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ここはキャバクラか何かですか?

「はい。総統閣下、総統閣下」


手拍子付きでそんなことを言われる。


手にはビール。


「って、こらぁ! 一気飲みは禁止だって! 俺っち、一気飲みで死んでる人とかいるの知ってるから、余計に一気飲み怖いの! もう、ミチルも皆もやっちゃダメ! 俺っちとの約束!」


「約束は破るためにあるものです。総統閣下。……命令なら、別ですが」


最後だけめちゃくちゃ声小さかったけど、これを聞かなかったことには出来ない。


「じゃあ命令。一気飲み禁止」


「……致し方ありませんね」


「ってか、ここどこ!?」


照明はやたらときらきらしたシャンデリア、可愛い系からセクシー系まで揃った女の子達があちらのテーブルこちらのテーブルに移動している。


席には男達が座っていて、女の子達と話をしている。


なんか、武勇伝的なのとかが聞こえてくるけど、俺っちここに居ていいの?


「むしろこう言う場に出てくれないと困るんです。総統閣下なのですから、裏の筋の人達とも仲良くなっていただかなければ。それに、女の子慣れもしていただきます」


「ヤか? ヤのつく方々? 俺っち超やばいじゃん。死んじゃうじゃん。女の子慣れってのもなんか変だし。大体女の子慣れしたところで結婚なんて一生出来ないし、慣れたところで無駄、無駄。っていうか、ちょっと整理させて。頼む、連れ帰って。あの馬鹿でかい屋敷に。俺っち無理だから。もう頭ショートしてるから。てか、もう、本当に無理ぃ!」


俺っちはそのキラキラ光るところから出て、外で立っていると、いろんな人に見られる。


(何だよ。何なんだよ……。俺っちが何したっての……)


空に浮かぶ大きな月を見ながら、俺っちは溜め息をついた。


「あーあ、漫画とかゲーム、どうなったんだろう」


そう呟いていると、ミチルがやって来た。


「総統閣下、探しましたよ」


「嘘つけや! 絶対真っ直ぐ来たっしょ! 汗掻いてないし、息一つ乱れてないじゃんか!」


「そうですね。だって、総統閣下が知っている出入口は一つしかありませんし、周りは知らないところなので動けないだろうと思ってこうして出迎えに来たのですが、さすが総統閣下!」


パチパチパチ。

しばらく一緒にいるけれど、その拍手は癖なのか?


で、何がさすがなんだ?


「総統閣下はそのカリスマ性によって、我々の今いる領地の全ての民達に恐れと憧れを抱かせている! 素晴らしい! これぞ悪の総統!」


素早い拍手をされる。


えー、そんなつもりなかったんすけど。


そう言いたくて仕方がなかった。


「悪の総統って言っても、俺っち偽物だし……」


「そんなの関係ありません。偽物も民からしたら本物です」


ああ、まあ、そうなるのもわからないでもないけれど。


だってぱっと見でシルエットで誰かはわかるけど、顔はぼんやり、みたいなことだろう。


背格好が似ていて顔が似ていなくてもぱっと見がわかりさえすれば、問題はないってやつだ。


「ほら、こんなに皆が集まってきていますよ」


ミチルがそう言って俺っちの後ろを指差す。


「総統! 我らが総統!」


いや、違うんだって。


「悪の善人!」


矛盾してるって。


「抱っこしてー!」


ちっちゃい女の子かと思いきや野太い声だった。おーい、おっさんじゃないかー……。


「さあ、総統、あのお言葉を……!」


なんだか、慣れて来てしまった自分もいる。


「世界を我が手に……!」


これさえ言えば、皆満足する。

そう思って、言ってみた。


やはり、皆その言葉を待っていたようで、大歓声が沸いたのだった。


「さあ、総統。このまま歩いて帰るというわけにはいきません。一旦店内に入りましょう」


「え、あ、う、うん」


そうして、俺っちは再びキャバクラ的なところに入った。


ちょっと薄暗い店内、きらっきらの! シャンデリア。


慣れない世界だなぁ。


「総統閣下、お隣失礼いたします」


そう言って、女の子が三人と、向かい側のソファにミチルが座る。


「総統閣下、紹介します。私の姉妹達です」


ミチルに姉妹? そうか。そうだよなぁ。姉妹だっているよなぁ。


ん? 姉妹揃って同じ店にいるのか?


「あやめですー。姉妹の長女やってます。店のお局様と言ったら私のことなんですよー。そしてうちの次女がお世話になっています。というか、お世話しているのかしら? うふふ」


ゆったりとした人だ。黒髪で、ロングヘアだ。黒いドレスをきている。


俺っちもこんな美人でゆったりした姉さん欲しかったよ。ぐすん。


「総統閣下、騙されないでください。お姉様は幼い頃から悪のチームを作り上げてその内にこの辺りを実質的に支配した女王とも呼ばれていて……」


「ミチルちゃん? お姉ちゃん、怒るわよ?」


「ひっ。総統閣下、今のは聞かなかったことに!」


何があったんだ。ミチルとあやめさんは……。


「はいはーい! 私りく! ミチル姉さんの下の三女! よろしくねっ!」


そう言ってりくという子は俺っちの手に手を重ねてにっと笑ってくれた。


子犬みたいに人懐こい子だなぁ。赤い色のドレスをきてる。桃色の髪がよく似合ってる。


でも、ちょっと視線を合わせづらい。


おっぱい、が、でかすぎる……。


そのドレスどうなってんだよ。胸だけならこの姉妹の中で最強だよ。


「私はメーテル……。……この世界は混沌としているから、清らかな気を放つあなたにはつらいかもしれないけれど、意外と悪に満ちた気も、慣れれば清らかなもの。ようこそ。総統閣下……」


なんだかミステリアスで、紫の髪の美人。


というか、不思議ちゃん?


紫のドレスに眼帯つけてる。


俺っち、このままこの店、無事に出られるかなぁ……。


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