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………


……




……


………




― 私、いっぱい服着て流行りを宣伝するのよ!

かっこいいモデルになるの!

その為には、ダイエットなんかじゃなくて、ちゃんと運動して食べなきゃいけないんだから ―




― そういうもの?

太ったらダメだから、食べないのかと思った ―




― 違うわ!

栄養を取らないと、いい体は手に入らないの。

特に今の時期の私達は、食べて動かないと、骨粗鬆症になるリスクがある。

そうなると、将来仕事ができないわ。

肌にも悪くて、化粧が最悪になる。

だから、ダイエットは止めてレイシャ ―






中学の時に出会った、レイシャという不思議な女の子。

色々な事に思考を巡らせ、突拍子もない事を思いつき、口にする事で、変わり者呼ばわりをされていた。

家の事でも、揶揄われたりしていた。




 それにへこたれず、相手が男の子であれ関係なく噛みつく彼女に、私は憧れていた。

でも、彼女のそれは強く見せているだけが多く、影で泣いていたり、怖がって震えている事を知った。




 それに何を言っていいか分からなかった。

私は、誰かがそんな風になっている時、言葉を掛ける事が本当に下手くそだ。

だから、一番できる事をした。

何も言わず、ただ抱き締めて一緒にいる事。




 それから、今でもずっと共に生きている。

お互い苦労をしながら、学校よりも厳しい大人の世界で、なんとかやってきた。






 でも、もう辛くなってきたよ。

どんなに戦っても、成果が出なくて。

貴方に励まされて、ここまで頑張ってこられている、そう思っていた。

今でも忘れず、思っている。

だけど




ねぇレイシャ……貴方は…




………


……




……


………






 「貴方は……私を……

綺麗に……強く……してくれる……?」




いつかの時のような自分を、もう一度取り戻せないだろうか。

欲を言えば、それを超えるような自分を。

レアールはいつものように望みを呟いては、窓に向かって泣いていた。




挿絵(By みてみん)




 あの晩に出会った彼の顔が(よぎ)る。

名前はヘンリーと言った。

やっと分かったはいいものの、結局離ればなれになっているようだ。

一体、彼は何を考えているのだろう。

レイシャは寂しがり屋だと教えたのに、困った男だ。




 そんな気持ちがふと、心に若干のゆとりを持たせる。

また、会ってみたい。会って、言ってやる。




(困らせないでよ……

彼女は…貴方を想ってるんだから……

フラフラ、現れたり消えたりしないでよ……

安心できないじゃない……)






 冷たい風がよく吹くようになった。

秋から冬に向かっていく。

その時季は、益々心が寂しくなり、不安に駆られやすくなる。

落ちるのがすっかり早くなった、遠くの夕日。

遠いくせに、光だけは凄まじく、顔をしっかりと照らしてくる。

そんな迫力が、自分にも欲しい。




 レアールは切れ長の目を薄く閉じ、手にしていた温くなった紅茶に目を落とす。




(…………砂糖……)




また、栄養を取り忘れていた。




 直に、夕日の迫力が失われていく。

顔を見せた冷たい秋空は、彼女を隠すようにそっと、その空間を暗くした。









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




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