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#10. Tracking 再回収 [11][12]
真夜中。
久し振りに父の職場に入り、義手と睨み合う作業を続けている。
病院でのやり取りなど、殆ど覚えていない。
強いて言うなら、大変だったななどと同情する声が聞こえたくらいだ。
常々厳めしい顔をしていた為に、会話をしてくる者はいなかった。
見るだけで吐きそうになる義手。
しかし、作り出す為には仕組みを知る必要があった。
自分の肌に似た色のシリコンがまた、気色悪い事この上ない。
だから、全て引き剥がしてやった。
中身が露わになると、配線や連結、センサーの仕組みなど、隅々まで観察する。
ゴムの臭いは刺激的で、再び怒りと憎しみを呼び、歯を鳴らした。
見るに堪えないそれを、瞬時、手元にあったドライバーで深々突き刺す。
バッテリーを覆うプラスチックに貫通し、減り込んだそれは、憎悪に震える。
怒りに捻ると、亀裂が入った。
作業療法士と共に、呆然とする中で段取りし、気づけば誕生した新しい手。
大した事ない機能に、悉くうざったくなる。
どうせ作り変えるならば、少々人離れしたものを取り入れる。
それが相応しいだろう。
もう、半ば人ではなくなっているのだから。
解剖学の本を脇に、骨格はあっさり完成していた。
元々製造が得意の彼は今、異様な怒りと憎しみの中、それを嗜み続けている。
完成した先では、全身の骨格製造を控えている。
左手が上手く機能すれば、その後の作業は一層加速するだろう。
その為にも、今はこの苦痛に耐える必要があった。
目に入れば、気がおかしくなる。
事件の映像が蘇り、その後に聞きつけた憎たらしい2人の会話が再生されてならない。
それがどうしても激痛を呼び起こし、全身を巡る。
その影響で、また手にしていた工具が落ちた。
右手で操る事に慣れてきていても、体験した事を乗り越えきれず、震えている。
それを拳に変え、机を1発激しく叩いた。
更に叩き割ってやりたかった。
(………力量……変換……)
定まらない視界の中、閃いたそれに力無く笑みを浮かべた。
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




