表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/145

[4]          1000.



#08. Reboot 脱出 [7]






「何も変わってない…

一体、何が貴方をそうさせてるのかしら?」




途中から目を合わさず、口を開こうとしないヘンリーに、シャルは苛立った。




「どう学んできてるのか知らないけど、考えを受け入れてもらいたいのならば、まずは相手を受け入れる事と、既定通りやる事ね」




彼女はまた一冊を手に取り、適当に捲っては閉じると、数回手に叩きつける。




(…なあ……黙れよ……)




「貴方は代表になって日が浅い。

それなのに、早々に思いついた事をあれこれ捻じ込み、チームを混乱させてる。

競争相手がいて、先を越されるような切羽詰まった世界じゃないのよ」




ヘンリーは、掴んでいた1冊に力が一層加わり、震える。




「仕事を辞めるって、生活に影響する事なんだから。

冷静になってもらえないかし




彼女が言い終える前に、打撃音が部屋に響いた。

彼は、掴んでいた1冊を思い切り彼女の顔目掛けて投げつけていた。






 一驚上げた彼女は顔を一変させ、制御に間に合わなかった右腕越しに、彼を震えた目で見る。






 彼女のその目が、顔が、憎たらしい。

何故、お前が怯えるのか。




 彼の体は、何かで操作されているように速かった。

デスクに積まれた、重みがある大量のファイルが一瞬にして床に散乱する。

大人でも運搬に苦労するそのデスクを、いとも容易く蹴り飛ばした。




 一撃で位置が大きく移動したそれに、彼女は目を疑う。

だが、その時も僅か。

デスクがズレた衝撃で、別の棚から薬品サンプルが飛び出して割れ、床に飛散する。




挿絵(By みてみん)




その音と被さりながら、彼は彼女の首を両手で掴みかかり、傍の壁に大きく叩きつける。




(喋るな…喋るな喋るな喋るな喋るな喋るな!)




「喋るなっ!」




眼振と共に放たれた怒号は、短いながらも部屋に尾を引くように轟いた。








 それが消え失せるが先か。

彼は急に、何かによって乱暴に彼女から引き剥がされる。




 肩から腕が捻れ、背後でまるで結ばれるように両腕を折り込まれる。

肩甲骨が寄り、そのまま両腕、両手首に力が大きく加わり、上体の隅々にまで激痛が走った。

息が止まりそうになる程の締めつけは、勝手に声が漏れる。




 そのまま襟首を掴まれ、後方に引かれた。

視界が大きく右に傾くと、胸部から顔にかけて再び激痛が走る。

蹴ったデスクに、何かが彼を激しく叩きつけ、そのまま圧し掛かるように抑え込んだ。




「…なせっ!放せえ!」




揺れる暗い空間に、体を揺さぶりながら吠え飛ばす。




「大人しくしろ!何があった!?」




急に飛び込む別の声はしかし、ヘンリーには届かなかった。









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ