Dur ラジオ番組での出来事
そこそこ悪趣味で外道なお話なので苦手な方は一話でさようならを推奨します。
一話目自体は特に怖い話ではないのでラジオ番組パートとして楽しめます。
『0時をお知らせします。』
アナウンスの後で甲高い機械音が鳴る。
「よっしゃ行くぜ!深夜だけどハイテンショーン!」
「ドゥアーモールの深夜ラジオ!」
静まり返った夜には似つかわしくない大音量BGMとやたらテンションの高い二人の男女の声がスピーカーから響き渡る。
「東京を基地局に全国40局ネットでお送りします深夜でも元気に楽しくドゥアーモールの深夜ラジオ!」
「この番組は僕、一ト野糸広こと『いっと』と」
「私、己共己上子こと『トモ』でお送りする社畜の光応援ラジオです。」
「さーてトモさん、早速ですが………ウチの猫ちゃん達が相変わらず可愛いです!」
「出た、いっとさんの開幕猫自慢。デレが溢れてる。」
いっとと呼ばれる男が絞り出すように『自分の猫』を自慢するのは何時もの事。もはやコーナー名の無いコーナーと化している。
「この前遂にトリミング用の器具一式を買いまして、ウチのはるちゃん伸びていたのでサッパリしてもらったんです。」
「おー、よく聞く黒猫のはるちゃん。どうでしたか?」
「もう最初は暴れて大変だったんですけど、綺麗にしたら大人しくなってにゃーにゃー言ってましたよ。
もう慣れたみたいで、また伸びたら今度はもっと上手くやろうと思います。」
「もう半分くらい志がプロですね…ラジオだと分からないんですけど、いっとさんの目がもう真剣なんです。」
「いやいや、愛ですよトモさん。愛は手間も暇も志も全てを高めてくれます。愛です!」
「愛が、大きい!
そう言えばこの前言っていたマタタビにドはまりしたユーちゃん。その後どうですか?」
「まだまだドはまり中。帰るとすぐににゃーにゃー寄って来て、上げると喜んでゴロゴロし始めるんです。ごろにゃんです。」
「可愛い。ちょっとその姿、見てみたいです。」
「ダメッ!見せない!ウチの子可愛いから独り占めしたい!」
「独占欲!」
「愛ですよ、トモさん。」
「目が悟ってる!」
スピーカーからは男女の声が響き渡る。
正直クソみたいなラジオ番組だ。
それを聞いて泣き出すヤツと笑い出すヤツがいるのがさらにムカつく。
何が愛だ。何が独り占めだ。何が独占欲だ。クソっ!
次話は現在執筆中。よほどの事が無い限り今日中に投稿して完結します。
ブクマでもして待っていてくだされば。