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#05. Error 誤搬送 [4]

#08. Reboot 脱出 [7]






「父さんとこや、社長さんとこのAIクオリティーは高い。

確かに作図や製図は、決まっているものでないなら人の手でする方がいい、か。

でも計算は、人よりも機械がする方が圧倒的に速度があるよ」




「リー」




「電卓みたいに秒で分析結果が出るなら、効率がいい。

だから仕事の速度も上がる。

出荷なんて、決まったものを詰めて梱包する作業でしょ?

なら機械に詰めてもらって、送る段取りをしてもらえばいいな」




「ヘン」




「人じゃないから、エラーも大幅に削減できる可能性が高い。

書類やデータを探すのだって、ロボットに管理させておけばいい。

最初に指示を入れる作業は、しないといけないけど」




「ンリー」




「でもそれが後々、在り処を尋ねる事で場所を教えてくれたり、持って来させるシステムに繋がるなら、人間の無駄な移動が減る。

その分、手持ちの作業に集中できるよ」




「ヘンリ」




「それこそ作図とかは大変だし、期限もあるだろうから。

手広くやるなら、変わった部分も見せた方がいいんじゃない?」




客人は、滑らかに流れる提案に言葉を失い、フリーズしている。

一方彼は、返答を求めるように相手を凝視していた。




「ヘンリー上に行け。

何度呼ばせるんだ、お前は。

失礼だろう、そんなに一方的に」




「いやいいよノーラン。

考えてくれてありがとう。

君は今からそうだと、期待できるな。

良いヒントになったよ。

また、案を聞かせてくれ」




社長の言葉を真っ直ぐに受け止め、ヘンリーは顔を輝かせた。

だが、端の父や祖父、シャルは冷や汗を滲ませている。

彼は、周囲のそんな様子に気づかない。

それどころか




(呼んだって、何だ?いつ?)




何度も呼んでいるのに。

そう言われるのも、しょっちゅうだった。

彼はそれを聞いた事がなく、いつも、何の事を言われているのか分からなかった。






 そしてこの日以来、彼は会食の場に同席する事がなくなった。

来客も、彼の不在中を狙って端的に済ませるようになる。




「何で?また話せると思って待ってるのに。

社長さん、また案を聞かせてって言ってた」




シャルは書類の手を止め、ヘンリーに呆れた顔をする。




「あのねぇ。

この前会って、貴方は散々話したの。

だから、もういいのよ。

また同じようになるんだから」




「え?

じゃあ何で、また案を聞かせてって言ったんだ!?

また同じようになるって?

この前と今じゃ、全然違う。

話す事も違ってくるだろう?

家も学校も、毎日違うのにか?

しかもジェレクは行くし。どういう事?」




それが一番の疑問だった。

父は、弟だけを連れて行く。

何故なら、彼はヘンリーと違って仕事の事をとやかく言わない。

話しをする時も、割り込む事はない。

口を開いたとしても、決して一方的ではない。

父にとって、聞き分けが良く、扱いやすかった。






 先日の会食の後、ノーランは、ヘンリーの事で社長達に笑われていた。

実にユニークなお喋り息子に、早々に先を越されるのではないのか、と。

少々酔っていたのと、冗談交じりだった可能性もあるが、それでも酷く恥ずかしかった。

変わり者で、素直に聞き分けられない長男を、見せたくないと思い始めた。









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




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