もしもしこちら悪の総統
やっほー! 本当の! 総統閣下だよー!
「いやー、ハワイって最高だね! あの人間、しっかりやってくれてるのかな? ミチルから連絡ないってことは問題ないってことだよねー」
私は海を見ながらオレンジジュースを飲んだ。
フレッシュフレッシュ!
オレンジジュース美味しいなー!
さっき飲んだココナッツジュースも最高だったぜ!
仕事もぜーんぶ、押し付けて自由を謳歌! これぞ本当の悪っ!
「ま、もうしばらくは動かないつもりだからねー。昔ほど私だって若くないしー、軍隊も弱くなっちゃったもん☆ だから、もう少し人間界を楽しもう」
――そうしたら、この世界も滅ぼしてやろう。
あー、胸が躍るなぁ!
「ミチルもバカンスに連れてくるべきだったかな? って、あいつが来るわけないか」
だって仕事ばかりの悪魔だし。
それにしても本当に自由ー!
自由過ぎって困っちゃう。
でも、まあ、人間界の情報を得たりとかもしてるんだけどね。
目指すのは悪でいっぱいの世界をどーんっと作って、人間達を滅ぼしていくこと☆
ほら蟻の行列って気持ち悪いよね?
ずらずらと並んで、餌を食いつくして、どんどん増えていって……。
きっしょい。
「虫の大群って、見るだけ気持ち悪いんだよね。まあ、悪魔も似たようなもんだから間引きするけどさー」
海がざざーんと波を立てる。
この光景は好きだね☆
あっちにも海あるけど、こんなに綺麗じゃないからさ。
だから余計に滅ぼしたくなる。
世界を滅ぼした時の圧倒的な快感。やつの世界をまた一つ壊してやったという喜び。
「はあ」
でも、この光景も、こうしてバカンスを楽しんでいることも、何回か繰り返している。
そう感じるしなにより、アレのブレがひどい。
どこぞの馬鹿が、時間をやりなおしてるようだ。
まあ、私が勝つが。
「お前など私の敵ではない」
今にきっとやつもわかるだろうしさ。
「ふう」
オレンジジュースをストローでのむ。
でもさ、人間って馬鹿だよね。ってか、人間に限らずだけど。
現状に満足していればいいのに、つい欲が出て手が出る。
その手は一つじゃなくて、複数。
そうしたら話は簡単。戦いが始まる。
欲望がのびてのびて、あいつが叶えないと最後に私に願うんだ。
『悪魔でも何でもいい!我らをお救いください!』
私は叶えるよ。どんな願いもね。
まあ遊び程度にしかならないが。
人間も、悪魔も。
「あのミチル達四姉妹は壊し甲斐があって楽しそうだよね!ほんと!」
くうと体をのばす。
力も強いから倒した時に達成感半端なさそう!
理由とか誰かがいたら聞かれるかもしれないけど、理由なんてないよ。
ただ面白いことが好きなだけ。
趣味、人間界を滅ぼすこと。そして私の世界も含めて世界を滅ぼすこと!
えーって民達は思うかもしれないけどさ、私って少数精鋭派なんだよね。
ある程度優秀なやつがいればそれでいい。
つまり、クズはクズらしく死んでねってこと。
だって必要ないでしょ。
無価値なやつらが道を歩いてたら、うっかり殺したくなっちゃう。
そうでしょ?
ゴキブリ、愛せる?
人に不快感与えるばかりでさ、その動きも見た目も気持ち悪くって害しかないのに、可愛がれるわけがない。
私にとって、人間とか劣っている悪魔ってそんなもの。
「あ、そういえばあいつ……今何してるかな」
魔の王なんて、凄い呼ばれ方をしていたあいつ。
何度世界を滅ぼしてもすぐ別の世界に行ってるのか、存在が消えないことだけは確かなんだよね。
ぶっちゃけて言うと、敵。
面白いし、楽しいやつだけど、考え方が違い過ぎるんだよね。
あいつは弱くても生きてればいいじゃんって考え方。
一方で私は無駄って考え方をしている。
それで大喧嘩して、世界がいくつかなくなったんだよねー!
懐かしい!
名前は、ジュリアスだったかな……?
「どうでもいいかー。それよりも、今は……ってすることなくなっちゃったか」
私はどうしようかなーと思っていたんだけれど、まだ動かないって思ったことを、なかったことにしようと思う。
だってやることないんだもん。
「この世界、もう滅ぼそーっと」
さーて、ミチル達にも連絡入れようかな。
そろそろ準備運動始めるよーって。
手始めに、人間同士、争ってもらおうかな。
人間の欲は深いから。
――人間は私がもたらすもの愛してくれる。いつも。
「そろそろ行きますか!」
空になったコップを捨てると
私は着替えて、魔法で普通では見えない空間を作り出し、そこに入って寛げるようにした。
そして、座り心地の良い椅子に座り、人間界を上から見下ろす。
うんうん。ゴミゴミとしていて、早く一層したいね。
「ミーチールー。もっしもーし」
魔法でミチルに連絡をしてみる。
ミチルはすぐに気づいて、私の声に反応する。
「総統閣下? どうなさいましたか?」
酷く驚いているような声。
ミチルの声が聞けて嬉しいなー。
「もう動くから☆」
ミチルが息を飲むのが、手に取るようにわかった。




