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[6]          1120.



#05. Error 誤搬送 [4]  

#11. Almost done 実行 [15]

#12. Complete 細胞の記憶 [1]

#- Shut down






 ここは何でも揃う場所だとオーナーは言う。

わざわざ顔など見なくとも、気持ちがよさそうな言い方から表情は想像つく。




 オーナーは再びレクチャーをしようとするが、ヘンリーは抑えきれなかった。

まるで餌を求めるハイエナか。

オーナーがリロードを終えた途端それを掴み取り、映画を思い出してフォルムを真似て、撃つ。




「“あんた!一体どうなってやがる!”」




彼の声など聞こえない。

一点集中するのは、目前の影共。

一向に消えない。

消えないから焦燥し、手が震える。




「おい……」




意識は憎たらしい連中に向いたまま、相手の言語をそっちのけに連ねた。




「よこせよ…なあ……とっとと次貸せよ…なあ!」




オーナーは悲鳴を上げる。

ヘンリーに胸倉を掴まれた彼は、激しく頷き、他にいた仲間が慌てて弾を運ぶ。

また、ライフルまで届いた。

射撃に飢えてならない客だと焦る彼等を横に、ヘンリーの目は殺意に滾る。

いつまでも消えない影を、全て消す。

だから、求めてしまう。






 結局、3種類を撃ち終えた。

手にしていたライフルを目の前の台に力無く放り投げ、イヤーマフを乱暴に外す。

そこに両手を付き、前屈みになる。




 やっと、消えた。

肩で息をしながら、顔を右手で覆い、暫く黙り込む。

後から来た仲間がそそくさと片付けると、オーナーはヘンリーを受付カウンターに促した。






 「“ったく、驚かすな!で、まだやるか?

ついでにこいつはどうだ?最近入った”」




出されたのはただのピストルだ。

何の迷いもなく左手に取ると、そこに感情が渦巻いていく。

形状はもっと違うが、見つけたレーザーピストルの資料が浮かんだ。

管理不十分な上、軽々向けられ、暴発。




(技術は……賢く……使え……)




いつか、レイシャが職場で言われたと聞いた。

自分もまた、そうである。

しかし、祖父や父だって、そうではないか。




 仲間がマガジンを持って、カウンターのすぐ傍の射撃位置に立っている。

ヘンリーは歩きながら、再び怒りに滾る目でまじまじとピストルを眺めた。




 弾が仕込まれると、ヘンリーは再び左手で受け取り、片手で構える。

それにオーナーは馬鹿笑いするだけだったが、仲間は両手で持てと丁寧に言う。

しかし結局、瞬時に豹変したヘンリーはそのまま1発撃った。




 2人は唖然としている。

明かしはしないが、この腕だ。

この程度の反動、受けやしない。




 ヘンリーは一息吐くと、一瞬見た装填手順を思い出しながら、弾を全て抜いた。

こんな事まで一度見たらできてしまう。

要らぬ発見だった。






 切り上げると見ていたオーナーは、伝票を置いていた。

馬鹿馬鹿しい金額に、ヘンリーはふと笑う。

支払えない額ではないが、半年分近い給与に相当するそれに、簡単に頷く訳がない。

明細を尋ねた。




「“阿呆。人を脅した分だ”」




否定はしない。

だが、お断りである。









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




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