でしばらくディギンスを眺めていたがふん、と鼻を鳴らすと私の元へ来て師匠が不出来な弟子の前でそうするような目つきをした。


「あなたはどうなの?あの子の事を愛してる?気持ちを弄んだりしたら承知しないわ」


「眺めのいい結婚式を探しに行くんだ。まだ早いけど、いつかあなたも呼びたい」


「やだもー!!!」


そう言うと照れた様子でミヘラの肩をバシバシと叩いて来る。着痩せしてるだけで物凄い腕力だ。ミヘラは平生を装いながら腕の痛みを我慢した。


「そこまで言うなら私は止めないわ。世の中には若さ特有の勢い任せだけじゃ上手く行かない事も多いからしっかり考えて行動なさい。後はしっかり楽しんで来なさい」


そう言うと彼女は踵を返して「若さっていいわねーうふふふふ」と言いながら家を出て行った。ミヘラはヒューリカの背中に病に伏す前の元気だったころの母の姿をどこか重ねていた。準備を終えたディギンスに声をかけられると我に返って首を横に振り歩き出だした。寂しくなんてない、きっとすぐ傍にいるはずだから。ミヘラは自分にそう言い聞かせた。


村を出て森を歩き、ミヘラは地図を見ながらこれから行く先を再確認する。シジミアを出て次はビンスに入国する。長らく歩く事になるが次はニカーチで宿を取る事にした。ミヘラはお財布を確認した。今後は旅費も2人分になる。慎重に考えねば。


「これからの旅費、どうしよう。トレジャーハントでもやろうかな」


「財宝を漁るより財宝を漁ってそうな山賊とか襲った方が効率良さそう」


「それだ!」


「でも盗品だから売る相手は慎重にならなきゃいけないし、近くでは売れない」


「仕入れ先を気にしない買い手とかいたらいいんだけどね。でも目利きとかできないと安値で買い叩かれそうだし、適当にふっかけても花で笑われるだけだろうし。難しいね」


金策についてあれこれ話しながら歩いているといつの間にか細い道を歩いていた。この時のミヘラもディギンスも迷っていると言う自覚はなく、そのうち広い道に戻るだろうと考えていた。1、2時間ほど歩いた所でようやく自分達が森で迷子になってしまった事に気付いた。


ディギンスを不安にさせまいと道に迷っていないかと尋ねられても大丈夫大丈夫と言ってミヘラは明るく笑って見せる。さりげなく目印を付けて歩いているがグルグルと同じ道を回っている訳ではないようだ。


山中をさまよい続け疲れて来た頃に地図にはない村に着いた。


「ね、ね、着いたでしょニカーチに!」


「ニカーチは森を越えた先だったでしょ、ダーリン」


「そうだったね、ハニー」


「ようこそおいでくださいました!そちらのお客人の言う通り、ここはニカーチではありません!ママイン、それがこの里の名前です!」


いつの間にかミヘラ達の隣にいたエルフがテンション高めでそう言った。彼が言うにはここはママインと言うエルフの里らしい。見渡してみると確かにここにはエルフしかいないようだ。地図にさえ乗ってない里を見つける事になるとは。


「せっかくここへおいでなさったのです。ごゆるりとお寛ぎください!お客人として丁重にもてなしますよ!」


「いや、あの…」


「ああ、申し訳ございません。自己紹介がまだでしたね!私、ファイマーと申します。以後お見知りおきください!さあ、さあ、こっちですよ!」


ミヘラは困惑しながらディギンスの方を見た。彼も困惑した様子でミヘラを見返す。一言にエルフと言っても多種多様なので一概には言えないが、一般的にエルフと言えば風変わりな印象が強い。やけにフレンドリーな事もあれば、排他的で攻撃的な一面を見せる事もある。2人にとっては良く知らない種族で不安だった。


ファイマーは里の中央に向かって走ると大声で叫んで手を振る。


「皆様、お客人でございます!お客人でございますよ!我が里にお客人がおいでなさいました!さあさ、我ら一丸となって彼女らをもてなそうではありませんか!」


周りのエルフは困惑した様子でファイマーを見ている。どうやらファイマーはこの里で言う平均的なエルフではないらしい。ミヘラは少し安心した。





ミヘラ達はママインの里長と会う事になった。拘束はされていないものの、扱いは囚人の様だった。やはり逃げておくべきだったかとミヘラは後悔する。狭い一室に案内されるとそこに座って里長を待つ。しばらく待っているとぶかぶかな服や帽子を着た女の子のエルフが裾を引きずりながら現れた。


のそのそ、のそのそと歩いて途中で段差に躓いて転倒した。辺りのエルフが目を逸らして何も見なかったフリをしているので私も真似をしたが、ディギンスは転んだエルフをガン見していた。


顔を真っ赤にしたエルフがディギンスの方を見る。


「今の見たか…?」


「はい」


「死刑じゃ!!!!」


そう言うと周囲のエルフが槍を持って囲う。ミヘラはハッとした。エルフは長寿で見た目での年齢は当てにならない、幼く見えてもこの子が里長なのだ。まずい、非常にまずい。エルフの里の権力者の機嫌をいきなり損ねてしまった。ミヘラは頭を下げて非礼を詫びるがディギンスは頭を下げない。ディギンスの頭を掴んで頭を下げさせ様にも抵抗する。


「ディギンスも頭を下げるんだよ!!」


「僕は悪くない。合わないサイズの服を着て勝手に転んだこいつが悪い」


「おバカ!!」


火に油だ。ディギンスはあっという間に広場に連れ去られてしまった。里長も高笑いしながらのそのそと歩いて広場の方へ向かう。ミヘラは彼女の後を追って何とか考え直してもらえないかと頼み込む。しかし笑うばかりで少しも耳を傾けない。


「ははは、面白い物が見れるぞ。お前もゆっくり見学せい」


「気品溢れる美しき里長様、どうにか彼の無礼をお許しください!」


「ほお、獣人の美的センスでも妾の美しさが分かるか。意外じゃな」


唐突なヘイトスピーチにミヘラは思わず舌打ちした。その時の表情が怖かった様で里長は「ひっ」と短い悲鳴を上げた。ディギンスは木々に縛られ磔にされ、下にはせっせと薪が置かれていく。このままじゃ火炙りにされてしまう。


ミヘラは止めに入ろうとするがスクラムを組んだエルフに止められる。1人のエルフがディギンスの前で白紙の紙を広げると大声で罪状を読み上げだした。


「お前はエルフの森を焼き、罪なきエルフを殺した!えーっと、お前名前なんだっけ」


「ディギンスです」


「うん、いい返事だ。ディギンス!お前のその放火の罪、もはやその命を以てしても償いきれるものではない!せめて相応の苦痛を与えるべきである!!」


ミヘラは首を傾げた。罪状がまるで違う。里長も身を乗り出して大声を出す。


「不敬罪じゃたわけ!不敬罪じゃ、そやつは不敬罪なのじゃーっ!」


罪状を読み上げるエルフが「え?」と言った顔で里長を見ると頬を掻いてディギンスの方を向いた。ディギンスはうなずく。


「それじゃ放火の罪と不敬罪で処す!者共、こやつをどう罰してやろう!」


「磔刑じゃ!磔刑じゃ!そやつを槍で刺して穴だらけにするのじゃ!」


「燃やせ!」「火あぶりだ!」「燃やせ燃やせ!」「もちろん燃やす!」「燃やして殺せ!」


里長の要求がかき消されるほどの大声でエルフ達がディギンスを燃やすように言う。その雰囲気はまるで処刑を求める憎しみの声と言うよりは何か祭り的な熱狂を帯びていた。里長も負けじと大声で槍で突き殺す様に要求するが誰も聞こえていない様だ。初めから火あぶりの刑にする準備をしていたあたり他の刑にするつもりはかなかった様にも見える。


周囲のエルフがお酒やらつまみやら持ってわらわらと集まる。歌を歌いだすエルフもいれば飲み食いものを売り出すエルフもいた。里長はエルフに組み伏せられているミヘラに尋ねる。


「そなたも磔刑の方が良かろう?やはり磔刑よな?」


近くのエルフが里長の肩を叩いてウィンクした。


「火炙りっしょ、里長」


「者共、こやつもついでに火炙りにせい」


磔刑の声は聞こえないと言うのに里長の火あぶり宣言には誰もが反応して先程のエルフを連れて行く。そしてディギンスの隣にそのエルフも並べられた。罪状はやはり放火になっている。里長は再び大声で不敬罪も付け足すように指示した。


ディギンスの隣に縛られたエルフがウィンクする。


「よ、お前さん磔は何回目?」


「初めてだよ」


「マジか!磔デビューかよ、いいじゃん!俺3回目。いっつも火あぶりの最中に磔台の根元から折れて処刑が中止になるの」


「処刑が中止になるのは分かるけどなんでそれで釈放になるんだよ」


「処刑が失敗になるとそいつはまだ裁かれる程の罪の重さじゃなかったみたいな掟があんの」


話がミヘラの耳まで入って困惑する。どうにか魔法を使ってこの状況を打破できないかと考えているとファイマーがすぐ隣までやって来た。紙コップに入った炭火焼の鳥肉をむしゃむしゃと食べながら座る。


「お客人も食べます?」


「食べるか!」


「美味しいのに…」


そこらのエルフがファイマーに火を点ける様に催促する。どうやら火付け役は彼らしい。こいつならまだ話が通じるかもしれない。ミヘラはファイマーに何とか里長に処刑を取りやめる様に説得できないかと頼み込んだ。しかしどれだけ頼み込んでも里長に処刑の中止の説得さえしてくれなかった。


『こっちは隠してたナイフでどうにかなりそうだ。ミヘラの方は逃げられる?』


ディギンスがテレパシーを送って来た。


『一瞬なら何とかなりそう』


『オッケー、もう少しだけ時間を稼いでくれる?』


『分かった』


ミヘラはファイマーに話しかけてそもそも放火の罪とは何なのか尋ねた。それについては里長が返答してくれる。ここ最近、エルフの住処に火を点ける事件が頻繁に起きてるのだと言う。ササンサ、ロロエマロ、ビンスの3カ国で計5か所も焼かれているらしい。それを聞いて次はこの森ではないかと考え彼らは犯人の容疑者らしい人物を片っ端から処刑している様だ。


里長は地団駄を踏んで顔を真っ赤にする。


「全くとんだれいしすと野郎じゃ!よりによってエルフを焼き殺すとは絶対に許せん!!」


「誰から聞いたんです?」


「ファイマーじゃ。こやつは元々余所者でエルフの里に詳しくてな。不運にも故郷を焼かれ、転々とエルフの里を移動した先に放火魔が現れては里を燃やされ住処を追われておるらしいのじゃ。不憫な奴よ」


「ああ許せない!度し難い犯人です!居場所を追われ逃げ惑うエルフの姿がまだ瞼の裏に映っています!奴はエルフの里を転々とし、新たな里に入っては同胞の信頼を得ながら、どこを燃やせば火が広がりやすいかなどと裏切りの計画を立ててほくそ笑んでいたのです!今回は被害が出る前で良かった…!!」


「…ひょっとして放火の犯人ファイマーじゃありませんか?」


それを聞いた里長が笑った。


「ははは、エルフがエルフの里を燃やす訳なかろう」


「だってファイマー、全ての現場に居合わせてるんですよ?3カ国、5か所も。さすがにそれだけ犯人と居合わせていればおよそ犯人の人物像は絞れそうなもんじゃないですか。更に言えばエルフの里でエルフ以外の種族がちゃんと信頼を得る事ってできます?」


そこまで聞いて里長はファイマーを指差した。


「皆の者、ファイマーを磔刑にせよ!!!」


「おや、これは予想外です」


「うぉー火あぶりだーッ!」「燃やせーっ!」「あれ、じゃああの2人は降ろしていいの」「皆燃やせばいいじゃん」「燃やせ燃やせ」


ファイマーは処刑場に連れて行かれる。ディギンスはまだ縄を切るのに手こずっている。このままじゃ本当に一緒に燃やされてしまう。里長は必死に「2人は取りやめじゃ!降ろさんか!」と言っているが周りの熱気に押されてまるで聞こえていない。


ミヘラは覚悟を決めて大きく息を吸った。


「ええいこの愚か者共が!妾の声が聞けぬと申すか!不敬罪で一族郎党火炙りにしても良いのだな!!」


村中に響くような声量で里長の声真似をした。それを聞くとエルフ達は一斉に跳び上がって里長に平伏して許しを乞う。里長は目を見開いて驚きミヘラの方を向いた。ミヘラは牙を剥きだしにして里長を睨む。彼女は青ざめて慌てて彼らに言う。


「え、えと…ひとまず処刑は延期!妾は大事な客人と話すからそれがおひゃるまじぇ、終わるまで待っておれ!」


若干上ずった声で指示を出す里長。ひとまずは処刑は取りやめになり、ちゃんとした話し合いの場が設けられる事になった。

同じ作中作でも流れるカニカマボコの冒険は好き放題書けるんだけど、双眸の涙に関しては会社の意向で設定を改変されたタイトル据え置きの実質リメイクを作者のボーンがどう原作に沿って物語を書くかという事について考えながら書かなきゃいけないので中々大変。


改行とか文章のクセまでこだわりだすと絶対に虚無るからやらない。そうでなくても私の技量でボーンの作風を再現できてない。4ページぐらい書くたびに「ボーンならこう書くかな?どうかな?」とか考える時間が空くの。うん。


これだけ頑張ってるから日頃の作風より少しだけ毛色が違うはず…多分…

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