[11] 1000.
#07. Cracking 処分 [14]
…
……
………
そんなつまらない話を、わざわざする気になれなかった。
話題を切り替えたにも関わらず、彼は深追いせず、ロボットを何に使うのか、その答えをくれた。
「………職場でな…」
レイシャの目は少し大きくなり、振り返る。
「その子、仕事ができるの?」
「………させるつもり…」
それを聞いて、彼女は遠くを見て想像した。
「………いいわね…それも……
人がいないなら…」
「………そう………そう思う…?」
彼は静かにだが、驚き、思わず聞き返してしまった。
「いいでしょうね。
だってその子は嫌な事言わない……怖くない……」
徐々に落ち込んでいく、声と肩。
彼にとってその姿は、まるで自分を見ているようだった。
「………ああ……こいつは……痛くないよ……」
人手不足を埋める。
気づけば、それだけの理由では無くなっていた。
ゼロは、与えられた事だけを黙々とこなす。
それは、心地よい以外に表現出来ない。
我が儘な願いだろうと知りながらも、ゼロは、自分の頼みを真っ直ぐ聞き入れてくれる。
そんな部分に、どこか安心していた。
互いが向き合っている。
夜に会うばかりで、色づいた姿を見るのは初めてだ。
夜であった事や目つきのせいか、レイシャは彼に対し、少々怖い印象があった。
だが、今そこに立つ彼の姿や声からは、優しさを感じる。
その差に、静かに驚いた。
更に、表の名前にも密かに驚いていた。
彼の名前こそ未だ知らないが、表札を見てどういう存在なのか、直ぐに想像がついた。
「……痛い事でもあったの?」
「……いや…」
言いながら、ロボットに顔を向ける。
分かりやすい嘘だ。
だが、彼女は問い質さなかった。
彼女は、職場の都合でこの地域にいる。
彼の学生時代のあれこれを、知る由もなかった。
しかし、クラッセンと聞くと難なく思い浮かぶ。
彼は、有名人の息子だ。
そこから勝手に想像を膨らませる。
自分に似て痩せており、どこか疲れている。
苦労をしているのではないか。
数日通い詰め、やっと会話をするようになった2人。
気がつくと、レイシャが一方的に自分の身に起きた事や、夕べ連れてきたレアールの事も話していた。
言い終わるまで、静かに聞く。
こんな人はレイシャにとって、レアールの次に初めて現れた。
「レアールには悪いけど、彼女の職場の人は好きになれない……
警察や弁護士に相談しているとは言うものの、変わってない……
誹謗中傷が続く影響で、自分を傷つけてしまう…
もうしないって言うけど……怖い……」
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




