表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/144

[3]          1040.




 何かがまた、聞こえてくる。

悲鳴や怒号が脳内に籠り、響いている。

手首や肩に、圧力がかかる。

誰もいない部屋なのに、まるで誰かに拘束されているような感覚に陥る。

痛みに、右手でフラフラと宙を掻き、力無く藻掻いた。




過るシャルの影。

覗き込むビルの影。




自分の身に起きた事をわざわざ、改めて聞こうと思えなかった。

体がこんなにも、勝手に再生してくるのだから。

断片的とは言え、十分過ぎる情報だ。

宙を掻く手は終いに、目を覆う。




(……出て…来るな……見る…な……喋る…な……)




口が数回、震えながら空気を求めると、翳した手は落ちた。

その後、大きく項垂れ、気を失った。










 もう何度目になるか。

レイシャは彼の家を今日も訪れた。

レアールとはあれから数回顔を合わせ、体調を整える手伝いをしていた。

その傍ら、不安を抱えた状態でのスタートであったが、エンバーマーとしての仕事は進んでいた。




 秋の冷風に流れる雲が、太陽を覆い始める。

太い陽射しは影に変わり、見えた小さな一戸建ての色を濃く象った。






 「!?」




そこへ飛び込んだ光景に、息が止まりかける。

彼の家の玄関が、半開きになっているではないか。

目を見開き、彼女はそこへ飛びつく。




 「ねぇ!いるの!?」




薄暗いそこは、人気がない。

不思議な感覚だったが、彼女は数回、挨拶も交えて同じように呼びかける。




「入るわよ?」




留守ならば、無防備にも程がある。

目前に階段を見つけ、上の階に向かってまた声をかける。

反応がない。

しかし、気になって彼女はそっと上がっていく。






 上り切ったところでまた、声を張った。

誰もいないのかと、直ぐ傍のドアをノックし、開けてみる。




 薄暗いそこは書斎で、書物特有の香りが流れ込んだ。

換気もなされていないのか、埃っぽさも感じる。

カーテンが閉められ、人がいないと直ぐ分かると、その場を後にする。






 数歩先を進むと、別のドアに辿り着いた。

薄く開いたそこに目を凝らし、ノックに合わせて声を掛けながら、恐る恐る開くと




 「……ちょっと!?」




ずっしりと床に腰を落とし、ベッドの足元に凭れる彼がいた。

項垂れていたところ、今は右斜めに顔を上げた状態で眠っている。




「ねぇ!」




暗い空間に佇む姿が恐ろしかった。

彼女は慌てて部屋に光を入れようと、レースカーテンだけを残し、部屋に光を入れた。

空気も悪く、窓も僅かに開く。




挿絵(By みてみん)




「ねぇ!大丈夫!?」




しかし、彼はびくともしない。

久し振りに見る姿は、酷く疲労を滲ませていた。

それに、以前より痩せている。

顔は白いが、唇の色は正常だ。

静かな寝息を耳にすると、ただ寝ているだけだと安心する。









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ