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[7]          1000.



#08. Reboot 脱出 [6]






 高学年になっても似たような事は続いたが、新たに加わるものがあった。




 机に置いていた海洋生物の書籍が、無い。

落ちているのかと慌てて探すのだが、鞄にも無い。

そうして捜索に必死になる彼を、小さく笑うクラスメートがいた。

しかし、彼は探す事に集中しており、その声に気づかない。




「あいつ、やっぱ耳悪いんじゃない?

頭が良い代わりに」




「おーいここにあんぞー」




揶揄(からか)いながら、奪い取った彼の本を席からチラつかせて歯を見せる男子。

それでも




(何でだ?10分前はあった。ここに置いた。

17ページの13行目まで読んで、職員室に行って、レポートを出して、ここに来て……

誰かが触った?……誰が触るだろう……

あの本に興味がある子がここにいる?

……だとすれば誰だ?

……でもあの本は高校向けだから、ここの誰かが手にしても分からないかもしれないけど……

違うのか?

そんな事は関係なくて、知りたかったのか?

なら何か言えばいいけど……

ならやっぱり落としたのか?

……いや、ここに置いた、確実に)




途端、頭頂部に鈍痛が走る。




「おいお前!いい加減気づけ!

ずっと教えてやってんだろうが!」




お求めの反応をいつまでも見せないヘンリーに、その男子は痺れを切らした。




「あれ?君?それ、好きだったのか?」



「は!?」



周囲から笑いが上がる。



「いや、そんな訳ないな」



「……どういう意味だ!?」



「だって、君がそれを読み解ける訳がないだろう?」




周囲は突如、静まり返る。




「殆ど授業聞いてないし、本も開いてるだけだし、声を荒げたりするだけだから」




顔を歪める男子から、ヘンリーは本を取る。




「もしかして今、これで殴ったのか?

これは殴るものじゃないだろう?

分からないのか?

そんな事が、君の所では許されるのか……

え、何でだ!?」




「うるせぇんだよ!」




焦燥する言葉に合わせ、ヘンリーは肩から激しく突き飛ばされた。

転倒し、困惑しながら目を左右させる。




(何で突き飛ばされたんだ……?)




「バカにしやがって!耳無しが!」




その怒鳴り声に瞬時、目を瞑るが、首を傾げて見上げる。




「耳はある。機能もしてる。バカにはしていない。

君の日頃の行いが目に飛び込んで来るだけだ。

教室が一緒だし、それは避けられないだろう?

で、何で突き飛ばした?

暴力と泥棒までして、更にこれって。

何がそうさせてる?」




理由を知りたい意欲の方が大きく上回る、揶揄い甲斐のない学年トップの彼。

彼に対する些細な虐めは、なくなるどころか増え、質も変わっていった。










SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続き、お楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




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