[12] 1070.
#07. Cracking 処分 [14]
#08. Reboot 脱出 [7]
#12. Complete 細胞の記憶 [8]
静かにその背中から足を離すと、肩を掴んで仰向けにさせる。
開眼したまま、青褪めて完全に息を引き取った姿を露わにする。
僅かに隙間が開いた玄関からは、冷たい風が入り込み、衣類や髪を撫でた。
「……くっ……ははっ……はははははははっ!」
ついそこの椅子の背凭れに手をつき、耐えきれず大きく項垂れて笑った。
笑い飛ばしてやった。
やっと静かになった。やっと、やっとだ。
爆笑が治まる頃、顔を覆っていた黒い左手の隙間から目を剥き出し、遺体を見下ろした。
面倒な清掃をさっさと終えるべく、彼女の片足首を掴み、壁際に引き摺り寄せる。
数種類の消毒液と清掃用具を準備していた。
更地にする家であっても、何かを嗅ぎつけられぬようにと、後始末を丁寧にした。
その後、適当にシーツを遺体に巻きつけ、照明を落とすと纏めた荷物を肩に、一旦その場を後にする。
黒のキャップを目深に被り、レザージャケットを羽織りながら家の裏に向かう。
借りてきた黒のワゴンに乗り込むと、助手席に荷物を放り投げ、玄関前まで回した。
あの、目がおかしくなりそうな義手は分解し、本来の仕組みから派生させ、新機能の搭載に成功。
だが、見たくない事に変わりはない。
革のグローブを嵌め、外す事は一切しなかった。
これからこの女に捻じ込む予定の、類似モデルの義手。
それが持つ力量変換の効果は優れていた。
元々細身で然程力も無いが、床に横たえていた遺体を軽々持ち上げ、肩に担ぎ上げられた。
もう少し鍛えたら、力は更に出せるだろう。
殺人を犯したにも関わらず、そんな事を考えている。
その目は闇で満たされ、まるで骸骨だ。
車内は後方のシートを倒し、フラットにしていた。
そこにも念の為、シートを敷き詰めている。
汚れは付着しないにしろ、油断は禁物。
淡々と搬入し、暗い夜に溶け込みながら、冷えた空気にバックドアの音を立てる。
出て行く。
そして、適当にその時を迎える。
もう、懸命に生きる事などどうでもいい。
何をどうしていいか分からないこんな場所など、もううんざりだ。
細く溜め息をつくと、運転席のドアを開ける。
そこへ、激しく左半身がドアの内側に激突した。
反射的に振り返ったそこには
「待ってよ!待って!行かないで!
どこ行くのよ!行かないで!」
「おま…!?」
急な事態に、ヘンリーは目を疑った。
酷い泣き顔を浮かべるレイシャは、疲労に満ちているのが直ぐに分かった。
しがみついてくるその腕からは、激しい震えが伝わってくる。
彼女の目からは、大量の涙が溢れ出ていた。
瞳は揺れ、首はフラフラと横に振られている。
疾走してきたのだろうか、大きく肩で呼吸をし、荒い息で怒鳴りつけてきた。
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




