表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/145

[16]         1390.



#08. Reboot 脱出 [6]






 これを機に変わり者であると噂が回り、それは結局訪れた。




 全てを見透かされているような気がする口の利き方を恐れ、誰もヘンリーに寄りつこうとしない。

声をかけられたかと思いきや、妬み故の下らない攻撃として、段差から蹴り落とされ転倒。

数箇所の軽い打撲を負った。






 帰宅途中。

自転車を漕いでいると、ブレーキが効かず咄嗟にサドルから飛び降り、地面に着地して止まった。

幸い、坂を下る事はなく、事故は免れる。

こうなるまで、ブレーキワイヤーが切られている事に気づかなかった。




 その翌日、その件を職員室に話しに行った。

名を伏せた状態で、其々1限目のクラスで一時的にホームルームを設け、それは注意喚起を含めて共有された。

そして、犯人はあっさり職員室に現れる。

同学年の女子生徒で、酷く目を腫らしていた。




「あんたのせいでっ…だってあんたがいるからっ!

ちっとも成績が伸びないしっ…

親に怒られてばっかだしっ……

いなくなればいいって思ったのよっ!

もう毎日毎日っ…家に帰るのが嫌なのよっ!」




これまで見た事がなかった彼女の存在。

ヘンリーを越えられない事に腹を立て、事故に遭えばいいと思い、実行したと言う。

最悪の場合、死に至る可能性も十分にあった出来事。

教師が叱る横で、彼は溜め息をついた。

見ず知らずの人間に、いなくなればいいと思われている。

それは重く体に圧し掛かった。






 解決したと思いきや、別の日に今度はタイヤの前後がパンクしていた。

そこには明らかに刺し傷が残されており、故意にしたものだとすぐに分かった。

この行為が一体何と関係しているのか理解できず、毎日が億劫になった。




(今…越えればいい……)




立て続けにトラブルが起きた為、バス通学に切り替えた。

家に連絡を入れられたり、またホームルームで共有の場を設けられるのも、うんざりだった。

その為、学校にこの件は言わなかった。






 虐めの質はこれまでと違って重く、危険を伴うものが続く。




 中学の時に起きたロッカー荒らしがまた生じ、使用を止める為に片付けていた時の事。

私物ではない、見るからに高価な腕時計が入っており、手に取った。

それを写真に撮られ、泥棒だと濡れ衣を着せられる羽目になる。

教師にも、挙句の果てには警察にも話を聞かれる始末だったが、淡々と誤解を解き続けた。




 騒ぎが起きた数日後、その時計の持ち主は上の学年の生徒の物と判明する。

そのクラスメートが、悪戯でヘンリーのロッカーを壊して仕込んだと認めた。

解決したのは良いが、何も安心できない。






 学校で成績が抜きん出ている。有名人の息子。

だとすれば、見ず知らずの者に狙われる事は、仕方がないというのか。




 顔見知りが少なかった高校。

しかし、噂は風にのってやってくる。

これまでの虐め経験で揶揄われる事や、弟のジェレクの存在も話題にされた。

ヘンリーとは真逆の性格である事から、成績は低く、反発するところから、凶暴的だと罵られた。




 自分自身に対する攻撃は、耐えればいいと思っていた。

しかし、家族となると訳が違う。

その時は必ず、(しか)め面をして言い返してきた。




「凶暴的なのは果たして、どちらかな。

あいつは確かに、反抗する。

大事なものの為ならば、傷つく事を恐れない。

強いし、賢いさ。

人を馬鹿にする君達とは、比較にならないよ」




家族それぞれに、素晴らしい素質がある。

共に過ごす時間がほぼ無くとも、各々の場所で力を発揮している。

その邪魔だけはさせたくなかったし、守りたかった。









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ