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#06. Please wait 決定 [10]

#- Shut down






 最高速度で1時間走らせたかどうかで到着した、北上の地にある得意先。

人によっては他の言語を話したり、訛りがあったりもする。

普段いる場所もすっかり寒くなったが、ここは更に冷える。




 まともに得意先と対面するまでにクローズになり、相手もヘンリーの顔を知らない。

ただ、前代表のアルフの孫である事は当然伝わっている。

少々面倒に思いながら適当な事情を説明すると、代表が後に変わる事を伝え、追って対面できるよう調整するとした。




中身こそ引き続き自分達で対応するが、表向きは別組織になる方向で次々話しを進めた。






 仕事の話が終わりを迎える頃、離席のタイミングを計り始める。

その時、相手も研究所の引っ越しを考えていると切り出した。

バイオテクノロジー研究にとっては良い場所ではあるが、ここ最近、近辺で治安の悪さが目立つと言う。

少し離れた所にある廃退地区で起こる犯罪や、貧困層が気になり、他にも引っ越す者が増えつつある、と。




 殆ど耳にした事がない内容に、ヘンリーは集中した。




その地には小さな子どもや、普通ならば通学していてもおかしくない年代の少年少女も住んでいる。

物騒な物音もよく聞こえ、近辺で生活する者は怯えていた。

政府や警察の対応は、なかなか追いついていないらしい。






 出されたコーヒーの表面に、じっと視線を落として想像をしていた。

そこには、自分のような人間もいるのだろうか。






物騒な物音。

それは銃声や野犬、悲鳴など様々で、違法取引も生じている可能性があるそうだ。

ヘンリーは、違法取引というワードに僅かに右手が震える。






 話を聞きながら、広範囲に渡って思考を巡らせていた。

その影響で、すっかりコーヒーも冷め切っている。

それに気づき、慌てて一気に飲み干すと、適当に相手の話の区切りを見つけて席を立った。




 ボートまで送ると言われたが、少し周辺を歩くと告げ、その場で別れる事になる。

その際の立ち話で、近辺で使われていない建物や家屋、鉄鋼など鉄材を扱っている会社の情報を入手できた。




「“これ。よかったら持っていきなよ。

アルフも好きだった菓子だ”」




先程までは母国語だったが、横から現れた者は違った。

気さくに手渡してきた物のパッケージを見て、思い出す。

幼少期に時々、祖父に貰って食べていた、この地ならではの焼き菓子だ。




「“孫のあんたも好きだって聞いてたけど、今はどうだろう?

ちょいと甘過ぎるかな”」




「“………いや…頂くよ…”」




「“散歩もいいが、冷えるから夜は早く戻れよ。

ここらも最近、物騒だから”」




小さく頷き、踵を返すと歩きながら言った。




「“そちらも………気をつけてな…”」









SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~


初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。


2024年 次回連載作発表予定。

活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。

気が向きましたら、是非。




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