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#07. Cracking 処分 [14]
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夕べは親戚が来ていると連絡があり、嫌々ながらも実家に帰った。
すると両親は、身内が勤める職場を私に持ち掛け、そこへの転職を強く勧めてきた。
「だから!勝手にそういう事しないで!
私は決めてる事がある!放っておいてよ!」
「ちょっとレイシャ、叔父さん達の前で何て事言うの!?」
転職する予定でいても、身内の職場は考えていない。
「貴方、自分の事を分かってないでしょう。
亡くなった人の体の事を詳細に考えたり想像したりして、職場の人が迷惑になってるって聞いたわよ」
母親は私の職場での様子が気がかりなあまり、勝手に訪問して上司と話しをしたと言う。
「そんな風に育てた覚えはない。
母さんの言う事を聞かないのは、父さんの言う事を聞かないのと同じだ、レイシャ。
お前は判断を誤る。
大人しく言われた通りにしておかないと、周囲に迷惑がかかる」
「なぁレイシャ。
せっかく医療知識があるんだ。
うちの病院に勤めてみないか?
お父さん達も、その方が安心するみたいだし」
「もう!だから!」
いつからか、激しく反発するようになった。
子どもの内は、何かを補助してもらう事は自然だろう。
しかし、成人してからもこれではストレスを感じてならない。
幾つになっても、私の考えや選択を悉く自分達の都合の良いように修正し、その方向へ導こうとする。
今回みたく、恥ずかしい事のないよう、自分達の目の届く範囲に封じ込めようとする選択も、幼少期から変わらない。
活発な子どもであっても、今よりは従順だった私。
だが、小学校へ行くようになってから自己主張が強くなっていき、父が母に強く当たる事も増えていた。
変化する私に焦り、両親共に理想的な娘にしようと必死になっている。
死者に関する考えを巡らせる事を止めさせるべく、働かずに家庭に入れと言う事も。
また、それを聞き入れられないのならば、せめて仕事を止めて家で冷静に過ごし、考えを改めろとも言われた。
「今のままでは、お父さんもお母さんも恥ずかしいわ、レイシャ。
貴方はそんな子じゃないでしょ…」
「叔父さん達のご厚意だ。
受け取らないでどうする。
今のお前は、奇妙な執着から離れない限り上手くいきっこない。
これ以上、勝手な事ばかりして人に迷惑をかけるな」
「どっちがよ!」
それから怒鳴り合いになり、結局30分もしない内に実家を飛び出した。
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SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




