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#08. Reboot 脱出[7]
#10. Tracking 再回収 [8][9]
環境は少し変わった。
新システムの運用を少しずつ始めてみるが、要領が掴み切れず、辞め時を考えていた部下達が数名、退職を申し出た。
長年、共に働いてきた者が、急な選択をして辞めていく。
シャルにとって、焦燥の要因以外に他ならなかった。
「いい加減考え直して!
小規模でやってきてる中、これじゃ人手不足になるじゃないの!
今だって言い出せずに我慢してる部下がいるかもしれないのよ!?
結果は見えた!元に戻して!やりにくいのよ!」
だが、対応できている部下もいる。
それに、全てを変更せず、1つずつ取り入れている最中だった。
彼女は主に、部下との関係が崩れる事を恐れている。
それを理解しない訳ではないが、そのように何もかもを受け入れるつもりも無い。
あくまでコントロールするのは、トップである。
「一体何を勉強してたの!?
これじゃ何も変わってないわよね!?
聞いてヘンリー、貴方のしてる事は、自分がやりたい事なだけなのよ!
人の話聞いてる!?
採用なんて簡単にできないし、できても立ち上げに時間がかかる。
新たに人手不足の課題が増えるんじゃ、意味無いでしょうが!」
この耳を突く声と話し方が、いつからか大嫌いになっており、手先の震えが起きた。
怒鳴られる事は、はっきり言って恐怖しかない。
その反応は体に正直に出るのだが、すぐにポケットに隠す。
そして、人手不足というワードからある事を思い出した。
(…………ロボッ…ト……?)
その案は、みるみる思い浮かんだ。
ここは今や、自分を軸に動ける場所。
彼はこの日から、拠点内の住居ではなく、しばらく自宅に帰ってボートで往復するようになった。
いつか気晴らしに何かを作ろうと思い、勝手に父の職場から持ち出していた廃材がある。
鉄材も導線も溢れんばかりに揃っている。
1体、生み出そうと決心した。
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




