[3] 1030.
MECHANICAL CITY
#05. Error 誤搬送 [3][18]-[20]
#06. Please wait 決定 [1][2]
広間の噴水は止まっている。
誰もいないと思いきや、庭師のRが何かをしている。
先程の掃除婦のRが通信でもしたのか。
広間に入る手前で、彼は立ち止まる。
深夜帯にまで働く必要はないと思いながら、その一方で、掃除婦の彼女が言うように、自分があまり現れないせいなのかとも思う。
石畳の通路に散らかった、切り落とした草木を清掃する庭師。
左側を窺えば、未使用の物置小屋だったパブがある。
入った事がない以前に、初めて見た。
灯が点いている。
他に誰かいるのかどうかは想像するだけに留め、そのまま右側のエリアに向かった。
波と草木の音だけの時間。
見かけた庭師から距離を取りながら、フードを再び被り、点々と並ぶ家屋を眺めながら歩くのだが
「珍しいな、トップ。今日は走らないのか?」
何をしたところで当然、彼等は気づく。
ヘンリーは肩越しに振り返り、小さく首を横に振った。
「いい加減寝るんだな。寝不足だろう。
仕事をし過ぎるとそれはそれで大変だ。
実際そうだろう?
それか、偶には別の仕事でもするか?」
彼はそう言って、ヘンリーに箒を突き出す。
箒で掃除など、した事があっただろうか。
それに近づき、左手で受け取る。
しかし、集められていた葉は突風で逆側のエリアに飛ばされてしまった。
「…………やらなくていいだろう…」
「だな。じゃあこっちやるか?」
突き出された網に、今度は静かに目を丸くする。
風のお陰で、噴水には大量の草木が浮いている。
これはやり甲斐があると、箒と取り替えたのだが
「おいおいトップに何やらしてんだ、草刈り!」
逆側のエリアから吠え飛ばしてきたのは、漁師のR。
彼は自宅から出てきたのだが、こんな時間に潜水か。
その格好に、ヘンリーは首を傾げる。
「…………何で…ボンベが要る…」
漁師は夏のウェットスーツに、それを背負っていた。
「いや要らん。
だがこれ無しで潜ってたら、いざ目ぇつけられた時、怪しまれる。
朝の実験で潜るから、装着してみただけだ。
それよりあんた、網なんか似合わんぞ」
「…………いや…」
「気晴らしだ。
頭を使わん仕事をしてみるかって話しだ、こっちは。
試着中なら引っ込んどけ」
アンドロイド同士は通信を使うのだが、彼等は随分大っぴらに会話をする。
自分が人間である為、使い分けているのか。
ヘンリーは両者に視線を高速に往復させながら、そんな事を考えていた。
「ああトップさんか!
ちょっと!ちょっと来なよ!」
今度は誰だと、ヘンリーは咄嗟にそちらを向く。
よく見ると、バーテンダーのRが窓から声を張っていた。
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。