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32話 カイン様と巡る その2

 カイン様と西の国境線付近の緑豊かな場所を散策し楽しんでいたはずだった。カイン様との話題がラゴウ様とマリア姉さまの処遇に向かうのは仕方のないことだろうと思う。デートを楽しみながらも、その話題も楽しみの1つとして話すくらいの余裕は持ち合わせていたつもりだ。


 それから……予想通り、マリア姉さまの話題へと移り、彼女は修道院に行ったということを話した。カイン様が仕入れている情報では、上手くいけば1年くらいでマリア姉さまは戻って来られるとのこと。



 私が驚いていたのは、ラゴウ様の処遇についてだった。議会の判決で一時的に爵位剥奪があるとは知っていたけれど。



「ラゴウ様が……鉱山開発ですか?」


「ああ……北の山脈の麓で行われている金や銀の鉱山採掘を行っているようだ。貴族の立場として、普段から鍛えているかを問われる仕事になりそうだな」


「ああ、なるほど……そういうことですか……」



 どうなのかしら? ラゴウ様の身体をマジマジと拝見したことはないけれど……ある程度は鍛えていたかしら? いえ、身分の高さに甘んじて、己を鍛えることを疎かにしていた可能性は十分に考えられるわね。そうなると……かなり厳しい職場環境になるんじゃないかしら……。


「はあ……ラゴウ様にとっては、かなり厳しい職場環境かもしれないですね……」


「うむ、まあそういうことだな。しかし、彼が犯した罪を思えばまだマシな部類と言えるだろう。ラゴウ殿の心の変容に期待しようじゃないか」


「そうですね」



 少し厳しい環境かもしれないけれど、ラゴウ様が本気で性根を入れ替えるのならば、絶好の機会と言えるのかも

しれない。その後に貴族の再教育プログラムが待っているけれど、鉱山での肉体労働から考えれば、些細なものに感じるだろう。


 もしかしたら、国王陛下や議長達はその辺りも考えて、敢えてラゴウ様に鉱山労働を命じたのかもしれないわね。彼をしっかりとした貴族に成長させる狙いで……流石に都合よく考え過ぎかしら? まあ、その辺りは神のみぞ知るってところかしらね。



「まあ、ラゴウ殿たちの末路については、彼ら次第というところが非常に大きいな」


「確かに……そうかもしれませんね」


「ああ。それから……」


「カイン様……?」



 急にカイン様の表情が変化したような気がした。いえ、確実に変化していると思う。私は自然と身体が固くなっていくのを感じていたし。


「私達の関係性も……もう少し、進めても良いのかもしれないな」


「えっ、私達の関係性ですか……?」



 私達は既に婚約関係にあるはず……それ以上進めるということ? えっ? そんなことを考えていると、カイン様は私の身体を抱きしめていた。


「嫌だったら、すぐにやめるが……どうかな?」


「そんな……とんでもないことでございます」


「そうか、安心したよ」


 嫌なはずはない……そもそも、カイン様とは婚約関係にあるのだから、猶更だ。でも……なんというか、婚前交渉は我が国ではあまり認められていない。その辺りはどうするつもりなのだろうか。おまけに、周囲を守る護衛の人達も予想外の出来事に戸惑っているようだったし……。

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