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イントロ

 小学生の頃、当時放送されていたアニメに影響されて仲の良かった6人組で戦隊ごっこをして遊んでいた。

それぞれ操る魔法の力があって、俺が火でほかの5人はそれぞれ雷・水・風・土・時。時はいわゆる追加戦士で、近所に引っ越してきたやつを誘った。

近くの公園に集まって、自由帳にコンビネーション技や必殺技をメモしたり遊具を基地に見立てて作戦会議をしたりしていた。



俺だけ魔法戦士じゃない 0



 予兆はあった、と思う。どんなタイミングだったかは忘れたが「最近、風の吹くタイミングがなんとなくわかる。」という発言から始まった「泳ぐのが早くなった」とか、そんななんとなく自分が操る魔法に関するものの扱いがうまくなったとか、そんなぼんやりとした会話があった。俺には全く理解ができない会話の内容だったが、俺以外のみんなはなにやら心当たりがあるようで、みんなになんだか置いて行かれているような気がして、疎外感を感じて適当に「火加減がわかる」とか言っていたような気がする。


 学年が上がるにつれて集まっても戦隊ごっこはやらなくなって、本を読んだり、ゲームをしたり、絵をかいたり、みんなそれぞれやりたいことをやって放課後を過ごしていた。正直に言うとみんなが戦隊ごっこをやらなくなっていっても俺はずっとやりたかった。けど、言い出せなかった。高学年にもなって「戦隊ごっこがしたい」と言うのが単純に恥ずかしかった。もちろんみんなは俺がそんなことを言い出してもばかにするような奴らじゃないけど、誰よりも俺がそういうやつをばかにするタイプだった。外面を気にして好きなことを好きと言えないような奴だった。


 いつまでも戦隊ごっこがしたい、小学生の気持ちを引きずったまま中学生になろうとしていた時みんなに、そして世界に異変が起こった。


 世界を不思議な闇が包み込み、突如として人間が異形の怪物に成ってしまうようになったのだ。人間の怪物化は突然で、それまで普通に食事をしていた人や病院で治療を受けていた人などどんな人間でも成る可能性があるうえ、怪物化したら最後、物理攻撃による死か魔法戦士による魔法での浄化を受けるしかないらしい。


 ここで少し、みんなに起きた異変を話そう。


 それは世界に異変が起こる1週間くらい前、「不思議な夢を見た」というひとりの発言から始まった。パステルカラーのファンシーな空間で、光り輝く銀色の女神に額に口づけられかつて戦隊ごっこをした時と同じ魔法の力とその力を補助するファンシーな獣を与えてもらったという。その次の日にはまた別のひとりが同じような夢を見て、そのまた次の日には別の一人が夢を見た。4人が同じ夢を見たとき、「あ、じゃあ今日は俺がその夢を見るのか。」と漠然と思い眠りについたが、俺はその夢を見なかった。代わりにその夢をみたのは、俺たちの追加戦士だった。

 そして世界に異変が起きる前日、俺は不思議な夢を見た。みんなが夢に見た(のではないかとおもわれる)空間で、ぼんやりと空を見上げていた。俺はみんなのいう銀色の女神を待ったが目の前に現れることはなかった。銀色の女神は見上げていた先に現れ、次にみんなが現れ光を纏って上昇していくのをただただ俺は見ているだけだった。その時悟った。


 俺だけ魔法戦士じゃない。




 

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