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#07. Cracking 処分 [14]
戻ってきたレイシャは、2人を交互に見る。
「ちょっと何?駄目よ、彼女忙しいんだから。
付き合ってる場合じゃないの」
更に飛び込む理解不能な発言に、彼の片目が僅かに痙攣する。
そこへ、小さな笑い声がした。
「バカねぇ、違うわよ…
発明のお偉いさんを、揶揄ってみただけ……
ねぇ?」
とは言うが、彼にはそうは思えなかった。
だが、彼女は静かに微笑むと踵を返し、レイシャを急かす。
「帰るわよ。お邪魔のようだしねぇ?」
その言い終わりでもまた、口角を上げていた。
あっさり立ち去る彼女に、レイシャは慌ててついて行こうとすると
「あ。ねぇ名前は?」
「…………表に出てるだろ…」
最後までよく分からない空気に顔を歪めたまま、彼も背を向ける。
レイシャはまるで、両者に置いてけぼりにされている気持ちになった。
表に出ているのはファミリーネームだろう。
そうぼやきながら、駆け足でレアールを追った。
レイシャは先々進むレアールに追いつき、不思議な人だろうと話す。
ぼんやりした眼差しを浮かべるレアールは、しばらく間を空けてから囁いた。
「私はせめて…貴方や……
あの彼の役に…立てればいいのにねぇ…」
「何それ。
私はさて置き、彼の役にもって…
まさか本当に惚れたの?」
冗談だろうと返すレイシャに、前を向いたままレアールは小さく笑うと、首を横に振った。
これ以来、レアールは彼と会う事はなかった。
週末。
夜はレイシャと遭遇すると読んだ彼は、日中に外で作業をしていた。
翌週から、仕事で早速ゼロを使うつもりでいる。
ふざけて付けた防犯対策を取っ払い、最後の試運転をしていた。
しかし
「私を避けようって?」
耳を疑い、振り返る。
そこには、今日は帽子を脱いだレイシャが立っていた。
「……何でだ!?」
そんな反応もするのかと言うように、レイシャは彼を見て声もなく笑う。
その表情に、彼は怪訝な顔をふと止めた。
「…………寝てないのか…?」
彼女は驚き、顔を見られないよう柵に背を預ける。
「…………ねぇ、それ…何かに使うの…?」
話題を変えた。
昨夜、職場で上手くいっていない事で、親と喧嘩をした。
そんな事を、話す気になどなれなかった。
………
……
…
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




