[9] 960.
#11. Almost done 実行 [15]
#12. Complete 細胞の記憶 [1]
#- Shut down
まるで昼寝のような感覚だった。
いつの間にか眠っていたが、それもつい先程のような気がする。
未だ重い体に溜め息をつくと、身を起こし、さっさとチェックアウトした。
レイシャからの連絡は特にない。
連絡を一切入れない事は、それはそれで喧しい。
夕べ宿に入った時点で、今日の動きと、帰る事をテキストしておいた。
昨日買い取った第2の拠点を確認すべく、穏やかな道を再び歩き続ける。
昨日と違い、朝の匂いが冷たく体内に入り込み、寝起きの際に感じていた痛みが少しずつ解消されていった。
仕事が早いのも当然か。
この辺りは人気が減りつつある上、着目した物が物なだけに、作業の段取りがスムーズだった。
中を見て回ったが、電気の通りや水道も問題なく、目立った傷も埋められ、申し分無い仕上がりになっていた。
適当に最低限の生活必需品を入れ込んでおこうと、脳は高速に働き始める。
夕べの青年をどこか頭の隅に置きながら、簡易寝具や毛布、タオル類などを一気に買い込み、運搬依頼もした。
また、持参していた1台のラップトップを繋ぐ。
動作確認をした後、ここに置いておく分として厳重に保管した。
そんな事をしている内に、あっと言う間に正午が近づいていた。
眩しい日差しを遮りながら、フラフラと帰路につく。
ここに来る事はもう、ない。
後は上手く、その時に備えて研究所を整える。
あれこれ考える最中、思い出したのは他の得意先の件だった。
元居た地へ、再び赴かねばならない。
足は、急に早まった。
船着場で出港手続きをし、ボートに乗り込む。
出る前に燃料を補充しようとしたところ、船内で妙な物音がし、顔を上げた。
「なあ!」
どこからか、小声で呼ばれた。
不意に足元を見ると、シートの下から夕べの青年が顔を出す。
羽織で身を包み、勝手にボートで一晩過ごしていた。
来ないものと思っていたヘンリーは、フリーズする。
その間青年は、羽織を被ったまま、何だかんだ話しかけてきた。
ヘンリーは一言も放たず燃料タンクを閉め、コックピットに移る。
「死んだ奴の復活って、それ、ただの蘇生とは違うのか?
俺が使いもんにならなかったら?
俺が裏切ったら?」
背後からの小声につい、ヘンリーは小さく笑う。
「何?何か言
エンジンが入ると急発進し、ボートは一気に速度を上げた。
彼は急な動きに転倒し、いつかのレイシャ同様、速さに度肝を抜かれる。
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




