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#10. Tracking 再回収 [2][10]

#11. Almost done 実行 [7]






 レアールはマネージャーに呼び出され、事務所で話していた。

相手は体調を気遣いながらも、話す内容はシビアなものだった。




「お友達に、言っておいてもらえるかしら。

流石に困るわ、あんな感情的に。

警察にも通報されて、昨日ここへ来たのよ。

誹謗中傷の事実は伝えたわ。

ただ、こちらもやれる事はしてる。

ウェブ上でも、記事が出る際には一部でも、そういった発言や書き込みは止めてもらうように呼びかけてる」




レアールはまた、(やつ)れた。

マネージャーはコーヒーを口にしてから、少々間を置いて続ける。




「そういう事だから、貴方にももう少し気をしっかりもってもらいたいのよ。

言われる度に真に受けるようではねぇ……

残念だけど、こういった事って無くならないでしょう?

対処しないって訳ではない。その都度向き合うわ。

だけど、対処しきれない。切りが無い事なのよ。

だから、表に立つ貴方達も、変わらなきゃいけない。

じゃないと……仕事にならない」




最後は、彼女の体に目を這わせてから言った。






 まだ、落ち着いて聞き入れられる状態ではなかった。

レイシャが、自分を思って行動した事であるのは分かっている。

実際、事務所が取る対応は大した効果を出せていないのは、事実だ。

警察の耳に入ったのであれば、何かが変わるといい。

今は自分を変える事よりも、そう願う事の方が楽だった。






「体調が優れないようだけど、病院は?

そうも落ち込んでるなら一度、カウンセリングに通う事も考えていいかもしれない。

紹介できる所があるわ」




そう言って突き出された名刺に、レアールは渋々触れる。

早く帰りたい気持ちに駆られていて、受け取る気になれないのを堪えていた。




「1日も早く元気になれるように…

考えてみて……

分かり切った事だけど、この世界は、目に見えない人からの反応が多く寄せられる。

だから、ずっとそういう精神状態ではいられない。

続けたいのなら、這い上がって見せてやればいいの。

まずは、そういう気持ちを持つ事からね」








 エントランスを出てから、立ち眩みに少々体が揺れる。

日差しが眩しい。

照らして欲しくなく、彼女はまた、目深に帽子を被って己を隠した。

大きなレンズをしたサングラスの下からは、涙の2本線が素早く頬に引かれる。




酷く、痛かった。

呼び出される事も、内容も、今こうして立っている事も、何もかもだ。




「…強く…して……力も…体も…心も……

ねぇ…レイシャ…」




今は一体、誰の為になっているというのか。

彼女は途方に暮れていた。

この業界に来るまでにも、沢山の壁を越えてきた。

その時の力は、どこへ消えてしまったのか。

越え方が分からない中、心で呟いてしまう。




(…私はせめて…

貴方や…彼の役に…立ちたい……立ちたいよ…)









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




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