表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/145

[10]         1180.




「友達がいないって…

まだそんな事言ってるの?もう中学よ?

あっと言う間に高校。

ヘンリー、お爺様からもずっと言われてるの、分かってないようね?

自分がしたい事ばかりじゃなく、学校では学校でしかできない過ごし方をしろって。

ジェレク見て御覧なさい」




いつからか、こう早口で叩くように言葉を放つところが、嫌になっていた。




「将来就きたい仕事があるんでしょう?

それに向けて頑張るのに、勉強だけでは駄目って話してるわよね?

お爺様やお父様を見て、どう?

沢山の人とやり取りしてるわよね?

その経験は、いつから積んできてるの思うの?

人との接し方は、学校を卒業して就職するなり急に得られる能力じゃない。

グループアクティビティとかは?

どうしてるの?」




初対面から、シャルの接し方は時を重ねるごとに変わった。

母親の代わりと言われるが、ヘンリーやジェレクはそもそも、母親がどういうものかを想像する事が難しい。




 彼女が母親であるならば、この接し方はどうも受け入れ難い。

ヘンリーは、そう感じるようになっていた。

これもまた、主張すれば反抗期だなんて言葉で横流しにされる。

反対に、そんなところを殆ど見せない弟が不思議でならなかった。

それに、気づけば比較される事が増えており、それもまた苛立ちの原因になっていた。




「もういいだろ別に!」




その感情はつい、言葉に乗るようになる。




「よくない!答えられないって?

そんな事で一体どうやっていくつもり?

言っておくけど、お爺様やお父様、私がやる仕事は、やりたい事だけに目を向けておけば就ける職業じゃないわよ」




これは、まだ高校生にもなっていない子どもとの会話である。

普段から、先々の事について話す。

何も珍しい事ではなかった。




 だが、彼女の態度や話の内容も含め、中学に入ってから過敏になっている。

どんなに母親の代わりを務めようと、シッターと同じで赤の他人。

疲れたヘンリーは、ある晩、父に相談をした。






 父は手にしていた新聞を、どこか仕方なく畳んで息子を向く。

少々疲れを滲ませる顔は、背後で灯るスタンドライトで暗くなっていた。

耳に若干被る、黒に近いブラウンの短髪を搔きながら溜め息交じりに言う。




 「だが考えろ。

家でこうして生活できてるのは、シャルのお陰だろう?

彼女のような存在は、まだ成長期であるお前やジェレクには必要だ。

それに、前のシッターが気に入らないと言ったのはお前じゃないか。

シャルは父さん達の大事な知り合いだ。

シッターに任せるより、ずっと安心できる」




(彼女がいいなんて……頼んでない……)




この相談の後、祖父や父が彼女と話し合っている様子は、見受けられなかった。

終いにはいつも通り、彼女の言う事を聞けと言われる。

しかし、ジェレクはそこを上手くコントロールし、難なく過ごしていた。

それもまた、ヘンリーには理解ができなかった。

ごねる事をしないジェレクを見習えと、親達は言うのであった。









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ