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[6]          1180.



#08. Reboot 脱出 [7]

#13. Data processing [2]






 現場で止血作業がなされる中、ボートで救急隊が駆けつける。

それを目の当たりにしていたシャルは、いても立ってもおられず、外へ疾走した。






 酷い豪雨の中、時折、遠雷が聞こえる。

横殴りの雨は、彼女をあっと言う間に濡らした。

全身が震え、息が上がったまま整わない。




 そんな中、手にしたままの凶器に目を落とす。

先程の恐ろしい記憶が鮮明に蘇ると、首が振られ、それを後方に大きく引いた。




 こんな物があったからだ。

こんな物、こんな事、消してやる。




腕は力いっぱい、前方に高々と振り下ろされた。

暗い嵐の中にそれは放り投げられ、闇に溶け込む。

雨音と共にその姿は消え、激しく波打つ漆黒の海に音も無く沈んだ。






 それは隙間という隙間から気泡を上げ、闇に呑まれるように、みるみる落ちる。

沈む速度が速いそれは、まるで鉛か。

漆黒の底なしの海中に、ただ只管、流れにその身を乗せ、揺られながら消えていった。






 死んだように動かなくなったヘンリーが、搬送されていく。

豪雨に身を晒しながら、彼女は体を震わせていた。

直ぐ父のノーランにも連絡し、彼もこの場に駆けつけていた。

出来事を耳にすると、彼は心底青褪め、次第にそれは焦燥に変わる。






 シャルは、ビルが駆けつけなければヘンリーに絞殺されていた。

浴びせられた、常軌を逸した威嚇と怒号。

彼女の身震いは、未だ止まらない。




 半ば無意識に取り出したピストル。

向けるだけで変貌は治まると思っていた。

しかし、変わらなかった。

引き金を引くつもりは毛頭無く、銃弾も込めていない。

故に、放たれるとは思ってもみなかった。

またそもそも、それがただのピストルではなくなっていた事にも驚かされている。




 実際に発射されたのは、厚さも線幅も最高数値のままになったレーザー光。

出来事が、自分の行いがあまりに恐ろしく、弾みでそれを海に捨ててしまった。






 最悪の事態にショックを受け、彼女は震えながらノーランに謝罪を繰り返しながら、話した。

彼は黙り続けていたが、泣きじゃくる彼女の背を慰めるように擦る。




 その後、彼はやっと静かになった事故現場に向かう。






 開発をするにしても、実にいい加減な管理だった。

それが自分の父、アルフである事に肩を大きく落とす。

そこへ息子のヘンリーの顔が浮かぶ。

それには首までも落とし、深く溜め息をついた。




 困り事は幼少期の内だけと思っていたが、大人になってからも解消されない。

何故、こうも騒動ばかり起こすのか。

大学の中退を懇願された時に知った、虐められる生活が続いていたという事実。

ノーランには、何もかもが受け入れ難かった。




 この件が知れ渡れば、仕事に支障が出る。

名声にも傷がつく。

進路の都合で海外渡航を控えるジェレクにも、影響を出させる訳にはいかない。

この施設は一時クローズし、後に運営判断をするとした。

そして警察に交渉する手立てを考え始める。

彼は、息子の大怪我をそっちのけに、只管そんな心配をし続けた。









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




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