[20] 650.
#08. Reboot 脱出 [7]
#13. Data processing 再び [5]
目が覚めるとそこは玄関で、記憶はまた飛んでいた。
しかし、体は覚えているようで、疲労で重く喉にも痛みを感じる。
帰ってきてそのままの格好。
入室するなり気を失ったのだろう。
義手が入った鞄を退かし、辿々しい足取りで立ち上がるとシンクに向かう。
蛇口を捻り、激しく流れる水を右手で掬い、掻き込むように飲んだ。
そのまま顔も乱暴に洗うと、水を止め、しばらくそこに雫を滴らせたまま佇む。
瞼を失った、虚ろな目。
排水溝から音を立て、水が流れるのを凝視する。
何かが胃を突き上げた。
蛇口を突如掴み、吐き出そうとするも、今飲んだ水が少々出たくらいだった。
夕べも、大して何も口にしていない。
どれだけ痩せたのか、もう、自分の姿など見たくもない。
前傾姿勢になっていたところ、ゆっくり起こす。
濡れた顔をそのまま服で拭うと、正面の窓から入り込む陽光を睨みつけた。
踵を返し、激しい音を立てながら部屋に向かう。
ドアを開け放ち、紙だらけの床を踏みながら部屋の真ん中まで突っ切る。
左にあるデスクに広がる、ありとあらゆる研究所のクローズ手続きに関する書類。
それとは無関係の、式だらけの紙。
飛び込むリーダーシップと書かれた本。
何もかもを横殴りし、前に積んでいた他の書籍まで壁に衝突し、床に散乱した。
何もなくなったそこから、白い壁をジリジリと睨め上げる。
高速に巡るのは、策。
彼の手は、落ちかかる1冊に伸びる。
何往復もした海洋生物の図鑑。
どこに何が載っているか、今でも明確に記憶している。
1度に開いたそのページには、大量のフグ。
彼は、静かにニヤけた。
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




