[12] 1000.
#07. Cracking 処分 [14]
#12. Complete 細胞の記憶 [18]
モデルがどういうものかを知らない彼に、レイシャはどんな世界かを教えた。
そして彼の中で、レアールの言葉がふと浮かぶ。
“貴方さえ良ければ、仲良くしてもらえると、とても嬉しいんだけど……
私と、じゃないわよ……
彼女と、ね……
彼女……どうしようもなく寂しがり屋だから……”
何故そんな事を言うのか、未だ分からない。
だが、そんな不思議な事を言う彼女は虐めを受けている。
それがどれだけ苦しい事か、彼は痛い程分かる。
ただ1つ違うのは、彼女にはレイシャという友人がいる事だ。
彼には、1人もそんな存在はいない。
「……そんなの構うなって…言ってやりゃいいさ……
君だってそう……
お互い…傍にいれば……
ずっと傍にいて…話していれば……
手を繋げば……寂しくないだろう…」
言葉を選ぶように間を空けながら、ゆっくり話す。
「触れる事は……
脳が刺激され……安心感や…幸福感を高める………」
穏やかに話すその内容は、地に足がついていない。
それが実際、どんなものかを知らないのか。
「身体的な接触によって……
心拍も血圧も下がる……
気持ちが安定して……
ストレスや不安が軽減されやすくなる……」
配線のし直しを試みているのか。
目線は終始、ゼロの背面を弄る手元に落ちたままだ。
「肩や頭……だきしめ…る……なんかは………
まも…られてる………或いは……
あいされ…てる……
っていう感情が生まれやすくなる……」
レイシャは俯くまま、緩やかに零れる言葉を聞き続けた。
「自分がそうされるべき…大切な人間だって…
認識ができる………
それは…自己肯定感や…
自尊心を高められる可能性がある……」
しかし、どこか自信がないのか。
それでも懸命に話している事が伝わってくる。
彼は突如、顔を上げた。
まただ。一方的に話してしまった。
唇が僅かに震える。
恐る恐る、ジリジリと流し目を彼女に向けた。
だがレイシャは、こくこくと黙って頷き、その目を見つめていた。
彼女は痞えている事を話し、また彼からそのような話を聞けた事で、嬉しくなっていた。
その様子は、彼にとってこれまでにないもので、半ば戸惑っている。
それでも、気づけば顔を彼女に向け、見つめ合う時間が数秒生まれた。
震える互いの瞳に映る、互いの表情。
誰かをこんな風に見る事もまた、初めてだった。
沸々と込み上げる熱は、何だろうか。
瞬きも忘れ、その答えを互いの顔から探そうとする。
すると、彼女の方からそっと目を逸らすと、恐れて封じていた思考を口にし始めた。
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




