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 その帰り道、バスにも乗らず徒歩で帰路についた。

陽が落ちるのが早くなり、夕方は薄暗い。

通り道の街灯がとても綺麗である筈が、目は別の所に向いている。

焦燥と共に、勝手につく溜め息と舌打ち。




 学校という場所に、ただただ恐怖していた。

しかし先を考慮すると、大学に行かない選択は厳しい。

大学こそ、大人の環境である。

こんな子どもじみた出来事は、今度こそなくなるだろう。






 つい、橋の手摺りに顔を突っ伏し、考え込んだ。

点々と点く街灯が、夜を照らす準備をし始める。

時折真下を通過する小型客船からは、僅かに賑わう声がしていた。




両手が勝手に震える。

風は冷たいが、寒い訳ではない。

ある日を境に、気温とは関係無く震えが生じるようになった。

それに吐き気も加わっている。

今日は午後からずっと続いており、それに堪える事にも疲れていた。

これまでとは違い、不定期だがその症状は時折出る。




もう直、環境がまた変わる。

仕事に就く事だけを目標に、このまま突っ切ってやると、あらゆる過ごし方を頭で巡らせ始めた。




 その間も、震えと気分不良は絶えなかった。

季節の変わり目につき、風邪を引いたかもしれないと勝手に判断し、やっと顔を上げる。

彼は、手摺りを掴みながらフラフラとまた歩き始めた。






 家に着くと、いない筈のシャルがジェレクとリビングで立っていた。




「何処行ってたんだ!?携帯鳴らしても出ねぇし!」




ジェレクが目を見開き、声を張る。

ヘンリーはその反応を、すぐ理解できなかった。

無言で呆れるシャルに目を向けてから、時計を見る。




8時前だった。

つまり2時間近く、橋の上で突っ伏していた事になる。






 その晩、高熱が出た。

帰宅後、何も食べる気になれず横になると、延々、学校から抜け出せない夢を見た。

それに限界がきて、夜中に嘔吐を繰り返した。









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




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