[5] 1060.
#06. Please wait 決定 [20]
#07. Cracking 処分 [14]
#10. Tracking 再回収 [2][10]
暗転したワンルーム。
遅れてしまう。
それが、結局怖くてならなかった。
最後に立ったランウェイに、やっと意識を向けられている。
しばらく思い出したくなかったが、そうも言っていられないと立ち上がる。
(彼女も…頑張ってる……)
不安な気持ちを拭いきれない中、レイシャも新しい環境で何とかやっている。
それに追いつきたかった。
レアールは、当時の記事やニュース、会社のウェブサイトを携帯電話から確認していく。
灯も点けず、食事を摂る事も忘れ、そこに吸い込まれていった。
ウェブサイト上では、当時に披露された着画が複数挙げられている。
「あっ…」
つい、喜びの声が漏れる。
彼女の1枚が、久し振りの再登場を飾る短い言葉と共に掲載されていた。
レイシャに報せよう。
そんな余裕が生まれ、やっと部屋の灯が点く。
しかし、間髪入れずにそれは傾れ込んだ。
“レアール・キャンベルってまだいたの”
“また痩せた?服弛んでたよね。
あんなんでいいの?”
“転倒してたけど、本当に大丈夫なの?
モデルとして”
“あれはない。演出家泣かせ”
“トレンドって勢いあるもんね。
もう彼女の時代はとっくに過ぎた”
“骸骨!”
“あんまり言うの止めな。死んだらどーすんの”
“努力してるのよ、彼女も”
“初心者でも見てて分かったわ。
フラフラだったじゃない。
スニーカーじゃないと無理だわね”
“落ちたなぁ。意外だわ”
“3番目に出てた子の方が似合いそうじゃなかった?”
“ずっと出させて貰えなくて、事務所に泣きついたか”
“我が儘らしいね。出たくて縋りついたか”
“お金無くて?lol”
“プロは黙って流れにのるべき。
いつまでもトップに立とうだなんて。世代交代よ”
“転けたんだし、もう終わり。バイバイ”
“私の好きな子が出てなくて、なんであんな奴が!?
しかも転ぶなんて最低だから!消えて!”
“他に出れる子、確かにいたはず。
現れてびっくり。もしかして最終ステージ?”
“有終の美は飾れず、四つん這いで終幕。痛い”
全身の震えは、足先から頂点まで達した。
感覚が奪われ、両目を激しく左右させ、携帯電話はあっさり滑り落ちる。
画面は衝撃を受け、消えた。
そこに、バイブレーションが複数、緑色に点滅しながら鳴る。
レイシャだろうが、そんな事は一切入ってこない。
文字だけにも関わらず、その延々続く羅列は激しく心を突き刺し続けた。
襲い掛かる呼吸困難に合わさり、震える両手が頭を抱える。
“最近表紙になった子誰だっけ?
あの子に夢を譲ってやってよね。
だってもう、できっこないでしょ。
歩く骨格模型、まるで死人”
「ひっ……ひゃあああああああああああー!」
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




