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#01.Access 搬送 [7]
シャルの行動幅は広がっていた。
皮膚全体や体毛の維持も順調で、開発できた保湿剤や防腐材の効果は出ている。
定期的な水分と油分の補給も行っていた。
駄目元で試した、常在菌を生息させる事も成功。
しかし、実際に目で見て周囲やタスクの確認、把握ができるようにする為に、目を義眼にする事にした。
自ら見たものから解析し、判断、決定ができるようにする。
また、口元の細工が成功し、口を動かせるようになった。
世に出ているAI技術や音声機器を調べつくし、発声の実験に取り掛かる。
発声などに興味を示そうとしないヘンリーだが、その横では、割り切って黙々と研究に向き合うレイシャ。
合間で彼女が、シャルがどんな人だったのかを確認をしてくるのだが、当然、彼がそんな事を話す訳がない。
結局、レイシャの想像する彼女を落とし込んだ。
ただヘンリーは、ビルに対する意識が違っていた。
沿岸警備隊が受ける訓練や、武術そのものにやたらと食いついている。
どうやら、一味も二味も違う警備員を生み出そうとしているのか。
彼等が理想に繋がった暁には、ここのガードをさせる方向で動いている。
元々警察官であるビルに、強いという印象をかなり持っているヘンリー。
本人を意識した上で、更に進化をさせた。
そして数日が経過し、彼は起動した。
この日はレイシャが向こうへ帰り、不在にしていた。
一時的に適当な理由をつけて休んでいた職場を退職し、レアールの身の周りの事も片をつけた。
戻った際に目に飛び込んだ、ビル。
彼女は驚いたが、2人目の復活者を機に、ゼロとは格段に違う、人の復活と呼ぶこれをSystem Rebirthと名付けた。
ビルは研究所に残っていた警備服を着用し、普通に腰掛けている。
その様子に違和感はなく、話しかけると視線を向けるようになった。
直に声も取り入れられるようになったが、その部分には拘る事をしないヘンリー。
レイシャはとことん本人の声を探りたかったのだが、厳しかった。
目鼻立ちも体格も良い。
そんな彼に合う声を、勝手に想像して提案する。
疲れた頭を動かし続ける中、思い立ったのは色気。
それを聞き、ヘンリーの顔は歪む一方だった。
彼はラップトップを彼女に押しやり、黙りを貫くだけだった。
適当な声にされるくらいなら、自分の想像にまずは合わせようとした結果、随分とハスキーに仕上がった。
実験から得た成果から派生を繰り返し続け、2体の質は先々で、より一層人に近づいた。
SERIAL KILLER ~Back Of The Final Judgment~
初の完結作品丸ごと公開。引き続きお楽しみ下さい。
2024年 次回連載作発表予定。
活動報告/Instagram(@terra_write) にて発信します。
気が向きましたら、是非。




