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MECHANICAL CITY

#12. Complete 細胞の記憶 [10]






「最終判断には絶対従う事って、一体いつ、どんな判断?

普段の指示の事じゃないようだけど、誰も分からなくて。

でもドクターが言うから、忘れないようにしてる」




表情と態度を変えないまま、彼はしばらく黙り続ける。

それは全員に告げた指示であり、約束だ。

彼は踵を返し、船着場に向かって歩き始める。




「ドクター」



「覚えておけ………それでいい…」




彼女の呼ぶ声に僅かに被せながら言うと、暗がりにそっと立ち去った。






 ゲートを開くと、木造の足場に音が小さく立つ。

幼少期からずっと、ここによく来ていた。

視界に何の障害物も入らない、最も世界に浸れる場所。

そして、一番有りの儘でいられる場所だった。






 複数積まれた大きな木箱に腰掛ける。

広い面積を持つそこは、悠々と身を預けられた。

カクテルを一気飲みしたせいか、酔いの回りが早い。

そもそも酒が久し振りであり、疲労の蓄積も関係しているだろう。






挿絵(By みてみん)




 漆黒の波の音は直に、眠気を齎す。

重くなる瞼は、徐々に下がっていく。






 揺れる、黒い世界。

未開拓で、謎多きそこがずっと気になっている。

求めたくてならない。

そこが、好きで堪らない。

このまま、引き摺り込んではもらえないだろうか。




必ず願ってしまう事だった。

いつか、その時が来たら、実際に沈んでいきたいと。

そこの波が、そのまま誘ってくれるのならば、本当の意味で、安心できる気がしている。




光も無い。

誰の目にも触れることのない、そこで。






 闇は次第に増していく。

波は、どこからともなく受ける僅かな光を、揺らし続けていた。

その光はぼやけ始めると、やがて、そっと閉ざされた。






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SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




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