[9] 930.
#01. Access 搬送 [6]-[8]
#05. Error 誤搬送 [21]
#06. Please wait 決定 [4][17]-[19]
#10. Tracking 再回収 [11]
#13. Data processing 再び [2]
搬送されてきた彼は、この地が元々医薬品開発をしていた研究所であると、意識が回復した際に聞いていた。
実際に病院のようで、静か過ぎる空間は居心地が良く、これまでにない程気持ちが冷静になっている。
不思議な感覚に陥るこの場所は一体何なのか、そんな事を考えている内に、眠っていた。
気がつくと、驚きのあまりベッドで激しく飛び上がる。
部屋の窓辺に黒いスクラブのような格好をした男が背を向けて立っていた。
レイシャから聞いていた特徴を思い出し、ここのトップだと悟る。
ヘンリーはその音にジリジリと横目を向け、彼に半顔を見せる。
その目つきに半ば怯えながら、ベッドの上の彼は口を開いた。
「………悪いがこのザマだ。金は無い…」
ヘンリーは首を傾げ、再び窓を向く。
「………要らない…」
冗談だろうと、その彼は首を振る。
「妙だ……会った2人を見ても分かる…
あんた等も訳ありだろう…」
ヘンリーは何も答えず、そっと尋ねる。
「………何故……殴り合う……」
街での騒動をレイシャから耳にしており、気になった。
「別に……そうしてやりてぇから……」
その彼は体調こそ落ち着いているが、直に顔が獰猛になる。
「耳障りだ……
黙らせねぇと気がすまねぇだけだ……
周りの声が……ツラが……うざってぇからよ……」
話せば話す程、馬鹿馬鹿しいと思えるこの感情が、真っ先に浮上する。
それがいつからか、当たり前になった。
「俺の体やるよ。薬作ってたか何かだろ……
金の変わりだ…とっとと殺ってくれよ…」
しかしまだ、ヘンリーは耳を傾けるだけだった。
「別に…
解放されたからって許されてる気にならねぇんだよ…
……このままいつか、誰かを殺しちまう前に……
死んじまった方がいい………」
とは言うが、最後の言い方は酷く寂しげで、震えで消えかかる。
「………そいつは…為になるな…」
やっと話すヘンリーの黒い背中に、その彼は俯いたまま流し目を向ける。
実に物静かな背中の向こうで何を考えているのか、全く読めない。
妙な間は、再び破られる。
「使ってやるが……データが要る……
人体を扱うんでな…」
「………臭う割には真面目か…」
「………君は…本当は、どんな人間だ…」
妙な質問に自然と揶揄いの笑みが零れる。
しかしその彼は、小さく溜め息をつくと、どこか嫌々ながら話し始めた。
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




