15話 罪と罰 その1
「国王陛下と王妃様がいらしていますわよ……流石はカイン様ですわ……!」
「それに目立たないが、護衛も最大級のようだぞ」
「辺境伯……素晴らしい名誉であろうな!」
周囲の貴族達の注目を集め出してから、しばらく経過していた。目の前に国王陛下と王妃様が居る……それだけでも信じられないことだけど、どうやら二人を守る護衛が周囲を警戒しているようだ。すぐ後ろに居る兵士達は単なるミスリードなのかもしれない。
「へ、陛下に対し、嘘を申し上げたつもりは全くございませんでした……!」
「そ、そうですわ! ただ、ご不快に感じられたことに関しては誠心誠意お詫びいたします……! この通りですので、ご容赦ください!」
ラゴウ様もそうだけれど、マリア姉さまの言葉も必死そのものだった。辺境伯を軽視した発言と同じで、嘘を吐いたことは紛れもない事実なんだけど。乗り切れるはずがないのに……こと二人を見ていると、本当に飽きないわね。他の貴族に対してならまだしも、国王陛下や王妃様に行うことがどれだけの罪になるのか分かっているのかしら?
「陛下……如何なさいますの?」
「決まっているだろう?」
「では……やはり?」
「うむ、そうだな」
「……?」
ラゴウ様もマリア姉さまも自分達がどうなるのか、あまりよく分かっていないような……? なんだか変な気がする。
「カイン様、少しよろしいでしょうか?」
私は周囲には聞こえないくらいの音量で、カイン様に話しかける。
「どうしたんだ、テレーズ? 何か疑問に思うことでもあるのか?」
「はい……ラゴウ様とマリア姉さまの二人なんですが」
「ああ、二人がどうかしたのか?」
「気のせいかもしれませんが、そこまで焦っている様子には見えなくないですか?」
ザルバック国王陛下に無礼をはたらいてしまった点に関しては、とても焦っているように思う。でも、その後のことに関してはそこまで考えていないような……? この場を乗り切ってしまえば、なんとかなると思っているのかしら。
「そうだな……私もその点に関しては不思議に思っていた。おそらく二人は、貴族としての勉強が不足している為に、ある種の世間知らずなのだろう。自分たちがどれほどの罪で罰せられるのかを理解していないのさ」
「それは……」
「自業自得とはいえ、可哀想なことだな」
私もその辺りは詳しくは理解していないけれど……国王陛下への嘘や辺境伯に対する無礼な発言。死刑になるほどではないにしろ、無事で済むとは思えない。
どの程度の罪に問われるのか……見物と言えるのかしら? まあ、私は見守ることしか出来ないけれど。




