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最終話 誰もが変化し成長する

「しかしまあ、何と言えばいいのか」


「あなたが何をおっしゃりたいのかは、なんとなくではございますが察しますわ」


「そうか。ありがとう、リリアーヌ」


「いえいえ、とんでもありませんわ」


「わはははははっ」


「おほほほほほっ」



 私とカイン様はザルバック国王陛下とリリアーヌ王妃様に呼び出しを受けていた。国内での最高権力者の二人を前に、どんな話をされるのかと緊張するものだけれど……なぜか、二人の仲睦まじい会話を聞かされていた。


 つまりはイチャイチャを見せられていたわけで。まあ、それに関しては良いんだけれど。楽しそうだったから。



「あの、国王陛下。よろしければ、ご用件をお聞かせいただけませんでしょうか?」



 カイン様が先陣を切って話している。流石は辺境伯様、国王陛下にも物怖じしない権力の高さが窺えるわ。今頃はマリア姉さまが必死で辺境伯の歴史を勉強している頃だろうけど。



「ああ、済まないな。二人を呼び出したのは、特に大きな用件があったからでもないのだがな」


「そ、そうなのですか……?」


 緊張感を持っていた私だけれど、ザルバック国王陛下の言葉で少し力が抜けてしまった。



「ただ、用件がないわけではない。どうだ、テレーズ嬢。マリア・クルシスの様子は?」


「はい、国王陛下。姉のマリアは……修道院から戻ってからは、貴族の再教育プログラムに勤しんでおり……」


「うむ。確かにそちらも重要だが。私が問うているのはそういうことではない」


「えっ? と言いますと……?」



 私の言葉を遮るように、ザルバック国王陛下は話していた。一体、どういうことかしら……?



「姉との仲はどうなのだ?」



 ああ……そういうことか。ザルバック国王陛下は世間話をしているだけのようだ。今は、国王陛下と話していると考えるな、と暗に言っているのかしら?


「はいええと……まだまだ、ぎこちない感じではあります」


「なるほど……まあ、それは仕方ないだろうな。時間が必要でもあるし」


「はい、左様でございますね」



 マリア姉さまとの仲に関しては、時間が解決してくれると思っている。気付いた時には仲の良い姉妹、という噂が流れていることを密かに期待していたりする。



「それよりも、姉はラゴウ様と仲を回復させているようですが……」


「うむ、聞いている。ラゴウの奴は現在は鉱山作業員の管理者をしているが、近いうちに伯爵に戻るらしいからな」


「はい……マリア姉さまがお弁当を作って、偶に会いに行っているのが気になります」



 そう……マリア姉さまは現在、プログラムを受けつつ合間を見て、ラゴウ様に会いに行っているのだ。頭にはフードを被った状態で。まだ、それほど髪は長くなってないしね。最近では、使用人と一緒に料理の勉強を始めていたりする。


 あの姉さまが……人の変化って恐ろしいものね。微笑ましくはあるんだけれど。



「なるほど、なかなかに面白いな。今度、二人も我が部屋に呼んでやるとするか」


「あら、それは面白そうですわね」



 ザルバック国王陛下は心の底から楽しんでいるようだった。リリアーヌ王妃様も同じだ。彼ら二人もあの事件を経て、大きく成長なされたのかもしれないわね。成長と言うか、わだかまりのようなものが消えた? 言葉にするのは難しいけれど。



「お前達二人の正式な結婚も楽しみにしているぞ。ラゴウ達には負けないようにな」


「もちろんでございます、国王陛下。私もテレーズに愛想を尽かされないように、精進していきたいと思っております」


「うむ、その心意気や良し!」


「流石は辺境伯ですわね」



 カイン様はザルバック国王陛下とリリアーヌ王妃様に頭を下げていた。そこには私への愛情が強く出ているように感じられた。とても大きく深い愛情が……なんだか照れてしまうけれど。




--------------------




 その後、私達はザルバック国王陛下の部屋から退出した。和やかなムードではあったけれど、やはりどこか常に緊張していたようだ。部屋を出た瞬間、身体が身軽になった気がする。


 マリア姉さまやラゴウ様の話で盛り上がるとは思ってもみなかったけれど……まあ楽しかったかな。



「ザルバック国王陛下も相変わらずだな」


「そうですね……でも、まさか私がこんなにも国王陛下とお近づきになれるなんて。なんだか信じられません」


「そんなものか?」


「はい。私は子爵令嬢だったわけですし……これもカイン様のおかげですね」


「おやおや……少し妬けてしまうな」


「まあ! カイン様って意外と……」



 最近、分かってきたことだけれど、カイン様はかなりのヤキモチ妬きだったりする。私の予想を超えるレベルで……。



「でも、カイン様に妬かれるのはとても嬉しいですよ? もっと、色々なことで妬いていただきたいのですが……」


「こらこら、パーティーで他の貴族に色目を使うのはやめてくれよ……」


「わかっております。私の心は既にカイン様の物ですから……」


「そうか、ありがとう。テレーズ」


「いえ、カイン様」



 宮殿内ではあるので、キスまではしないけれど、そんなことはせずとも十分にカイン様との絆を実感することが出来た。私達の関係も確実に前に進んでいるわね……良いことだわ。


「テレーズ、誰もが羨む夫婦を目指したいと思っている。私の後をしっかりと付いて来てほしい。私も君が安心して付いて来れる人間を目指すので……」


「畏まりました、カイン様。しっかりとカイン様を見つめて行きたいと考えます」


「ああ」



 私達の人生はまだまだこれからだ。今後、幾つもの試練がやってくるだろう。でも、そんなものは乗り越えられるはずだ……カイン様と一緒なら必ず。



 ……とりあえず、ラゴウ様とマリア姉さまの二人には負けたくないわね。




おしまい

最後まで見ていただいてありがとうございまいた!

よろしければ感想やブクマ、評価などをしていただけますと嬉しいです!


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