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#08. Reboot 脱出 [7]






 そこは当然、もぬけの殻だった。

綺麗さっぱり、何も残されていないシャルの書斎。




適当にデスクを開けていくが、本当に何も無い。

手早い片付けに、疑問が浮かぶ。

何かを隠すようにも、逃げているようにも思えるが、単に早く済ませただけなのか。




周囲の棚にも、何も残されていない。

大量の資料や本があった事を記憶しているが、撤収されている。

怪しむ目を落とし、祖父の書斎に向かった。






 ここで仕事をするようになっても、社長室でもあるその部屋を使った事は一切無い。

部下との距離を近く取る為、使わなかった。

本人の物がまだ、色々と残されたままである。




 祖父こそ、今時の機械に(うと)い。

コンピューターを扱えない訳ではないが、やはりヘンリーやノーラン程は駆使できない。

だから、記録などは紙ベースが多い。

手を動かすのは面倒だが、何のデータかは見つけ易かった。






 どこを漁っても、医薬品データや治験モニターのデータばかりだった。

やはり何も無いのかと、長年使い込まれた古いアンティークデスクにも触れていく。

大量の引き出しを持つそれには、唯一鍵付きの箇所があった。

暫く手を止め、祖父から貰った厚いキーケースを取り出し、漁る。

全ての鍵が纏まるそこから、それらしい物を探った。




 短くて薄っぺらいそれを挿せば、直ぐに中が開く。

黒いファイルが眠っていた。

取り出すと、厚い革製の大きな椅子に腰掛け、そっと開く。






 飛び込んだのは、ピストルの白黒画像が印刷されたもの。

あらゆる角度で撮影されたものが、詳細を記された資料と合わせて数十枚に渡ってファイリングされていた。

目を狭め、妙な形を持つそれに首を傾げる。




 銃口は四角形で、銃身部分は太く、テレビや本で見かける銃の形状とは違っていた。




 もっと気になるのが、側面に取り付けられた2種類の器具。

ギアとスライドの写真に目が留まると、そのまま次のページを捲った。

記された詳細に目を走らせた時、ジワジワと目が見開いていく。




(……線幅調整……厚さ調整……レーザー……)




そのワードを追っていくと、その仕組みの詳細に辿り着いた。






 その部分だけを見れば実に画期的ではあるが、脱線しかかる思考を瞬時に止める。

白い光はこれなのか。

もしこれであるならば、物はどこにあるのか。

その引き金を、まさか、誰かが引いたというのか。






 ファイルを閉じると席を激しく立ち、気が付くとシャルに電話をしていた。




 当然なのか、彼女は出ない。

時間を空けて鳴らしても、反応は無かった。

しかし、彼の中では大半の予想がついてしまう。

もしそうであるならばと考えるだけで、怒りが込み上げる。

細かく震える体は、引いていた痛みを呼び起こす。

動悸がし、それと共に息は一気に上がった。




(事故……だとっ……!?)









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




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