[13] 1120.
#05. Error 誤搬送 [4]
#07. Cracking 処分 [14]
#08. Reboot 脱出 [7]
「AIやロボットを使うの、流行ってきてるでしょ?
脳を作ろうとしてる話もあるんだって。
長く生きる為にって、人が考えてるのよ?
いつかこの先、永遠の命や復活って、有り得そうじゃない?
例えば、綺麗に保持されて眠る姿じゃなくて、起きられる日がもし来るなら、凄いわね。
AIの技術がもっと発展すれば、ただのロボットなんて事も言えなくなるんじゃないかしら」
彼はしばらく首を傾げると
「ははっ!初めて聞くよ、そんな発想……」
久し振りに自然に笑った。
やはり馬鹿にされるとレイシャは目を逸らすが、違った。
「けど、先の想像をするのは嫌いじゃない……
違った考えや着眼点は必要さ…
発見する為には…」
まるで清涼感を与えてくる、清々しく優しい声を傍に、彼の手元に目を奪われるレイシャ。
静止するゼロの体を弄る手は細い。
今のような細かい作業を繰り返しているのだろうか。
「…でも…人と違っている事は…
なかなか聞いては貰えない…君は凄いよ……」
やはり彼は、否定をしなかった。
それが嬉しく、口にする事を恐れていたのが馬鹿らしく思えた。
そして彼もまた、これまでにない程に心地良かった。
初めて、自分の思考に興味を持つ人が現れた。
同じように考えを巡らせる彼女は、とても珍しい存在に思えた。
それに自然と惹かれ、そのまま、彼女が持つ医学知識や遺体保存技術にも興味が湧いた。
「……それでか…?
……こいつに感動してるのって……」
彼が持つ工業技術で、ゆくゆくはアンドロイドの誕生や、人を起こせる未来がありそうだとまで話した彼女。
その目は真剣だった。
他の科学者達が考えるように、自分も突出した事を考えたいという、力強い意思があった。
「ええ……だから…貴方も凄い……
そんなものが作れる…誰かを助けられる…」
彼はふと彼女を振り返る。
そんな事を言われた経験がなかった。
胸の中で、誰かを助けたいと思い、いつか口に出したような気がする。
急に視線が落ち、ロボットに再び向いた。
ずっと上手くいっていない。
誰かの為になれる日なんて、未だに夢に思えてならなかった。
「ねぇってば!」
体が激しく揺れ、咄嗟に振り返る。
どうやらまた、幾度となく呼ばれていたのか。
彼は、不安に目を震わせる。
また、聞こえなかった。
それに対して彼女が何かを言う前に、話に戻る。
「でもこいつチビだし…形も最悪だ…
見た目が人と掛け離れてるよ…」
「……そうね…それは確かに……あはは!」
彼女もまた、レアール以外に自然な笑顔を見せるのは、久し振りだった。
いつの間にか、彼に随分と惹かれていた。
だが、その翌日から数週間、彼は姿を消してしまった。
穏やかな声に、やっと見せてくれた優しい笑顔。
真剣でありながらも、どこか楽しげにロボットを弄る姿を見るのは、これが最後になった。
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




